マンション管理士の収入は?年収1,000万円って本当?

更新日:2024年1月22日

マンション管理士の収入は?年収1,000万円って本当?

マンション管理士という資格は、企業に勤務しながらも活用できる上、独立開業も目指せる国家資格として、人気の高い資格です。

では、そんなマンション管理士資格を取得すると、年収はどの程度になるのか?年収1,000万円は目指すことができるのかという点に関して解説していきたいと思います。

マンション管理士の平均年収、また年収アップの方法やマンション管理士として働くための手順まで、詳しく解説していきます。

目次

マンション管理士とは?

マンション管理士とは、マンションの管理、管理組合の運営に関した専門知識を持ち、マンションの管理組合の活動に関して助言やアドバイスなどを行う資格です。簡単に言ってしまえば、マンションの管理組合に対するコンサルティング業務が仕事の中心といえるでしょう。

マンションの管理組合は、そのマンションの住民が作る団体となります。マンションの住民の方は、マンション管理などに関する専門家ではありませんので、管理組合と言っても何をするべきか、どう運営すべきかという点で分からない部分も多いのが現実です。その点をサポートするのが業務となります。

マンション管理士の業務に関しては、詳しくは以下の記事で解説していますので参考にしてください。

マンション管理士の仕事内容についてはこちら

マンション管理士の働き方

マンション管理士の資格を取得した方の働き方は、2つ考えられます。ひとつは企業に勤務してマンション管理士としての業務に就く方法、もうひとつは独立開業してマンション管理士として働く方法です。

働き方で年収の傾向も変わりますし、働く際のポイントにも違いがあります。2つの働き方の簡単なポイントなどを紹介していきましょう。

企業に勤務するか独立開業するか

マンション管理士の資格は名称独占資格なので、マンション管理士を名乗って業務に当たれるのはマンション管理士の資格を持っている方のみです。ただし独占業務がないため、独立開業をするのは、資格としては簡単ではありません。

そのため、マンション管理士資格を持っている方の多くは、不動産管理業や不動産販売業など、マンションの管理を請け負う企業に勤務して働いています。

名称独占資格とは言え、できる業務がかなり専門性の高い資格でもありますので、独立開業も不可能ではない資格でもあります。特にマンションの数がどんどん増えている都市部では、マンション管理士として独立開業している方も増えています。

企業勤務型マンション管理士の年収

企業勤務型と、独立開業型の働き方では、年収の傾向が変わりますので、まずは企業勤務型のマンション管理士の年収に関して、データを参考に紹介していきましょう。

とはいえ、マンション管理士の資格を取得している方に限定した年収の公的データは存在しません。そこで、毎年厚生労働省が発表している、「賃金基本構造統計調査」の令和4年度データから、マンション管理士が多いとされる不動産管理業の年収データをチェックしていきたいと思います。

マンション管理士の平均年収は528万円

マンション管理士の平均年収をイメージするために、不動産管理業の平均年収をチェックしていきましょう。

きまって支給する現金給与額 355,100円
年間賞与その他特別給与額 1,023,100円
平均年収 5,284,300円
引用元:厚生労働省「令和4年度賃金構造基本統計調査」

マンション管理士の平均年収は約528万円。令和4年度の給与所得者全体の平均年収は458万円ですから、この平均より高い傾向にあります。

事業所規模別の年収

マンション管理士の年収をさらに細かくチェックしていきたいと思います。まずは、事業所の規模別の年収傾向です。事業所の規模を、従業員数で3つに分けたデータをチェックしてみましょう。

事業所規模 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
10~99人 319,900円 815,700円 4,654,500円
100~999人 373,200円 1,049,900円 5,528,300円
1,000人以上 371,700円 1,222,100円 5,682,500円
引用元:厚生労働省「令和4年度賃金構造基本統計調査」

こちらのデータは不動産管理業のデータですので、マンション管理士に限ったデータではありませんが、やはり事業所の規模が大きい方が年収は高い傾向にあるということになります。

とはいえ、いわゆる中規模企業と大企業では大きな差はなく、ボーナスの部分で差がついている程度。そう考えると、もちろん大企業に就職できればいうことはありませんが、中規模企業でも十分に高年収を狙えるということができます。

年齢別の年収

続いては年代別の年収をチェックし、マンション管理士が年齢とともにどのような年収推移を辿るのかを見ていきましょう。

年齢 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
19歳以下 179,500円 69,200円 2,223,200円
20~24歳 245,100円 370,600円 3,311,800円
25~29歳 289,100円 776,500円 4,245,700円
30~34歳 325,100円 932,800円 4,834,000円
35~39歳 375,900円 1,093,700円 5,604,500円
40~44歳 385,200円 1,118,900円 5,741,300円
45~49歳 414,200円 1,307,400円 6,277,800円
50~54歳 401,200円 1,362,600円 6,177,000円
55~59歳 418,900円 1,479,000円 6,506,800円
60~64歳 313,800円 657,700円 4,423,300円
65~69歳 241,700円 298,200円 3,198,600円
70歳以上 214,100円 136,900円 2,706,100円
引用元:厚生労働省「令和4年度賃金構造基本統計調査」

マンション管理士の年収が500万円を超えてくるのは30代中盤から。その後40代後半で年収600万円を超えてピークを迎えるという傾向にあります。

年収の推移の傾向としては、一般的な職業の傾向と同様であり、マンション管理士だからという特別な傾向は見えません。

また、年収の推移を見ると、企業勤務型のマンション管理士で年収1,000万円というのはかなり難しいということもわかります。

男女別の年収

続いて男女間の年収の違いをチェックしていきましょう。

性別 きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 平均年収
男性 399,700円 1,235,800円 6,032,200円
女性 285,700円 692,500円 4,120,900円
引用元:厚生労働省「令和4年度賃金構造基本統計調査」

年収という点では、男女間の格差は大きいといえます。

マンション管理士の仕事には、男女間で差が出るような業務はありません。マンションの管理組合には、女性も数多く参加していると考えれば、むしろ女性の方がマンション管理士の仕事に向いているとも考えられます。

マンションの管理組合の仕事の中には、マンション住民同士のトラブルの解決というものがあります。住民同士のトラブルの中には、当然女性からの苦情もありますし、女性への苦情もあるでしょう。

こうした女性が絡む問題に関しては、男性よりも女性の方が解決に向いているという可能性もあります。

女性の社会進出が増えている現在の傾向を考えると、今後は女性のマンション管理士が増え、男女間の年収格差も縮まっていくかもしれません。

独立開業型マンション管理士の年収

続いてもうひとつの働き方である、独立開業型のマンション管理士の年収に関して紹介していきましょう。

とはいえ、独立開業型のマンション管理士の年収に関する公的データはありません。

そこで少し古いデータではありますが、平成30年に「公益財団法人 マンション管理センター」が実施した「マンション管理士の業務に関してのアンケート調査」を参考にしていきたいと思います。

独立開業型の平均年収は約300万円

マンション管理士として、独立開業している方の年収に関するデータが以下の通りです。

年収 割合
0円 10.6%
100万円未満 37.3%
100万円以上400万円未満 30.4%
400万円以上700万円未満 10.2%
700万円以上1,000万円未満 3.3%
1,000万円以上2,000万円未満 2.3%
2,000万円以上 3.0%
無回答 3.0%
引用元:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士の業務に関してのアンケート調査(平成30年実施)」

全体の割合から算出すると、平均年収は約300万円となります。

ただし、上記のアンケートに回答した方の中には、マンション管理士の資格は持っているものの、ほぼ実務を行っていないという高齢の方も含まれている可能性があります。

仮に無回答の方と、年収0円と回答した方を除いて平均年収を算出すると、平均年収は約340万円となります。

独立開業型は年収の格差が大きい

独立開業型のマンション管理士の年収は、平均で300~340万円程度であり、企業勤務型のマンション管理士よりも低いという結果になります。とはいえ、これはあくまでも平均値の話。

上の表を見ても分かる通り、年収400万円未満のマンション管理士が80%近くいるのに対し、年収1,000万円以上のマンション管理士も5%以上いるということになります。

アンケートに答えたマンション管理士の中には、高齢の方でマンション管理士として少し収入を得て、年金などと合わせて生活しているという方もいらっしゃるでしょう。

そう考えると、現役世代で独立しているマンション管理士の平均年収はもう少し高くなることが予想されます。また、年収1,000万円を超えるような高年収を目指すのであれば、企業勤務型よりも独立開業型の方が現実的ともいえるでしょう。

マンション管理士として年収1,000万円を目指すためには?

マンション管理士として、年収1,000万円を超えるというのは、不可能ではないものの、簡単な挑戦でもないようです。

そんな年収1,000万円超え、もしくは今以上の高年収を目指す場合、どのような準備が必要か、どのような働き方がいいのかなどを紹介していきましょう。

独立開業がおすすめ

まずはマンション管理士としてどのように働くかという点を考えていきましょう。

あくまでも年収1,000万円、高年収を目指すと考えれば、独立開業がおすすめとなります。

企業勤務型で年収1,000万円を目指すためには、ある程度大企業に勤務する必要があります。また、大企業に勤務しただけで年収1,000万円が目指せるというわけではなく、社内でしっかりと実績を積み、年齢とともに昇進していけば、年収1,000万円も不可能ではないというイメージです。

大企業に勤務するためには、当然学歴も必要ですし、出世していくと考えた場合、ある程度の勤務年数も必要になります。つまりかなり条件が絞られるということ。

一方、独立開業の場合、学歴や勤続年数はさほど大きな問題ではありません。自身の努力次第で年収1,000万円を目指すことは可能ということになります。もちろん年収1,000万円超えは、上で紹介したアンケート結果を見ても5%程度、20人に1人の割合ですので、十分に準備し、しっかりと事業を広げていくのが重要になります。

ダブルライセンスで業務の幅を広げる

独立開業で年収1,000万円を目指す場合、大きなポイントはどれだけ顧客を確保できるかという点です。マンション管理士として顧客を集めるためには、ほかのマンション管理士との差別化がポイント。その差別化に役立つのが、複数の資格を取得するダブルライセンスです。

上でも紹介した「マンション管理士の業務に関してのアンケート調査(平成30年実施)」から、複数資格を取得しているマンション管理士が、マンション管理士以外にどんな資格を持っているのかを見てみたいと思います。

資格 所有割合
管理業務主任者 85.2%
宅地建物取引士 77.8%
ファイナンシャル・プランニング技能士 22.9%
建築士 11.9%
行政書士 11.1%
引用元:公益財団法人マンション管理センター「マンション管理士の業務に関してのアンケート調査(平成30年実施)」

マンション管理士とのダブルライセンスとして、圧倒的に多いのが、試験範囲が重複する部分が大きい管理業務主任者です。管理業務主任者の資格を取得しているのは、企業勤務型の方に多い傾向です。また、上記のように8割以上の方が取得していると考えると、ライバルとの差別化ができるとも言えません。

おすすめは不動産取引の専門家である宅地建物取引士や、コンサルティング業務の能力も証明できるファイナンシャル・プランニング技能士など。また、法律知識が豊富であることを証明できる行政書士なども実務で活用できる資格といえるでしょう。

営業に力を入れる

独立開業は開業すれば顧客がどんどん押し寄せるというわけではあります。当然自信を売り込み、顧客獲得のための営業活動が必須です。

特にマンション管理士は、独立開業をしている方がそこまで多くない資格であり、世間的な知名度はそこまで高くはありません。

そんな自身のことをしっかりと知ってもらうための広報活動や営業活動を、どれだけ効率的に、効果的に行えるかが年収1,000万円を目指す上では大きなポイントとなるでしょう。

独立開業前の人脈づくりが重要

マンション管理士の仕事は、信頼が重要な仕事です。そう考えると、飛び込み営業で簡単に顧客を得られるような仕事とはいえません。営業に関して重要になるのが人脈です。

おすすめはマンション管理士として独立開業する前に、しっかりと人脈を作り、独立開業をしているほかの資格を持つ方などとも繋がっておくこと。こうすることで、人脈から顧客を紹介してもらう、人脈に顧客を紹介するといった関係性ができるでしょう。

マンション管理士の求人は?

マンション管理士の資格を持っている方に対する求人に関しても簡単に触れておきましょう。独立開業をして年収1,000万円を目指すにしても、まずは企業に勤務しながら、マンション管理士の仕事を経験していくことは重要です。

マンション管理士に対する求人情報を見ると、やはり不動産管理業が中心となります。また、不動産業全般や建築メーカーなどでも、マンション管理を請け負うケースはあり、こうした業界からの求人もあります。

マンション管理士としてどのように働くかという点は、以下の記事でも触れていますので、参考にしてください。

マンション管理士の働き方についてはこちら

マンション管理士として働くためには?

働き方次第では年収1,000万円も十分に目指せるマンション管理士。ではそんなマンション管理士として働くための手順を簡単に紹介しておきましょう。

マンション管理士資格を取得する

マンション管理士資格は名称独占資格ですから、マンション管理士として働くためには資格の取得が必須です。

マンション管理士試験は年に1度の実施。ある程度難易度の高い試験ではありますので、しっかりと準備して挑みたいところです。

また、試験の出題範囲の多くが重複している管理業務主任者の試験もマンション管理士試験と近いタイミングで実施されますので、ダブルライセンスを狙う方は、できれば同時に(同年度に)取得できるように準備しましょう。

マンション管理士試験に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。

マンション管理士の試験内容についてはこちら

マンション管理センターに登録を行う

マンション管理士試験に合格したら、マンション管理センターへの登録を行います。登録には登録手数料や登録免許税が必要となりますが、この登録を行わないと、マンション管理士登録証が手に入りませんし、マンション管理士を名乗っての仕事ができなくなります。

5年に1度法定講習を受講する

マンション管理士の資格に関しては、5年に1度、法定講習を受ける必要があります。法定講習はそこまで時間がかかるものではありませんので、通知が来たら日程を調整して受講しましょう。

法定講習を受講しない場合、マンション管理士資格が失効する可能性がありますのでご注意ください。

マンション管理士を目指す勉強方法

マンション管理士はある程度難易度の高い試験となります。そんなマンション管理士試験を目指す場合、考えられる勉強方法は3種類。

自分で勉強する独学か、通信講座を利用するか、予備校に通学するかです。

それぞれの勉強方法のメリットやデメリットを簡単に解説しておきましょう。

独学のメリットとデメリット

独学はマイペースで勉強できる上、受講料などの費用が不要というメリットがあります。特に仕事をしながら勉強をする方は、プライベートの都合や、仕事の事情なども加味しながら、自分なりのペース配分で勉強を進めることができるでしょう。

デメリットは、どうしても勉強時間が長くなってしまうことや、一人で勉強を進めるため、勉強に対するモチベーションの維持が難しいという点。特に分からない部分があった場合、解決法が少ないというのは大きなデメリットといえるでしょう。

通信講座のメリットとデメリット

通信講座を受講するメリットは、独学以上に勉強効率が高い上に、独学同様にマイペースで勉強ができるところでしょう。

通信講座には分かりやすいオリジナルテキストがあり、また専門講師の映像授業もあります。そのため不明点の解決方法が多く、勉強に躓くというケースは大幅に減るでしょう。

デメリットは独学同様にモチベーション管理の部分。もうひとつ受講料が必要というデメリットもありますが、通信講座の受講料は予備校の受講料ほどではないので、大きなデメリットとは言えないかもしれません。

予備校通学のメリットとデメリット

専門講師の授業を直接受けることができ、しかも勉強に集中できる環境で学べるというのが予備校の大きなメリット。勉強効率は通信講座同様に高くなるため、より短い勉強時間で合格が目指せるでしょう。

予備校のデメリットはやはり高額になる受講料や、通学に時間が必要という点。特に通学時間は、社会人の方には大きな問題。貴重な勉強時間が通学時間で消費されるのは、大きなデメリットといえるでしょう。

マンション管理士を目指すなら通信講座がおすすめ

マンション管理士試験はそれなりに難易度の高い試験となります。とはいえ、独学でも十分合格を目指せる難易度でもあります。

独学でも合格は目指せますが、独学では勉強時間が長くなりますので、おすすめは通信講座の利用です。通信講座は予備校同様に勉強効率が高い勉強方法。その上予備校ほど受講料は高くなく、しかも通学時間が不要な勉強方法です。

ある程度の難易度であるマンション管理士を目指すのであればベストな勉強方法といえるでしょう。

数ある通信講座からどの講座を受講するか選ぶ際は、まずは管理業務主任者試験と同時に目指せるような講座がおすすめ。せっかく目指すのであれば、同時に目指すのが有利になります。

もう一つはより勉強時間短縮が目指せるeラーニング教材が充実している講座。毎日のスキマ時間を上手に勉強時間に変えることで、より確実に合格を目指せるでしょう。

まとめ

マンション管理士とは、マンションの管理組合のコンサルティング業務を請け負う資格。企業に勤務しながら資格を活かす方法と、独立開業をする働き方があります。

企業勤務型の方の平均年収は約528万円。一般的な給与所得者の平均年収よりもやや高い傾向にあります。

独立開業をすると年収の差は大きくなり、約5%の方が年収1,000万円以上いるというアンケート結果があります。

マンション管理士として年収1,000万円、高年収を目指すためには、独立開業をして、しっかりと営業活動に力を入れるのがおすすめ。そのためにも独立前に、まずは企業に勤務しながらマンション管理士の仕事を覚え、さらに人脈を広げていくのがおすすめとなります。

その上で独立開業をし、しっかりと営業・広報を行えば、年収1,000万円も十分目指せるでしょう。

この記事の監修者は
北川えり子(きたがわ えりこ)

学びの楽しさをシェアしたい
【出身】東京都
【経歴】拓殖大学外国語学部卒。マンション管理士・管理業務主任者、行政書士、海事代理士、宅建等の資格を保有。
【趣味】旅行、ドライブ
【座右の銘】未来とは、今である。

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