知識記憶を方法記憶に変えれば、暗記したことは忘れない

身体で覚える記憶方法

映画やドラマなどに出てくる記憶喪失の人が、どんなに自分の名前や過去の記憶を忘れたとしても、お箸の使い方や洋服の着方、あるいは文字の書き方などを忘れないことを不思議に思ったことはないでしょうか?

実は、記憶にはいくつかの種類があります。自転車の乗り方や食事の仕方などのような、身体で覚える記憶は「方法記憶」といって、なかなか忘れない記憶になります。
一方、教室の座学で学んだようなことは「知識記憶」といって、すぐに忘れられがちです。

忘れられがちな知識記憶

中学や高校の膨大な授業で聴いたことで、あなたがそのまま覚えていることはどれだけあるでしょうか?
おそらく、ほとんどないと思います。

たしかに、英語の文法や連立方程式の解き方くらいは覚えているかもしれませんが、それは授業で聴いたときに覚えたわけではなく、その後の問題演習やテストを通じて覚えたものです。
ただ、モノを読んだり聞いたりするだけでは、人はなかなかその内容を記憶にとどめておくことはできません。

しかし、いみじくもたったいま述べたように「知識記憶」も、問題を解いたり、暗唱をしたり、書き取りをしたりなど、手や口を動かすことで「方法記憶」に変えていくことができます。

記憶喪失の人が文字の書き方を忘れないのは、それまでに膨大な量の文字を、実際に自分の手を動かして書いてきたからです。九九を忘れないのは、人生の一時期に必死で暗唱して、身体で覚え込んだ経験があるからです。

これを試験勉強にも応用してみるならば、次のようになります。

試験勉強への応用

まず、覚えたいことは何度も繰り返しノートに書きましょう。書けば書くほど記憶への定着率が高まります。
また、書くことと同様に、声に出して読み上げるのも意味があります。
書き取りと読み上げを毎日、起きた後と寝る前の日課にしてしまえば、それほどの負担を感じずに続けることができるでしょう。

私の知る受験生の一人は、テキストをすべてノートに写して丸暗記することで、見事に資格試験に合格しました。ぜんぶを覚えるまでに2~3回の筆写を行ったそうです。丸写しは、手間がかかるのであえておすすめはしませんが、人によっては苦にならない暗記方法かもしれません。