日商簿記2級合格に必要な勉強時間は?効率的な勉強方法も紹介

更新日:2023年9月27日

ペン持ちながら電卓打ってる手元

経理担当者としての就職や転職を目指す場合、持っていると有利になる資格として日商簿記2級の資格があります。

この日商簿記2級の資格を取得するには、どの程度の勉強時間が必要になるでしょう?

また、日商簿記2級を目指す場合に考えられる勉強方法にはどのようなものがあるのでしょうか?

この記事では日商簿記2級合格を目指すための勉強方法、勉強のコツ、勉強時間を短くする方法などに関してまとめていきたいと思います。

目次

日商簿記2級合格に必要な勉強時間

日商簿記2級を取得するには、商業簿記に加え工業簿記の知識が必要になります。

また、日商簿記2級は実務で活用できる資格ですので、商業簿記と工業簿記に関する知識を持っているだけではなく、実務の場面で活用できる応用力も求められます。

そんな日商簿記2級資格を取得するには、ある程度の勉強時間が必要です。必要な勉強時間に関しては、日商簿記2級を目指す方が、初めて簿記の勉強をする方なのか、簿記の知識を持っている方なのかで随分変わってきます。

こうした受験者の特徴別に、必要な勉強時間の目安を紹介していきましょう。

簿記経験者・実務経験者

経理等の実務の経験がある方や、すでに日商簿記3級、簿記初級、原価計算書級など、日商簿記2級よりも下のカテゴリーの資格を取得している方などは、比較的短めの勉強時間でも、日商簿記2級資格を目指すことができるでしょう。

簿記の勉強をしたことがある方や、経理の実務の経験がある方は、商業簿記や工業簿記で使用される専門用語に関する知識がある程度あるということになります。また、簿記の基本的な考え方も理解している状態ですので、日商簿記2級の勉強もスムーズに進むでしょう。

簿記経験者や実務経験者が、日商簿記2級取得を目指す場合は、独学という勉強方法で250時間程度、予備校や通信講座を利用する勉強方法の場合、150時間程度の勉強時間で合格を目指せるでしょう。

初学者

初学者の方とは、これまで簿記の勉強に触れてこなかった方、また実務でも経理などの業務に就いていなかった方など、簿記に関する基礎的な知識のない方のこと指しています。

こうした初学者の方は、まずは簿記とは何か?といった基礎から学ぶ時間が必要となります。特に勉強の最初の段階で進行が遅くなる傾向にあり、実務経験者と比較するとより長い勉強時間が必要となります。

初学者の方が日商簿記2級を目指す場合、独学という勉強方法で350時間程度、予備校や通信講座を利用する勉強方法で250時間程度の勉強時間を確保したいところです。

また、初学者ではあるものの、ほかの資格試験に合格した経験があるという方の場合、もう少し短い勉強時間でも合格できるかと思います。すでに資格試験で合格した経験がある方は、資格試験の勉強方法や、勉強をする中でモチベーションを維持する方法などを知っている方が多いと思われます。同じ条件で勉強を初めても、より効率的に勉強を進められるため、より短い勉強時間で合格が目指せるでしょう。

日商簿記2級合格を目指す勉強のポイント

日商簿記2級を目指す勉強の中で、意識しておきたいポイント、注意すべきポイントに関して紹介していきましょう。

日商簿記2級試験の勉強は、ほかの資格試験と同様の部分もありますし、日商簿記2級独特なポイントもあります。双方を意識しつつ、注意すべきポイントを2つ紹介していきます。

自分に合ったテキストを選ぶ

これはほかの資格試験の勉強する際にも共通するポイント。勉強に使うテキストは自分に合ったもの1冊に絞り込みましょう。

特に独学という勉強方法で日商簿記2級を目指す場合、どのテキストを使用して勉強するか、自分で選ぶ必要があります。日商簿記2級の資格は、数ある資格の中でもトップクラスで人気の高い資格。そのため市販のテキストも多数発売されており、初学者の方は、どのテキストがいいのか判断するのも難しいほどです。

日商簿記2級試験対策のテキストにはいろいろなタイプがあります。日商簿記3級をすでに取得している方向けのテキストや、日商簿記2級を取得したのち、1級を目指す方向けのテキストなど、さまざまな種類があります。

初学者の方が、3級所有者向けのテキストを使ってしまうと、説明が分かりづらい部分がありますし、1級を目指すテキストを使用すると、日商簿記2級の試験と関係ない知識を学ぶことになります。

自分の知識量を考え、自分に合ったテキストを選ぶのが重要です。

また、テキスト選びのポイントとしては、できれば1冊に絞り込む、最新のものを使うという点も意識しておきましょう。

日商簿記2級対策のテキストは種類が多く、それぞれ勉強の進め方が違うケースがあります。複数のテキストを使ってしまうと、それぞれの勉強の進め方や重視するポイントが違うケースがあるため、かえって非効率になってしまうケースがあります。

使用するテキストは基本的には1冊に絞り込むのがおすすめです。

また、使用するテキストは最新版にしましょう。日商簿記2級で出題される問題も、時代に合わせて変化しています。古いテキストは、その年度の試験対策として作られており、今現在の試験対策としては適さない可能性があります。

上記の通り日商簿記2級の資格は人気資格のため、古本なども多く出品されており、こうした古本の方が安く手に入るのは事実です。しかし、確実に合格を目指すのであれば、最新版のテキストから選ぶようにしましょう。

電卓の取り扱いに慣れておく

日商簿記2級対策の独特なポイントとしては、電卓の取り扱いがポイントになり得るという点が挙げられます。

日商簿記2級の試験では計算力が必要となる問題も出題され、試験当日は電卓の持ち込みも許可されています。

試験で電卓を使用するということは、電卓の取り扱いに慣れておくのも重要。もし、電卓が上手に扱えずに、そこで時間を使ってしまうと、試験時間が足りなくなってしまう可能性もあります。

日商簿記2級試験の勉強の間に電卓を使用すると聞くと、手元にあるスマホで簡単に計算したくなるところでしょう。しかし、スマホを使うのはおすすめできません。

試験当日、試験会場に持ち込める電卓は、余計な機能がついていないシンプルな電卓のみ。通信機能を持つスマホは、試験会場に持ち込み禁止となっています。

試験当日に初めて取り扱う電卓を使用するのはおすすめできません。普段の勉強からシンプルな電卓を使用し、試験当日は使い慣れた電卓を持ち込むようにしましょう。

日商簿記2級合格までの勉強時間を短くするポイント

日商簿記2級に合格するために必要な勉強時間は、150~350時間程度。勉強方法や受験する方の条件によって差はありますが、いずれにせよある程度まとまった時間が必要になります。

例えば社会人の方が、仕事のある平日1日にどのくらい勉強時間を確保できるかを考えると、恐らく1時間程度、確保できて2時間といったところかと思います。平日1時間、週末など休日に1日5時間勉強したとしても、250時間の勉強時間を確保するには4~5ヶ月程度の期間が必要になります。

この勉強時間を短くするために、できることをいくつか紹介していきましょう。

効率的な勉強方法を見つける

勉強時間を短くするといっても、試験範囲を狭めることはできません。同じだけの勉強量をより短い勉強時間でこなすためには、より効率よく学ぶ勉強方法を見つける必要があります。

単純に言ってしまえば質の良い勉強時間を確保するのが重要ということになります。独学という勉強方法の場合は、この質の高い勉強方法や、効率的な勉強方法というのを見つけるのが難しいということになります。

効率的な勉強方法を実現するためには、まずは日商簿記2級試験の全体像を把握する必要があります。日商簿記2級試験の試験範囲の中で、より重視されるポイントはどこなのか?どういった順序で勉強していくと効率的なのか?などを知る必要があります。

資格試験の勉強に慣れている方であれば、ある程度テキストを読めば、効率的に学べる勉強方法を見抜くこともできるかもしれませんが、初学者の方には難しいかもしれません。

アウトプットを意識的に増やす

新たな分野を勉強し、新しい知識を身に付けようと考えた場合、多くの方はインプットという勉強方法を重視しがちです。

しかし日商簿記2級の試験は、知識を身に付けるだけではなく、その知識を実務で活かせるようにならないと合格できません。単に暗記しただけでは応用力が身につかず、試験に合格するのが難しくなります。

新たな知識を応用できるレベルまでしっかりと身に付けるには、その知識をしっかりと理解した上で身に付けていく必要があります。そのために重要になるのがアウトプットという勉強方法です。

ひとつの項目をインプットしたら、その項目に関する演習問題に挑戦するなどして、意識的にアウトプットする機会を設けながら勉強を進めていきましょう。

独学にこだわらない

最初の部分で、効率的な勉強方法を見つけるのは難しいと書きましたが、これは独学という勉強方法の話。より短時間の勉強時間で合格を目指すのであれば、独学にこだわるのはおすすめできません。

日商簿記2級を目指す勉強方法には、独学以外にも予備校に通学する、通信講座を受講するという勉強方法があります。もちろんこうした勉強方法には受講費用が必要にはなりますが、その分効率的な勉強ができるようになるのは間違いありません。

予備校や通信講座には、日商簿記2級試験の専門家である専門講師や、スタッフがいます。こうした講師やスタッフが、日商簿記2級の試験を常にチェックし、どのような分野を、どのような順番で、どのくらいの強度で勉強するのがベストか。これを考えてテキストを作り、さらにテキストに沿った勉強カリキュラムを考えています。

受験者自身が独学で勉強スケジュールを考える以上に、より効率的に学べるように考えているのが通信講座や予備校です。当然勉強時間も短くなるでしょう。

では、通信講座と予備校のどちらがおすすめかということになりますが、この記事では通信講座をおすすめしたいと思います。

予備校は専門講師の授業をライブで受けることができるという大きなメリットがあります。また、予備校の教室に通うことで、勉強するしかない環境ができるというのもメリットでしょう。ただし、デメリットが大きいのがあまりおすすめできないポイントです。

予備校に通学するデメリットは費用の面と時間の面、さらに立地の面です。費用面では、通信講座と比較すると受講料が高額になるというデメリットがあります。

時間の面とは、予備校に通うための通学時間です。予備校まで片道30分であれば、1度予備校に通うだけで1時間の移動時間が発生します。序盤にも触れたように、社会人の方が仕事をしながら勉強をする場合、勉強時間の確保が問題となります。その貴重な勉強時間の一部を、通学時間という単なる移動時間で消費してしまうのが大きなデメリットとなります。

さらに立地の面では、予備校は全国どこにでもあるわけではありません。基本的には人口の多い都市部に集中しており、通える範囲に予備校がないという方も多いかと思います。予備校の中には全国各地にサテライト教室を設置し、そこで都心部で行われている授業を映像で受講できるという方法を採り入れているケースもあります。ただし、映像で授業を受けるのであれば、それは通信講座と同じということになり、予備校に通学するメリットはないという事になりかねません。

通信講座には、予備校通学でデメリットとなった部分がありません。基本的には自宅で受講する形になりますので、通学時間は不要ですし、日本全国どこに住んでいても、同じハイレベルな授業を受講することができます。また受講料は予備校よりも安いケースが多く、受講しやすいというメリットもあります。

日商簿記2級は人気の高い資格です。そのため多くの通信講座がありますが、合格実績の高い、信頼できる通信講座を見つけましょう。

日商簿記2級合格への効果的な勉強方法

日商簿記2級試験に合格するためには一定の勉強時間が必要です。また、勉強をより質の高いもの、効率的なものにすることで、より短期間での合格を目指せるようになるでしょう。

そのためには意識しておきたい勉強方法があります。これは独学でも予備校通学でも通信講座を受講する場合でも共通して意識したい勉強方法となりますので、自身の勉強プランに組み込んで対策を行うようにしましょう。

テキストを繰り返し読み込む

日商簿記2級試験では、商業簿記と工業簿記の分野から出題が行われます。出題範囲は広く、まずは試験の全体像をつかむためにも、テキストを繰り返し読むという勉強方法が重要になります。

テキストを繰り返し読み込むことで、頻出する項目や重要なポイントが分かるようになります。こうした重要ポイントは、試験本番でも得点を落としたくないポイントとなりますので、重点的に学ぶようにしましょう。

また、特に勉強を始めた序盤には、テキストを読んでいても分かりにくいポイントが出てくるかと思います。こうした分かりにくいポイントには付箋などでマークをつけておき、後にしっかりと理解できるように勉強しましょう。一読して分かりにくい部分は、勉強する方にとっての弱点ポイントである可能性が高いポイント。自身の弱点を把握するきっかけとなるでしょう。

過去問対策に時間を割く

多くの資格試験で重要な勉強方法となるのが過去問対策です。過去問はその試験の特徴が全て表れており、どのようなポイントを問題にするのかというのが分かる教材となります。これは日商簿記2級試験も同じです。

日商簿記2級試験を目指すのであれば、過去問対策はしっかり行いましょう。過去問に挑戦することで知識のアウトプットにも繋がりますので、より知識が身につきやすくなります。

過去問対策を行う場合のポイントは2つ。古すぎる過去問を利用しないことと、解答を暗記するだけで終わらないことです。

日商簿記2級試験は、出題範囲などに大きな変更こそないものの、その時に合わせた問題が出題されるようになっています。つまり、古すぎる過去問では、今現在の日商簿記2級試験の出題傾向と同じにはならない可能性があるわけです。

利用する過去問は直近3年程度を目安にしましょう。日商簿記2級の試験は年3度実施されていますので、それでも9回分の過去問が手に入ります。

解答を暗記するだけで終わらないというのは、過去問対策という勉強方法でもっとも重要なポイントです。勉強で使用しているのはあくまでも過去問であり、試験本番で同じ問題が出題されることはまずありません。

そのため過去問を繰り返し解く中で、単純に解答を暗記してしまうというケースもあります。しかし、重要なのは解答ではなく、なぜその解答になるのかという理屈です。単純に解答を覚えるのではなく、なぜその解答に辿り着くのか。この点に注目して過去問対策を進めていきましょう。

満点主義ではなく合格点主義で勉強する

日商簿記2級の試験は、満点をとらずとも、合格点に到達していれば合格できる試験です。合否の判定は絶対評価で行われますので、ほかの受験生には関係なく、自分自身が合格基準点をクリアしていれば合格となります。

目標とすべきは合格基準点とハッキリしていますので、合格基準点を確実に取れるというレベルを目標に勉強しましょう。

通信講座の中にもこの合格点主義で考えている講座があります。合格基準点を確実にクリアできるための勉強カリキュラムとなっていますので、無駄な勉強を省き、最短で合格が目指せる勉強方法となっています。

日商簿記2級の勉強に関する準備をしっかり行おう

日商簿記2級合格を目指すには、単に勉強を進めるのではなく、勉強を始める前からしっかりとした準備が必要になります。

この準備をしっかり行えるかどうかで、勉強時間も短くなりますし、勉強方法の選択も大きく変わってきます。特に独学で日商簿記2級試験に挑む方は、ここで紹介する準備を意識して、より短い勉強時間で合格できるようにしましょう。

勉強スケジュールを立てて実行する

日商簿記2級取得を目指す場合、ある程度の期間勉強を続けることになります。その勉強に関しては、自分でしっかりスケジュールを組んで実行していくようにしましょう。

試験勉強のスケジュールを立てる場合、まずはゴール地点を決定します。日商簿記2級試験の場合、受験する日がゴール地点です。このゴール地点から逆算してスケジュールを立てることになりますが、まずは大きなスケジュールから立てましょう。

まずは毎月のスケジュールを立てます。そのスケジュールを参考に今度は週ごとのスケジュールを作成します。そして最終的に毎日のスケジュールを決めることで、細かなスケジュールもしっかり立てることができます。

勉強スケジュールは立てることが目標ではなく、立てたスケジュール通りに実行するのが目標です。毎日のスケジュール通り勉強が進められれば、毎日小さいながらも達成感を感じながら進められますので、モチベーション管理にも役立ちます。

そのためにも勉強スケジュールは無理のない範囲で立てるようにしましょう。

試験の出題傾向をつかむ

過去問対策やテキスト全体を通して読むなど、いろいろな方法で試験の全体像をイメージすることができるかと思います。この全体像というのが非常に重要になります。

試験の全体像が見えれば、重点的に学ぶ項目も分かりますし、勉強の優先順位も見えてくるでしょう。

勉強のスタートには必ずテキスト全体を通して読み、全体像をイメージできるようにしましょう。勉強スケジュールを立てるのはそのあとでも問題ないでしょう。

自分の苦手分野を把握する

日商簿記2級の試験では、商業簿記と工業簿記の問題が出題されます。ある程度の試験範囲があるテストですので、勉強を続ける中で、自身の得意分野と不得意分野をしっかりと把握しておきましょう。

日商簿記2級試験には足切り点はありません。例え苦手分野があっても、ほかの分野で合格点を取ることができれば合格することはできます。

とはいえ、苦手分野を放置しておいていいというわけではありません。苦手分野をしっかり把握し、最低限取りこぼさないレベルには引き上げておきましょう。苦手分野を得意分野にまで高める必要はありません。苦手とはいえある程度得点ができるというレベルを目標に勉強をしていきましょう。

工業簿記をしっかり勉強する

日商簿記2級試験においてポイントとなる科目は工業簿記です。日商簿記3級では商業簿記の問題しか出題されないため、工業簿記が出題されるのは2級以上ということになります。

日商簿記2級を受験する多くの方がこの工業簿記に関しては、知識がない状態からのスタートとなりますので、この工業簿記でどれだけ得点できるかが合否に直接かかわってきます。

日商簿記2級試験における工業簿記の配点は40点。全体の4割となります。この工業簿記でどれだけ取りこぼしをせずに得点をできるかが日商簿記2級試験では重要になりますので、工業簿記の勉強時間は多めに確保し、取りこぼさないように準備しましょう。

まとめ

日商簿記2級合格に必要な勉強時間は150~350時間ほど。受験する方の持っている知識や実務経験、また勉強方法によって差が出てくるかと思います。

この勉強時間をより短くするには、勉強の質を高め、より効率的に学ぶのが重要。独学という勉強方法では対応が難しくなりますので、より短期間での合格を目指す方は、通信講座の受講など、勉強方法を工夫しましょう。

勉強をするポイントは、試験の全体像を把握し、自身の弱点を知ることがポイント。過去問対策などをしっかり行い、対策していきましょう。

もっとも手軽に勉強を効率化するのであれば、通信講座の受講がおすすめです。合格実績の高い通信講座を利用して、効率的な勉強方法を手にしましょう。

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