簿記について

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簿記2・3級の受験者を悩ませる「損益勘定」とは? 

簿記2・3級の受験者を悩ませる「損益勘定」とは?

簿記を勉強中に、度々出てくる「損益勘定」と「振替」という言葉。

「そもそも損益勘定というのがいまいちわからない」「振替って簡単にいえばどういう意味?」と悩んだ方も多いのではないでしょうか。

そこでこのページでは、簿記初心者を悩ませる「損益勘定」と「振替」について、日商簿記2級の学習範囲に当たる「総勘定元帳(帳簿)の締め切り手順」、3級の「資本振替手続」についてまとめました。

簿記初心者を悩ませる「損益勘定」とは?

まず「損益勘定」とは、決算の際に純損益を確定するための勘定科目です。

例えば、会社では「給料の支払い」「経費の支払い」「備品の購入」など、さまざまな取引が行われています。
これらを「補助簿」、次に「総勘定元帳」に記入し、1年間のお金の動きを集計したものが「貸借対照表」と「損益計算書」です。

この「総勘定元帳」を締め切る場合、「備品」や「給料」などは次期に繰り越すことができません。
そのため、収益や費用は「損益勘定」に集め、そこで出た利益を「資本金にプラスする」ことが損益勘定の役目です。

簿記における「振替」がわからない

簿記の勉強をしていると、「振替」という言葉はいろいろな場面で出てきます。
この「振替」とは、金額をある勘定科目から、別の勘定科目に移動させることをいいます。

例えば、社員がお店で雑誌を1,000円で購入しました。
その場合の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
図書費 1,000 現金 1,000

それから改めて正しい仕訳をします。

借方 貸方
食費 1,000 現金 1,000……(2)

ただ、これでは仕訳に時間がかかり、作業も面倒です。

そこで(1)(2)の仕訳をひとまとめにしましょう。

借方 貸方
食費 1,000 図書費 1,000

この作業を「図書費1,000円を食費1,000円に振替える」といいます。

簿記の学習では、「損益振替」「振替仕訳」「再振替仕訳」「残高振替手続」「資本振替手続」「損益振替手続」「振替伝票」など、さまざまな場面で出てきますが、どの取引においても基本的に「振替」自体の意味は変わりません。

簿記2級、総勘定元帳(帳簿)の締め切り手順をわかりやすく解説

決算後、次期のために「総勘定元帳(帳簿)」の各勘定科目を整理することを「帳簿の締め切り」といいます。

流れとしては次のようになります。

  • 1.収益・費用の各勘定残高を「損益勘定」に振り替える

  • 2.当期純利益(または当期純損失)を「繰越利益剰余金勘定」に振替える

  • 3.各勘定を締め切る

  • 4.繰越試算表を作成する。

1.収益・費用の各勘定残高を「損益勘定」に振り替える

まず、収益、費用は次期に繰り越すことができないので、「損益勘定」に振替えます。
このとき、各勘定の残高がゼロになるように、「収益の勘定残高」を損益勘定の貸方へ、「費用の勘定残高」を損益勘定の借方へ振替えます。

売上
5,000
仕入
3,000

収益の損益勘定への振替えは次のようになります。
一見すると「売上」は収益なので貸方にきてもよさそうですが、この仕訳は「収益の金額を損益勘定の貸方へ振替えた」ことを表しています。

借方 貸方
売上 5,000 損益 5,000

費用の損益勘定への振替えは以下のようになります。

借方 貸方
損益 3,000 仕入 3,000

これらの結果にもとづき、損益勘定は以下のようになります。

損益
3/31(仕入勘定より) 3,000 3/31(売上勘定より)売上 5,000

2.当期純利益(または当期純損失)を「繰越利益剰余金勘定」に振替える

損益
3/31 仕入 3,000 3/31 売上 5,000
繰越利益剰余金
利益準備金 100
未払配当金 800
4/1 前期繰越 1,100

当期純利益(または当期純損失)は、収益と費用の差額から求めることができます。
具体的には、差額が右の方が多い「貸方残高」であれば利益が出たことになり、左の方が多い「借方残高」であれば損失が出たことになります。
今回のケースでは、2,000円の「貸方残」なので、当期純利益2,000円となります。

当期純利益は「会社の元手(純資産)の増加」になるので、「繰越利益剰余金勘定」の貸方に振替えます。

借方 貸方
損益 2,000 繰越利益剰余金 2,000

勘定記入は……

損益
3/31 仕入 3,000
〃 繰越利益剰余金 2,000
3/31 売上 5,000
繰越利益剰余金
利益準備金 100
未払配当金 800
4/1 前期繰越 1,100
3/31 損益 2,000

注意:なお、当期純損失の場合は「繰越利益剰余金勘定」の貸方に振替えます。

例えば、損益勘定の仕入れが6,000円(当期純損失が1,000円)の場合は……

損益
3/31 仕入 6,000 3/31 売上 5,000
〃 繰越利益剰余金 1,000
繰越利益剰余金
利益準備金 100
未払配当金 800
損益 1,000
4/1 前期繰越 1,100

となります。

3.各勘定を締め切る

仕入
3,000 3/31 損益 3,000
売上
3/31 損益 5,000 5,000
損益
3/31 仕入 3,000
〃 繰越利益剰余金 2,000
3/31 売上 5,000
現金
100
買掛金
150
繰越利益剰余金
利益準備金 100 4/1 前期繰越 1,100
未払配当金 800 3/31 損益 2,000

・収益・費用の各勘定科目の締め切り

収益・費用・資産・負債・純資産の各勘定を締め切ります。

損益振替後の各勘定の「借方合計」と「貸方合計」が一致していることを確認したうえで、二重線を引いて締め切ります。

売上
3/31 損益 5,000
5,000
5,000
5,000
仕入
3,000
3,000
3/31 損益 3,000
3,000
損益
3/31 仕入 3,000
〃 繰越利益余剰金 2,000
5,000
3/31 売上 5,000

5,000

・資産・負債・純資産の各勘定科目の締め切り

資産、負債、純資産のなかで、期末時点で残っているものは次期に繰り越します。
借方または貸方に「次期繰越」と記入して締めましょう。
そして締め切ったあと、「次期繰越」と記入した逆側に「前期繰越」と金額を記入します。

現金
100
100
4/1 前期繰越 100
3/31 次期繰越 100
100
買掛金
3/31 次期繰越 150
150
150
150
4/1 前期繰越 150
繰越利益剰余金
利益準備金 100
未払配当金 800
3/31 次期繰越 2,200
3,100
4/1 前期繰越 1,100
3/31 損益 2,000

3,100
4/1 前期繰越 2,200

4.繰越試算表を作成する。

現金
100
100
4/1 前期繰越 100
3/31 次期繰越 100
100
買掛金
3/31 次期繰越 150
150
150
150
4/1 前期繰越 150
繰越利益剰余金
利益準備金 100
未払配当金 800
3/31 次期繰越 2,200
3,100
4/1 前期繰越 1,100
3/31 損益 2,000

3,100
4/1 前期繰越 2,200

資産・負債・純資産は、次期に繰り越します。そこで、次期に繰り越した金額が正しいかどうかを「繰越試算表」を作成し確認します。

繰越試算表

借方 勘定科目 貸方
100 現金
・・・・ 売掛金
・・・・ 繰越商品
買掛金 150
借入金 ・・・・
資本金 ・・・・
繰越利益剰余金 2,200
・・・・ ・・・・

決算整理仕訳と決算振替仕訳の違いを教えて!?

「決算整理仕訳」と「決算振替仕訳」は似ているようで異なります。
「決算整理仕訳」は、決算整理のために行う仕訳のことを指し、当期の「収益」「費用」を確定するとともに、次期へ繰り越す「資産」と「負債」を確定します。

一方、「決算振替仕訳」は、確定した費用と収益を損益勘定に振替えるための仕訳です。

簿記3級、損益勘定で計算した当期純利益を、資本金勘定へ振替える(資本振替手続)

日商簿記3級では、損益勘定で計算された「当期純利益(当期純損益)」を資本金勘定に振替える方法を学習します。

損益
12/31 費用 600 12/31 売上 1,000

「損益」の残高を「資本金」に振替えて、「損益」を締め切る手続きです。

  • 1. 「損益」の残高を「資本金」に振替えます。このとき、利益が生じている場合は「損益」の借方に記入し一旦取消。そして、「資本金」の貸方に記入し復活させます。
  • 2.「損益」を締め切ります。複数記入されている場合は、合計額を記入したうえで、二重線を引いて締め切ります。
損益
12/31 費用 600
12/31 資本金 400
1,000
12/31売上 1,000

1,000
資本金
1/1 前期繰越 5,000
12/31 損益 400
借方 貸方
損益 400 資本金 400

まとめ

今回は、簿記初心者を悩ませる事項について紹介しましたが、損益勘定のポイントは、他の科目と違って「集計して残高をゼロにする」という性質です。

最初は、残高・損益のどちらに振り替えるのか判断ができず、戸惑う方も多いですが、これは練習あるのみです。
過去問を1問でも多く解き、パターンを覚えていきましょう。

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