簿記について

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高校生は簿記2級,3級の「全経・日商」どちらを受ける?

簿記2級・簿記3級、高校生は「全経・日商」どちらを受ける?

世間的に「全商簿記は『商業高校の生徒』、日商簿記は『社会人』が受ける試験」というイメージが定着していますが、それぞれの試験の特徴を把握し、全商簿記と日商簿記を平行して学習し、受験している高校生も少なくありません。
そこで、今回は全商簿記2級と日商簿記3級に着目し、「就職に本当に役立つ試験はどちらか?」を考えていきます。

簿記2級・簿記3級、今の高校生は「全商」と「日商」のどちらを受けている?

簿記検定には、日本商工会議所が主催する「日商簿記」、全国商業高等学校協会が主催する「全商簿記」、全国経理学校協会が主催する「全経簿記」の3種類があります。そして、一般的に日商簿記は「社会人」、全商簿記は「商業高校の生徒」、全経簿記は「経理専門学校の生徒」が受ける傾向があります。

そのため高校生は、進路決定に役立つ資格として「全商簿記」を受験しています。ただ、全商簿記は「学生の資格」という印象が強いため、最近は企業からの評価が高い「日商簿記」を、並行して勉強し取得している学生もいます。

同じ2級・3級でも、全商簿記と日商簿記は難易度が違うって本当?

全商簿記は日商簿記の同級と比べると、比較的易しい内容です。難易度と試験範囲も異なり、目安として「全商1級=日商2級」「全商2級=日商3級」「全商3級=日商簿記初級」といわれています。

全商簿記と日商簿記の難易度・試験範囲の比較
全商簿記 日商簿記
1級
1級 2級
2級 3級
3級 簿記初級

日商簿記2級と全商簿記2級の合格率を教えて!?

参考までに、全商簿記2級と日商簿記2級の合格率を比べてみましょう。同じ簿記2級でも合格率に大きな差があることが分かります。

全商簿記2級の合格率
試験回(試験日) 受験者数 合格者数 合格率
80(2015.6.28) 15,340人 6,390人 41.7%
81(2016.1.24) 47,041人 28,545人 60.7%
82(2016.6.26) 15,501人 5,979人 38.6%
83(2017.1.22) 48,163人 30,107人 62.5%
84(2017.6.25) 15,734人 5,504人 35.0%
85(2018.1.28) 48,838人 34,255人 70.1%

出典:全国商業高等学校協会

日商簿記2級の合格率
試験回(試験日) 受験者数 合格者数 合格率
140 (2015.06.14) 47,480人 16,395人 34.5%
141 (2015.11.17) 59,801人 7,042人 11.8%
142(2016.2.28) 70,402人 10,421人 14.8%
143(2016.6.12) 44,364人 11,424人 25.8%
144(2016.11.20) 56,530人 7,588人 13.4%
145(2017.2.26) 60,238人 15,075人 25.0%
146(2017.6.11) 43,767人 20,790人 47.5%
147(2017.11.19) 47,917人 10,171人 21.2%
148(2018.2.25) 48,533人 14,384人 29.6%
149(2018.6.10) 38,352人 5,964人 15.6%
150(2018.11.18) 49,516人 7,276人 14.7%

出典:日本商工会議所

「全商簿記」2級合格者は、「日商簿記」3級に合格できる?

近年、日商簿記検定は大規模な試験範囲の改定を行い、より「実務を意識した試験」へと生まれ変わりました。その結果、学校で教わった簿記知識を確認する「全商簿記」に対して、「日商簿記」は会計実務を織り込んだ実践的な試験という印象が強まり、難易度にも差が広がっています。

全商2級合格者が、日商3級で不合格になることも……

全商簿記と日商簿記では、難易度と出題範囲が異なります。また、日商簿記の試験改定により、これまで1級の出題範囲だった論点が、2級の試験範囲になるなど、「全商1級=日商2級」「全商2級=日商3級」「全商3級=日商初級」と、明確に言い切れない部分も出てきました。

実際、全商2級合格者が日商3級を受験し不合格になるというケースもあります。全商簿記を学んだ方が日商簿記を受験するときは、日商簿記の教材で違いをしっかりと把握しておくことが大切です。

全商簿記1級・2級・3級ではこんな問題が出ます

全商簿記検定では以下のような問題が出題されます。同じ「第1問」を見比べると、各級の違いがわかります。なお、著作権の関係で問題の一部を変更しています。

全商簿記1級

問1

下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目は、次のなかからもっとも適当なものを使用すること。

現金 / 当座預金 / 受取手形 / 不渡手形 / 売掛金 / 売買目的有価証券 / 繰越商品 / 備品備品減価償却累計額 / のれん / 満期保有目的債権 / 子会社株式支払手形 / 買掛金 / 未払配当金 / 保証債務社債 / 資本金 / 資本準備金 / その他資本剰余金自己株式 / 売上 / 社債償還益 / 保証債務取崩益固定資産売却益 / 支払利息 / 社債利息 / 社債償還損保証債務費用 / 固定資産売却損 / 子会社株式評価損

(a)石川商事株式会社は、自社の発行済株式のうち100株を1株につき¥40,000で取得し、代金は小切手を振り出して支払った。

(b)富山商事株式会社は、株式総会において資本金¥5,500,000を減少して、その他資本余剰金を同額増加させたうえで、余剰金500,000の配当を行うことを決議した。なお、配当額の10分の1を資本準備金に計上した。 

全商簿記2級

問1

下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目は、次のなかからもっとも適当なものを使用すること。

現金 / 当座預金 / 受取手形 / 売掛金未収金 仮払法人税等 / 備品 / 備品減価償却累計額支払手形 / 買掛金 / 未払法人税等 保証債務社債 / 資本金 / 資本準備金 / 繰越利益剰余金売上 / 固定資産売却益 / 仕入 / 租税公課株式交付費 / 支店 / 本店 / 試用販売契約試用仮売上 / 損益

(a)山中商店は、決算の結果、当期純損失¥520,000を計上した。

(b)東京物産株式会社は、取得単価¥4,000,000の備品を¥1,360,000で売却し、代金は月末に受け取ることにした。なお、この備品に対する減価償却累計額は¥2,500,000であり、これまでの減価償却高は間接法で記帳している。

全商簿記3級

問1

下記の取引の仕訳を示しなさい。ただし、勘定科目は、次のなかからもっとも適当なものを使用すること。

現金 / 当座預金 / 普通預金 / 受取手形売掛金 / 有価証券 / 仮払金 / 仮払消費税建物 / 買掛金 / 商品券 / 引出金売上 / 固定資産売却益 / 仕入 / 旅費手形売却損 / 固定資産売却損

(a)商品券¥50,000を発行し、代金は現金で受け取った。

(b)事業主が私用のため、店の現金¥10,000を引き出した。

(c)埼玉支店から商品¥432,000(消費税¥32,000を含む)を仕入れ、代金は掛けとした。ただし、消費税の処理方法は税抜き方式により、仮払消費税勘定を用いている。

就職に生かしたい方は「日商簿記2級」を

もしあなたが普通科高校の学生の方で、簿記検定の受験を検討しているのであれば、就職活動で評価の高い「日商簿記2級」を目指しましょう。また、商業科高校の学生の方も、全商簿記と並行して、日商簿記を学習していくことをおすすめします。

このように記述しますと「全商簿記が就職に役立たない資格なの?」と不安になってしまいますが、決してそうではありません。例えば「全商1級」と「日商2級」に合格し、履歴書の資格欄にこの2つの資格を記入したとします。

面接ではその理由として、「実務に生かしたいので、日商簿記も取得しました」と、仕事に対する真摯な意気込みとしてアピールすることができます。資格は資格そのものを前面に出すのではなく、自身の魅力や仕事に対する意気込みとして昇華し、売り込むことが大切です。

まとめ

今回は高校生が取得する簿記検定に注目し、全商簿記2級と日商簿記3級の「難易度の違い」「全経・日商の合格率」「企業の評価の違い」、「就職に本当に役立つ試験はどちらか?」についてお話しました。

全商簿記と日商簿記のうち、将来の就職に役立つ試験は「日商簿記」ですが、「全商簿記」の資格は「商業高校でしっかりと学んだ」という証になります。「全商簿記」と「日商簿記」は学習範囲が重なる部分も多いので、並行して学習し就職活動を有利に進めていきましょう。

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