トヨタ生産方式とは?

トヨタ生産方式とは?

トヨタ生産方式は、ムダを極力排除することに注力しており、リーン(脂身のない肉)生産方式と呼ばれることもあります。この生産方式はジャスト・イン・タイム(JIT)と自働化という2つの基本思想を持ちます。

目次

ジャスト・イン・タイム

ジャスト・イン・タイムはプル・システム(後工程引き取り方式)と呼ばれる生産管理方式で、トヨタ生産方式の代表的な手法です。

プル・システムは、JISでは「後工程から引き取られた量を補充するためにだけ、生産活動を行う管理方式」と定義されています。後工程が生産を終え、次に「必要とする時に」「必要な部材を」「必要な分だけ」要求することから、トヨタではジャスト・イン・タイムと名付けられました。

なお、プル・システムの対になるのがプッシュ・システムです。プッシュ・システムは、生産計画に従って、前工程で生産した部材を後工程に渡していくもので、押し出し方式ともいわれます。

プル・システムとプッシュ・システムでは、どちらも計画どおりに生産が行われている時は良いですが、ある工程で問題が発生した場合、プッシュ・システムでは前工程がそれに構わず生産を続け、仕掛品が滞留してしまう可能性があります。そのためプル・システムの方が、より生産の変動に対応しやすいといえます。

もちろん、プル・システムもデメリットが無いわけではありません。余分に部品を調達しないため、部品の不足により生産ラインが止まることや、また管理を徹底し部品不足を防いだとしても、天災など不測の事態で生産が止まることもあります。

かんばん

ジャスト・イン・タイムでは、後工程から前工程に指示を出すときに、「かんばん」を使います。「かんばん」は生産指示するための「生産指示(仕掛け)かんばん」と運搬指示するための「引取かんばん」の2種類があります。

例えば、後工程の生産(加工)が進み、部材が必要になると、必要になった部材の種類・数などを「生産指示かんばん」に示し、前工程に送ります。

平準化生産

平準化生産は、JISでは「需要の変動に対して、生産を適応させるために、最終組立工程の生産品種と生産量を平準化した生産方式」と定義されています。ジャスト・イン・タイムの実現には、最終工程の生産品種と生産量を平準化することが必要です。そのため段取り改善による小ロット対応を図るなどを行います。また、作業員の多能工化も欠かせない要件となります。

自働化

自働化とは、作業工程に異常(不良)が発生した場合、自動的に機械が止まるような仕組みをいいます。ラインが止まると、すぐに従業員や管理者は異常を感知し、対応を行うことができます。そのため、不良品の増産を防ぐことができます。なお、自動化ではなく、自働化(にんべんのつきの働)と書きます。

あんどん

作業者の自働化を図る方法として「あんどん」があります。あんどんとは、異常に気付いた従業員がスイッチを押すことにより、点灯するランプのことです。

自働化の考えは、機械を使わないラインでも用いられます。作業者が何らかの異常(不良)に気づいた場合、すぐに流れ作業全体を止め、全員で原因を徹底究明します。このとき用いられるのが「あんどん」です。「あんどん」を見た作業者全員は一斉に作業を止め、異常の原因究明に入ります。「あんどん」は視覚でもって問題を顕在化するため「目で見る管理」と言われます。

過去問題

トヨタ生産方式については、過去このような形で出題されています。

平成30年 第1次試験 運営管理 第11問
トヨタ生産方式の特徴を表す用語として、最も適切なものの組み合わせを下記の解答群から選べ。

a MRP
b かんばん方式
c セル生産方式
d 製番管理方式
e あんどん方式

〔解答群〕
ア aとc
イ aとd
ウ bとc
エ bとe
オ dとe

正解:エ

まとめ

ジャスト・イン・タイムと自働化を中心にトヨタ生産方式について見てきました。さらに詳細に知るために専門の書籍などで知識を深めて頂くこともできますが、試験対策として、まずはここで解説したキーワードを押さえておいて下さい。

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