「バリューチェーン分析」とは?詳しく解説!

バリューチェーン分析

「バリューチェーン分析」という言葉をご存知でしょうか。事業戦略などを立てる際、非常に役に立つ分析です。

企業が事業において大切にしていることのひとつに顧客満足度があります。自社の製品やサービス内容に付加価値をつけ、顧客に対して競合他社にはない「強み」を提供し、顧客満足度を上げることは今後の企業活動を大きく左右します。

その強みを見出していくための基本的な分析手法が「バリューチェーン分析」です。今回はこの「バリューチェーン分析」について詳しく見ていきましょう。

目次

「バリューチェーン分析」とは?

「バリューチェーン分析」とは自社の価値がどのように提供されているのか自社と競合他社を比較する分析方法です。

「バリューチェーン分析」は事業活動を機能ごとに分解して進めていきます。そうすることで、具体的にどの過程で大きな価値が生み出されているのか、また競合他社よりも優れている点、劣っている点はどこなのかを分析することができます。

その結果、競合他社と差別化を図り、低コスト化を実現することで高い収益性を確保することが可能になります。さらに、その分析結果を基にして事業戦略や改善策を考えていきます。

では、バリューチェーンとは一体何でしょう?

商品やサービスは企業から顧客の手元に届く過程で様々な価値(Value)が付加されます。顧客に価値が届くまでの企業活動のプロセスを分解し、チェーンのようにつなげて整理したものを「バリューチェーン」と言います。

バリューチェーンという言葉は元々、アメリカの経営学者であるマイケル・ポーター氏が自身の著書「競争優位の戦略」の中で使用したことが始まりです。日本語では「価値連鎖」という言葉で表現されることもあります。

「バリューチェーン分析」は試験にも実務にも登場!

「バリューチェーン分析」は中小企業診断士試験の一次試験「企業経営理論」に登場します。用語の意味や分析の仕方をしっかり理解しておきましょう。

また経営診断の際にも「バリューチェーン分析」は活躍します。自社の強みや弱みを把握するのに適した分析方法なので、経営改善や経営革新のときにも役立ちます。自社の現状を冷静に見つめることのできる分析方法です。

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「バリューチェーン分析」の考え方

「バリューチェーン分析」では事業を「主活動」と「支援活動」に分けます。

「主活動」は製品やサービスを提供することに直接関わる活動のことで、具体的には購買物流、製造、出荷物流、販売、マーケティングなどが挙げられます。

「支援活動」は製品やサービスを提供することに直接かかわらない活動のことで、具体的には全般管理、人事、労務管理、技術開発、調達活動などが挙げられます。

これらの活動が互いに連鎖し合い、価値や強みを生み出すのです。このような価値連鎖の中の一部分だけが差別化や低コストを実現してもあまり効果はありません。事業全体の活動が相互に連結されてはじめてその価値が顧客まで届けられます。

だからこそ事業の活動ごとに細かく分解、分析していくことが必要なのです。

「バリューチェーン分析」で出来ること

「バリューチェーン分析」ではどんなことが出来るのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

①自社の強み・弱みを把握できる

自社の強みを客観的に理解することで、強みを生かした戦略を立てることが容易になります。また、それと同時に競合他社と比べて弱い面も理解し、それをカバーできるような戦略を打ち出すことも課題のひとつです。

自社の強み、弱みを冷静に把握できるのが「バリューチェーン分析」のメリットです。

②競合他社との差別化を図る

消費者のニーズや市場の変化に対応した戦略を打ち出すには、ある程度、競合他社の動きを予測し、それに対応しなければなりません。相手の動きを予測し先手、先手で戦略を打ち出すことが競合他社と差別化を図る第一歩です。

③コスト削減ができる

事業活動を分解し、全ての資源が有効に使われているか確認することで、コスト削減が可能になります。

経営資源は主にヒト、モノ、カネの3つを指します。そこに情報または時間などを加えた4つで考えることもあります。企業活動に欠かせない要素をいかに無駄なく、有効に活用できるかが今後どの企業でも課題になってくることでしょう。

「バリューチェーン分析」を行うことでコストがかかっている部分を洗い出し、改善していくことが可能になるのです。

まとめ

企業間での競争が激化している現代では低価格という理由だけで競合他社に勝つことはできません。自社の強みを把握し、さらにそれを磨くことで価格以外の点で消費者を魅了していくことが必要不可欠です。

企業の「強み」を一緒に見つけ出したり、新しい経営戦略などを考えたり、経営者の理念や理想を具体化する手助けをすることはまさに中小企業診断士業の真髄です。

常に学ぶ姿勢を忘れず、いろいろな知識を吸収していきましょう。

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