賠償責任保険とは?|わかりやすくFP解説

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目次

賠償責任保険とは

偶発的な事故により他人を死傷させたり、他人の財物に損害を与え法律上の損害賠償責任を負った場合に、その損害額に対して支払われる保険です。

おもな賠償責任保険の種類として、個人賠償責任保険とその他の保険に分類することができます。

個人賠償責任保険とは

個人が、居住している住居の所有・使用・管理および日常生活で起きた偶然な事故により、他人の身体・生命・財物に損害を与えたために負った法律上の賠償責任をカバーする保険です。一契約で家族全員を対象とすることができます。

ただし、親族間の事故によるもの、業務中に起こした賠償事故、自動車による賠償事故、借り物、預かりものに対する賠償責任については免責となります。

家族の絵

施設所有(管理)者賠償責任保険とは

各種施設の所有・使用・管理、またはその施設における仕事の遂行によって生じた偶然な事故により、第三者の身体・生命を害したり、第三者の財物に損害を与えた場合に、被保険者が負担する法律上の賠償責任をカバーする保険です。

生産物賠償責任保険(PL保険)とは

被保険者が製造もしくは販売した財物が第三者に引き渡された後、または、仕事を行い、終了した後、その生産物(製造物)の欠陥や仕事の結果等により生じた偶然な事故により、第三者の身体・生命を害したり、第三者の財物に損害を与えた場合に被保険者が負担する法律上の賠償責任をカバーする保険です。

生産物賠償責任保険(PL保険)の具体例

店内で調理し販売した食品が原因で、食中毒が発生した場合

ゴルファー保険とは

ゴルフの練習、競技、指導中の偶然な事故による、賠償事故、傷害事故、用品損害、ホールインワン、アルバトスの記念品費用に対する保険です。

会社役員賠償責任保険(D&O保険)とは

会社の役員として行った業務に起因して、株主等から損害賠償請求がなされたことにより、役員が被る法律上の賠償責任や弁護士費用などを補償する保険です。D&O保険とも呼ばれています。

「D&O」とは「Directors and Officers」の略で、取締役や監査役といった会社役員を意味します。

請負業者賠償責任保険とは

工事等の請負業務遂行中に発生した偶然な事故、または請負作業遂行のために所有、使用もしくは管理している施設の欠陥、管理の不備により発生した偶然の事故に起因して、他人の生命や身体を害したり、他人の財物に損害を与えた場合に、被保険者が法律上の賠償責任を負った場合に被る損害を補償するための保険です。

請負業者賠償責任保険の具体例

  • クレーンが倒れ、駐車中の自動車を壊した場合
  • 資材置場の材木が倒れ、通行人がケガをした場合
  • ビル外装の塗装中にペンキ缶を落として通行人の衣類を汚した場合

受託者賠償責任保険とは

他人から預かった物(受託物)を、保管中に誤って破損や紛失、火災、盗難などの取り扱い上の不注意等により、その受託物を元通りに返せなくなった場合に負う法律上の賠償責任をカバーする保険です。

動産総合保険とは

受託者賠償責任保険までは、個人賠償責任保険でしたが、この動産総合保険からは賠償責任保険の中でもその他の保険に分類されます。

保険の対象となる動産についてすべての偶発的な事故に対して支払われる保険です。これをオールリスク担保方式といいます。免責規定で除外されていない限り、すべての事故が支払対象となります。

盗難保険とは

特定場所内に収容されている動産について、盗難によって発生した損害に対し支払われる保険です。

当該保険のおもな対象動産は、企業の商品、原材料、機械器具類などです。家財等の盗難に関しては住宅総合保険、店舗総合保険で担保されているため、対象外となります。

機械保険とは

機械・機械設備・装置などが、不測かつ突発的な事故によって損害を受けた場合に保険金が支払われます。ただし火災事故については補償されません。

機械保険の具体例

作業ミスや設計ミスによる事故の場合、補償されます。

信用・保証保険とは

契約上の債務者が契約通りにその債務を履行しなかったり、できなかったりした場合や、債務者の不法行為によって損害を被ったときに債権者に支払われる保険です。

  • 信用保険…債権者が自己の債権を保護する目的で利用する保険です。
  • 保証保険…債権者の求めに応じて、保証人や保証金に代えて締結する保険です。

デリバティブ保険とは

最近では、保険に代わるリスク・カバーの手段として用いられるケースも出てきている保険です。これは、あらかじめ利用者が一定の金額を支払うことにより、リスクが発生した場合に、所定の金額を受け取ることができる保険です。

所得補償保険とは

病気またはケガが原因で就業不能状態になった場合に、その期間の所得を補償してくれる保険です。就業不能であることが保険金支払いの条件となりますので、入院の有無は問わず、自宅療養期間も補償されます。

保険金額は月額収入の一定割合以下で設定し、一般的に勤労収入のある人以外は被保険者になることはできません。

債務返済支援保険とは

おもに住宅ローンを扱っている金融機関が住宅ローン契約者のために扱っており、団体長期障害所得補償保険の特約として、金融機関が住宅ローン債務者のローン返済支援を目的に締結する保険です。したがって、契約者は金融機関、被保険者および保険金受取人は住宅ローン債務者となります。

病気やケガによって入院または自宅療養等により就業不能となった場合に、一定の要件の下に住宅ローンの返済を保険金額でカバーする所得補償保険の一種です。

労働災害総合保険とは

政治労災保険等の上乗せとして位置づけられる保険で、従業員の労災事故発生に伴って被る法定外補償規定、使用者賠償責任を補償するものです。

店舗休業保険とは

事故によって営業が休止または阻害された場合の利益の減少等の場合の休業損失を補償するための保険です。

具体的な保険事故は、火災、落雷、破裂、爆発、風災、ひょう災、雪災、水災、物体の落下、飛来、衝突、盗難、隣接物件の事故、取引物件の事故、食中毒などです。

個人情報漏洩保険とは

個人情報が漏洩し、法律上の損害賠償責任が発生した場合、賠償金の支払い・謝罪広告掲載費用・お詫び状作成費用などの事故に対応するための費用を補償する保険です。

建設工事保険とは

住宅、ビル等の建設工事現場において、不測かつ突発的な事故によって、保険の対象に生じた損害を補償するものです。

不測かつ突発的な事故とは、火災・爆発・盗難・作業ミスによる損害等をいいます。

賠償責任保険に関するよくある質問

個人賠償責任保険では業務中の賠償事故は対象外というのはわかりましたが、業務中の事故(お店の店員がお店のものを壊したなど)の場合はどの保険が対応できるのでしょうか?

業務中の事故の場合、施設所有(管理)者賠償責任保険が適切となります。

店員個人が賠償をするということが一般的ではありませんので、通常は、雇い主が保険に入り、リスクに備えます。

例えば、ウエイトレスがお皿を割るなどの軽度なミスは、予め予想されるべき事態ですので、その損害を保障するためには、店員個人ではなく、雇い主側が保険に入ることが妥当となります。

明らかな職務怠慢による場合や、故意が認められる場合でない限り、店員個人に賠償させることは違法となる場合もあります。

施設所有者賠償責任保険と請負業者賠償責任保険の違いがよく分からないです。

【施設所有者賠償責任保険】

各種施設の所有・使用・管理、またはその施設における仕事の遂行によって生じた偶発的な事故により第三者の身体・生命を害したりした場合に賠償責任をカバーする保険

  • 店舗内で作業する従業員が、誤って客にケガをさせた場合
  • フィットネスクラブの従業員が、誤って利用会員にケガをさせた場合

【請負業者賠償責任保険】

工事等の請負業務遂行中に発生した偶然な事故により第三者の身体・生命を害したりした場合に賠償責任をカバーする保険

  • 建設業を営む企業が、従業員がマンション建設中に誤って工具を落とし通行人にケガをさせた場合
  • ビル工事中にクレーンが横転し車を壊した場合

二つの保険を簡潔に記すと、以上の通りになります。

上記文章の大きな違いは、仕事の遂行が、請負業務か否かという点です。施設所有者賠償責任保険の例に挙げた2つはどちらも自社内での事故です。

一方で、請負業者賠償責任保険は両方とも仕事を請け負った先で起こした事故です。

個人賠償責任保険では、預かり品に対する賠償責任は、補償されませんが、補償される保険は、受託者賠償責任保険になるのでしょうか?

受託者賠償責任保険は、法人や個人事業主のための保険ですから、預かり品が、事業上のことならば、受託者賠償責任保険で補償されます。

個人の場合で他人からの借り物を補償するものも一部発売されていますが、まだ主流ではありません。

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