ポートフォリオとは?|わかりやすくFP解説
更新日:2020年3月6日
ポートフォリオとは
もともと所有資産の明細書を挟むための「紙ばさみ」という意味だったものが転じて現在では資産の組み合わせを示す一般的な用語となっています。
ポートフォリオ運用の意義とは
ポートフォリオ運用の意義は、資産の組み合わせによるリスクの回避と運用の効率性を追求することにあります。
運用ポートフォリオの種類とは
運用ポートフォリオには以下の種類があります。
- 純資産ポートフォリオ
- マネーポートフォリオ
- 証券ポートフォリオ
不動産を含めたすべての資産のポートフォリオがこれに当たります。
不動産などを除いた金融資産だけの組み合わせのポートフォリオがこれに当たります。
金融資産の中でも有価証券だけの組み合わせのポートフォリオがこれに当たります。
マネーポートフォリオの必要性とは
個人の金融資産運用にあたっては換金性、安全性、収益性の3大特性が求められますが、1つの金融商品でこれらすべてに優れているものは存在しません。
そこで、性格の違う様々な金融商品をバランスよく組み合わせて運用すれば、金融資産全体として換金性、安全性、収益性のいずれもある一定以上のレベル確保が可能になります。
そのため、マネーポートフォリオの作成が必要となります。
期待収益率とは
投資(運用)による収益(リターン)は、収益率(投資額に対する収益の割合)で表され、将来のリターンを予想するときには、期待収益率を用います。
期待収益率とは、予想される平均的な収益率を意味するもので、加重平均の方法により、実現する可能性のあるすべての収益率に、それが発生する確率(生起確率)を乗じたものを合計することで求めます。
また、ポートフォリオの期待収益率は、ポートフォリオを構成する各資産の期待収益率を投資比率で加重平均(各資産の期待収益率に各資産の構成比を乗じて合計する)して求めます。
分散と標準偏差とは
リスクの尺度として用いられるのが分散と標準偏差です。期待収益率に対する散らばり(バラツキ)の大きさを数値化することで、不確実性(リスク)の程度を計算することができます。
分散…可能性のあるすべての収益率について、収益率の平均値(期待収益率)との差を2乗して、それに生起確率を掛けて足したものです。標準偏差…分散の平方根です。
リスク低減効果とは
リスクが異なる金融商品を同時に所有することで、リスクを平準化することができます。ある(経済)原因に対する値動きの方向が異なる金融商品を組み合わせた場合、大きな収益や大きな損失の機会を減少させると同時に、高い確率で分相応の期待収益を確保できるようになります。
つまり、ポートフォリオを組むことにより全体としての変動幅を縮小し、安定的な収益を目指すことが可能になり、これを「ポートフォリオ効果」と呼びます。
ポートフォリオの期待収益率は単純に組み入れ資産の期待収益率を加重平均して求めることができますが、標準偏差は組み入れ資産の標準偏差を加重平均しても求めることはできません。これがポートフォリオによるリスク低減効果となります。
相関関係とは
2つの金融商品について、それらの値動きの関係を表すのが、相関関係です。相関関係が-1に近づくほど、ポートフォリオ効果(ポートフォリオによるリスク低減効果)は大きくなります。
相関関係=1とは
2つの金融商品の値動きがまったく同じことを意味します。
相関関係=-1とは
2つの金融商品の値動きがまったく逆なことを意味します。
相関関係=0とは
2つの金融商品の値動きは無関係なことを意味します。
アセット・アロケーションとは
アセット・アロケーションとは、「資産配分」の意味で、ポートフォリオを作るための手法の1つです。
アセット・アロケーションにおいては、投資対象(=資産)を国内株式、国外株式、国内債券、外国債券といった資産クラス(アセットクラス)に分類し、各資産クラスの期待収益率や資産クラスの相関関係を考慮しながら、ポートフォリオ全体として目標とする収益率とリスクの度合いを満たすように、各資産クラスの配分(投資比率)を決定します。
資産運用においては、アセット・アロケーションの決定が運用効果を決める重要な要素の1つとされています。
シャープレシオとは
シャープレシオは、リスクとリターンの関係を示す数値です。単にリターンが大きい投資が望ましいというわけではありません。なぜなら、高いリターンを得るためには、かなりのリスクを負う必要があるからです。
そこで、リスクとリターンが見合っているかどうかを見る必要が生じます。
リスクはできるだけ小さく、リターンはできるだけ大きい方がいいわけですので、シャープレシオは大きい方が良いということになります。シャープレシオは、リスク(標準偏差)の異なるポートフォリオ間のパフォーマンス比較に用いることができます。
ポートフォリオに関するよくある質問
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ポートフォリオとアセットアロケーションについての質問です。
ポートフォリオ運用は、自動車会社、医薬品メーカーなどの個別銘柄に投資をすることで、アセットアロケーションとは、日本債券(日本の自動車会社など)や外国債券(外国の自動車会社など)、金などの資産クラスで運用するということであっていますか?
また、アセットアロケーションをもとに、ポートフォリオ運用をするということですか?
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ポートフォリオとアセットアロケーションについてお答えいたします。アセットアロケーションとは資産を振り分けることです。
例えば、1000万円の資金があったら、500万円は国内株式、300万円は海外株式、200万円は海外債券に分けるという感じです。ポートフォリオは、アセットアローケーションで分けられた資金で個別に何を買うかということです。
例えば、500万円の国内株式の中で、○○自動車会社に200万円、△不動産に200万円、□製薬会社に100万円。
200万円の海外債券では、米ドル債券に100万円分、豪ドル債券に100万円。海外株式も同様です。
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相関係数が1の場合の2つの組み合わせ資産の加重平均が1より大きくなるか? といった問題が理解できなくて困っています。
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相関係数は、確かに期待収益率を使って計算しますが相関係数と、期待収益率は別の話だとご理解ください。
相関係数は相関係数という数値で表され、1から-1までの範囲の数値で表されます。相関係数が「1」であれば、その証券同士は完全に同一方向に動くことを意味します。
つまり、証券Aが値上がりすれば、証券Bも値上がりする、証券Aが値下がりすれば証券Bも値下がりする、という具合です。
いっぽう、相関係数「-1」であれば、その証券同士はまったく逆に動くことを意味します。証券Aが値上がりすれば、証券Bは値下がりする証券Aが値下がりすれば、証券Bは値上がりする、という具合です。
相関係数「0」であれば、その証券同市の値動きに先のような関係性はまったくないことを意味します。証券Aが値上がりするときは証券Bは値上がりするときもあれば値下がりするときもある、という具合です。
ということは、相関係数が1の場合はポートフォリオ効果(分散投資によるリスク軽減効果)は得られず、相関係数が1未満になると、ポートフォリオ効果が得られるようになるということです。
試験対策としては、
相関係数=1 ⇒同じ動き
相関係数=-1 ⇒逆の動き
相関係数=0 ⇒無関係
と、覚えておけば十分だと思います。
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「標準偏差は組み入れ資産の標準偏差を加重平均しても求めることはできません。これがポートフォリオのリスク低減効果となります。」という内容が理解できませんので詳しくご教示お願いできないでしょうか?
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標準偏差とは、その資産のリスク(ブレ幅)です。ポートフォリオのリスクは、各組入資産のリスクの加重平均値になるわけではないということです。
リスクは、資産の組合わせによって、リスクが小さくなったり、逆に大きくなるものだからです。このことを示したものが、相関係数になります。
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天