大学生のうちに証券外務員を取るべき?就活・就職での位置づけと学業と両立する勉強法

金融業界を志望していると、就活の準備として「証券外務員」という資格名に行き着きます。ところが調べると「就活に有利」と「意味がない」が同じくらい並び、入社後に会社の指示で取るものだという話も出てきます。判断の材料になるのは、制度として何が決まっているかです。受験資格に年齢・学歴の要件は置かれておらず、学生でも受けられます。外務員として働くための登録は、所属する会社(協会員)を通じて行われます。合格して得た資格は、取消し等がない限り失われません。この記事では、就活・就職での位置づけを「制度から言えること」と「この記事では断定しないこと」に分けたうえで、資格が使える範囲、二種と一種の選び方、学習量を学期に置く方法、受験日の決め方まで順に整理します。
なお、本記事は「証券外務員の試験ガイド」の一部です。試験や資格の基本情報から確認したい方は、まずこちらのページをご覧ください。
大学生でも証券外務員試験は受けられる|在学中は「資格」まで
規則が置いている受験資格は2点だけ
証券外務員試験は、大学生でも受けられます。
日本証券業協会の「外務員等資格試験に関する規則」が受験資格として定めているのは、不都合行為者として取り扱われていないことと、不正受験などにより試験を受けられないこととされていないことの2点です。年齢・学歴・実務経験を求める条項は置かれていません。
協会も「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」と案内しています。一般受験の申込窓口であるプロメトリック株式会社の案内でも、年齢等の受験資格の制限は設けられていません。受験手数料は13,860円(税込)で、全国のテストセンターで受験します。
就職してから会社経由で受けるものではなく、学生が自分の判断で申し込める試験です。資格と試験の制度そのものは「証券外務員とは」にまとめてあります。
合格して得られるのは「資格」で、働くには登録が必要
ただし、合格したその日から外務員として働けるわけではありません。
協会は「外務員資格を持っているだけでは、外務員として活動することはできません。」と明示しています。外務員として金融商品の勧誘・販売の業務を行うには、所属する協会員を通じた外務員登録が必要で、在学中にこの登録は行われません。
手続きの漏れではなく、制度としてそうなっています。学生にとっての取得は「いま業務ができる状態になること」ではなく、「資格を持った状態で就職を迎えること」を意味します。

この区別をつけておくと、次の章で扱う就活での位置づけも、正確に見積もれます。
就活で有利になるのか|言えることと、この記事で断定しないこと
選考でどう評価されるかは、各社の判断
先に立場をはっきりさせておきます。この記事では「持っていれば選考で有利になる」とは書きません。
選考での評価は各社の判断で、公開された基準があるわけではありません。内定率や選考通過率のような数値も、裏付けのない形で並べては判断材料になりません。
検索すると「就活に有利」と「意味がない」が同時に出てきますが、どちらも同じ理由——採用の基準が公開されていない——で断定できない話です。断定を探すより、確認できる事実だけを並べたほうが判断は早く済みます。

制度から言えるのは「入社後に必要になるものを前倒しできる」こと
制度の側から言えるのは、金融商品の勧誘・販売を行う立場になるなら、外務員資格と登録がその前提になるということです。
前提であるということは、選考で加点される要素というより、業務を始めるために遅かれ早かれ通る関門だという意味になります。入社後に取得する場合、慣れない業務と学習が同じ時期に重なります。学生のうちに合格しておけば、この重なりを避けられます。
学習範囲も、入社後に扱う内容と重なります。二種の出題科目は3分野14科目で、金融商品取引法及び関係法令や協会定款・諸規則といったルール、株式業務・債券業務・投資信託といった商品、証券市場の基礎知識や財務諸表と企業分析までが含まれます。「業界を調べました」ではなく「業界のルールと商品を一度通しました」と言える状態になります。科目の内訳は証券外務員試験の出題科目と配点で確認できます。
収入や手当への影響をどう見るか
一方で、取得すれば毎月の収入が増えるという性質の資格ではありません。
金融商品の勧誘・販売に携わる人にとっては業務の前提なので、持っていることが加点になるより、無いことが制約になる側の資格です。資格手当の対象になっているかどうかは会社ごとの制度で、公開されているものでもありません。
収入の水準も、資格の有無ではなく業界・職種・所属先で決まります。この記事では年収の金額を扱いません。仕事の中身や収入の見方は証券外務員ナビで整理しています。
「取れば給与が上がる資格」ではなく「その仕事に就くための前提」として見ておくと、期待とのずれが起きません。資格そのものの価値をどう考えるかは証券外務員は「意味ない」と言われる理由で取り上げています。
就職で使える範囲は決まっている|協会員に所属して初めて登録される
登録は所属先を通じて行われる
証券外務員の資格が実際に使われるのは、日本証券業協会の協会員に所属してからです。
外務員登録は個人が単独で行うものではなく、所属する協会員を通じて行われます。協会員に所属していない段階では登録は行われず、外務員としての業務も発生しません。
就職先が金融商品の勧誘・販売を行う会社であれば、入社後にこの手続きが進みます。逆に、協会員以外の会社に就職した場合、登録は行われません。学習した内容が知識として残ることと、外務員として登録されることは別の話です。
つまり「就職に使えるか」は、志望先が協会員かどうかで決まります。ここが最初に確認する点です。

金融以外に進んでも、合格して得た資格は残る
では、金融に決め切れていない段階で取るのは無駄になるのか。制度の側からは「資格そのものは残る」と言えます。
協会は、法令違反等による資格の取消し等がない限り資格が取り消されることはなく、退職した場合や他の協会員へ転職した場合でも資格は有効だとしています。合格して得た資格が、時間の経過だけで失われることはありません。
5年ごとの外務員資格更新研修についても、協会員に所属していない方は受講対象者ではないと案内されています。協会員に所属していない間は、研修を受ける必要も生じません。「資格を持っているだけで5年ごとに研修が必要」というのは誤りです。
進路が確定していない段階で取っても、期限切れで消える資格ではありません。使えるのは協会員に所属してからですが、そのときまで資格は有効なままです。
登録と更新研修の手続きは証券外務員の資格登録と更新研修で扱います。
年収や仕事の内容はどこで確認するか
収入や働き方は、資格ではなく所属先と職種で決まります。
同じ証券外務員でも、証券会社・銀行・信用金庫・保険会社では扱う商品も業務の形も変わります。資格の側に共通の収入水準があるわけではありません。
仕事の中身・向き不向き・収入の見方は証券外務員ナビ、「きつい」と言われる理由の中身は「証券外務員の仕事はきついのか」にまとめています。資格を活かせる仕事の広がりは証券外務員資格を活かせる仕事で扱います。
この記事は、学生が取るか取らないかを判断するところまでを担当し、その先は仕事側のページに引き継ぎます。
二種と一種、志望先が決まっていない段階でどちらを受けるか
試験としての差は、科目1つと学習量
二種と一種の差は、出題科目では1科目、あとは問題数・満点・試験時間・学習量の差です。
二種の出題科目は3分野14科目で、一種はこれに商品業務の「デリバティブ取引」が1科目加わった15科目です。問われ方も、二種が「基礎的知識」に対して一種は「実務的、専門的知識」とされています。
二種は全70問(〇✕方式50問×各2点、五肢選択方式20問×各10点)で300点満点・試験時間2時間、合格は210点以上です。一種は全100問(〇✕方式70問、五肢選択方式30問)で440点満点・試験時間2時間40分、合格は308点以上。学習量の目安は二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。

別系統の試験ではなく、範囲と量が積み増される関係だと捉えると、計画が立てやすくなります。
順序は制度上の制約ではない
二種に合格していなくても、一種を受けられます。規則の受験資格に、種別の取得順序を求める条項が置かれていないためです。
志望先が固まっていない段階では、二種から入って学習の手応えを確かめ、必要になった時点で一種に進む組み方ができます。反対に、在学中にまとまった時間を取れるなら、最初から一種を受けて一度で終える組み方も選べます。
どちらが求められるかは、志望先の募集要項や説明会で確認するのが確実です。順序は制度の制約ではなく、確保できる時間と志望先の要件から決める選択です。
比較の詳細と選び方の判断材料は一種と二種の選び方にそろえてあります。
学業と両立する|学習量を学期の形に置く
総量は幅のまま受け取る
学習量の目安は、二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。
幅があるのは、出発点が人によって違うためです。経済学部や商学部で会計や金融に触れている場合と、まったく別の分野の場合では、同じテキストを読む時間が変わります。
この数字は「短く見ればこのくらい、余裕を見るならこのくらい」という幅として受け取るのが正確です。一点の数字として覚えると、そこに届かなかったときに計画そのものを見失います。
学生の時間は均等ではない
次に決めるのは、その総量を学事日程のどこに置くかです。
社会人の「平日の夜と休日」のような一定のリズムと違い、学生の時間は塊で偏ります。試験期やレポートの提出期には学習時間がほとんど取れず、長期休暇にはまとまった時間が取れます。ゼミやアルバイトの入り方も学期ごとに変わります。
そこで、1日あたりの時間を先に決めるのではなく、履修が軽い学期か、長期休暇かという塊を先に選びます。塊が決まれば、そこに何週間あるかは自分の学事日程から分かります。

週あたりに割り戻す
総量を週数で割ると、その塊で足りるかどうかが判断できます。
二種の50〜80時間を学期中の2ヵ月(約8週間)で積むなら、週あたり約6〜10時間です。同じ総量を長期休暇の1ヵ月(約4週間)に寄せるなら、週あたり約13〜20時間になります。一種の80〜100時間を3ヵ月(約12週間)に置くなら週あたり約7〜8時間、1ヵ月に寄せるなら週あたり約20〜25時間です。
学期中に週6〜10時間なら、授業のない曜日と週末で組めます。週20時間以上は履修と並行させるのが難しく、長期休暇向きの配分です。
ここに挙げた週あたりの数字は、目安として示されている学習時間と標準学習期間から計算した試算です。公表されているのは総時間と期間までで、この時間を積めば合格するという意味ではありません。平日と休日の配分は、自分の生活に合わせて計算し直してください。
塊を選んで割り算をすれば、無理があるかどうかは着手前に分かります。時間の作り方は証券外務員の勉強時間とスケジュール、勉強の手順は証券外務員は独学で合格できるかで扱っています。金融の予備知識がない状態からの進め方は金融知識ゼロからの証券外務員対策で扱っています。
受験日を自分で決める|予約の受付期間と30日の待機期間
通年実施だから、学事日程に合わせられる
証券外務員試験はCBT方式で、土日・祝日・年末年始を除き通年で実施されています。
年に1回・全国一斉の試験ではないため、試験日に合わせて生活を組むのではなく、自分の予定に合わせて試験日を置くことができます。学事日程が学期ごとに動く学生には、この点がいちばん効きます。
ただし、思い立った日にすぐ受けられるわけではありません。予約できるのは、受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前までです。年度単位の一斉締切はありませんが、受験日ごとに予約の受付期間が定められています。実施日は原則として平日になるため、授業のない曜日や履修の空きコマに合わせて予約する形になります。
受験日を先に押さえると、そこから逆算して学習開始日が決まります。
30日の待機期間を先に織り込む
「この時期までに取っておきたい」という目標があるなら、初回の受験日は目標より手前に置きます。
受験回数そのものに制限はありません。ただし不合格だった場合(欠席の場合は含みません)、当該受験日の翌日から起算して30日を経過する日までは、日本証券業協会主催のすべての試験を受けることはできません。これは申込窓口のプロメトリックが案内している内容です。
やり直しには1ヵ月以上の余白が要ります。就活の予定や入社の時期といった期限がある場合は、その期限から30日の待機期間と再学習の時間を引いた日を、初回の受験日として置いておきます。

余白を先に確保しておけば、1回で決まらなくても計画は崩れません。申込の手順と試験当日の流れは証券外務員試験の申込方法と試験日程で確認できます。
費用と学習環境|学生が負担するもの
かかるのは受験手数料と教材費
学生が負担するのは、受験手数料と教材費です。
受験手数料は13,860円(税込)で、受験の都度かかります。教材費は、市販の教材で独学するか、通信講座を使うかで変わります。
不合格になると受験手数料がもう一度かかり、次に受けられるのは30日の待機期間をおいた後になります。時間と費用の両方が動くので、安く始めることより、1回で通す前提で環境を整えるほうが総額は読みやすくなります。

費用は初期費用ではなく、合格までの総額で比べてください。
通信講座を使う場合に見るところ
通信講座を検討するなら、学生の生活に収まる仕組みかどうかで見ます。授業・ゼミ・アルバイトの合間に進めるには、まとまった時間を前提としない形と、進み具合が自分で分かる仕組みが要ります。
フォーサイトの証券外務員講座は、テキスト・問題集・模擬試験に、副教材の受講ガイド、戦略立案編、合格必勝編、演習ノートが付く構成です。テキストはフルカラー、問題集はモノクロです。eラーニングの「ManaBun」には講義動画+音声、デジタルテキスト、確認テスト、合格カード、用語集が揃っており、学習スケジュールの自動作成と進捗の管理も同じ環境で行えます。わからないところは質問フォームから質問でき、専任講師が回答します。無料で質問できる回数には上限があり、超過分は1回500円(税込)です。詳しくは質問サポートをご覧ください。
受講料は、二種スピード合格講座が9,800円、一種+二種スピード合格講座が14,800円(いずれも税込・2027年試験対策)です。教材をすべてManaBunで提供するデジタルプランは、デジタルプラン(二種)が7,980円、デジタルプラン(一種+二種)が9,800円(同)で、紙で届くのは受講ガイドのみ、書き込み用の演習ノートは付きません。
二種を受講したあとに一種を目指す場合は、一種+二種スピード合格講座を改めて受講することになります。在学中に一種まで取るつもりなら、最初から一種+二種を選ぶほうが受講料の合計は抑えられます。
紙の教材に書き込みながら進めたいか、端末だけで完結させたいか——学生の場合は、ここで分かれます。プランごとの内訳は証券外務員講座の受講料、講座全体の内容は証券外務員通信講座のページで確認できます。
この記事のまとめ
ここまでの内容を、取るかどうかを決めるときに見返せる形で並べ直します。
よくある質問
受けられます。規則が受験資格として定めているのは、不都合行為者として取り扱われていないことと、不正受験などにより試験を受けられないこととされていないことの2点だけで、年齢・学歴・実務経験の条項はありません。日本証券業協会も「この試験は、証券業務に従事する方に限らず、金融に関心のある全ての方に受験いただけます。」と案内しています。
いいえ。外務員として金融商品の勧誘・販売を行うには、試験の合格とは別に、所属する協会員を通じた外務員登録が必要です。在学中に登録は行われないため、「資格を持った状態で就職を迎える」という位置づけになります。
選考でどう評価されるかは各社の判断で、公開された基準はありません。この記事では有利さの程度を断定しません。制度から言えるのは、金融商品の勧誘・販売に携わるなら資格と登録が前提であり、在学中に合格しておけば入社後に業務と学習が重なる時期を避けられるということまでです。
資格手当の対象になっているかどうかは会社ごとの制度です。証券外務員は、金融商品の勧誘・販売に携わる人にとって業務の前提となる資格なので、取得しただけで毎月の収入が増えるという性質のものではありません。収入の水準は所属先と職種で決まります。
外務員登録は協会員を通じて行われるため、協会員以外に就職した場合は登録が行われません。ただし協会は、法令違反等による資格の取消し等がない限り資格が取り消されることはないとしており、資格そのものが時間の経過で失われることはありません。協会員に所属していない間は、5年ごとの更新研修の対象にもなりません。
制度上、取得の順序は決まっていません。二種に合格していなくても一種を受けられます。差は出題科目1つ(商品業務の「デリバティブ取引」)と問われ方、そして学習量です。志望先で求められる種別は募集要項や説明会で確認し、確保できる時間と合わせて決めてください。
学習量の目安は二種が1〜2ヵ月・50〜80時間、一種が1〜3ヵ月・80〜100時間です。二種の総量を学期中の2ヵ月(約8週間)に置くなら週あたり約6〜10時間、長期休暇の1ヵ月(約4週間)に寄せるなら週あたり約13〜20時間の試算になります。試験期やレポートの提出期を避け、履修が軽い学期か長期休暇かを先に選ぶと組みやすくなります。
CBT方式で通年実施されているので、取っておきたい時期から逆算して決めます。予約できるのは受験日から起算して60日前から受験日の5営業日前までです。不合格だった場合は30日の待機期間があるため、期限がある場合は初回の受験日をその分手前に置いてください。

「就活で有利になりますか」という質問を、学生の方から毎年いただきます。ただ、選考の基準は各社が決めるものですので、私を含め誰も断定はできません。はっきり言えるのは、金融商品を扱う仕事に進むなら、この資格と登録がその前提になるということだけです。だとすれば、時間の融通が利く在学中に終わらせておくのは合理的な判断です。迷っている時間がいちばん長くなりやすいので、受験日を先に決めてしまうことをおすすめします。日程が決まれば、迷っていた時間はそのまま勉強にあてられます。