平成28年度 行政書士試験の解答速報・試験講評

2016/11/13

解答速報

11月13日(日)に実施されました、平成28年度 行政書士試験の解答速報を公開いたします。

問1 問2 問3 問4 問5
1 2 5 2 2
問6 問7 問8 問9 問10
5 4 5 1 2
問11 問12 問13 問14 問15
2 4 1 4 2
問16 問17 問18 問19 問20
3 5 3 3 4
問21 問22 問23 問24 問25
3 5 2 1 1
問26 問27 問28 問29 問30
3 5 3 3 5
問31 問32 問33 問34 問35
1 2 3 4 3
問36 問37 問38 問39 問40
2 5 4 2 1
問41 (ア) (イ) (ウ) (エ)
11 2 1 16
問42 (ア) (イ) (ウ) (エ)
19 12 4 6
問43 (ア) (イ) (ウ) (エ)
20 10 2 8
問44
地方自治法に定められており、普通地方公共団体の長により科される。行政上の秩序罰と呼ばれる。(45字)
問45
Cの抵当権実行により甲の所有権を失ったときに、契約を解除し、損害賠償を請求できる。(41字)
問46
夫婦財産関係の清算、離婚後の一方当事者の生計の維持を目的とし、慰謝料も要素となる。(41字)
問47 問48 問49 問50 問51
3 2 1 4 5
問52 問53 問54 問55 問56
5 4 4 5 1
問57 問58 問59 問60  
5 4 3 2  

試験講評

1. はじめに

年11月13日(日)に、平成27年度行政書士試験が実施されました。
受験された方は、本当にお疲れ様でした。全部で60問、54ページに及ぶ長い試験ですが、
ここで簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

基礎法学は、例年通り2問の出題でした。
出題の難易度としては、第1問・第2問ともに、例年よりも比較的容易な内容だったと思います。
ただし、慎重に検討しないとミスが出やすい選択肢を入れてあると思います。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式 問題41)

まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。
人権が3問、統治が2問という内訳ですが、比較的容易な問題内容でした。
なお、第3問の最高裁判所の国民審査の判例は、穴埋め+正誤問題という形式だったのが目新しい部分です。
しかし、内容的には比較的容易なものでしたので、問題形式に惑わされないようにしたいところです。

多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。
内容としては、いわゆる検閲に関する有名な判例ですので、おそらく、多くの受験生が正解できたと思います。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式 問題42~問題43、記述式 問題44)

まず、択一式ですが、例年通り19問でした。内容としては、全体を通じて平易だったと考えます。
ただし、損失補償や保護受給権の相続性の問題は、正解にたどり着くのは難しかったかもしれません。
しかしながら、上記以外の問題は、内容的には得点しやすい内容だったと考えます。

多肢選択式は、例年通り問題42から問題43の2問の出題でした。
内容は、問題42については、最初の1行目を読んだ時点で「成田新法事件」についての記述だと予想ができるような難易度でした。
この判例は、比較的著名な判例ですので、当然、受験生側もかなりの方が正解できたと思います。

次に、問題43ですが、裁量権の濫用に関する非常に有名な判例を題材とした出題です。その意味でも、この問題も正解できた方が多かったのではないかと思います。

記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。
内容としては、過料の問題ですが、過料を科すための手続法、いかなる機関により科されるか、行政法学での過料は何と呼称されるか、を問われています。
いずれにしても、近年では難しい記述問題でした。

5. 民法(問題27~問題35、記述式 問題45、問題46)

まず択一式ですが、例年通り9問の出題となります。
全体の印象は、何問かはマイナー論点がありますが、比較的オーソドックスな内容に収まったという印象です。難問と平易な問題が、ちょうど半分くらい(平易な問題の方が少し多い)という感じです。

30問目、31問目と難しい内容の出題に、集中力が切れそうになった受験生の方も多いと思います。
また、制限行為能力の分野の出題もありませんでした。総則からの出題が減ったことも印象的でした。
記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。

まず、問題45についてですが、抵当権の付着した不動産の売買における担保責任についての出題となっています。

次に、問題46ですが、財産分与の3つの目的・機能を書かせる問題で、これは苦労した受験生の方が多いと思います。
記述式は、行政法分野も含めて、今回は難しかったと思います。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。
まず、問題36は商法からの問題です。商法の法源に関する出題です。

次に、会社法からは、設立、株式、機関などの重要は分野からの出題がありました。
重要分野からの出題ということですが、監査等委員会設置会社・指名委員会等設置会社などは、決して取りやすい問題ではありません。
また、続く最後の問題40の持分会社の出題ですが、これもマイナー分野で難しい問題でした。
今回の商法・会社法の分野では、全ての問題について難しいという印象でした。

7. 一般知識(問題47~問題60)

一般知識については、まず、例年通り、問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。

次に、例年4問出題される、情報通信・個人情報保護の分野ですが、これは従来の流れから大幅にずれて、個人情報保護法関係の出題がありませんでした。
問題作成側に、ネタ切れという感じが色濃く感じますが、逆に、来年あたりは出題がありそうですので、来年の試験では、個人情報保護法の対策は手が抜けないと言えそうです。

最後に、政治・経済・社会の分野ですが、問題48「選挙制度」、問題49「中央政府に設置された庁」、問題50「TPP」については、想定内の出題といえると思います。
しかしながら、問題53「戦後の自然災害」、問題54「人工知能」あたりは、例年、何問か出題される行政書士の業務とは、あまり関係のない内容の出題となっています。
例年のこととはいえ、真剣に学習している受験生に対する対応としては、いかがなものかと思います。

8. 結語

法令科目については、内容の難易度はさておき、比較的オーソドックスな出題が多かったと思います。

多肢選択式は比較的易しい印象ですが、記述式については、例年よりも難しい印象でした。
また、一般知識分野では、例年通り、試験の目的からは外れるような出題内容が散見されます。この点は、今後も注意が必要だと思われます。

今後、受験される皆さんは、行政書士試験のこのような傾向を踏まえつつ、学習を進めていくことが大切だと思います。


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