令和4年度 行政書士試験の解答速報・試験講評

2022/11/13

11月13日(日)に実施されました、令和4年度 行政書士試験の解答速報・試験講評を公開いたします。

解答速報

問1 問2 問3 問4 問5
3 1 5 2 4
問6 問7 問8 問9 問10
4 3 2 4 5
問11 問12 問13 問14 問15
1 3 1 2 2
問16 問17 問18 問19 問20
1 4 1 3 2
問21 問22 問23 問24 問25
3 3 5 1 5
問26 問27 問28 問29 問30
3 1 2 4 5
問31 問32 問33 問34 問35
5 4 2 5 1
問36 問37 問38 問39 問40
5 3 2 4 4
問41 (ア) (イ) (ウ) (エ)
10 7 20 5
問42 (ア) (イ) (ウ) (エ)
19 11 6 3
問43 (ア) (イ) (ウ) (エ)
4 15 20 11
問44
B市を被告として、重大な損害が生ずるおそれがあると主張し、義務付け訴訟を起こすことが適切。(45字)
問45
無権代理行為は当然に有効とならず、Aが追認を拒絶しても信義則に反しないため、認められる。(44字)
問46
Bの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使して、甲土地の明渡しを請求することができる。(43字)
問47 問48 問49 問50 問51
5 5 4 1 3
問52 問53 問54 問55 問56
2 2 4 1 1
問57 問58 問59 問60  
5 4 1 5  

試験講評

1. はじめに

令和4年11月13日(日)に、令和4年度行政書士試験が実施されました。 受験された方は、本当にお疲れ様でした。

例年通り全部で60問、51ページに及ぶ長い試験ですが、ここで簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

基礎法学は、例年通り2問の出題でした。

問題1については、大陸法と英米法の裁判観の違いについて問う問題でした。知識問題としてはマイナーすぎるので、国語の問題としてとらえるべきでしょう。(もしくは捨問)
問題2は、法律用語についての出題です。こちらは、知識問題ですが難しい印象ですので、正解率は下がると思います。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式 問題41)

まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。
総論として、昨年と同じ程度の難易度という印象です。少し問題文の表現が凝っているというか分かりにくい印象を受けます。
その点が、難易度を上げていると思います。しかし、問題文を精査すると正解にたどり着ける問題も多いと思いましたので、時間をかけてでも正解を取りたい分野です。

次に、多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。最近の最高裁大法廷判決の判例変更からの出題でした。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式:問題42・問題43、記述式:問題44)

まず、択一式ですが、例年通り19問でした。
スタートの問題8は、公法上の権利の一身専属性からの出題でした。内容としては初見の方が多いと思いますが、国語の問題として現場思考で対応できる方も多いと思います。

しかし、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法については、例年並みの難易度であったと思います。その意味では、難易度の高い問題はありましたが、全体の印象としては平易であったと思います。

多肢選択式は、例年通り問題42と問題43の2問の出題でした。
内容は、問題42については、情報公開法に関する出題、問題43は国家補償の谷間からの出題でした。後者については、驚いた方も多いと思いますが、いずれも現場思考で対応できると思います。

記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。今年の行政法の記述式は、義務付け訴訟ですが、問題文に「同法の条文の表現を踏まえて記すこと」という条件がついていたので、大枠は分かっていても、この部分でひっかかった方がいたかもしれません。

全体としては、難しい問題やイレギュラーな出題は散見されるものの、条文や著名な判例を学習しておけば得点ができる分野が中心という印象です。ここ数年の傾向からしても大きな変更はないと思います。

<参考 行政事件訴訟法37条の2第1項 義務付けの訴えの要件等>
第三条第六項第一号に掲げる場合において、義務付けの訴えは、一定の処分がされないことにより重大な損害を生ずるおそれがあり、かつ、その損害を避けるため他に適当な方法がないときに限り、提起することができる。

5. 民法(問題27~問題35、記述式 問題45、問題46)

択一式ですが、例年通り9問の出題でした。
択一は、昨年よりも少し平易な印象です。問題33から35については、マイナーな知識が肢にちりばめられていたので、解き終わった印象は「難しい」となると思いますが、前半については基礎的な知識を確認しておけば正解できた問題が多いと思います。

次に、記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。問題45は、無権代理と相続の出題となっています。問題46は、物権的請求権の代位行使の問題です。いずれも、基本的な判例知識ですので書けた方が多いのではないかと思います。

今年の民法は、択一で少し難しく、記述で挽回というパターンだと思います。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。

まず、問題36は例年通り、商法からの出題です。次に、会社法からは、設立、株式から各1問、機関2問となりました。

今回も、商法・会社法の分野は、難しい内容だったのではないかと思います。

7. 一般知識(問題47~問題60)

一般知識については、例年通り問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。

次に、情報通信・個人情報保護の分野ですが、問題56で情報通信用語、問題57で行政機関個人情報保護制度でした。ここ最近は、この分野の出題が減少傾向にあると思います。

ただし、問題54、55は比較的平易な問題ですので、文章理解と合わせて基準点に達する方が多いと思います。

8. 結語

法令科目については、まず、択一式については、ここ数年の平均値という印象でした。もしくは、少し易しいかもしれません。

憲法、行政法、民法については、難しい知識も散見されますが、全体としては平年並みの難易度、もしくは少し易しい印象でした。また、多肢選択式も記述式も同様に得点できた方が多いのではないかと思います。

総じて、条文、判例、過去問の基本的な学習を何度も繰り返して知識を精密にしていれば、合格基準点はクリアできる内容だと思います。今後も、難問奇問に惑わされずに学習を進めることが大切でしょう。

最後に、一般知識分野ですが、こちらは昨年までと同様に多くの方が合格基準点に達することができると思います。すなわち、文章理解を核として、全体の難易度が下がり、現場思考でも得点できる内容の出題が多かったです。

この傾向は、ここ数年は継続していますので、今後も大きな変動はないと予想しています。

以上で、講評を終わります。

受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。


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