管理組合の会計とは

更新日:2019年3月12日

電卓を触りながら何か書いてる人

マンション管理士の試験分野の1つ「民法等・管理組合の運営」の管理組合の運営に含まれているのが「管理組合の会計」です。簿記3級レベルの知識があれば難しくはないと言われています。しかし、基礎知識のない人にとっては難しいものです。

幸い、試験で問われる論点は限られているので、必要な部分だけの知識をつけておけば得点できる問題であるとも言えます。深追いせずに、的を絞って勉強してください。

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目次

「管理組合の会計業務」基礎知識

そもそもマンション管理組合の会計とはどのようなものなのか、基礎的な部分をおさえておきましょう。

「管理組合の会計業務」とは?

分譲マンションには、各部屋を購入した人(区分所有者)たちで構成する「管理組合」があります。管理組合の目的と役割は「マンションの建物の共有部分や敷地を維持管理すること」(区分所有法第3条に基づく)です。管理組合は、区分所有者の意見やニーズなどを反映しつつ運営しなければなりません。

そして、マンション環境を安全・快適に維持するための修繕や管理に係るお金は、区分所有者から集めたお金でまかなうことになります。「明確かつ健全な会計」が求められるため、マンション管理組合に代わって管理会社などに委託することが認められています。

「管理組合の会計業務」の種類

マンション組合では、会計を「管理費」と「修繕積立金」の二つに分けます。

管理費とは?

管理費とは、マンションの日常的な管理のために使うお金のことです。
たとえば、

  • 共用部分の水道・光熱費
  • 共用部分の掃除費用
  • 共用部分の設備の保守・点検費用
  • 管理組合で使う備品の費用
  • 管理会社の管理委託費用

などが挙げられます。

修繕積立金とは?

修繕積立金は、マンションの老朽化対策として中期〜長期に使用するお金のことです。
たとえば、

  • 建物の老朽化の防止
  • 外壁の塗装や防水工事
  • 大規模な修繕工事

などが挙げられます。

マンションの規模にもよりますが、大規模修繕工事は数千万円〜数億円単位の高額な費用が必要になるため、毎月区分所有者が修繕積立金として支払い積み立てをします。

マンション組合の会計は会社とは異なり、一般人である区分所有者が理解できるようにしておくことが求められます。また、一般的には不正が起こらないよう多くの人が携わり会計の管理・チェックを行います。

入金処理

管理組合が指定する口座に、毎月振り込まれる管理費や修繕積立金の入金確認と管理。駐車場や駐輪代の使用料や、敷地内の自動販売機の設置料(業者より入金)なども含まれる

支払い処理

管理組合で実施した工事費用の支払い、共用部分の電気・水道料金などの支払い

請求書の発送

毎月の管理費や修繕積立金の口座振り替えの案内や、入金確認ができていない区分所有者に対し請求書の発送

通帳記帳

管理組合の通帳の記帳

月次収支報告書の作成

管理組合の毎月の収入・収支がわかる報告書の作成。収支報告書・資産のバランスがわかる貸借対照表、管理費などの未納状況がわかる未収金一覧表などの確認

年次収支報告書の作成

1年間の収支報告書(※1)と来季の予算書の作成。貸借対照表(※2)・総勘定元帳・個人別で入金がわかる一覧表などを管理組合に提出

※1:収支報告書:期末日現在、現金や借入金はいくら残っているのか、期末時点での財産状況を表すもの
※2:貸借対照表:1年間の収支の計算書。1年間でどれくらいのお金が入り(収入)、どれだけお金が出て行ったのか(支出)を表すもの

「管理組合の会計」とはどのような問題なのか?おすすめの勉強法!

マンション管理士試験の「管理組合の会計」の問題で、最低限おさえておきたい基本的な範囲をご紹介しましょう。

財務諸表の読み方

管理組合の決算のために作成する「収支報告書」には、その年に発生したすべての収入・支出と共に、収支の差額や次に繰り越しになる収支差額が算定されます。

区分所有者から徴収する管理費は「所定の月額×12か月」が計上されますが、滞納や前払いなどもあり「現金の動きとは一致しない」こともあるので注意しましょう。

滞納は「未収金」(資産)、前払いは「前受金」(負債)が貸借対照表に計上されます。

次期繰越収支差額と正味財産の関係

収支報告の以下の2つを理解しておきましょう。

  • 当期収支差額=収入の部の合計−支出の部の合計
  • 次期繰越収支差額=前期繰越収支差額+当期収支差額

次期繰越収支差額は、原則として「貸借対照表上の正味財産と一致」します。

仕訳処理でおさえたい3つの項目

会計の問題では、仕訳処理を理解することが必須です。そのためにも以下の3つの項目はしっかり理解しましょう。

  • 借方と貸方の区別
  • 収入と支出、資産と負債の分類と、それぞれの主な勘定科目
  • 収入と支出、資産と負債の増減が生じた際の仕訳ルール
仕分けのルール

「管理組合の会計」の仕訳問題対策

仕訳例をしっかりと理解してください。

【1】当月分の管理費900,000円、修繕積立金100,000円を当月に徴収している場合で、金額が管理組合口座に入金されたとき

普通預金 1,000,000円(資産の増加) 管理費  900,000円(収入の増加)
修繕積立金100,000円(収入の増加)

【2】当月分の管理費900,000円、修繕積立金100,000円を当月に徴収している場合で、そのうち一部(ここでは100,000円)が未収になったとき

普通預金 900,000円(資産の増加)
未収入金 100,000円(資産の増加)
管理費  900,000円(収入の増加)
修繕積立金100,000円(収入の増加)

【3】後日、【2】の未収入金が回収され管理組合口座に入金されたとき

普通預金 100,000円(資産の増加) 未収入金 100,000円(資産の減少)

【4】翌月分の管理費、900,000円、修繕積立金100,000円を当月に徴収している場合で、全額が管理組合口座に入金されたとき

普通預金 1,000,000円(資産の増加) 前受金 1,000,000円(負債の増加)

【5】【4】の翌月となり、前受分が当月分の管理費収入となったとき

前受金 1,000,000円(負債の減少) 管理費  900,000円(収入の増加)
修繕積立金100,000円(収入の増加)

【6】当月分の管理委託費300,000円、設備管理費70,000円、清掃費100,000円を当月に普通預金から引き出し支払ったとき

管理委託費 300,000円(支出の増加)
設備管理費 70,000円(支出の増加)
清掃費   100,000円(支出の増加)
普通預金 300,000円(資産の減少)
普通預金 70,000円(資産の減少)
普通預金 100,000円(資産の減少)

【7】翌月分の管理委託費300,000円を当月に普通預金から引き出し支払ったとき

管理委託費300,000円(支出の増加) 普通預金300,000円(資産の減少)

【8】大規模修繕に充てるため資金50,000,000円を借り入れたとき

普通預金50,000,000円(資産の増加) 借入金50,000,000円(負債の増加)

定番的な仕訳処理はなるべく暗記しよう!

管理組合の会計は、初学者にとっては見慣れない分野であるため、戸惑うことも多いでしょう。しかし、通じて決まった範囲の問題が出題されているので、定番的な仕訳処理はなるべく暗記してしまいましょう。

そして基本を身に付けたあとは、繰り返し過去問に取り組んで問題内容に慣れましょう。会計に関する知識は、マンション管理士試験合格後、現場でも求められる機会が多いです。そのため、もし受験まで日数的に余裕がある場合は、簿記3級レベルの知識を身に付けてからマンション管理士試験に挑戦するのもおすすめです。

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この記事の監修者は
北川えり子(きたがわ えりこ)

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【出身】東京都
【経歴】拓殖大学外国語学部卒。マンション管理士・管理業務主任者、行政書士、海事代理士、宅建等の資格を保有。
【趣味】旅行、ドライブ
【座右の銘】未来とは、今である。

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