現在、日本はいまだ学歴社会の真っ只中にあります。
少子高齢化が続き、子供の数が減り続ける今後は、より子供たちの就学率は高くなり、中卒者のように学歴がない方には、就職すること自体が厳しいという状況が続くでしょう。
そんな中卒者の就職・転職で効果を発揮する可能性があるのが資格の取得です。
ではどんな資格を狙うべきか?この記事では中卒者におすすめの資格、狙うべき資格を紹介していきます。
目次
中卒者の就職事情
以前と比較すれば、就職と学歴の関係性は低くなっていると言われています。
現在よりも子供の出生数が多く景気が良かった時代は、多くの人が高校・大学に進学を希望し、実際に高校・大学の生徒数も多く、こういった時代の就職には学歴が大きな影響を与えていました。
就職を希望する人数が多くなれば、まずは履歴書などの書類での選考が行われ、この段階では学歴が重視されていました。また、同じ学校を卒業した者同士が企業内で派閥を作る「学閥」があったのも事実。学閥の力で就職するには、やはり学歴が必要ということになります。
こうした昭和・平成初期と比較すれば、令和はそこまで学歴が重視されていないかもしれません。
しかし、公式に発表されている数値を見ると、まだまだ中卒者の就職事情は厳しいものと言わざるを得ません。
中卒者で正社員は40%以下
厚生労働省が発表した「性、年齢階級・在学の有無・最終学歴、雇用・就業形態別若年労働者割合」という資料を見ると、中卒者が正社員として就業している割合は35.4%(2018年度)。つまり賃金を受け取り仕事をしている中卒者のなかで、正社員として登用されている方は35.4%ということ。
残りの65%弱の方は、派遣社員であったり、非正規雇用であったり、アルバイト、パートといった働き方を選ばざるを得ない状況であるということになります。
ちなみに同じ調査によると、高卒者の正社員割合は56.3%と半数を超えており、大卒者に至っては80.9%が正社員として登用されています。
この数値を見るだけでも、やはり令和に入った中でも、中卒者の就職事情は簡単ではない事が分かります。
中卒者の就職が難しい理由
ではなぜ中卒者の就職が難しいのでしょう?
多くの方に上の質問をすれば「学歴がないから」という答えが返ってくるでしょう。問題はここ。なぜ学歴がないと就職が難しいのか。ここを理解しておく必要があります。
簡単にこの学歴がないと就職が難しい理由、ひいては日本が学歴社会と呼ばれている理由を解説しておきましょう。
履歴書による一次審査が最難関
日本の場合、どの企業も毎年春に新入社員を受け入れます。もちろん中途採用というものもありますが、新卒者は春に就職するのが一般的です。
そのため、どの企業も同じタイミングで新入社員を募集し、この募集にあわせて就職希望者は応募することになります。
新入社員を募集している企業には、就職希望者が一斉に集まりますが、すべての希望者に対し面接を行うほどの時間はありません。
ここでひとつ覚えておいてほしいのが、企業の人事採用者が新規採用者を決める一番大きなポイントは面接です。学歴よりも職歴よりも、その人と実際に相対して話してみる面接がもっとも重要になります。
本来であればすべての入社希望者を面接したいのが本音でしょうが、これは物理的に難しい。そこで、エントリーシート、履歴書などの書類を事前に提出してもらい、この書類から面接する希望者を絞り込むことになります。
履歴書等のエントリーシートに記載されている項目で、人事担当者が比較検討する材料となると、年齢、学歴、職歴、そして仕事の内容によっては性別がある程度。こうなるとどうしても「学歴」で判断するケースが多くなるわけです。
学歴はその人の能力を判断する材料というよりも、「受験という目標に向かって地道に努力し、結果を出した」ことの証明です。より偏差値の高い大学、高校に入学しているということは、それだけ努力し目標を達成する能力があると見做されます。この点を人事担当者は評価します。
中卒者にとって就職は、この書類選考、一次審査が最大の難関になるといえます。
面接試験の準備は万端に
上記の通り、企業が新入社員を決める場合、もっとも大きなウエイトを占めるのは面接試験です。第一印象、受け答えの雰囲気などで希望者をチェックし、そのうえで採用するかどうかが決まります。
この面接の場までいけば、学歴は大きな影響とはなりません。中卒者でも面接の席に座れば大卒者と同等。しっかりと面接試験対策をしておけば、「中卒だから」という理由で落ちることは多くありません。
面接の基本はまずは清潔な服装や髪型。第一印象は非常に重要です。また、受け答えはハッキリと。話している相手の目をしっかり見て聞く、答えるようにしましょう。
面接において中卒者が準備しておくべき回答は、「なぜ高校に進学しなかったのか?」という問いに対する回答です。中卒者の場合十中八九この問いがあると考えて準備しておきましょう。
高校に行かなかった理由が「面倒だった」、「入れる高校がなかった」、「勉強が嫌いだから」などでは印象は悪くなります。相手に悪い印象を与えないような答えを準備しておきましょう。
面接試験で中卒という学歴が理由で落ちることがあるとすれば、中卒者と大卒者や高卒者が同じような印象を持たれ、同じような採点をされた場合です。
こういった場合最終的には「入試」という試練を乗り切った経験が重視され、高卒者や大卒者が優先的に採用されます。
日本の高校や大学は、卒業するよりも入学するのが難しいという特徴があります。この特徴がある限り、学歴は新規採用試験でも重視される項目であり続け、日本は学歴社会から抜け出せないということになるでしょう。
一次審査を突破するために資格を持つ
入社試験における一次審査ともいえるエントリーシートによる書類選考。ここを乗り越えることが中卒者にとって非常に大きな問題です。
学歴を補完するためには職歴等が必要となりますが、同じように補完できるものとして資格の所有があります。
資格を取得するには、多くの場合は資格試験に合格する必要があります。つまり学歴が持つ、「入試を乗り越えた経験」という部分に匹敵する評価ポイントになり得るということです。
もちろん資格であればなんでもいいというわけでもありません。挑戦すればほとんどの人が取得できる自動車運転免許などは資格ではありますがそこまで評価されません。しっかりとアピールできる資格を選ぶことが重要です。
また、その資格が希望する業種・職種で活かせる資格であればなお好印象となります。中卒者が資格取得を目指す場合、こういったポイントを理解したうえで、どの資格に挑戦するかを決めるのがおすすめです。
中卒者が挑戦する資格を選ぶ際のポイント
では、実際に中卒者の方がどの資格を狙うべきか、資格を選ぶ際のポイントを紹介しましょう。
資格取得のポイントは「就職を有利にする資格」です。さらにそれなりの難易度があり、有用性の高い資格がおすすめの資格となりますが、そんな資格の選び方を紹介していきます。
学歴不問の資格を選ぶ
まずはその資格に挑戦できなければ意味がありません。受験資格のない資格を選びましょう。
資格には「国家資格」、「公的資格」、「民間資格」の3種類がありますが、基本的にもっとも信頼度が高いのが国家資格です。
国家資格と聞くとどれも学歴による受験資格があるように感じるかもしれませんが、資格によっては学歴、職歴、国籍のどれも不問という資格もあります。
そしてこうした学歴不問の資格の中でも、有用性の高い資格は多く中卒者でも取得することで就職活動を有利にできる資格が存在します。
最終的に正社員になるのが目標の場合、資格の取得は「目標」ではなく「手段」です。その手段のためにアルバイトや非正規雇用で職歴を得たり、高卒認定の資格を取るのは、全く無駄とはいいませんが最善の方法ではありません。
まずはすぐにでも挑戦できる資格から調べていきましょう。
独占業務を持つ資格を選ぶ
就職や転職を有利にするために資格を取得するのであれば、狙いたいのが「独占業務」を持つ資格です。
独占業務とは、その資格を持っていないと行えない業務。極端な例を言えば、医師免許がなければ医療行為という業務はできませんし、自動車運転免許がなければ自動車の運転はできません。
こうした資格のように、その資格を持っていないとできない業務がある資格を狙うのがおすすめです。
独占業務を持つ資格は、総じて求人数も多いですし、就職活動の際に有利に働くことも多くなります。また、就職した後も資格手当が支給されるなど、収入アップに直結することも少なくありません。
学歴と関係なく能力を証明する資格を選ぶ
もうひとつ資格を選ぶポイントとして、学歴では証明できない専門的な知識・能力を持つ資格を取得するというものがあります。
確かに学歴というのは非常に万能な判断材料であり、学歴が高い人の方が、持っている知識が多いと判断することも可能です。
しかし、こういった場合に問われる知識は「学校で習う範囲の知識」でしかありません。
多くの方が感じている事実として、学校で習ったことが実社会で役立つことは多くありません。二次関数もSVO構文もラ行変格活用も、実社会ではまるで意味を持ちません。
そこで狙いたいのが、学校では習わない知識を証明する資格。例えば医療報酬を計算できる、商業簿記に加え工業簿記も習得しているなどといった知識は普通の学校では身に付きません。
こういった専門知識でほかの就職希望者と差を就けることができれば、就職も有利になるでしょう。
中卒者が資格を取得するメリットとデメリット
中卒者が資格を取ることは確かにメリットが多い選択といえるでしょう。しかし資格取得はメリットばかりではないというのが現実です。
では、中卒者の方が資格を取得するメリットとデメリットを紹介しましょう。
メリット① 就職できる可能性が高まる
第一のメリットとしては、就職の際に有利になるという事が挙げられます。
上で解説した通り、現在も日本は学歴社会から脱しているわけではありません。正社員として就職を目指す場合、やはり学歴で判断されてしまう部分があるのは間違いありません。
この足りない学歴を補う可能性があるのが資格であり、資格を持っていることをエントリーシートに記載できれば、就職できる可能性は高まります。
記載すべき資格は、就職を目指す業界で活躍できる、有用な資格であれば、その可能性はさらに高まるでしょう。
メリット② 就職後収入が高くなる可能性がある
多くの企業が行っている福利厚生。この福利厚生の中には「資格手当」というものがあります。
資格手当とは、その企業が定めた資格を持っている方に、既定の金額を毎月支給するというもの。
支給される額はその企業の規模感や、取得している資格によってまちまちですが、数千円から数万円の場合もあります。
例えば毎月1万円の資格手当が支給されれば、それだけで年収は12万円アップすることになります。
また、資格を持っていることで、その資格を持っていないとできない仕事を任され、その結果待遇や収入が高くなるということも考えられます。
資格を持つ=収入がアップすると考えれば、それは大きなメリットといえます。
メリット③ 資格によっては独立開業も視野に
受験資格ナシ、独占業務アリという資格の中には、独立開業を目指せる資格も存在します。独立開業ができるということは、そもそも中卒者が苦労する就職活動をする必要すらなくなります。
もちろん独立開業ができる資格を取得し、独立開業すればすぐに順調に仕事が舞い込んでくるということはありません。独立開業にはまた別の悩みや、仕事を確保するという営業業務が必要になりますので、誰でもすぐに上手く行くというわけではありません。
しかしこうした独立開業の苦労に関しては、学歴はほとんど影響しません。大卒でも営業ができない方もいますし、中卒でも人脈づくり、営業業務が得意という方もいます。学歴に左右されずに勝負できるのが独立開業ともいえるでしょう。
デメリット① ある程度の勉強時間が必要
資格を取得する以上、当たり前ですが勉強をする必要があります。勉強に必要な期間・時間は、目指す資格によって差はありますが、いずれにせよある程度の期間は勉強に費やす必要があります。
勉強の期間といっても、その期間も仕事をしないというわけにはいかないでしょう。アルバイトなり、派遣社員なり、何かしらの雇用形態で仕事をしながら勉強時間を確保し、資格取得を目指す必要があります。
資格を取得するまでの毎日はそれなりに厳しい日々になり、その厳しさに耐える必要があります。
デメリット② 「資格取得=正社員として採用」ではない
就職活動の前に資格を取得することで、就職活動が有利になるのは間違いありません。
しかし、資格を取得したからといって、必ず就職できるというわけではありません。
中卒者は現実問題として学歴が低く、就職活動ではこの学歴で苦労するという問題があります。この問題に対する対策のひとつとして資格取得がありますが、これはあくまでも対策です。
資格を持っているから必ず正社員登用されるというわけではありませんので、そこは勘違いしないようにしましょう。
中卒者におすすめの資格7選
ここまで中卒者が資格を取得する意味、そしてどのような資格がいいのか?資格を取得するデメリットは何かなどを解説してきました。
ここからは上記のポイントを踏まえた上で、中卒者の方におすすめの資格を7つ厳選して紹介していきましょう。
中卒者におすすめの資格 宅地建物取引士

正式名称 | 宅地建物取引士 |
---|---|
資格種類 | 国家資格 |
分野 | 不動産 |
認定団体 | 国土交通省 |
試験形式 | マークシート |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能 |
試験日 | 毎年10月の第3日曜日 |
受験料 | 7,000円(非課税) |
受験者数(令和3年) | 234,714人 |
合格者数(令和3年) | 41,471人 |
合格率(令和3年) | 17.7% |
フォーサイト合格率(令和2年) | 82.0% |
偏差値 | 55 |
宅地建物取引士は一般的には宅建士と呼ばれる国家資格です。
主に不動産業で働く方が取得を目指す資格であり、受験資格がないので誰でも挑戦できる資格です。
次の項目で詳しく解説しますが、宅建士資格には独占業務があります。そのため宅建士資格を持っていると条件がよくなる求人も多く、不動産業界などで働きたいという方はぜひ取得しておきたい資格となります。
独立開業に関しては不可能ではありませんが、あまり向いている資格とはいえません。まずはこの資格を取得して就職し、働く中で独立開業を目指せるようであれば、それから目指すというのがいいでしょう。
資格取得に必要な勉強時間の目安は、独学の場合で300~500時間。1日2時間ずつ勉強しても半年から1年ほど勉強期間が必要となる試験ですので、目指す場合はしっかりと目標を定めて勉強を始めましょう。
独占業務を持つ
宅建士が持つ独占業務は、不動産取引の場で行う重要事項説明や、不動産取引の契約書に署名・押印するというもの。
重要事項説明とは、不動産売買、賃貸、譲渡などの契約の際、その土地や不動産における重要な項目に関して説明を行うというもの。一人暮らしなどで、賃貸契約をしたことがある方は経験があるかと思いますが、この重要事項説明を行うことができるのは宅建士のみということになります。
そのため、不動産取引が発生する職種では宅建士は必要不可欠な人材となります。また、不動産仲介業者など宅地建物取引業者は、従業員5人に対し1人の割合で宅建士の資格を持つ者を設置しなければいけない設置義務もあります。
設置義務と独占業務。この2つを持っている宅建士資格は、取得しているだけで就職できる可能性は一気に高まります。
また、宅建士資格を真っ先におすすめする理由は、不動産業界の求人の多さが理由でもあります。
求人が多く高収入も目指せる
不動産業界、特に営業職に関しては非常に求人が多いという特徴があります。
不動産業界の営業職は、歩合制を導入している企業が多く、離職率が高い職場といわれています。歩合制の仕事は、結果を出している方は高収入となりますが、それができない方には非常に厳しい職場。そのため離職率も高まる職種となります。
離職率が高いため求人が多く、また学歴不問の求人も多くなります。当然営業職が持っていると非常に有用性が高い宅建士資格は、就職に大いに有利になるということになります。
歩合制を採用している企業で結果を残せれば、当然高収入も狙えますので、この点でもおすすめの資格となります。
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料金・申込み
中卒者におすすめの資格 旅行業務取扱管理者

正式名称 | 旅行業務取扱管理者 |
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資格種類 | 国家資格 |
分野 | ビジネス |
認定団体 | 観光庁 |
試験形式 | 筆記 |
受験資格 | 特になし |
試験日 | 9月 |
受験料 | 国内 5,800円(非課税) 総合 6,500円(非課税) |
受験者数(令和2年度) | 国内 12,146人 総合 10,378人 |
合格者数(令和2年度) | 国内 4,576人 総合 4,225人 |
合格率(令和2年度) | 国内 37.7% 総合 40.7% |
フォーサイト合格率(令和2年度) | 国内 81.3% 総合 61.5% |
偏差値 | 56 |
旅行業務取扱管理者の資格には3つの種類があります。
- 総合旅行業務取扱管理者…国内・海外などすべての旅行商品を取り扱える
- 国内旅行業務取扱管理者…国内の旅行商品を取り扱える
- 地域限定旅行業務取扱管理者…国内の拠点区域内の旅行商品を取り扱える
もちろんおすすめは「総合」ということになりますが、「国内」でも十分就職活動では効果を発揮する資格といえるでしょう。
受験資格はなく、誰でも挑戦できる資格であり、さらに設置義務がある資格でもありますので、需要の高い資格でもあります。
自分で旅行代理店を立ち上げる際にも持っていると便利な資格ではありますが、個人で旅行代理店を始めるのはなかなかハードルが高いもの。不可能ではないので△としましたが、基本的には取得して旅行業界で働くための資格です。
合格に必要な勉強時間は独学で250時間ほど。もちろん独学以外の勉強方法であれば、さらにこの時間は短くすることができます。
設置義務がある
旅行業務取扱管理者の資格が求められるのは、もちろん旅行代理店など旅行業界です。旅行商品を取り扱う旅行代理店では、各店舗にこの旅行業務取扱管理者を設置することが義務付けられています。
多くの場合、旅行業者に入社した後に取得を命じられる資格ですが、就職希望の段階で取得しておけば、この時点である程度就職で有利になるでしょう。
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料金・申込み
中卒者におすすめの資格 診療報酬請求事務能力認定

正式名称 | 診療報酬請求事務能力認定試験 |
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資格種類 | 民間資格 |
分野 | 医療事務 |
認定団体 | 公益財団法人,日本医療保険事務協会 |
試験形式 | マークシート,実技 |
受験資格 | 特になし |
試験日 | 7月と12月の日曜日・祝日 |
受験料 | 9,000円 |
受験者数(令和3年度) | 4,989人 |
合格者数(令和3年度) | 1,961人 |
合格率(令和3年度) | 39.3% |
フォーサイトの合格率(令和3年度) | 57.1% |
偏差値 | 46 |
いわゆる医療事務として働く際に持っていると非常に有利になるのがこの診療報酬請求事務能力認定です。民間資格ではありますが、広く知られている資格であり、医療事務で働く方の多くが目指す資格となっています。
受験資格はもちろんナシ。どなたでも挑戦可能な資格です。
資格には「医科」と「歯科」があり、受験者がどちらかを選んで受験することになります。
宅建士資格のように独占業務を持っているわけではありませんが、「中卒者が取得する資格を選ぶポイント」の中で紹介した、学校の勉強では身につかない専門知識を持っていることを証明する資格です。
独立開業には直結しませんが、日本全国に病院、歯科医院は多数存在します。どこに住んでいても学歴と関係ない求人が多いのも医療事務の特徴です。
学歴不問の求人が多い
診療報酬請求事務能力認定を中卒者の方におすすめする理由の一つとして、医療事務の求人の特徴が挙げられます。
医療事務を専門知識やコミュニケーション能力が必要な職業ですが、学校で習う勉強が生きる仕事ではないため、多くの場合は学歴不問の求人となります。
そもそも医療事務自体が、このように学歴不問の職業ですが、さらにこの資格を持っていると採用されやすい上に労働条件がよくなる可能性があります。
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中卒者におすすめの資格 日商簿記2級

正式名称 | 日商簿記検定 |
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資格種類 | 公的資格 |
分野 | 会計・財務 |
認定団体 | 日本商工会議所,各地商工会議所 |
試験形式 | 筆記 |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能 |
試験日 | 簿記2・3級:2月・6月・11月の年3回 |
受験料 | 簿記3級:2,850円 簿記2級:4,720円 簿記1級:7,850円 |
受験者数(2021年2月) | 1級 6,351人 2級 35,898人 3級 59,747人 |
合格者数(2021年2月) | 1級 502人 2級 3,091人 3級 40,129人 |
合格率(2021年2月) | 1級 7.9% 2級 8.6% 3級 67.2% |
フォーサイト合格率(2021年2月) | 69.7% |
偏差値 | 2級:58 3級:47 |
資格の種類 | 公的資格 |
受験資格 | ナシ |
独占業務 | ナシ |
独立開業 | × |
2021年度 受験者数 | 22,626名 |
2021年度 合格者数 | 6,932名 |
2021年度 合格率 | 30.6% |
合格に必要な勉強時間目安 | 250~350時間 |
※データは2021年11月度試験のデータ
各企業の経理や人事、総務部などで活用できる資格が日商簿記資格です。簿記の資格にはいろいろな種類がありますが、もっとも知名度があり、信頼度が高いのがこの日商簿記となります。
日商簿記には1~3級がありますが、すべての級において受験資格はありません。上では2級の試験に関して紹介していますが、実際に就職をする、企業で働くとなった場合、有用性があるのが2級以上と言われているからです。
・1級…大企業の簿記担当も可能。大卒程度の商業簿記・工業簿記・原価計算なども可能なレベル
・2級…中小企業の簿記担当が可能。商業簿記と工業簿記の知識がある。
・3級…零細企業の簿記担当が可能。商業簿記の知識がある。
日本国内の企業のほとんどが中小企業に分類されると考えれば、やはり2級は取得したいところです。
独立開業にはあまり向かない資格であり、基本的には企業に就職し、経理部などでその知識を活かすのがベストの資格といえるでしょう。
2級取得に必要な勉強時間は250~350時間。1日2時間の勉強時間で4~6ヶ月程度の勉強期間が必要です。試験が年に3回実施される上、CBT方式を採用して随時受験できるようにも整備されています。
業種を問わず働ける
日商簿記2級をおすすめする最大の理由は、業種を問わずどんな職場でも活躍できる資格であるということです。
どんな業種の企業でも経理部は必要不可欠な部署であり、その経理部等で活躍するのが日商簿記2級の資格です。業種を問わないため必然的に求人も多くなり、就職しやすい資格といえるでしょう。
また、簿記の知識は商業高校など一部を除けば、一般的な学校教育では細かく習うことがない分野の知識です。そのため学歴以上にこの資格を持っているかどうかが重視される傾向にあり、中卒者であることがあまりハンデにならない資格といえるでしょう。
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中卒者におすすめの資格 行政書士

正式名称 | 行政書士 |
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資格種類 | 国家資格 |
分野 | 法律 |
認定団体 | 総務省 |
試験形式 | 筆記試験 |
受験資格 | 学歴・年齢・性別・国籍に関係なく受験可能 |
試験日 | 毎年11月第2日曜日 |
受験料 | 7,000円(振込手数料は別)※非課税 |
受験者数(令和3年度) | 47,870人 |
合格者数(令和3年度) | 5,353人 |
合格率(令和3年度) | 11.18% |
フォーサイト合格率(令和3年度) | 38.0% |
偏差値 | 62 |
国家資格には「士業」と呼ばれる資格がいろいろとあります。その士業の中でも特に、業務上必要であれば、本人ではなくても戸籍や住民票の請求が行える士業を「八士業」と呼びます。
この八士業のひとつが行政書士です。
職務上必要なケースがあるとはいえ、弁護士や税理士と同様の権限が認められている資格ですが、受験資格はなく学歴や国籍を問わずに挑戦できる資格となっています。
行政書士には独占業務があり、他の士業の方でもできない業務があるため、独立開業をする事も可能。というよりむしろ、行政書士として働く場合は、行政書士法人へ就職するか、独立開業をするしかありません。
行政書士法人の求人は多くないため、基本的には独立開業が必須となる資格といえます。
行政書士資格を取るためには、ある程度の法律知識が必要となり、長い勉強時間が必要となります。特に法律知識がない方が独学で目指そうと思うと、勉強時間は1,000時間ほど必要。1日2時間の勉強で1年半ほど勉強期間が必要です。
難関資格の一つであることは間違いありませんが、行政書士資格を取得すれば、中卒者にとっては難しい就職活動をする必要がなくなります。
独立開業自体はできますが、顧客を獲得する営業業務は必要となりますので、独立してすぐに収入が発生するわけではありません。この点に関しては資格取得とは別の話として、準備しておく必要があるでしょう。
独占業務を持つ
行政書士が持つ独占業務は、主に官公署に提出する書類の作成や、申請代理などを行うことです。
これだけではイメージしにくいかもしれませんが、役所に提出する書類の作成や、申請代行が主な業務と考えれば大きく間違ってはいません。そしてその業務の幅は非常に幅広く、あらゆる分野に活躍の場がある資格といえます。
このような独占業務を活かすには、自身が強い分野を作るのがおすすめです。生活保護関連の問題に詳しい、遺産相続などの分野に詳しい、店舗の出典などに関する分野に詳しいなど、幅広い行政書士の活躍分野の中から、特に強い分野を持っておくことで、顧客の獲得もしやすくなります。
行政書士の資格を持ったら、自身のこれまでの経験なども加味し、得意分野を作るようにするといいでしょう。
独立開業ができる
行政書士の資格試験に合格しても、すぐに行政書士として働くことができるわけではありません。
まずは事務所を構え(自宅でも可)、そこで行政書士の業務を行うという形で行政書士会に登録を行います。
この申請が審査を通過すれば行政書士会に行政書士として登録され、はじめて行政書士としての仕事を始めることができます。
ほかの士業の中には、企業などに務めながら、その士業の業務を行うことができる資格もあります(社会保険労務士など)が、行政書士にはこういったシステムはありません。行政書士の資格を利用し、行政書士として働くためには行政書士会に登録し、独立開業するか、行政書士法人等で働くかを選ぶことになります。
独立開業自体は確かに大変な面もありますが、良い面を見れば自分らしく働けるということ。個人事業主となりますので、どれだけ働いてどれだけ休むかは自分次第。趣味などの時間を十分に確保しつつ働ける働き方という面もあります。
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中卒者におすすめの資格 ITパスポート

正式名称 | ITパスポート |
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資格種類 | 国家資格 |
分野 | IT |
認定団体 | 経済産業省 |
試験形式 | 四肢択一式 |
受験資格 | 特になし |
試験日 | 随時 |
受験料 | 5,700円 |
受験者数(令和3年度) | 211,145人 |
合格者数(令和3年度) | 111,241人 |
合格率(令和3年度) | 52.7% |
フォーサイト合格率(令和3年度) | 88.1% |
偏差値 | 45 |
ITパスポートは国家資格であり、「情報処理技術者試験」の1区分となります。
資格の名称に「IT」の文字がありますが、ITパスポートの資格はITの初歩的な知識を持っていることを証明する資格であり、IT業界に限らず広くいろいろな分野で活用できる資格となります。
社会人として最低限身に着けておくべきITに関する基礎的な知識を持っていることを証明する資格のため、エントリーシートに記載することでその知識をアピールすることが可能です。
受験資格はもちろんなく、しかもCBT方式を採用している試験のため、いつでも受験できる、取得しやすい資格。必要な勉強時間も100時間程度ですので、長くても2ヶ月、早い方であれば1ヶ月あれば取得できる資格となります。
業種を問わず働ける
現在、業務にIT技術を一切活用していない業種の方が珍しいといえます。インターネットを活用する、メールでやりとりをするなども、IT技術を利用することになりますので、ほぼすべての業種に対応できる資格といえるでしょう。
業種を問わないということは、現状どの業種を目指すか決めていないという方でも取得しておく価値がある資格とも言えます。
就職活動の前にITパスポートを取得し、就職活動をする中で不動産業界に興味を持ったのであれば、さらに宅建士資格を取る。そうすることで2つの有用な資格を持っていることとなり、より就職に有利になるでしょう。
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中卒者におすすめの資格 インテリアコーディネーター

正式名称 | インテリアコーディネーター |
---|---|
資格種類 | 民間資格 |
分野 | 生活 |
認定団体 | 公益社団法人インテリア産業協会 |
試験形式 | マークシート |
受験資格 | 特になし |
試験日 | 一次試験:10月上旬 二次試験:12月上旬 |
受験料 | 14,850円 |
受験者数(令和3年度) | 9,640人 |
合格者数(令和3年度) | 2,334人 |
合格率(令和3年度) | 24.2% |
偏差値 | 53 |
顧客の自宅やオフィス、店舗などの内装に関して、顧客の希望を聞きその希望に沿ったインテリアを提案するインテリアコーディネーター。
こちらも受験資格なしで受験できる資格であり、独占業務こそないものの、専門的知識を持っていることで仕事に活用しやすい資格となります。
また、インテリアコーディネーターの試験で問われる知識は、一般的な学校教育だけでは補えない分野の知識が多く、学歴よりもこの資格を持っていることが就職活動においては有利になる可能性が高い資格といえます。
独立開業に関しては不可能ではありませんがなかなか難しいところ。基本的にはどこかの企業に就職し、その現場で活用すべき資格といえるでしょう。現場で活用しながら人脈を広げ、さらに経験を積むことで独立開業の可能性は出てくるかもしれません。
必要な勉強時間は300~350時間ほど。専門知識、専門用語の多い分野になりますので、勉強時間はある程度必要になりますが、それだけの価値がある資格とも言えます。
活躍の場が広い
インテリアコーディネーターと聞くと、ハウスメーカーや内装業者が主な進路と思われがちですが、比較的広い分野で活躍できるのもおすすめのポイント。
インテリアは住居に限らず、店舗やオフィス、展示会場などでも必要な要素となります。住居以外にも活躍の場はあるため、いろいろな分野の業種でその知識を発揮できるでしょう。
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料金・申込み
まとめ
日本はいまだ学歴社会の要素が濃く、中卒者が自分の望んだ道で正社員になるというのはなかなか難しいのが現状です。
その大きな理由は履歴書やエントリーシートによる書類審査。多くの情報が載っているわけではない書類で、就職希望者を選定するとなるとどうしても学歴が大きなウエイトを占めてしまいます。
そんな書類選考の段階で、中卒者の味方になってくれるのが資格の取得です。学歴でその人を判断する大きなポイントは、「入試に向けて計画的に勉強と向き合い、結果を出したことがある」という経験です。
中卒者にはこの部分を証明する要素が少なく、ここを補うのが資格取得となります。
資格取得のために計画的に勉強し、その結果取得しているという事が伝われば、学歴の部分を補完することも可能。さらにその資格が業務上有用な資格であればさらに有利になるはずです。
中卒者でも狙える有用な資格は多数あります。独占業務を持つ資格、学校の勉強では習わない資格などを中心に、狙っている業界で有利になる資格を見つけましょう。
資格の取得は簡単ではありません。独学で厳しいと感じた場合は、通信講座を受講するなど勉強方法も工夫してみるといいでしょう。