簿記2級の「圧縮記帳」とは?仕組み・仕訳をわかりやすく解説!

簿記2級の「圧縮記帳」とは?仕組み・仕訳をわかりやすく解説!

簿記2級、圧縮記帳とは?仕組み・仕訳をわかりやすく解説

「日商簿記2級」試験は、平成28年度から3年間にわたり、試験範囲の大改訂が行われました。この大改訂により、これまで1級の試験範囲だった「圧縮記帳(直接減額方式)」が、2級の試験範囲に下りてきました。ここでは、新たに追加された固定資産の新論点「圧縮記帳」に注目して、「仕組み」「仕訳」「出題傾向」を中心に解説していきます。

目次

簿記2級、圧縮記帳(直接減額方式)って何?

簿記2級試験、平成29年から追加された新論点「圧縮記帳」とは?

圧縮記帳とは、国などから補助金をもらって、機械や設備などの固定資産を購入したとき、税金がかからないようにする処理のことです。

圧縮記帳の処理方法には、「直接控除方式」「積立金方式」の2種類がありますが、日商簿記2級では「直接控除方式」による処理のみが試験範囲となっています。

直接減額方式
助成金受取時 「国庫補助金受増益」(収益)
「工事負担金受増益」(収益)の計上
助成対象資産購入時 資産購入の処理
「固定資産圧縮損」(費用)の計上(固定資産の減額)
決算時 圧縮後の金額にもとづく「原価償却費」の計上

圧縮記帳って何? わかりやすく具体的に教えて!?

例えば、ある企業が国から助成金をもらって、機械(固定資産)を購入しました。この際、もらった助成金に税金がかかってしまったら、せっかくの助成金が減ってしまいます。そうするとなんだか、損をしたような気持ちになりますよね。

そこで、「固定資産圧縮損」という勘定で損失を計上し、補助金に税金がかからないようにすることを「圧縮記帳」といいます。ただ、注意しておきたいことは「圧縮記帳」は税金が免除される制度ではないということ。免除されるのではなく、「課税が翌年度以降に繰り延べられる制度」ということを頭に入れておきましょう。

圧縮記帳の助成金は3種類ある?

助成金に該当するものは「国庫補助金」「工事負担金」「保険差益」の3種類があります。

  • 国庫補助金……国や地方公共団体からの補助金
  • 工事負担金……電気・ガスなどの公益事業会社が、利用者から施設や設備の建設資金として受け取った資金
  • 保険差益……企業が所有する固定資産が、災害で滅失したときに受け取る保険金が、被害直前の簿価を超える場合における差額

圧縮記帳の問題を簡単に解くコツを教えて!?

圧縮記帳の問題を解くコツは、以下のようになります。ちなみに、日商簿記2級の出題範囲となっている圧縮記帳の問題は「直接減額方式」のみのため、それほど難しくはありません。基本をしっかり理解しておけば、問題演習で十分に対応できるレベルと考えてよいでしょう。

  1. 受け取った補助金をいったん、収益(国庫補助金受増益、工事負担金受増益など)として処理する。
  2. 税金を回避するため、収益として処理した金額と同額分を「固定資産圧縮損(費用)」として計上する。
  3. 圧縮記帳をしたときの固定資産の減価償却費は、減額された固定資産簿価をもとにして計算する。

簿記2級、圧縮記帳の仕訳をチェックしてみよう!

それでは早速、圧縮記帳の仕訳をしてみましょう。

問題(フォーサイト『簿記2級 商業テキスト』より)

以下の取引について、仕訳を示してください。

  • X1.4/1 当社は国から国庫補助金600,000円を現金で受け取った。また、国庫補助金の対象になっている備品3,000,000円を現金で購入した。なお、圧縮記帳は直接減額方式によることとした。
  • X2.2/31 決算日。定額法(残高価値ゼロ、耐用年数3年)、間接法により減価償却を行った。

解答

借方 貸方
X1.4/1 現金 600,000 国庫補助金受増益 600,000
備品 3,000,000
固定試算圧縮損 600,000
現金 3,000,000
備品 600,000
X2.2/31 減価償却費 800,000 減価償却累計額 800,000

解説

直接減額方式により圧縮記帳を行った場合には、固定資産の取得原価3,000,000円で減価償却の計算を行うのではなく、圧縮後の工程資産の価値(3,000,000円-600,000)で原価償却の計算を行います。

簿記2級の「圧縮記帳」ではどんな問題が出るの?

日商簿記2級試験では、下記のような圧縮記帳の問題が出題されます。

問題(フォーサイト『簿記2級 問題集』より)

次の取引の仕訳を示しなさい。

備品の取得を助成するため国より交付された補助金¥500,000を受け取り、当座預金とした。また、上記補助金と自己資金により、対象となる備品¥2,000,000を購入し、代金は月末に支払うこととした。なお、この備品について、直接減額方式による圧縮記帳を行った。

解答

借方科目 金額 貸方科目 金額
当座預金
備品
固定資産圧縮損
500,000
2,000,000
500,000
国庫補助金受贈益
未払金
備品
500,000
2,000,000
500,000

受け入れた助成金等は「国庫補助金受贈益」(収益)で処理します。
また、圧縮記帳を行った場合には「固定資産圧縮損」(費用)を計上するとともに、固定資産を減額します。
これによって、「国庫補助金受贈益」(収益)と「固定資産圧縮損」(費用)が同額計上されることになり、助成金相当額が利益となって、配当などを通じて外部に流出するのを防ぐことが可能になります。

まとめ

今回は、平成29年度から追加された「圧縮記帳」に注目し、その「仕組み」「仕訳」「出題傾向」についてご紹介しました。
圧縮記帳は、日商簿記1級の試験範囲から下りてきた論点のため、慣れるまでは少し難しく感じられるかもしれません。しかし、仕組みを理解してしまえば、それほど難しい内容ではありません。
最近の「日商簿記2級」試験では、新論点が必ず出題されているので、問題演習を繰り返すことで理解を深めておきましょう。