「コンプリメント効果」とは? | わかりやすく中小企業診断士解説
更新日:2020年4月2日
コンプリメント効果とは
コンプリメント効果は相補効果ともいいます。
経営戦略のひとつで、物的資産を複数の事業で活用して生まれる効果のことをいいます。物的資源を活用するので、同時に複数の事業で同じ物的資源を活用することは出来ません。
互いに足りない部分を補い合うことで市場における需要変動や資源制約に対応し、より大きな効果を得られることがメリットです。
具体例を挙げてみましょう。
ある製品を作る工場で1年のうち一定期間だけ設備を稼働しない時期が発生するとします。もちろん稼働していない時期は生産性も売り上げも一時的に下がります。安定した事業を継続させるため、設備を使用しない時期を利用して新製品を開発したり、別の製品を生産したりすることはコンプリメント効果の代表例といえます。
またシーズン限定の事業などの場合、そのシーズンが過ぎてしまうと閑散期といわれる時期へ突入します。閑散期のみ別事業に従業員をシフトするという戦略もコンプリメント効果のひとつです。
有効な資産を所有しているのに、利用しないのは非常に勿体ないという点に注目し、効率的に活用できるような助言を行うのも中小企業診断士の大切な役割です。
コンプリメント効果と新規事業のヒント
中小企業診断士の資格を取得すると、実際に企業に出向いて診断業務や助言を行うことになります。企業の現在の状況を把握し、経営者と今後について話し合う機会も増えてくるでしょう。
どのような場合にコンプリメント効果が適しているのか見極めるのは難しく、状況や条件によって異なります。その際、きっかけとなるポイントがいくつかあるのでご紹介します。
まず、季節ごとに生産性にムラが発生する場合です。
例えば夏期は祭りの屋台などを経営していて、冬期は何も商売せず屋台を持て余している会社があるとします。冬場の使用しない時期を利用して新しくおでん屋やラーメン屋などの屋台をスタートさせれば年間を通して屋台を有効活用することができますね。
時間帯ごとにムラが発生する場合も有効活用できるチャンスが隠れています。
特にファミレスなどは混雑時と閑散時がはっきりしています。利用者が少なくなる時間にも集客できるよう店内のサービスを工夫したり、新しいメニューを始めたりすることもコンプリメント効果のひとつといえるでしょう。
また大学などは夏休みや冬休みになると学生が減り、その期間だけ施設を持て余してしまいます。長期休みの期間を利用して一般の人に施設を開放したり、セミナーや勉強会の会場として使用したりすることで解決できます。さらに多くの人に利用してもらうことで、学校の知名度も上がり結果的にはそれ以上の効果をもたらす可能性も秘めています。
そのような季節ごとの利用状況、隙間時間、稼働していない設備などがないか確認し、それをフル活用することによって新しい事業やチャンスを見つけることができるのです。
中小企業診断士は経営者の今後の計画や要望に応じて適切な助言ができるように、常に最新の知識やスキルなどを身に付けなくてはいけません。また企業の設備や稼働時間のちょっとした隙間を見つける観察力や新しいことを提案する力も必要です。
ひとつの企業をいろいろな角度から見つめ、広い視野で捉えることが大切です。
新規事業の可能性を見出したり、目標達成のための計画を立てたりする過程は地道ですが中小企業診断士の力がおおいに発揮できる部分でもあります。また経営者と将来について話し合うことは最も楽しいと感じる瞬間であり、この資格の醍醐味でもあります。
まとめ
コンプリメント効果について解説してきました。企業経営支援は様々な角度から事業を見つめる視野の広さと理論や知識などのスキルが伴っていなければ成り立ちません。
経営に影響をもたらす様々な効果について知っておくことで、資格取得後もスムーズに助言ができるでしょう。この資格は覚えることがたくさんあって大変ですが、いろいろな知識を学べるので楽しみながら勉強を進めてください。
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