「コンフリクトマネジメント」とは?組織あるところに「コンフリクト」あり!

「コンフリクトマネジメント」とは?組織あるところに「コンフリクト」あり!

企業や団体など組織があるところには必ず意見の対立や衝突というものが発生します。意見の対立はネガティブなイメージもありますが、近年この意見の衝突を前向きに捉えていこうとする考え方に注目が集まっています。この考え方を「コンフリクトマネジメント」と呼びます。

今回は「コンフリクトマネジメント」について解説していきます。

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目次

「コンフリクト」とは?

「コンフリクト(conflict)」とは葛藤、衝突、紛争という意味です。考え方や主張が異なる状況で、双方が意見を譲らず対立することをいいます。

「コンフリクト」が指しているのは1対1で意見がぶつかることだけではありません。グループや組織が衝突し、確執が生まれる状況も含まれます。さらには長期間における紛争など規模の大きな争いごとに対しても使用されます。

対立といっても相手を殴るような喧嘩を意味するわけではありません。「コンフリクト」は考えや主張が対立することを意味する言葉です。

また「コンフリクト」には矛盾という意味も含まれます。そのため、激しい対立や衝突が発生しなくても、双方で意見が食い違ったり、考え方にズレが生じたりする際にも「コンフリクト」と表現することがあります。

「コンフリクトマネジメント」とは?

では前項を踏まえて「コンフリクトマネジメント」について考えていきます。「コンフリクトマネジメント」とは、組織内で意見の対立や口論が起きた場合に、放置せず積極的に問題解決を図ろうとする考え方や取り組みのことを指します。

「コンフリクト」というとネガティブなイメージに捉えがちですが、組織内に生じる様々な意見や見解は組織の活性化や新しい価値を創造することに繋がることがあるため、近年は積極的に活用しようとする動きがあります。

あえて問題となっている話題に触れることで意見の対立を招き「問題解決のチャンス」と前向きに捉える企業も増えてきています。

「コンフリクト」はなぜ発生するのか?

企業活動を行う上で「コンフリクト」は避けては通れません。なぜ「コンフリクト」が発生してしまうのでしょうか。主に次のような場合が考えられます。

①条件の対立

主な要因としては「上司と部下といった上下関係における対立」「仕事内容の差異」などが挙げられます。上司と部下の対立は経験がある人もいるかもしれませんね。仕事に対してお互いが求める目標や条件が異なるため、意見が対立してしまうのです。

「コストと品質」などが代表的な争点です。

②認知の対立

認知の対立とは、思考や価値観の違いが原因となるコンフリクトをいいます。同じ仕事をしていても、人によって仕事に対する考え方は様々です。その結果、価値観や解釈の違いから思わぬところで対立が生じる場合があります。

③感情の対立

感情の対立は人の気持ちが原因となるため、解決することが最も難しい問題です。原因によってはお互いが傷つき、根深くなりやすいので慎重に解決する必要があります。心情的な衝突が主な原因です。

上記のような対立が発生した場合に「コンフリクトマネジメント」が必要となります。「コンフリクトマネジメント」で速やかに問題の解決を図り、職場の風通しを良好にし、相互理解と結束を深めることが最大の目的です。

「コンフリクト」が発生!あなたならどうする?

あなた自身が、もしくはあなたが働く職場で「コンフリクト」が発生したと仮定します。対立する双方の行動は大きく分けると下記のようになります。あなたならどんな行動を起こすでしょうか?

①競争

双方がお互いの利得にこだわり、競い合う状況です。お互いに意見を譲らず、相手を打ち負かそうとします。

②妥協

自分も意見を譲りますが、相手にも譲るよう求めます。双方、納得のいくところで折り合いをつけようとします。

③和解

双方が譲歩し合って一旦問題を解決することです。相手との関係を今後も維持することを重視した考え方です。

④回避

コンフリクトそのものを避け、問題に直面しないことをいいます。

⑤協調

お互いの意見を否定することなく、自分と相手の利得がより大きくなる方法を一緒に見つけようと働きかけることをいいます。

双方が前向きに捉え仕事に専念できるような解決策を目指すことが「コンフリクトマネジメント」です。後腐れなく、対立や衝突をポジティブに捉え、その後の成長や発展に繋げられるようにすることが大切です。

「コンフリクトマネジメント」の進める前に

「コンフリクトマネジメント」を成功させるためには、いくつかポイントがあります。まず「コンフリクト」に対する認識を変えることが最大のポイントです。

コンフリクトは対立している状況をいいます。対立はマイナスな要素という認識が強く、ネガティブに捉えがちです。まずはその認識を変えていきましょう。「ピンチをチャンスに変える」というような気持ちで構える姿勢が大切です。

「コンフリクトマネジメント」は一部の社員で共有していても意味がありません。社員同士が相互的に前向きな解決を目指していくには「コンフリクトマネジメント」に対する認識の共有が重要です。社内研修の際「コンフリクトマネジメント」の有用性について勉強する機会を設けるなど広く認知されるよう工夫しましょう。

チームのリーダーや管理職の立場にある人が積極的にコンフリクトマネジメントに取り組む姿勢を見せることも必要です。問題解決に臨む姿勢をオープンにすることで、社内の風通しが良好になり、双方が意見を出しやすい環境も徐々に整ってくるでしょう。

「コンフリクトマネジメント」の進め方

先程、解説した「コンフリクトマネジメント」を進めるためのポイントを踏まえ、より具体的な解決方法を考えていきます。ここでは問題解決までのステップの一例を紹介します。

①相手を否定せず、尊重して話し合いを進める

まず初めにコンフリクトマネジメントにおいて「協調」が最も重要だということを認識しましょう。

意見が対立した時に相手を否定してしまうと、関係は悪化する一方です。これでは前向きな解決には至りません。それに加え、相手を罵倒したり侮辱したりする行動が伴えば、その確執はますます深くなり、解決することができない可能性もあります。

まずは相手を尊重し、相手の話に耳を傾けることを忘れないようにしてください。

②双方の一致と相違を明確にする

次に双方から出た意見を比較し「一致している部分は何か」「どのような相違があるのか」などお互いの考え方を整理します。これにより「コンフリクトマネジメント」の方向性や目的がはっきりします。

③コンフリクトの原因を見つける

先程の過程で一致する点と相違点を明確にしたら、次は原因を考えましょう。「何が原因で対立しているのか」「解決の難易度はどのくらいなのか」などヒアリングを交え、具体的な原因を探っていきます。

④双方があらゆる角度から客観的に原因について考える

対立が起きている時はお互い感情的になっているため、冷静さを失いがちです。それにより視野も狭くなっている可能性もあります。

「コンフリクトマネジメント」では自分自身のことや原因について客観的に捉え、広い視野で物事を考える力が必要です。またあらゆる角度から原因を見つめることで、スムーズな解決を図ります。

⑤お互いが納得のいく着地点を探し、協力して解決に取り組む

双方が納得のいく着地点を探すことがポイントです。お互いにメリットが生じるような着地点が理想です。それを導き出したら解決に向かって協力して取り組むよう促します。

お互いにメリットが生じるような着地点が見つかれば、問題解決だけでなく利益も生まれます。また、ポジティブな認識を共有することは仕事の質や人間関係の向上にも繋がります。

まとめ

「コンフリクトマネジメント」について見てきました。
考え方や主張が異なる状況で、双方が意見を譲らず対立することは規模の大小に関わらず、どの企業や組織にも存在する問題です。

「コンフリクト」を解消するために問題を冷静に見つめ、分析し、スムーズな解決方法を導き出すことも中小企業診断士の重要な仕事です。

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