「リーダーシップ理論」とは

リーダーシップ理論

リーダーシップという言葉を聞いて、イメージするものは何でしょうか?

周囲の人間を統率し、チーム全体を引っ張っていく能力がある人は「リーダーシップがある」と言われることがありますね。しかし、それだけがリーダーシップではありません。

もし、皆から信頼される理想のリーダーになりたいと思っている人がいたら、今回のコラムが役に立つかもしれません。では、詳しく見ていきましょう。

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目次

「リーダーシップ理論」とは

リーダーとリーダーシップは響きが似ていることから、意味を混同して使用してしまうことがあります。この2つの言葉は似ているようで違います。

リーダーは組織や集団を運営していく上での役割や機能のことを意味します。
リーダーシップは指導力や統率力などと表現されますが、共通しているのは「ある目標を達成するために個人やチームに対して行動を促す力、またはその能力」という意味があります。

つまり組織や集団がある目標を達成するために、リーダーがどのようなスタンスや行動をとることが効果的なのかを考察するのが「リーダーシップ理論」なのです。

「リーダーシップ理論」の変遷

まずは「リーダーシップ理論」の歴史を振り返ってみましょう。「リーダーシップ理論」の歴史は古く、1900年ごろから活発に議論されるようになりました。

ここでは時代と共に移り変わっていった「リーダーシップ理論」の考え方を紹介しています。

①特性理論

特性理論は最も古典的な理論といわれています。
「リーダーは生まれ持った特性によってリーダーシップを発揮している」という考えを基に、その人の性格や資質を分析し、優秀なリーダーかどうか区別しようとしました。

しかし、優秀なリーダーを研究しても必ず特性が同じ結果になるわけではないので、この理論を科学的に証明することは難しく、十分な研究結果を得られませんでした。

②行動理論

先程の特性理論とは対照的に「リーダーシップは天性のものではなく、行動によって発揮される」と考えられたのが行動理論です。優秀なリーダーの行動を研究し、それを他のリーダーに模倣させることにより優秀な人材に育て上げようとしました。

行動理論はアイオア大学、オハイオ州立大学、ミシガン大学、九州大学など世界中で研究されました。研究方法に多少の違いはありましたが、結論はほぼ同じでした。

「目標を達成するための行動」と「周囲の人間へ配慮した行動」という2つの項目において、両方とも高い評価を得たリーダーが優秀であるという結論です。こちらについては後ほど詳しく説明しますが、結果として仕事内容と周囲の人間の両方に高い関心を示すリーダーが理想的であるとされました。

③条件適合理論

行動理論が広く認知されるようになったのち、新たに生まれたのが条件適合理論です。コンティンジェンシー理論ともいわれます。
「優秀なリーダーは特定の特性や行動様式を持っているのではなく、リーダーシップのスタイルを状況に応じて使い分けている」という考え方です。

研究の結果、周囲の人間が置かれている環境や状況で、その都度リーダーの行動パターンも変化し、臨機応変に対応していることが分かったのです。

上記のような変遷を経て、長年「リーダーシップ理論」は研究されてきました。そして、それは現在も続いています。

ここでは「リーダーシップ理論」の変遷と基礎的な内容について触れました。次項でさらに詳しく紹介していきます。

「リーダーシップ理論」の考え方を紹介

ここでは長年の研究から導かれた「リーダーシップ理論」における様々な理論や考え方を紹介していきます。

①PM理論

PM理論は日本の社会心理学者である三隅二不二氏によって提唱された理論です。
この理論でリーダーシップは「目標達成機能(Performance function)」と、「集団維持機能(Maintenance function)」という2つの機能により構成されると考えました。2つの頭文字を取ってPM理論と呼ばれています。

目標達成機能とは、組織の目的達成や課題解決に関する機能であり、目標設定や計画立案、指示などにより、成績や生産性を高める機能を意味します。
例えば「納期を守るために細かく進捗管理をする」「目標達成のために綿密な計画を立てる」「規則を守るために部下を指導する」などが挙げられます。

集団維持機能とは、組織の維持に関する機能であり、組織の人間関係を良好に保ち、チームワークを強化、維持する機能を意味します。「人間関係の問題を積極的に解決する」「1人ひとりを気遣い、声をかける」などがこれに当てはまります。

この2つの能力が高ければ高いほど理想のリーダーシップを発揮できるという考え方です。

②フィードラー理論

フレッド・フィードラーによって提唱された理論です。

フィードラーはリーダーの行動を仕事優先型と従業員中心型の2つに分類しました。そして、組織の置かれた状況によってどちらのリーダーがより成果を出すか研究したのです。その結果、組織の置かれている状況によって、リーダーは仕事を優先すべきか、人間関係を重視すべきかその都度、考えて行動しなければならないということが分かりました。

この理論で「どのような状況下でも唯一変わらない最適なリーダーシップというものは存在しない」ということが証明されたのです。リーダーとして組織の業績を伸ばすためには、まず状況を分析し、どのような行動を起こすかを検討することが大切だということです。

③パス・ゴール理論

パス・ゴール理論はハウスによって提唱されました。

「優秀なリーダーは部下にパス(道筋)を明確に示して障害物を少なくし、部下のゴール(目標達成)を助ける」という考え方です。部下の目標達成を助けることはリーダーの仕事であり、それを達成するために必要な指示や支援を与えることは組織全体の目標達成に繋がるということです。

まったく同じ人間、まったく同じ状況というものは存在しません。それらに対応するためリーダーシップも常に変えていく必要があります。適切なリーダーシップを取るためには、組織の現状を正確に把握することが大切です。状況に応じたリーダーシップを発揮することにより、組織の成果は大きくなるということです。

代表的な理論を3つ紹介しました。
組織をまとめ、部下に指示を与えることは容易ではありません。リーダーシップは常に組織に合わせて変化していくものです。いつの時代にも決まった方法はありません。

「リーダーシップ理論」は心理学や脳科学などの分野にも踏み込んだ領域です。だからこそ長年、研究されてきたのですね。

まとめ・中小企業診断士との関連性

「リーダーシップ理論」について見てきました。
リーダーシップは先天的な能力ではありません。「リーダーシップ理論」をしっかり学べば身に付けることが可能な能力です。

優秀なリーダーになるには組織の目標を達成するための計画力や的確な意思決定能力、物事を客観的に見る力などが必要になってきます。

組織内の信頼関係をしっかり築き、効率よく成果が出るような環境を整えるお手伝いは中小企業診断士の大切な役割のひとつですね。

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