雇用保険とは?

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雇用保険とは

雇用保険は、労働者が失業した場合等に必要な給付を行うことにより、労働者の生活および雇用の安定、求職活動を容易にするとともに、労働者の職業の安定をはかるため、失業の防止、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発および向上、労働者の福祉の増進を図ること目的としています。

雇用保険の被保険者とは

事業的規模に関わりなく、原則として、労働時間が週20時間以上、かつ、雇用の見込みが31日以上ある者です。

なお、原則として、個人事業主や法人の役員は対象外です。

雇用保険の保険料とは

平成30年4月から以下のようになっています。

事業の種類 保険料①+② 失業等給付
被保険者① 事業主②
一般の事業 0.9% 0.3% 0.6%
農林水産・清酒製造の事業 1.10% 0.4% 0.7%
建設の事業 1.20% 0.4% 0.8%

雇用保険の基本手当とは

雇用保険の被保険者が、定年、倒産、自己都合等により離職し、失業中の生活を心配せず新しい仕事を探し、1日も早く再就職するために支給されるものです。

雇用保険の受給条件とは

受給条件は以下の2つです。

  1. ハローワーク(公共職業安定所)に出頭し、所定の書類を提出して求職の申込を行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにも関わらず、本人やハローワークの努力によっても職業に就くことができない「失業の状態」にあるという失業の認定を受けなければいけません。
  2. 離職の日以前の2年間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月が通算して1年以上(特定受給資格者または特定理由離職者の場合は離職の日以前の1年間の被保険者期間が通算して6カ月以上)あることが必要となります。

失業の状態の定義とは

被保険者が離職し、労働の意思および能力を有するにも関わらず、職業に就くことができない状態にあることをいいます。

基本手当を受給するには、4週間に1度ハローワークに出頭して、失業の認定を受ける必要があります。

失業保険の支給額とは

支給額となる基本手当日額は次のように求めます。

  1. 基本日額=離職日直前の6カ月に支払われた賃金の合計÷180日
  2. 基本手当日額=賃金日額×50%~80%(60歳~64歳については45%~80%)

基本手当日額とは

離職期間中の1日あたりの支給額のことをいいます。

賃金日額は「毎月決まって支払われた賃金の合計」ですから、賞与は含まれません。

基本手当日額を求める際の係数は、賃金が低いほど高率となっています。

賃金日額・基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められています。

失業保険の受給スケジュールとは

基本手当の受給期間は、離職の日の翌日から起算して1年間となります。

受給期間の経過後は、所定給付日数が残っていても基本手当の支給は受けられません。

待期期間とは

求職の申込みをしてから7日間は基本手当の受給はできません。

また、自己都合で離職した場合は公共職業安定所長の定める期間(2か月または3か月)の給付制限があります。

雇用保険の基本手当の説明

受給期間とは

基本手当の受給期間内に出産、疾病などの理由で引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、所定の期間内に申出をすることにより、受給期間を延長することができます。

失業等給付(基本手当)と老齢厚生年金の併給調整とは

特別支給の老齢厚生年金を受給している者が、求職の申込みを行った場合、申込みの翌日から基本手当の受給期間が終わるまでの間、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止となります。なお、65歳以降は、基本手当と老齢厚生年金は併給されます。

就業促進手当とは

雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち「職業促進手当」として、「再就職手当」と「職業手当」などがあります。

再就職手当とは

基本手当の受給資格者が、雇用保険の被保険者となる場合や事業主となって雇用保険の被保険者を雇用する場合などの安定した職業に就いた場合に、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、一定の要件を満たす場合に支給されます。

職業促進定着手当とは

再就職手当の支給を受けた者が、引続きその再就職先に6カ月以上雇用され、かつ再就職先で6カ月の間に支払われた賃金の1日分の額が離職前の賃金日額に比べて低下している場合に、再就職手当に加えて低下した賃金の6カ月分を一時金として追加的に支給されます。

就業手当とは

基本手当の受給資格者が、契約期間が1年以下の契約社員やパートタイム労働などへ再就職をし、再就職手当の支給対象とならない場合に、一定の要件を満たすことで基本手当日額の10分の3の額が現在の職業に就いている日について支給されます。

常用就職支度手当とは

障害があるといった就職が困難な基本手当の受給資格者が、安定した職業に就いた場合に支給されます。

雇用保険に関するよくある質問

雇用保険の失業等給付の保険料について、労働者も事業主が折半して負担なのか、折半ではないのかがわかりません。

雇用保険の内訳は、以下の2つとなります。

  1. 雇用保険二事業の保険料
  2. 失業等給付の保険料

この2つのうち、「1.雇用保険二事業の保険料」は事業主のみに負担義務があり、労働者には負担義務はありません。事業主の負担率は、0.3%です。

一方、「2.失業等給付の保険料」は、労働者にも負担義務があり、労使折半で負担します。この負担率は、労使共に0.3%です。

したがって、雇用保険全体としては事業主と労働者は折半ではありませんが、雇用保険の中の失業等給付の保険料に限りますと、労使ともに0.3%ずつの折半となります。

雇用保険の教育訓練給付の上限額は20万円ですか?48万円ですか?

教育訓練給付は、一般教育訓練給付と専門実践教育訓練があり

  • 一般教育訓練給付は教育訓練経費の20%相当額で10万円が上限
  • 専門実践教育訓練給付は教育訓練経費の40%相当額で32万円が年間の上限
  • 資格取得が就職に結びついた場合は、追加支給で教育訓練経費の20%相当額で16万円が上限

で、あわせた支給上限は年間48万円となります。

雇用保険の要件離職前2年間や通算一年の考え方がわりません。離職1年前かつ通算1年ではおかしいのでしょうか?

不正受給などの防止から、適用要件は厳格に定められています。雇用保険にきちんと加入して保険料を支払っていた人が適正に適正額を受給するため、さまざまな年、月、日が定められています。

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