FP1級と行政書士のダブルライセンスも!2つの資格の相性は?

FP1級と行政書士のダブルライセンスも!2つの資格の相性は?

FP1級と行政書士のダブルライセンスも!2つの資格の相性は?

ファイナンシャルプランナー(FP)1級は、ダブルライセンスと相性の良い資格だと言われています。FPは不動産、資産運用、年金などさまざまな分野とかかわりのある資格です。FPに加え、各分野を専業的に行う資格をプラスで持っていれば、FPの知識を活かしつつ、その資格の仕事もできるのでメリットが大きいです。

FPと組み合わせられて相乗効果がある資格はいくつかありますが、今回はその中でも行政書士に焦点を当ててみましょう。

目次

FP1級と行政書士、どっちにするか迷ったら

資格取得を考えるとき、FP1級を取得しようか、それとも行政書士を取得しようか迷ってしまうことがあるかもしれません。FP1級はFPの最高位の資格であり、高い専門性が求められます。かたや行政書士も、高い専門性が求められる資格です。どちらも、会社員として働くのではなく、独立開業に向いている資格です。会社員を辞めて独立したいと考える方にとっては、いずれも魅力的な資格と映るでしょう。

しかしFP1級を選ぶのか、行政書士を選ぶのかで、その後の仕事がかなり変わってきます。FP1級と行政書士とは、扱う対象が重なるところがあります。しかし同じ対象を扱うとしても、FP1級の視点で見るのと、行政書士の視点で見るのとでは、できることが変わってきます。そのため資格選びをするときは、両者の違いを知っておく必要があります。

行政書士ってどんな仕事?

行政書士の主な仕事は、官公庁に提出する書類を作成することです。業務独占資格の1つです。業務独占資格というのは、独占的にその仕事ができるという意味です。たとえば行政書士の仕事には、飲食店などの営業の許認可、車庫証明といった仕事があります。行政書士の資格を持たない人がこの仕事をすることはできません。

行政書士の仕事は幅広いです。官公庁に提出する書類には、営業の許認可、車庫証明のほかに、さまざまな種類があります。何かを公に始めるには、必ず官公庁に書類を提出しないといけないためで、人々の営みの種類だけ書類があると言えます。行政書士はそれらのいずれかの種類の1つを専門として、業務を行うのが一般的です。

書類の作成以外に、その提出代行や、提出手続きの代理、お客さまの書類作成の相談に乗ることもあります。また契約書を代理人として作成することもできます。

参考:コスパ最強の資格!行政書士とは?司法書士との違いは?

FPと行政書士の違い

FPと行政書士の違いは、試験科目を見てみればよくわかります。

FPと行政書士の試験科目
FP 行政書士
  • ライフプランニング
  • リスク管理
  • 資産運用
  • タックス
  • 不動産
  • 相続・事業継承
  • 憲法
  • 民法
  • 商法
  • 行政法
  • 一般教養

行政書士はまさしく、法律を勉強して取得する資格です。FPも法律の勉強はするのですが、ファイナンシャルプランニングという大きな枠組みの中の1つのアプローチとして、法律への対応があるというイメージです。

FP1級と行政書士の相性は?

FP1級はお金と暮らしにかかわるさまざまなことを取り扱う資格であり、行政書士は官公庁に提出するさまざまな種類の書類を取り扱う資格です。お互いに業務が幅広いので、重なるいずれかの部分を見つけ出すことは容易です。中でも特に相性が良いのは相続です。

行政書士は、民法で相続を取り扱います。民法は財産法と家族法に分かれますが、相続の場合に適用される法律は家族法です。FPは「相続・事業継承」という分野で相続に対応します。相続のファイナンスプランを立てて、お手伝いをします。

FP1級と行政書士の仕事の関連性について、相続を題材に考えてみましょう。

相続という視点で見るFPと行政書士の仕事

相続とは、親(被相続人)から子(相続人)に財産を譲ることを言いますが、必ずしもスムーズにいくとは限りません。むしろ、トラブルが起きる可能性のほうが高いと言えるでしょう。

FP1級だけを取得している場合、どれほど良いプランニングを提案したとしても、実際の手続きは行政書士という他者に任せるしかありません。ここがFPにとってはがゆいところです。また顧客は行政書士に対し、相続についてもう一度すべてを説明し直さなければならないので、煩わしいと考える顧客も少なくないでしょう。

行政書士だけを取得している場合、できることは書類の作成のみです。滞りなく調整が済んで書類作成のみをすれば完了、というハッピーな相続であれば問題ありませんが、関係者の利害関係が複雑に絡み合う事案であれば、話し合いがうまくいかずに作業が中断し、行政書士の作業の遂行は中断を余儀なくされます。

ダブルライセンスで相続に対応すると顧客メリットが大きい

FP1級と行政書士のダブルライセンスを所持していれば、まずFPとしてすべての関係者が納得(妥結)できる最適解を提案し、次に行政書士として書類を作成し、迅速に相続を進めることができます。顧客にとってもメリットが大きいです。

FPのファイナンシャルプランに関係者がどうしても合意できないときは、残念ながら裁判となります。行政書士も裁判が終わるまでは作業を遂行できません。したがって、弁護士の先生にお願いすることになります。なお、裁判で和解を目指すとなると、合意を引き出しやすい提案を出すという意味でファイナンシャルプランナーの貢献できる部分は大きいです。

相続でFPができること

相続する際は、財産の整理が必要となります。対象となる財産の洗い出しと一覧化、相続税の計算、不動産売買にかかわるアドバイスなどは、ファイナンシャルプランナーの主な仕事です。相続というライフイベントに立ち会った当事者は、当面のことを処理するので精いっぱいになるため、どうしても視野が狭くなりがちです。

FPなら全体を理解し、手順を追って円滑に相続を進めるお手伝いができます。ただ手順を追うだけではなく、当事者にとって利益があるやり方で相続を進めたいと思うのが人情ですが、その点もFPがしっかりとサポートします。

相続を機に、以降の人生の見通しを立て直す必要に迫られる当事者も多いです。その際、学費や生活費はどれくらい必要なのか、いつまで、どのように働くべきなのか、どのような保険に入っておくべきで、あるいはどのような保険が不要かといったライフプランについても、FPは一緒に考えていけます。

相続で行政書士ができること

相続において必ずと言っていいほど必要となる書類が「相続関係説明図」、「相続財産目録」、「遺産分割協議書」の3つです。相続が専門の行政書士は、これらの書類を作成します。

相続関係説明図

家系図のように、確定相続人を図でわかりやすく説明するものです。相続人が誰であるかを一目で確認できるようにするために作成されます。

相続財産目録

不動産、動産、有価証券、有価証券など相続財産を一覧にしたものです。併せて概算評価額も作成します。相続人らで財産を分割する際に利用されます。

遺産分割協議書

相続人らで財産をどう分割するのかを協議した結果を書類にしたものです。合意の存在を明確に表すために利用されます。相続人全員が署名・捺印して作成されます。

FP1級と行政書士のダブルライセンスを目指すなら

FP1級と行政書士のダブルライセンスがあると、いろいろなメリットがあります。それぞれの資格だけでも独立開業して食べていける資格ですが、両方があれば、仕事の幅も広がります。

そのためには、FP1級と行政書士の資格を両方とも取得しなければいけません。FP1級も行政書士も、違う意味で取得が難しい資格です。FP1級は、受験資格が厳しく決められているところが難しいです。受験するには、下位の資格を取得し、さらにある程度の実務経験も積まなければいけません。思い立ったらすぐに受験できる資格ではないのです。さらに難易度も高いです。

行政書士は、受験資格がないのでその点は受けやすいですが、合格率が非常に低く、難易度の高い資格です。また法律の試験ですので、すべてが難解で、勉強には多大なモチベーションが必至です。

しかしきちんとした努力を重ねていけば、合格は不可能ではありませんし、実際にダブルライセンスで活躍している方もいます。

FP1級と行政書士のダブルライセンスを得るためにはどのような方法があるのか、見ていきましょう。

ダブルライセンスの方法(1) FP1級を取得してから行政書士

FP1級に合格して、仕事を始めてから、行政書士の資格取得を目指すというケースです。このパターンでダブルライセンスを目指す方は多いです。

FP1級は専門的な資格ではありますが、業務独占資格ではないので、行政書士や社会保険労務士のような資格で開業をする人に比べると、どうしても見劣りしてしまいます。開業で生活の糧を得るには、シビアな顧客獲得争いを勝ち抜かなければなりません。そこで先にも述べたように、ファイナンシャルプランニングと共に官公庁向けの書類作成・提出という作業まで一括的で引き受け、顧客を獲得しやすくなるように工夫することが有効です。

ダブルライセンスの方法(2) 行政書士を取得してからFP1級

(1)とは逆のパターンですが、これもよくあります。行政書士の仕事は、そのための調整がすべて終わったあとに始まります。たとえば相続なら、先にも述べたように行政書士は相続人らの相続分割の調整が終わらないと、作業に進めません。相続にかかる協議は、ときに年単位で長期化するものです。FP1級を持っていれば、相続のより初期の段階からかかわることができ、活躍できる範囲も広がるでしょう。

相続関係の書類に慣れ親しんでいるだけに、作成しながら「こうすればもっと良い相続ができるのに」とはがゆい思いをしている行政書士もかなりいると思われます。ダブルライセンスにより、相続人と一緒に相続をつくりあげることができれば、やりがいも大きくなるでしょう。

ダブルライセンスの方法(3) FP1級の取得を目指しつつ行政書士

(1)(2)はすでにどちらかの資格を取得したあとの話になりますが、(3)はいずれの資格もまだ取得していない状態の話です。

FPは3級、2級(あるいはAFP研修後に2級)と段階を追って進まないといけないので、1級まで行き着くことが大変です。またFP1級は学科試験に合格するのも大変ですが、そのあとの実技試験も合格が大変ですし、時間がかかります。はじめてFPに挑戦し、FP1級まで行き着くことを目指すなら、数年間はかかると思っておかなければいけません。

そこで、どうせ勉強するのならと、行政書士の勉強も並行してしまうという選択肢があります。行政書士の資格は1つだけなので、1つ合格すれば取得できます。とはいえ、行政書士も難関資格なので容易に合格できませんが…。

ダブルライセンスの方法(4) CFPとのトリプルライセンスを目指す

FPにはFP技能士1級~3級のほかに、AFP、CFPという資格もあります。行政書士と同等というべきか、開業に求められる資格はFP1級とCFPです。(1)~(3)いずれかの方法でFP1級と行政書士のダブルライセンスを果たしたら、CFP取得によるトリプルライセンスも視野に入れたいところです。CFPは国際資格なので、海外でも通用するという点で魅力的です。

ただし、CFPの資格は難易度が高いので、それなりの努力が求められます。一方でFP1級を所持して開業している人は、CFPも所持していることが多いので、トリプルライセンスというのも、けっして不可能ではありません。

ダブルライセンスが難しいなら専門家と業務提携という道も

検討したけれど、難関資格のFP1級に加えて行政書士のダブルライセンスなんてムリ!という方も、もちろんいるでしょう。その場合は、開業しているほかの行政書士と業務提携して、手っ取り早く専門性を付加しましょう。専門家同士で業務提携することはビジネス的にも価値があります。連携しておけば、お互いに仕事を回し合うことができるため、収入を安定化させやすくなります。

相続について言うと、書類作成ならもちろん行政書士と連携しましょう。財産に不動産が含まれているときは登記業務の専門家である司法書士に、不動産価格の査定が必要なら不動産鑑定士にお願いします。相続税申告は税理士と連携すると良いでしょう。

FP1級の難易度

FP1級の直近の合格率の推移は以下のようになっています。

FP1級試験結果の推移
試験日 受験者数 合格者数 合格率
2018年9月 7,172名 591名 8.24%
2018年1月 7,455名 1,083名 14.52%
2017年9月 6,526名 680名 10.41%

(一般社団法人 金融財政事情研究会公式HPより)

FP1級には学科試験と実技試験がありますが、今回は学科試験のみで比較することにします。

直近3回はばらつきがありますが、合格率はおよそ10%前後で推移しています。このことから、難易度は高いと言えます。FPは1級から3級までありますが、1級は3級・2級とは段違いに難易度の高い資格です。

行政書士の難易度

行政書士の直近の合格率の推移は以下のようになっています。

行政書士試験結果の推移
試験年 受験者数 合格者数 合格率
平成29年 40,449名 6,360名 15.7%
平成28年 41,053名 4,084名 10.0%
平成27年 44,366名 5,820名 13.1%

(一般社団法人 行政書士試験研究センター公式HPより)

一昔前は10%を切ることが普通の試験でしたが、ここ数年は合格率が上がってきて、10%を超える年が多くなっています。しかし受験者の大半が落ちる試験であることは間違いなく、しっかりとした対策が必要となります。

FP2級、FP3級との相乗効果は?

FPには1級のほかに2級、3級もあります。FP1級と行政書士のダブルライセンスの組み合わせについては、大きな相乗効果があることはわかりますが、他の級についてはどうなのでしょうか。

実際に、FP2級あるいはFP3級を取得した段階で、1級を受けることをやめて行政書士とのダブルライセンスへの移行を考える人はいます。理由の1つとしては、FP1級取得が煩雑であるため、敬遠するところがあるのでしょう。また、ファイナンシャルプランができる知識をある程度身に着けたら、その段階で満足して行政書士に移行するというパターンが考えられます。

FP2級と行政書士のダブルライセンス

FP2級と行政書士のダブルライセンスを考えるケースは2つ考えられます。1つ目は、金融機関や不動産業、あるいは保険関係で働いているFP2級取得者が行政書士を目指すという場合。会社員で働き続けるという前提での取得です。2つ目は、行政書士で開業していて(開業を考えていて)、FP2級を取得するという場合です。

1つ目は、そもそも行政書士が開業を前提とした資格なので、会社員の場合、行政書士の資格を活用できるシーンは少ないでしょう。FP2級は会社内では活用度が大きいですが、行政書士の資格がその活躍の場を広げることはありません。したがって、相乗効果は薄いです。

2つ目は、FP2級という資格そのものよりも勉強する過程で得られたファイナンシャルプランの知識を行政書士の仕事で活かすという意味なら、多少の相乗効果はあるでしょう。しかしFP2級は、金融関係で働く人なら持っていて当たり前、という位置づけの資格なので、名刺に「行政書士&FP2級」と刷っても、仕事の幅が広がるなどのメリットは少ないでしょう。

FP3級と行政書士のダブルライセンス

FP3級と行政書士のダブルライセンスは、資格の前提を考えると、相乗効果を出すことは難しいです。FP3級は、家計管理などプライベートな方面でファイナンシャルプランの知識を生かすための資格です。仕事におけるメリットはないと考えておきましょう。

もちろん行政書士をする人がその知識を家庭に持ち帰って、家族のファイナンシャルプランに役立てるという意味でなら、相乗効果は十分です。

まとめ

FP1級自体が、取得が難しい難関資格であることに加えて、行政書士も取得するというダブルライセンスは、並大抵の決意で達成できるものではありません。しかし実現することができれば、市場で競争優位性を得ることができ、FPとしても、行政書士としても、成功しやすくなるでしょう。

今回取り上げたのは相続という観点での両者の相乗効果ですが、組み合わせ次第でさまざまな活用法が考えられるのがダブルライセンスの魅力です。