FP3級の実技は3種類!試験内容や実技対策について
更新日:2019年3月12日

FP(ファイナンシャルプランナー)3級には、学科試験と実技試験があります。いずれも難易度は高くありませんが、学科試験に比べて実技試験はどう勉強したらいいのかわからないという方も多いかもしれません。
ここでは、3種類あるFP3級実技試験の種類と選び方、勉強方法など、実技試験対策について見ていきましょう。
FP3級の実技は3種類
FP3級の実技試験は、一般社団法人 金融財政事情研究会(きんざい)で2種類、NPO法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)で1種類の、計3種類が用意されています。このうち1つを選んで受験します。
3種類の実技試験では、それぞれで内容が異なります。FP3級の実技試験を受ける際は、この違いを把握し、自分に合ったものを選ぶ必要があります。
実技試験対策用のテキストは、いずれかの実技試験に即した内容となっているため、勉強を始める前にどの実技試験を受けるのか決めておかなければなりません。なぜなら、自分が受けるものとは異なる実技試験のテキストを買ってしまうと、違う対象の勉強をすることになってしまうためです。
その意味でも、最初に実技試験の概要を知っておくことが大切です。
きんざいと日本FP協会、どちらで実技を受ける?
FP3級の試験はきんざいと日本FP協会という、2つの指定試験機関により運営されています。学科試験は同一ですが、実技試験はそれぞれ試験内容が異なります。
双方の団体では、以下の試験が用意されています。
きんざいの実技 | 日本FP協会の実技 |
---|---|
個人資産相談業務 保険顧客資産相談業務 |
資産設計提案業務 |
3種類もある中からどれか1つを選ぶとなると、迷ってしまうかもしれません。しかし、それぞれの特徴を知れば、選択することはそう難しいことではありません。
この際、重要となるのは自分がどの分野を学びたいかということです。それが分かれば、どの分野を選ぶべきなのかがおのずと分かってきます。
個人資産相談業務
学科試験の範囲である金融資産、不動産、相続・贈与、ライフプランニング、年金、タックス(税金)などが幅広く含まれます。お金と暮らしに関わる幅広い知識が問われる試験となっており、学科試験の範囲をほぼそのまま実技試験に落とし込むイメージです。
不動産の売買や相続などは、日常生活で頻繁に行うことはありません。しかし、人生のいずれかのシーンで1度は対処を求められる可能性が高いでしょう。そのため、実技試験の勉強をすることは、そうした際に冷静にかつ賢く判断するため練習にもなります。
また、実際の出来事を想定した内容の問題が出題されるので、「自分の生活にこんなことが起きたらどうしようか?」と自分に問いかけながら勉強することができます。
保険顧客資産相談業務
保険に特化した実技試験です。保険について学びたい、あるいは将来、保険に関わる仕事に就きたいと決めている方は、「保険顧客資産相談業務」を選ぶと良いでしょう。実際に実務で保険に関わる仕事をするためには、FP2級の知識が必要となりますが、そのための地ならしとして有効です。
反対に保険に特に興味がない、あるいはまだ決められないという方には、「保険顧客資産相談業務」以外を選ぶことをおすすめします。「個人資産相談業務」「資産設計提案業務」にも保険の問題は出るため、はっきりと分野を決めていない時には、こちらを一旦勉強しておくというのも1つの方法です。
資産設計提案業務
きんざいの「個人資産相談業務」と同じく、金融資産、不動産、相続・贈与、ライフプランニング、年金、タックス(税金)などが試験範囲に含まれます。そのため、お金と暮らしに関わる幅広い知識を身につけることができます。
基本的には、「資産設計提案業務」は「個人資産相談業務」と似た内容と考えられます。これら2つの実技試験のいずれかを、FP3級受験者の大多数が選択しています。書店で販売されているテキストもこの2つを対象としたものが多いため、勉強がしやすいと言えます。
どの実技がおすすめ?
実技試験は3つのうち、1つを選ぶことになります。特に保険を勉強したいというわけでなければ、「資産設計提案業務」「個人資産相談業務」のいずれかを選ぶのがおすすめです。
そして、「資産設計提案業務」「個人資産相談業務」のどちらを選ぶかですが、勉強のしやすさで言うと、きんざいの「個人資産相談業務」の方がおすすめです。なぜなら、試験機関であるきんざい自体が、実技試験用の教材を出版しているためです。
この教材を使って勉強すれば、実際の問題と傾向が似ているので、試験対策をしやすくなります。なお、「資産設計提案業務」は公式テキストがないので、書店で販売されている一般的な教材で勉強するしかありません。
実技試験選びで重視すべきこと
FP3級の場合、難易度が低いため、公式テキストを使うことにそれほど利点があるとは言えません。一般的なテキストでも、合格するために十分な勉強ができます。重要なのは、自分に合っている試験を選ぶということです。
FP3級の学科試験は、きんざいと日本FP協会で異なる問題が出題されます。問題数も、配点も違います。同じ範囲であっても、製作元によって、自分にとって解きやすい、解きにくいということはあるはずです。
過去問は、公式ホームページから無料でダウンロードできます。ぜひダウンロードして、過去に出題された問題を自分で解いてみてください。そしてどちらが自分に合うのかを確かめてみてください。
FP3級の試験内容
前項では、きんざいと日本FP協会で実技試験に違いがあると述べました。では、具体的にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
学科試験は同一の問題が出題されますが、実技試験は以下のように性質が大きく異なります。
機関 | 時間 | 設問数 | 解答形式 | 満点 |
---|---|---|---|---|
きんざい・日本FP協会 共通 |
90分 | 60問 | CBT方式 | 60点 |
機関 | 時間 | 問題数 | 解答形式 | 満点 |
---|---|---|---|---|
きんざい | 60分 | 5題 | CBT方式 | 50点 |
日本FP協会 | 60分 | 20問 | CBT方式 | 100点 |
上記の表からも分かる通り、問題数、配点に違いがあります。当然、本試験における時間配分や解き方のリズムも、どちらを選ぶかで異なったものを身に着ける必要が出てきます。
したがって、受ける実技試験を決めたら、その指定試験機関の過去問を解いてみて、出題形式に慣れておくことが大切です。
FP3級実技の合格点
きんざいと日本FP協会の実技について、合格点はそれぞれ次のようになっています。
きんざいの合格点 | 日本FP協会の合格点 |
---|---|
30点/50点満点 | 60点/100点満点 |
いずれも、合格のボーダーラインは6割となっています。FP試験は絶対評価で行われるため、この6割を超えていれば、合格できます。
国家試験ではこの「6割ボーダー」というのが定番のため、FP3級の試験ではある程度の対策を取っておくことで、高い確率で合格できると言えます。
FP3級実技の難易度
きんざいと日本FP協会の実技試験は異なりますが、難易度は同じです。しかし試験問題が異なれば、受験者数も異なるので、合格率の数値はそれぞれ違ったものが出ています。最新の結果は以下のようになっています。
試験科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
個人資産相談業務 | 5,082 | 2,828 | 55.64% |
保険顧客資産相談業務 | 9,384 | 4,204 | 44.79% |
合計 | 14,466 | 7,032 | 48.61% |
(一般社団法人金融財政事情研究会公式HPより)
試験科目 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
資産設計提案業務 | 38,531 | 33,351 | 86.56% |
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天