会計記帳代行とは？行政書士の業務をわかりやすく解説

行政書士の業務の1つには、企業の仕訳帳、総勘定元帳、損益計算書、貸借対照表等を作成する、会計記帳に関する業務があります。これらの書類の作成業務は、行政書士法第2条に規定する行政書士の業務の中の「事実証明に関する書類」の作成です。

以下、行政書士による会計記帳代行業務について詳しく紹介していきます。

記帳とは？

まず、「記帳」とは、企業の業務において出入りしたお金について日々各種帳簿を作成し、決算や確定申告の際に必要な損益計算書、貸借対照表等を作成する作業のことをいいます。

記帳の目的は、主に3つあります。

日々きちんと数字の流れを記帳をしておけば、決算期や確定申告、金融機関からの融資の際に慌てることがなく、また、経営者が常にスムーズかつ的確な経営判断をすることが可能であり、結果として会社を発展させていくことが可能です。

そして、「記帳」や「記帳の保存」は個人事業主、法人ともに法律で義務付けられています。

会計記帳代行業務の具体的内容について

会計記帳代行業務の具体的内容としては、依頼者から書類を預かり、パソコンでデータを入力していきます。反対に、行政書士が依頼者企業を訪問して、そこでデータ入力をする場合もあります。

訪問型の方が、何か問題点や改善点があった場合にその場で話し合うことができ、手間が省けるというメリットがあります。通常は、1カ月に1度の頻度で行います。

会計記帳代行業務に必要な書類の例を以下に記載しておきます。

現金出納帳・預金出納帳のコピー 請求書 領収書 買掛金管理票・支払予定表 売掛金管理票 預金通帳のコピー 給与明細書等

会計記帳代行業務を行う際の注意点

会計記帳代行業務を行う際は、ある程度の簿記の知識があった方が良いと思います。そのため、あらかじめ簿記の勉強をしておきましょう。

また、業務の際に気を付けるべきことは、会社の重要な書類を預かるため、その管理は厳重に、慎重に行いましょう。会社の情報が外部に流出したとなると大問題であり、一気に信用を失ってしまいます。

さらに、細かい数字を扱うため、数字の誤りや入力漏れがないように、事務所に2人以上の行政書士がいる場合にはダブルチェックをすること、1人しかいない場合は何度も繰り返し確認することが大切です。

そして、行政書士が取り扱える範囲は、決算書類の作成までであり、確定申告のために計算した事業所得や不動産所得の明細書であるいわゆる「青色申告書」といった税務書類を作成することは、税理士法に抵触するため作成できません。税金の申告に関する具体的なアドバイスもできません。

依頼者がそのことを知らずに行政書士に税務書類の作成や相談までお願いをしてきた場合には、きちんと説明をして税理士を紹介する等の対応をしましょう。

行政書士による会計記帳代行業務の報酬とは？

行政書士による会計記帳代行業務の報酬の相場は、日本行政書士会連合会の統計資料によると平均約130,000円でした。

行政書士の業務は、許認可申請等単発の仕事が多いのですが、会計記帳代行業務は、基本的に顧問業務であり、通常1カ月に1回、行うものであるため、コンスタントに収入が得られることが特徴です。数社の企業が顧問となるだけでも、毎月安定した収入が見込めます。

また、前にも述べたとおり、「記帳」や「記帳の保存」は法律で義務化されているため、どのような会社でも必ず作成しなければならないものです。

会計記帳を第三者に任せたいと考えている会社は少なからず存在し、日々様々な会社が設立されている現代社会において、行政書士による会計記帳代行業務の需要も多くなっていると考えます。そのため、近年注目が集まっている業務の1つです。

まとめ

いかがでしたでしょうか？文系のイメージの強い行政書士ですが、こうした経理関係の理系の仕事も取り扱います。そのため、行政書士はオールマイティーな知識が必要であるということがおわかりいただけたかと思います。

また、会計記帳代行業務では、行政書士が取り扱える範囲に限りがあるため、どこまで依頼を受けることができるのか、きちんと把握しておかなければなりません。

帳簿の付け方がわからず困っているという企業や、より重要な業務に経営資源を注力させたいという企業、経理担当者を雇用すると人件費がかかるということで、経費削減の観点から行政書士に会計記帳代行を依頼したいという企業は増えており、今後ますます需要が多くなる業務だと思います。

地道な作業が多い業務ではありますが、依頼者企業の1構成員として、間接的に会社経営のお手伝いをすることができるため、貴重な業務の1つだと思います。