行政書士試験の民法の勉強法とは?分野別の出題傾向からポイントまで分かりやすく解説

更新日:2024年12月2日

行政書士試験の民法の勉強法とは?分野別の出題傾向からポイントまで分かりやすく解説

民法とは、私人間の生活関係について規律した法律のことをいいます。とても細かい規定まで置かれているため、憲法を勉強してから民法に進むと難しさを感じる方が多く、苦手意識を持つ方が多いジャンルでもあります。

しかし行政書士試験の中では、行政法に次いで出題数が多く、配点も高いのが民法です。そのため民法をしっかり攻略しておくことが行政書士試験の合格には欠かせません。

そこで本記事では、行政書士試験合格の要となる民法について、「総則」「債権」「家族法」「物権」のそれぞれについて勉強方法をご紹介。過去の民法の問題も出しながら、合格のためにおさえるべきポイントを見ていきましょう。

  • 行政書士試験で法令科目が占める割合がとても大きくポイントとなるのが「民法」です。
  • 行政書士の合格の要となる民法は、「総則」「債権」「家族法」「物権」に分類できます。
  • 実際に出題された行政書士試験の民法の問題を見てみましょう。
  • 難関試験と言われる行政書士試験の合格を目指すためにおさえるべきポイントをご紹介します。
目次

民法とは、どんな科目?

行政書士試験は、全60問、300点満点で行われる試験です。そして60問のうち46問を占めているのが「法令科目」と呼ばれる科目で、憲法、基礎法学、民法、行政法、商法・会社法が含まれます。この中でポイントとなるのが「民法」です。

民法とは、私たちの生活関連について規律する基本的な法律のこと。憲法は法律や行政、司法を縛る規律であるのに対して、民法は私人間の権利義務を調整する法律です。そのため非常に細かい規定まで置かれているため、さまざまな解釈の余地が小さいという特徴があります。

憲法を勉強してから民法に進むと、急に難しくなったように感じると思う方が多く、苦手意識を持つ方が多いジャンルでもあります。

行政試験の中でも配点が大きいのに、難しいと感じる人が多いことから、民法は行政試験合格のためのポイントとなる分野なのです。

しかし、「何のための法律なのか?」「なぜこの法律が必要なのか?」といったように、自分の生活に当てはめて考えてみると、身近に感じられたり理解がしやすくなったりします。

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行政書士試験とはどのような試験?

行政書士試験の民法の出題形式と問題事例

行政書士試験で出題される民法の出題数と配点は次の通りです。行政書士試験は全60問、300点満点ですから、民法が占める割合がとても大きいことがわかるでしょう。

民法の出題数……5肢択一:9問、記述式:2問
配点………………76点
重要度……………☆☆☆☆
難易度……………☆☆☆☆

また、過去に出題された問題の一例を挙げてみましょう。以下のように、本文で状況設定がされ、それに条文を当てはめて考えさせる問題が多いです。

【試験問題】

共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

※平成29年度 民法の問題本文より

行政書士試験における民法の攻略法

行政書士の合格の要となる民法。民法は、大きく分けると「総則」「債権」「家族法」「物権」に分類できます。

民法でしっかりと正しい回答を行って得点を重ねていくためには、それぞれどんな風に勉強していけばいいでしょうか?

総則の勉強方法

総則とは、物権や債権のように財産法にも共通する内容です。物権と債権等に特別な定めがないものは総則が適用されることから、民法全体に関連する分野です。

行政書士試験で出題される総則は、5肢択一式で2問出題されます。5肢択一式であり問題数が少ないことから軽視されやすいかもしれませんが、行政書士試験では1問の間違いが合格と不合格のボーダーラインになることも珍しくありません。5肢択一式であることから、しっかり得点しておきたい分野でもあります。

勉強方法としては、制限行為能力者制度と代理について、意思表示や時効をしっかり覚えておくこと。専門用語や新しい概念がたくさん出てきますが、繰り返し勉強することで少しずつ理解できるようになっていくでしょう。

債権の勉強方法

債権とは、特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利のこと。民法では、人が他人に対して一定の行為を要求する権利を債権といいます。行政書士試験で出題される債権は4問で、民法として出題される9問のうち、一番大きなウェイトを占めます。

債権の分野は、さらに「契約」「事務管理」「不当利得」「不法行為」に分けられます。勉強するときは、自分がどの分野を勉強しているのか見失わず、ときどき確認するのがおすすめです。

自分の立ち位置を確認しながら勉強することで、効率的に勉強しやすくなるでしょう。 また、「契約」の分野では、売買契約や賃貸借契約、債務不履行といった部分を重点的に学びましょう。債権の分野では、条文を繰り返し確認することが理解をより進めてくれることになります。

家族法の勉強方法

家族法は、家族や親族間での争いが生じたときにその解決方法を規律したものです。例えば、婚姻、養子縁組、相続などを取り扱います。行政書士試験で出題される家族法は、5肢択一式で1問出題されます。問題数が1問しかないとはいえ、この一問が合否を分けることにもなりかねません。

暗記して対応できる分野とも言えるため、しっかり得点できるように目指しましょう。具体的には、相続人、相続分、遺言、遺留分などがよく出題される傾向にあります。

相続については相続説明図や事例を用いて学習し、暗記できる部分はしっかりと暗記していきましょう。暗記で対応できる部分は、試験の数か月前の直前期に集中して勉強するのがおすすめです。

物権の勉強方法

物権法は、動産、不動産などの「物」との関係を定めた法律で、不動産の所有権、抵当権などは特に頻出する分野です。行政書士試験で出題される物権法は、再建法とあわせて2問で、5肢択一式です。

所有権、抵当権などの物権の意味と効力をよく理解して、その権利が変動することで、私たちの日常生活にどのような影響を及ぼすのかをおさえておくといいでしょう。

行政書士試験の民法の勉強法とは?分野別の出題傾向からポイントまで分かりやすく解説

行政書士民法を実際に解いてみよう

具体的に、実際に出題された行政書士試験の民法の問題を見てみましょう。

【問題】

共同事業を営むAとBは、Cから事業資金の融資を受けるに際して、共に弁済期を1年後としてCに対し連帯して1,000万円の貸金債務(以下「本件貸金債務」という。)を負担した(負担部分は2分の1ずつとする。)。この事実を前提とする次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、妥当でないものはどれか。

※平成29年度 民法の問題本文より

この出題文のポイントは、「連帯保証債務」と「弁済期間が1年」「負担部分は2分の1ずつ」です。

【肢の1】

本件貸金債務につき、融資を受けるに際してAが要素の錯誤に陥っており、錯誤に基づく無効を主張してこれが認められた場合であっても、これによってBが債務を免れることはない。

まず問題で連帯保証債務のことを抑え、これは連帯債務の相対効について聞いている質問であるとわかれば、決して難しくないでしょう。

つまり、帯保証債務に関する条文を適用するということがわかって、さらに相対効が原則の場面なのか、例外の場面なのかを肢に当てはめて判断する必要があります。

行政書士試験に合格するためのポイント

難関試験と言われる行政書士試験。合格を目指すためには、どんなポイントをおさえておけばいいでしょうか?

まずは試験勉強のスケジュールの立て方です。例えば6か月で合格を目指すなら、各月で勉強する分野を割り振り、さらにその月ごとに細かく予定を落とし込んでいきましょう。大切なのは試験日から逆算してスケジュールを立てることです。

また勉強時間を「捻出する」ことも大切。仕事や家事・育児で「勉強する時間がない」という方が多いと思いますが、時間は「作る」ものと考えましょう。会社員なら通勤時間を有効に使ったり、テレビを見ないでその時間を勉強時間にあてたり、小さな努力を積み重ねるといいでしょう。

また勉強するときは、科目ごとにノートを用意するのがおすすめです。勉強をはじめたばかりでは、わからないことが山のように出てくるので、科目ごとにノートをまとめて、自分で読み貸せるといいです。

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行政書士の最短合格なら通信講座がベスト

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また、サポート体制が充実していることも通信講座の特徴です。市販のテキストで独学で勉強すると、疑問点が出たときも自力で調べなければいけません。でも通信講座なら、質問対応など、学習中のサポート体制が充実しています。不明点をそのまま放置することなく、安心して勉強に取り組むことができます。

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民法を攻略して行政書士試験合格を目指そう

民法は、法律関連の勉強をはじめて行う人にとってかなり複雑で難しく感じられる分野です。しかし行政書士試験では大きな配点を占めている分野でもあります。

1問のミスが合否につながる可能性もあると言われる行政試験。確実に合格に近づくためには、民法の攻略が欠かせません。この記事でご紹介した民法の出題内容と対策をチェックして、行政書士試験の合格を目指していきませんか?

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この記事の監修者は
北川えり子(きたがわ えりこ)

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【出身】東京都
【経歴】拓殖大学外国語学部卒。行政書士、海事代理士、宅建等の資格を保有。
【趣味】旅行、ドライブ
【座右の銘】雲外蒼天
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「行政書士への道」

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