行政書士のもしもの保険「賠償責任補償制度」とは?

行政書士のもしもの保険「賠償責任補償制度」とは?

行政書士のもしもの保険「賠償責任補償制度」とは?
目次

もしもの時のための保険「賠償責任補償制度」

行政書士、特に独立開業している行政書士なら、もしものときの備えが大事です。もしもとは、例えば仕事で損害を出したときや、働けなくなったときのことです。

行政書士の扱う仕事は様々で、中にはその結果次第でお客様が大きな損害を被るような仕事もあります。期待していた許可が取れなければ、設備投資などが全くの無駄になってしまうこともあるでしょう。

また、出張封印と言って、出張して車のナンバーを取り換える仕事があるのですが、うっかり車体に傷を付けてしまうこともないとは言えません。人間なので、全く失敗をしないということはないでしょう。

病気やけがで働けなくなれば、収入は0円になってしまいます。会社員と違って休んでいてもお給料が出るようなことはない上、失業保険もありません。どんなに体が丈夫でも、不意の事故に巻き込まれることもあります。

このような"もしも"の時にどうそなえるべきか。
今回は行政書士だから考えたい、もしもの時の保険についてまとめます。

賠償責任補償制度とは

保険が無ければ、多額の借金を背負うこともある!

許認可を扱う行政書士は、ときにお客様に大きな損害を与えてしまうことがあります。事前に相談されて「許可が取れる」という見込みで事業が動き出した後、「実は許可がとれなかった」となった場合、それまでの投資は全くの無駄になります。準備期間が長ければ長いほど、損害は膨らんでいくでしょう。

そうなったとき、実際の損害を賠償しなければならないこともあります。しかし、仮に数百万円、数千万円の損害を個人の行政書士が賠償できるでしょうか。それはかなり難しいと思います。

そこで助けになるのが、損害賠償補償制度です。また、行政書士向けの保険として、行政書士賠償責任保険というものがあります。この保険に入っていれば、一定範囲までの賠償金が補償されます。

損害賠償事例

どのような損害賠償事例があるか、行政書士賠償責任保険のパンフレットから抜粋して事例と支払保険金額の一部をご紹介します。

許可が取れなかったケース

風俗営業許可申請において、事前調査の判断誤りのため許可が取れなかった。
支払保険金額:3,400万円

書類作成の誤り

入札参加資格登録申請書の作成誤りにより、顧客に損を与えた。
支払保険金額:1,300万円

手続きの失念

  • 建設業許可申請の期限を失念して、許可を失効させた。
    支払保険金額:1,000万円
  • 入札参加資格登録審査申請書提出を失念して、入札に参加できなくなった。
    支払保険金額:900万円

このように、賠償金額は多額になることもあるので、日ごろからもしもに備えて保険に加入しておくことが大事です。

どんな場合に損害賠償が必要か

どんな場合に損害賠償が必要か

損害を与えれば、損害賠償の責任がある

どんな場合に損害賠償が必要かは、顧客との話し合いによります。基本的に、行政書士がその職務上の行為で損害を与えたのであれば、行政書士として損害賠償の責任があります。

ただし、どんな場合でも保険がサポートしてくれるわけではありません。例えば、

  • 犯罪や法令違反があったとき
  • 顧客に損害を与えることを予見しながらその行為を行ったとき
  • 仕事の結果を保証したことで加重された責任
  • 保険加入前に、賠償責任があることが分かっていた場合
  • 許認可の可否を保証したために生じた責任

などは、保証されません。だからと言って、損害が発生していれば損害賠償の責任があります。その場合は、行政書士が自分自身の責任で賠償金を払っていくことになります。

ミスをしないという意識はもちろんのこと、安易に保証したり安請け合いしたりせず、常に慎重に仕事に当たることが大事です。

許認可業務が多い行政書士の場合

許認可業務が多い行政書士は、特に損害賠償に注意が必要な場面が多くあります。許認可の場合、申請してみないと許可されるか不許可になるかわからないということは多くありません。

許可要件は公表されているので、事前にその要件を満たしているかの確認も含めて、申請の準備をします。もちろん、お客様は専門知識が無いので、行政書士が判断して進めて行くのですが、ここでミスがあると取れるはずの許可が取れない事があります。

そのような場合には、損害賠償責任が発生する事もあります。特に怖いのが風俗営業許可関係で、パチンコ店など大きな設備投資と長い準備期間が必要な案件だと、「今更許可が取れないと言われても既に建物を建ててしまっているのに!」ということになりかねません。
この場合、数千万円~一億円以上の損害賠償が発生してもおかしくありません。

また、出張封印(出張して車のナンバーを取り換える仕事)は、うっかり車体を傷つけてしまったり、取り付けが不十分で第三者に怪我をさせたりすることもあります。そういった場合も保険がきくので、許認可や出張封印が多い行政書士は損害賠償保険に入っておくべきでしょう。

成年後見等が多い行政書士の場合

成年後見とは、認知症などにより判断能力が無くなった人をサポートする仕事です。サポートされる人のことを被後見人といいます。後見人は、被後見人の財産を管理し、日常生活に必要な金額を銀行から下ろして渡すことがあります。

被後見人と接する中で、時には怪我をさせてしまったり、過失で家財などを壊してしまったりすることもあるでしょう。預かっていた印鑑と通帳を落として、第三者に引き出されてしまうことがあるかもしれません。そんなときには、業務過誤賠償責任保険成年後見特約に入っていれば保証されます。

ただし、後見人が被後見人の財産を着服したようなケースは補償の対象外です。

損害賠償保険の費用

損害賠償保険の費用

2万円程度で大きな安心

行政書士用損害賠償保険の費用は、補償限度額によって次のように異なります。

補償限度額 自己負担額 年間保険料
1請求 保険期間中 行政書士1名 補助者等追加1名
1億円 3億円 10万円 20,600円 2,700円
5,000万円 1.5億円 10万円 17,500円 2,300円
3,000万円 9,000万円 10万円 15,500円 2,000円
500万円 1,500万円 10万円 5,000円 650円

上記が基本料金で、出張封印の保証はオプションになります。
ちなみに、オプション料金は年間受任台数100台までが9,000円、101台~1000台までが12,000円です。

さらに、希望すれば情報漏えい担保特約も付けられます。保険料は年間13,000円~21,000円です。
基本の保険料であれば、約2万円で年間3億円までが補償されます。少額で大きな安心が手に入ると思って、保険に入っておくのが良いでしょう。

働けなくなった時の保険

備えが無ければ収入は0円に!

開業している行政書士が気をつけたいのは、怪我や病気で働けなくなった時の備えです。
個人事業主だと雇用保険や労災がないので、突然収入が0円になってしまいます。働けない間の収入や、入院・手術に対する備えとして、各種保険を活用しましょう。

それに加えて、一家の大黒柱であれば生命保病気・怪我の保険険も検討しておきましょう。自分のライフステージに合った保険を選ぶよう、FPなどに相談すると良いでしょう。

所得補償の保険

長期間働けなくなったときに、一定額の保険金を受け取れるものに「所得補償保険」があります。行政書士向けの所得補償保険もありますが、様々な保険会社からいくつか商品が出ているので、

  • 保険料
  • 保険金が支払われる期間、条件

などをよく比べてみてから選ぶと良いでしょう。
多くの場合、毎月一定額がお給料の様に支払われるので、働けない間の生活費の不安を解消してくれます。

保険会社によって保険料は異なりますが、一例として、月々20万円を受け取れる保険で保険料は月額約5,000円です。
ただし、掛け捨てなので保険料を受け取ることが無ければ損をする事になります。保険より貯蓄で備える、という考え方もあるでしょう。

病気・怪我の保険

病気やけがで入院や手術をした際の保険も重要です。入院している間は仕事ができないので、収入が減ってしまいます。その上通院などの費用もかかるので、自営業者だと途端に経営が苦しくなってしまいます。

掛け捨てタイプの入院保険だと、安いもので保険料は月々3,000円前後です。(年齢や性別により異なります)
掛け捨てをもったいないと感じる人は、貯蓄型の保険がお奨めですが、保険料は掛け捨てより高くなります。
貯金ができない人は、貯蓄型の保険を貯金代わりにしてみるのも良いかもしれません。
いずれにしても、何らかの備えをしておくことが大事です。

行政書士には定年がありません。しかし、年をとればとるほど病気やけがのリスクは増します。年を取ってから保険に入るとその分保険料が高額になるので、安く入れる若いころに一度しっかり考えておいた方が良いでしょう。

まとめ

行政書士は自由な働き方ができますが、その裏には自己責任が付いてきます。もしもの時の備えを怠っていると、ある日突然大変な目に合うかもしれません。安心のための費用も、きちんと見積もっておくべきです。