会社を支える大切な仕組み!「組織構造」とは

「組織構造」とは

もし会社に組織が無かったらどうなってしまうのでしょうか?

組織が無いと誰が誰の命令で動くのか、誰が誰の評価をするのかということが分からなくなってしまいます。その結果、現場に混乱が生じ、業務をスムーズに進めることが難しくなってしまうのです。そのために必要なのが組織であり、今回解説する「組織構造」です。

一言で組織といっても、その構造や形態は様々で、会社ごとに異なります。今回は組織の主な役割や種類、メリット、デメリットなどを中心に解説していきます。

目次

「組織構造」と中小企業診断士の関わり

「組織構造」は1次試験の企業経営理論の組織論に登場します。また2次試験の事例Ⅰは人事・組織の事例に関する試験であり、その知識を活用し、解答を導き出さなければなりません。

実務においても企業がどういった「組織構造」で運営されているかを見ることは、企業の内部をより詳しく知るために大切です。

中小企業診断士として活動するにあたって「組織構造」を理解することは重要であり、必要な知識のひとつです。

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組織の基本形

「組織構造」の前に組織の基本形について見ていきましょう。基本の形は大きく分けて3つあります。

①ライン組織

「ライン組織」はトップの指揮命令によって動く組織形態です。ピラミッド型の構造をしており、上から順番に命令がおりてくる仕組みになっています。

この組織形態はトップに権限が集中しています。各部門のトップが直接指示や命令を出すのが特徴です。

②ライン&スタッフ組織

「ライン&スタッフ組織」はライン組織にトップの業務を助けるためのスタッフ部門を設けた組織形態です。会社によって異なりますが経営企画や人事、法務、広報などは経営トップの業務を支える機能といえるでしょう。これらのスタッフ部門を設けることで、トップに対して部門ごとに助言、補佐を行うことができます。

スタッフ部門を設けることで、トップの負担を軽減することが目的です。しかし、スタッフの権限が大きくなりすぎたり、スタッフの肥大化で仕事の効率が下がったりする可能性もあります。

会社の規模が小さい場合は人事や広報はトップが兼任しているケースが多いですが、会社の規模が大きくなるにつれて必要となってくるでしょう。

③ファンクショナル組織

ファンクショナル組織は複数の管理者が部下に対してそれぞれ異なる指示命令を出して組織を運営する形態をいいます。この時、管理者が持っている権限を「ファンクショナル権限」といいます。この権限により、管理者は自分の専門分野についてのみ部下に指示を出すのです。

この形態では専門の人がそれぞれの仕事について指示命令ができるので、専門能力の活用と育成が可能になります。また複数の上司が指示を出すことにより管理者の負担も軽減します。

しかし、複数の上司から指示命令を受けるので混乱が生じやすく、規律や秩序が維持されにくいという懸念もあります。

「組織構造」の種類とメリット・デメリット

前項の組織の基本形を踏まえた上で「組織構造」についてさらに詳しく見ていきましょう。

「組織構造」は経営戦略と強い結びつきをもっています。経営戦略は市場の動きや顧客の要望によって変わっていくものです。戦略が変わると、また新しい課題が生まれます。その課題を解決するためにはそれに適した「組織構造」というものが必要です。

以下、代表的な「組織構造」の種類とそのメリット・デメリットについて説明していきます。

①機能別組織

機能別組織は個々の機能を単位化した組織形態です。企業には営業部や製造部、経理部、人事部などの部門があります。部門名にそれぞれの機能が表示されているので、それを見れば何の仕事をする部門なのかすぐに分かります。この形態は急激な外部環境変化が少なく、組織の効率性・専門性を高めることが成功要因になり、かつ事業形態が単純な事業に適しています。

機能別組織のメリットは組織ごとの専門性の向上や業務の効率性が高まる点です。同じ仕事をするスタッフが1つの組織内に集結することで、各担当者の持つ知識やスキルを共有することが可能になります。その結果、他のスタッフの専門性も高まるのです。

デメリットは部門ごとの利益を追い求めがちになる点です。自分の担当する領域に特化してしまい、幅広い視点から総合的な判断を下すことのできる人材が育ちにくくなる可能性があります。

その結果、組織や部門間での情報共有や円滑なコミュニケーションが滞り、トラブルに発展することもあります。トップ同士が部門間の調整などを行っていると最終的な意思決定が遅くなり、業務が進みません。さらには市場の変化や顧客ニーズへの対応への遅れに繋がることも懸念されます。

②事業部制組織

事業部制組織は会社の中で、製品別あるいは顧客別に事業単位を区切った組織形態です。

顧客や製品の特性、ビジネスの仕組みが異なる事業を複数運営するのに適した組織です。事業部は製品、サービス、地域、顧客などの基準で編成され、大幅な権限が委譲されていることが特徴です。

事業部制組織のメリットは分権化されていることにより、事業ごとの責任が明確になることです。これにより問題が発生した場合、解決するための対応を迅速に行うことが可能になります。

また事業部長に大きな権限が委譲されているため、意思決定プロセスが簡素化され、意思決定が容易となります。このように管理職が早い段階から幅広い意思決定を任されているので、マネジメント・スキルをもった人材を育てることが出来ます。

デメリットは事業部門間の垣根が高くなり、協働が難しくなる点です。また事業部門間で経営資源の配分がしにくいため、経営資源をめぐって社内競争が発生する可能性もあります。さらに各事業部が経営機能を重複して持つため、経営資源面に無駄が生じることもあります。

これらを解消するため各事業部を統括する本社機能(本部機能)があります。本社機能では、各事業部の業績評価や企業全体の戦略コーディネートといった全社統括機能に加えて、研究開発、法務、財務といった専門職能機能を担うこともあります。

③カンパニー制組織

カンパニー制組織とは事業部制組織の独立性をさらに高めた組織形態です。各事業部を独立会社として扱います。事業成果が明確で、責任も重い高度の分化制度です。

社内の本社機能の下に会社をおく社内カンパニー制と、本社機能が各事業会社の株式を保有し、各事業会社のコントロールに専念する持ち株会社制があります。

カンパニー制組織のメリットは意思決定と実行が迅速に行える点です。これにより、組織の活性化と利益を意識した経営が可能になります。また将来のトップを育成しやすくなります。

デメリットはそれぞれの事業部の独立性が強すぎるため、全社的な統一が図りにくい点です。また全社で共有する方が望ましい経営資源が分散し、全体の資本効率が悪くなる可能性もあります。

それぞれの事業部の発言力が強すぎて、本社のコントロールが効かなくなった結果、事業間のシナジーの追及や事業再編が困難になることも懸念されます。

これらを解消するために本社機能は全体最適の視点でリソースを再配分するなどして、経営資源の合理化や効率化を図ることが求められます。

④マトリックス組織

マトリックス組織は機能別組織と事業部制組織のメリットを同時に実現することを目的とした組織形態です。

一般の組織が機能別、事業別、地域別などの1つの基準で編成されるのに対し、マトリックス組織は2つの基準を組み合わせて編成します。縦軸と横軸の指示命令系統ができることから、数学用語の「マトリックス(行列)」になぞらえてマトリックス組織と呼ばれています。

メリットは機能別組織の特徴である専門性と事業部制組織の特徴である権限の分権を両立できる点です。人的資源や情報の共有が可能になることで情報処理が迅速化し、課題に柔軟に対応することができます。

デメリットは1人の社員が事業別組織と機能別組織の2人の上司から指示命令を受けることにより、組織内にコンフリクトが発生しやすい点です。二重に指示命令が出されることで、その調整や対立の解消に時間を取られ、結果的に意思決定や戦略実行が遅くなる可能性が出てきます。

このような場合、2人の上司のうちどちらかに強い権限・責任を与えるという方法で解決を図ることもあります。

⑤プロジェクト組織

プロジェクト組織は特定のプロジェクト専門のチームを作り、各々のプロジェクトで独立して事業を動かしていく組織形態です。プロジェクト内のマネジメントはプロジェクトマネージャーが責任を持って行います。また各プロジェクトのメンバーは定まったポジションはなく、プロジェクトが終了すれば別のプロジェクトに所属します。

プロジェクトごとにメンバーを招集し、活動も期限付きです。そのため必要なスキルを有する社員を各部署から集めやすいという点が最大のメリットです。担当プロジェクトごとに目的と責任が明確なので、チーム内に一体感が生まれやすく、顧客からの要望やイレギュラーな事態にも迅速かつ柔軟に対応しやすくなります。

それぞれのプロジェクトごとに活動するため、情報共有が難しく、他プロジェクトメンバーとコミュニケーションが少なくなりやすいのがデメリットです。

⑥社内ベンチャー組織

社内ベンチャー組織はあたかも独立企業のように新規事業を実施する部門や組織を作り、その自主的な新事業創造の活動を本社がバックアップしていく組織形態です。

硬直化した企業内において、未経験の新分野へ挑戦したり、新技術の製品化の実行をはかったりすることは硬化へ不満をもった人材の流出を食い止める効果もあります。

メリットは莫大な資金援助です。普通のサラリーマンが資金を用意することは大変ですが、企業の経済基盤を活かせば、ベンチャー企業の資本金として数千万円~数億円を用意するのは簡単なことです。銀行から借りずに利息もなく莫大な金額を用意できるというわけです。

また企業名を使用できるのも大きなメリットです。新規事業のバックに信頼できる企業が付いているということはそれだけで顧客や取引先に安心感を与えます。

デメリットは企業側から短期間で成果を上げることを期待されるという点です。のんびりしていると他の企業に先を越されてしまう可能性があります。経済的に支援したのだから、と成果を早く求められてしまう場合があります。

また成功率の低さもデメリットの一つです。会社側からは早急に成果を出すことを求められますが、新規事業とはそう簡単にできるものではありません。

会社から急かされ開発スピードを上げた結果、無理が重なりベンチャーとして成り立たなくなることもあります。さらに斬新なアイディアが出なかったり、経験豊富で新規事業を積極的に進められる人が少なかったりするとますます滞る可能性があります。

⑦ネットワーク組織

ネットワーク組織は特定のリーダーや上司を作らず、チームの皆でアイディアを出し合って一つの仕事をこなしていく組織形態です。

ITを駆使した情報の創造開発と交流を目的とし、お互い緩やかな提携関係を結ぶ新たな組織の在り方であり、今後さらに注目されていくでしょう。

ネットワーク組織には権限を持つリーダーがいません。仮にリーダーを設けたとしても、指揮の役割や命令権といったものはほとんどありません。個人も各部署もある程度独立した形態を取ります。

それぞれ独立した個人や各部署が必要なときに集まって、役職や部署などを飛び越えて一つの目的を達成するためのチームを組むという仕組みです。

メリットは自由に意見が言いやすく、お互いの立場を気にせずに仕事ができる点です。自分たちで全ての作業を行うので融通が効き、トラブルや緊急対応に対しても柔軟な対応が可能になります。

デメリットはリーダーや上司がいないため、責任の所在や権限が不明確になってしまう点です。各個人の判断による自律的な行動が必要とされるため、最低限のルールや秩序を設けないと組織がバラバラになってしまう場合があります。

組織としての秩序とある程度の自由度、自律性のバランスを保つことが組織を上手く運営するポイントといえそうです。

まとめ

組織の基本形や組織構造について見てきました。

それぞれの組織には必ずメリット、デメリットが存在します。それ故に完璧な組織というものはありません。企業にとって最適な組織構造は、その企業の業務内容や構成するメンバーの人員数や経営戦略によって変わってきます。

どのような組織構造にすれば各個人の能力を引き出してより効率的に経営戦略を実現できるのか、それは企業にとって大きな課題です。

中小企業診断士としてより良い組織運営をするための助言、提言を行うために今後も勉強を続け、常に新しい情報に触れておくことも大切です。

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