行政書士試験「一般知識」とは?おすすめの勉強法!
更新日:2019年3月25日
一般知識は、行政書士試験独特の科目です。通常、法律系資格の試験科目は全て法的知識を問うものです。一般知識は、一部法令科目も含まれますが、主には行政書士として身に着けておくべきその他の知識についての出題です。言ってみれば、一般常識の問題です。
しかし一般常識だからと言って、簡単な問題というわけではありません。時事問題も多く出題されるので、過去問では対策が不十分な科目もあります。法令科目の勉強をしながら、時事問題もマークするのは簡単なことではありません。
さらに一般知識で最低4割得点できないと、法令科目が満点でも合格できないため、捨てることもできません。4割というと簡単に思えるかもしれませんが、実際は多くの受験生が一般知識で足切りにあっています。一般知識対策は、法令科目対策に劣らず重要なのです。
一般知識の「足切り」とは?
ここが一般知識の最も怖いところ
前述のとおり、一般知識で4割以上取れないと、法令科目が満点でも合格できません。これを、「足切り」と呼んでいます。
一般知識の出題数は14問で、全て5肢択一です。配点は56点です。その4割なので、最低6問24点取れないと足切りにあってしまいます。最初に一般知識が採点され、足切りにあうと法令科目は採点されません。それまでの努力が水の泡です。
行政書士試験のメインは法令科目ですが、一般知識対策もしっかり行なっておかないと足切りで涙を見ることになってしまいます。一般知識問題にも、法令科目と同じで点の取りやすい問題、取りにくい問題があるので、取りやすい問題で6問獲得することを目標にすると良いでしょう。もちろん、一般知識で高得点が取れればそれだけ合格点に近づくので、できるだけ得点できるのが望ましいですが、時間が限られた中での勉強なので効率よくやることも大事です。
一般知識とは、どんな科目?
政治・経済・社会が強敵
一般知識として出題されるのは次の3つの科目です。
- 政治・経済・社会
- 個人情報保護・情報通信
- 文章理解
政治・経済・社会がもっとも出題数が多く、7問前後出題されます。次に個人情報保護・情報通信が4問前後です。文章理解は毎年3問出題されます。
このなかで、政治・経済・社会は最も時事問題が出されやすく、対策が立てにくい問題です。なぜなら、時事問題だと過去問が役に立たないからです。
それぞれ出題傾向をざっと掴んで、その対策を立てることが重要です。もう少し具体的に、各科目の内容を見てみましょう。
(1)政治・経済・社会
最も時事問題的な科目で、社会科のようなイメージです。日頃から新聞やニュースで話題を拾っておくことが対策になります。
ただし、何となく聞いたことがある程度では太刀打ちできない問題も多く、経緯や歴史的背景までしっかりと覚えておく必要があります。
日本国内の問題だけでなく、世界中が出題範囲です。たとえば、一時期はEUについての出題が毎年出ていました。EUの成り立ち(第1期からの加盟国を答えさせるなど)や、通貨など、聞いたことはあるけど詳しくは知らない、というようなところが出題されていました。
(2)情報通信・個人情報保護
一般知識の中では比較的点が取りやすい科目です。特に個人情報保護は個人情報保護法からの出題なので、法令科目と同じような勉強で対策ができます。
情報通信は、暗号化技術、電子署名、行政手続きのオンライン化、不正アクセス禁止法など、情報通信とその周辺の法律等について出題されます。LTEや4Gなど、情報通信用語についてもよく出題されます。用語については最新の用語が出題されるので、新聞やテレビでの情報収集が役立ちます。
(3)文章理解
大学入試の現代国語のような問題です。長文を読んでその論旨に合う選択肢を選ばせる問題、穴埋め、並び替え(バラバラにした文章を並び替えて一つの文章にする)の3問が出題されます。レベルは大学受験程度です。
現代文なので、難しいことはありません。誰にでも比較的取り組みやすい科目だと思います。ただし、文章理解は3問全部とれないと足切りの危機です。唯一出題形式が固まっていて、確実に毎年出題される問題なので、落とすことは許されません。
一般知識の勉強法
文章理解で3問、個人情報保護・情報通信で2問を確実に
一般知識で6問取ることを最低限の目標にして、文章理解で3問、個人情報保護・情報通信で2問、残りを政治・経済・社会から取るようにしましょう。
最も点が取りやすいのが文章理解なので、ここは全問正解を目指してください。具体的な勉強方法は後述しますが、文章理解で3問取れれば後がかなり楽になります。次に点が取りやすいのが個人情報保護なので、文章理解と個人情報保護を重点的に勉強しましょう。
政治・経済・社会は、捨てるわけにはいきませんが点が取りにくい科目なので、そのほかの科目で確実に5問は取っておくことを目指してください。
(1)政治・経済・社会の勉強法
高校の社会科のような科目です。思い出してみれば、社会科は暗記がメインの勉強だったと思います。分厚い教科書を1年かけて暗記しましたね。行政書士試験であれをやろうというのは無理があります。
この中でも、政治と経済は比較的過去問での対策ができるので、過去問を一通りマスターしておくのは必須です。社会に関しては、新聞やニュースでマメにチェックするしかありません。時間があるなら、新聞をスクラップするなどして対策ノートを作るのも良いでしょう。試験半年くらい前からコツコツ始めることをお勧めします。
しかし、時事問題は点が取れればラッキーくらいに考えて、過去問で対策できる部分に力を入れるのが得策です。政治、経済の用語は最低限過去問に出てきた分は覚えておきましょう。
(2)個人情報保護・情報通信の勉強法
個人情報保護は、過去問での演習が最も効率的な対策になります。徹底的に過去問をやり込みましょう。個人情報保護の問題は全問正解できるくらいの気持ちで取り組むことが大事です。
ただし出題範囲が狭く、重要論点が頻出なので細かいところまで聞いてくる場合もあります。ただ過去問が解けるだけでなく、条文にも丁寧にあたっておくと良いでしょう。
情報通信は、過去問に出てくる問題を基本に、最新の用語に注意をするようにしてください。ニュースや新聞が参考になります。何故か暗号化については頻出なので、過去問で確認しておきましょう。
(3)文章理解の勉強法
毎年必ず3問出題され、出題形式も固まっているので最も対策が取りやすい科目です。3問すべて必ず取りましょう。文章理解は問題文が長いので、本試験では一般知識問題の中で真っ先に取り掛かりましょう。取れる問題を時間切れで逃すわけにはいかないからです。
対策としては、過去問が最も効率的です。他にも教材を求めるなら、大学受験の赤本など、現代文の問題なら何でも使えます。高校生向けの受験テクニックも参考になるので、予備校の動画を探してみるのも良いかもしれません。
現代文だからといって、甘く見て対策しないと予想以上に難しいので、過去問で慣れておくことが大事です。受験テクニックで解ける問題なので、過去問演習を徹底的にやることが即得点に結びつきます。
足切りにあわないための対策
優先順位をつけて点を取っていく
一般知識で6問取れなければ足切りにあってしまいますが、どの科目から6問とってもよいので、取りやすい科目を優先的に勉強することが大事です。繰り返しになりますが、最重要科目は文章理解です。やればやるほど、誰でも点が取れるからです。
そして、本試験でもその優先順位に沿って問題を解き始めましょう。まず、法令問題よりも先に一般知識から始めます。その中でも、
文章理解
↓
個人情報保護・情報通信
↓
政治・経済・社会
の順で解いていきます。点が取れるところにより時間をかけるためです。
政治・経済・社会は、得点の底上げで、「取れるだけ取る」という意識で臨みましょう。全部で6問取れればよいので、あまり深入りする必要はありません。8問9問取れると、全体の得点を底上げしてくれて、気が楽になるでしょう。6問を死守、9問目標。くらいの感覚で臨めば問題ありません。
まとめ
一般知識問題は、満点を狙う必要はありません。6問を死守して、できれば9問くらい取れると総合点を底上げしてくれて、気が楽でしょう。どんな科目も、意識をどこに向けて勉強するかが重要です。一般知識で最も大事なのは「足切りにあわない」ということです。
それぞれ使える時間に合わせて、できることを確実にやっていきましょう。
北川えり子(きたがわ えりこ)
学びの楽しさをシェアしたい
【出身】東京都
【経歴】拓殖大学外国語学部卒。行政書士、海事代理士、宅建等の資格を保有。
【趣味】旅行、ドライブ
【座右の銘】雲外蒼天
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