「MBO」「EBO」「MBI」について解説!
更新日:2020年5月19日
「MBO」や「EBO」そして「MBI」はM&Aの手法としてよく取り上げられます。経済について勉強している人にとってお馴染みの経済用語かもしれませんね。今回はこれらの違いやメリットについて詳しく見ていくことにしましょう。
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「MBO」とは?
「MBO」はM&Aの手法のひとつで「Management Buy Out」の頭文字を省略したものです。
経営陣がオーナー社長や親会社から自社株式を買い取り、経営権を獲得することをいいます。一般的には経営陣や役員、従業員らが株主から株式を買い取る形で「MBO」を行い、経営権を引き継ぎます。
「MBO」のメリット・デメリット
事業承継や上場廃止目的など様々な場面で有効活用される「MBO」は従業員からの理解を得やすく、進めやすい手法のひとつです。では具体的にどんな効果をもたらすのでしょうか。
次にメリット、デメリットを見ていきましょう。
①「MBO」のメリット
株主が分散している会社が「MBO」を行うと長期的な経営が可能となるメリットがあります。
株主は自身の利益を最優先するため、成長性を無視した短絡的な要求をする傾向にあります。株主が多い企業ほどその要求は増えます。企業もその期待に応えるべく奮闘し、その結果、長期的な経営が難しくなっていることがあるのです。
「MBO」によって所有と経営を一致させ、その課題を解決するのです。このような場合、会社の今後の成長を考えると「MBO」を行うことは大きなメリットといえます。
自社株式を経営陣が保有することによって、意思決定が迅速になることもメリットのひとつです。
株主が分散していると承認を得るために多くの時間を要します。しかし「MBO」後は経営権が集中するので、迅速な意思決定をすることが可能になるのです。経営者自身の意向で自由かつ迅速な意思決定をしたい場合に有効です。
従業員の理解を得やすいのもメリットのひとつです。
第三者に買収された場合、経営陣が一新するため従業員の不満が生まれやすくなります。その点「MBO」なら現経営陣が引き続き経営に留まる形になるので、従業員も働きやすく、経営に対しても理解を得やすくなります。さらに、経営陣が完全に経営権を握るので、従来よりも社内の一体感が増すことも期待されます。
②「MBO」のデメリット
デメリットとしては既存株主と対立が生じる可能性が考えられます。
経営陣は安値で株式を買い取りたいと考える一方、既存株主はできるだけ高値で売却したいと考えています。利益が相反するため「MBO」の際に対立することがあるのです。最悪の場合、既存株主が買い取りに応じず「MBO」が実行できないことも考えられます。そのため、既存株主が納得できる価格で買収することが大切です。
経営陣が全株式を保有している場合、現状維持の経営となることが多く、大きな変化が起きないこともデメリットのひとつです。経営体質が変化しない結果、経営が悪化していく可能性も考えられます。
上場企業が「MBO」を行うと上場廃止となります。そうなると市場から資金を調達することができなくなり、資金繰りが苦しくなってしまうことがあります。しかし、資金繰りが苦しくなったとしても「MBO」を行う上場企業は多いのです。それはなぜでしょうか?
その理由のひとつとして敵対的買収のリスクを排除することが考えられます。
上場廃止にすると市場に株式が出回らなくなります。そうすることで株式を大量に買い集められるリスクを防ぐのです。
この他にもコストカットが考えられます。
上場企業は上場維持のために莫大な費用を必要とします。「MBO」により上場廃止すればその維持費用をカットすることができるのです。
資金調達が難しくなる半面、維持費用が大幅に減るためトータルで見るとメリットの方が大きいこともあるのです。
「EBO」とは?
EBOとはM&Aの手法のひとつで「Employee Buyout」の略です。
Employeeは雇用されている従業員を意味します。つまり「EBO」とは従業員による企業買収のことです。「EBO」と似た用語に先程、解説した「MBO」があります。響きは似ていますが「EBO」の場合は従業員、「MBO」の場合は経営陣による企業買収を意味します。
「EBO」のメリット・デメリット
前述の通り「EBO」は従業員による企業買収を意味します。
ここでは「EBO」のメリットとデメリットについて解説していきます。
①「EBO」のメリット
「EBO」のメリットはスムーズな会社の引き継ぎが可能になるという点です。
経営者が会社を手放す方法として別企業への売却があります。売却の話がスムーズに進めば問題はありませんが、中には安い価格で譲渡を求められるケースもあります。また売却先の会社に不安を感じ、従業員が退職してしまうことも考えられます。さらに別企業に売却したことで、既存の取引先とのやりとりが打ち切られてしまう場合もあるので注意が必要です。
しかし「EBO」なら経営権の譲渡だけで済みます。会社の環境が大きく変わるわけではないので、スムーズな引継ぎが可能です。
②「EBO」のデメリット
「EBO」のデメリットは資金調達です。従業員は会社の株を購入するために多額の資金が必要になります。自己資金だけで会社の株を全て購入することは不可能です。そのため、金融機関の融資を受けるのが一般的です。
しかし、会社の株を購入するという目的での融資は審査が厳しいのが現状です。資金が用意できなかった場合は「EBO」が失敗に終わる可能性も含んでいます。
メリット・デメリットを理解して、慎重に進めていくことが大切です。
他にもある!M&Aの手法「MBI」
M&Aの手法はいくつか存在しますが、その中で「MBO」と共に取り上げられることが多い手法が「MBI」です。
「MBI」は「Management Buy In」を省略した言葉です。
企業を買収した投資家や投資ファンドが、買収先の企業に外部から経営者を送り込んで建て直しを行わせ、資産益の増加を狙う方法をいいます。
技術力やブランド力はあっても経営能力をもつ経営陣が自社に存在しない、という場合に採用されることが多いです。
まとめ
「MBO」や「EBO」そして「MBI」について見てきました。
様々あるM&Aの手法の中でも「MBO」は企業規模に関係なく実行できる方法のひとつです。近年、課題となっている中小企業の事業承継などにも有効です。
メリットとデメリットを考慮し「MBO」や「「MBI」が有効に実施されるよう中小企業診断士も正しい知識と長期的な視点で企業の未来を見据えることが求められますね。
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