行政書士の平均年収600万円は本当か?実際の年収を徹底調査

行政書士の平均年収をネットなどで調べると、600万円や800万円などという記事を見かけます。この年収はどこまで信用できるのでしょうか?

日本行政書士連合会では、5年に1度ほどのタイミングで行政書士へアンケート調査を行っており、このアンケート(2018年実施)を基に、行政書士の業務実態や平均年収などを検証していきたいと思います。

目次

行政書士の平均年間売上

2018年に日本行政書士連合会が行ったアンケートの回答は以下の通り。

平成30年行政書士アンケート結果(回答4,338件)

年間売上 割合
500万円未満 78.7%
1,000万円未満 11.3%
2,000万円未満 5.3%
3,000万円未満 1.8%
4,000万円未満 0.8%
5,000万円未満 0.5%
1億円未満 0.8%
1億円以上 0.3%
未回答 0.4%

アンケートに回答した行政書士のうち、約8割が年商500万円以下と答えており、どうやらネット上などで言われている「行政書士の平均収入は600万円」ということはないようです。

売り上げ=現実の収入ではない

上の表ですが、この金額はあくまでも「年商」です。つまり業務上の売り上げということ。皆さんもご存じの通り年商はそのまま年収とはなりません。この年商から経費を差し引いた分が実際の収入ということになります。

経費の中には事務所の維持費や各種公共料金などはもちろん、業務に必要な費用も含まれます。個人で事務所を切り盛りしている場合は、こうした経費を除いた分が収入、いわゆる年収となります。年商500万円の場合の年収に関しては、多少の誤差はあるかと思いますが7〜8割程度といわれています。つまり350〜400万円程度の年収と考えるのが一般的です。

ちなみに事務所で従業員を雇っている場合、売り上げから経費を引いた分が収入というのは同じですが、この収入を従業員で割る必要があります。従業員が1人いるのであれば、従業員と自分の2人分をこの収入から賄う必要があります。

雇用者に対する給料の支払いに関しては、納税の控除対象となる部分もあるので単純計算はできませんが、年収はかなり下がります。

上の表で8割近くを占める年商500万円以下の方の多くは個人で事務所を切り盛りしている可能性が高くなります。もしくは、行政書士としての売り上げは500万円未満でも、他の資格の業務で売り上げを挙げている兼業の事務所かもしれません。

いずれにせよ行政書士としての年収は、そこまで高いものではないという方が大半であるということが分かります。

行政書士資格に更新制度はない

上の平均年商の表ですが、もうひとつ年商が低い方の割合が高い理由として考えられることがあります。

それが、行政書士資格に更新の制度がないという理由です。行政書士の資格は、一度取得すると、有効期限もなければ更新の制度もありません。つまり一度試験に合格してしまえば、亡くなるまで「行政書士」で居続けることができます。

アンケートの対象はランダムですので、対象者の中にすでに現役を引退し行政書士としての業務を行っていない高齢者がいる可能性があります。こういった方は当然ですが行政書士としての年商は0ですので、500万円未満に含まれることになります。

想定される現実の平均年収

行政書士全体の平均年収を計算した場合、恐らく400〜600万円程度に落ち着くかと思います。これは一部高い収入を得ている方も含めた平均値です。上の表を見ても、アンケート回答者の約5%は年商3,000万円以上ということになります。

一部でも収入の高い方がいれば、平均年収は高くなります。そのため平均値は高くなりますが、現実的に考えれば、約8割の行政書士は、年収が400万円未満と考えていいでしょう。

ネット上などで行政書士の平均年収は600万円、800万円などと言われているのは、あながち間違いではないかと思いますが、現実の年収はそこまで高くない方がほとんどでしょう。

行政書士として働く条件

行政書士の平均年収を見て、思ったより低いと感じた方も多いのではないでしょうか?一生懸命勉強をしてようやく資格を取得しても、その後の年収が300〜400万円では、苦労して勉強する価値がないと感じてしまうかもしれません。

この行政書士の平均年収の低さは、行政書士として働く条件が関わっているかもしれません。そこで行政書士としての業務を行うための条件を確認しておきましょう。

行政書士試験に合格する

まずは何より行政書士試験に合格しないと話は始まりません。行政書士試験は例年11月中旬、年に1度実施されています。この試験に合格することが、行政書士になるための最初の条件となります。

一部特例として、行政書士試験に合格しなくても、行政書士として登録ができる条件もあります。一応紹介しておきましょう。

★試験免除で行政書士資格を得る条件

  • 弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の資格を有する
  • 国または地方の公務員として行政事務を担当した期間が通算して20年以上(高等学校・大学等を卒業した者は17年以上)になる者

行政書士会に登録し独立開業する

行政書士試験に合格したら、自身が事務所を開業する予定の地域の行政書士会に登録を済ませる必要があります。登録には開業する事務所の詳細を申請したり、登録料を支払う必要があります。

これでようやく行政書士としての業務を行えるようになります。これがなぜ行政書士の年収の低さに繋がるかというと、「独立開業」をしないといけないという部分です。

資格取得と年収の関係を考えると、現在の年収よりもアップするために資格取得を考えるという方もいるかと思います。実際にFP資格や社会保険労務士、宅建士、日商簿記2級など、受験者数の多い人気資格は資格を取得することで年収アップが期待できます。

これは、取得した資格により、できる業務が増える、もしくは資格手当が支給されるなど、その時に就いている職の中で年収をアップできるからです。つまり、どこかの企業に所属しながら、その企業の中で資格が持つ業務を行うことが可能ということになります。

しかし行政書士としての業務を行うには、勤務している企業を退職する、もしくは企業の許可を得て副業として開業するなど、自分で事務所を構えて行政書士として活動しなければいけません。行政書士の業務は、企業の従業員として働きながらはできないということ。

行政書士はみな、新たに独立開業を行い、イチから顧客を探し仕事を得ていく必要があります。行政書士試験に合格し、行政書士の資格を得ることはできても、新たに事務所を開業し、顧客を開拓しながら業務を行うことは苦手という方もいらっしゃいます。こういった方にとって、行政書士としての業務で年収を上げていくのは難しいということになります。

行政書士の平均年収とは、企業に勤務して得る給料は0円で、行政書士としての収入のみを計算するので、どうしても年収の低い方が多くなるという結果になっています。

行政書士アンケートから労働実態が見える

行政書士試験に合格し、行政書士会に登録して独立開業するという、行政書士としての業務のスタートを紹介しました。続いて同じアンケートの他の項目から、行政書士の労働実態を見ていきましょう。

他資格所有者の割合

まずは、アンケートに回答した方が、行政書士以外にどのような資格を持っているのか、またほかの資格を持っている方はどの程度他資格と兼業をしているのかを確認していきましょう。

★専業か兼業か

行政書士専業 52.0%
他資格と兼業 47.0%
未回答 1.0%

アンケートに回答した方の半数近くが、他の資格との兼業を行っており、行政書士としての業務のみを行っている方は半数強という結果が出ています。

このことからも行政書士としての業務だけでは事務所を維持していくのが簡単ではないというのが分かるかと思います。

★有している他資格の割合

資格 割合
税理士 27.3%
土地家屋調査士 15.6%
宅地建物取引士 15.1%
社会保険労務士 14.8%
司法書士 7.9%
公認会計士 1.0%
弁理士 0.8%
弁護士 0.1%
そのほか 18.0%

同時に所有している資格を見てみましょう。弁護士、弁理士、公認会計士、税理士の4つは、資格を取得した時点で行政書士としての資格も得ることができますので、数が多いのも納得でしょう。

ほかの資格を見て、その資格を併せ持っている方がどのような業務を行っているのかも考えてみましょう。

司法書士の独占業務には、法務局や裁判所など、主に法的な機関に提出する書類の作成があります。この司法書士資格と行政書士資格を併せ持つことで、あらゆる公的機関に提出書類を作成することができます。こういった方は主に書類の作成、及び申請の代行などを幅広く取り扱うことを業務の中心としていると想定できます。

社会保険労務士資格の主な業務は、企業と労働者の間にある労務上の問題解決や、各種保険に関するアドバイスなど。この社会保険労務士資格と行政書士資格を併せ持つ方は、企業と顧問契約をし、コンサルティングなどを中心に業務を行っている可能性が高くなります。

この2つの資格を持つことで、労務問題の解決はもちろん、会計面のアドバイスもできるため、コンサルティングできる分野も広くなります。

土地家屋調査士、宅建士の資格は主に不動産業界、建築業界で活躍する資格となります。この2つの資格が、行政書士としての業務に大きく関係してきますので、この2つの資格に関しては後に詳しく解説していきます。

従業員がいる事務所の割合

アンケートに回答した行政書士の中で、開業している事務所に従業員を雇っているかどうかをチェックしていきましょう。

従業員アリ 20.6%
従業員ナシ 76.5%
未回答 2.9%

従業員を雇っている事務所は全体の2割ほど。8割近い行政書士は従業員を雇わず、個人で全ての業務を賄っているということになります。事務所の売り上げ的にも、従業員を雇うのが難しいというのが実態と考えていいでしょう。

従業員アリと答えた方の多くは、年商データでもかなり上位の方たちかと思います。ただし従業員を雇っているとなると、年商データから年収を計算する場合の割合も変わります。年商から経費を除いた分、いわゆる儲けに当たる部分を、行政書士本人と従業員の人件費に充てる必要があるからです。

従業員アリの場合は、概ね年商の3〜4割程度がその方の年収と言われていますので、年商3,000万円の方で年収は1,000万円程度となります。行政書士として年収1,000万円を目指そうという方は、このくらいの年商をイメージしておく必要があります。

開業年数データをチェック

さらに開業年数のデータもチェックしていきましょう。

5年未満 30.8%
10年未満 18.9%
15年未満 12.0%
20年未満 9.2%
20年以上 28.2%
未回答 1.0%

開業5年未満と答えた方が全体の約3割いますが、これが10年未満になると2割弱に、さらに20年未満になると1割を切る数字となります。

ここから想定できるのは、長く続けるのが難しい仕事であるということ、また行政書士としての業務を始める年齢が比較的高いということです。

最初の方でも触れましたが、行政書士資格には有効期限や更新の必要がありません。そのため、若いうちに取得しても、そのまま開業はせずに企業に勤務し、ある程度の年齢になってから開業をするということもできるということになります。

もちろん行政書士として独立開業をした方が年収の面でも期待ができるのであれば、このような選択はあまり考えられません。しかし開業するより企業に勤務している方が年収面で優位となれば、特にご家庭のある、お子さんのいるご家庭では、収入がある程度安定している企業勤務を選択するケースが多くなると思います。

あくまでも想像ですが、こうした決断をした方が、お子さんが独り立ちしたのち、自分らしく働くために企業を早期退職して独立開業をするというケースは十分に考えられます。

また、別の角度から考えれば、単純に行政書士として働いていくのは厳しく、長期にわたって事務所を維持していくことが難しいという可能性もあります。これも行政書士としての年収がそこまで伸びないという点が影響している可能性が考えられます。

行政書士の仕事と現実の年収

行政書士としての単純な年商のデータと、行政書士の労働の実態から、行政書士という仕事と年収の関係性について考えてみましょう。

ここまで分かっていることは、年商500万円未満の行政書士が8割近くおり、半数近くがほかの資格と兼業をしている方も多いという点。さらに長く続けることがなかなか難しい仕事であることも間違いないでしょう。

これだけを見るとあまり魅力的な仕事ではないように思えますが、現実はそうでもありません。

まずは独立開業ができるという点。年収や仕事内容などを無視して、「労働環境」という点に注目すればこれほど楽しい労働環境はありません。自分の裁量で労働環境を決められるので、プライベートの時間をしっかりと確保したうえで働くことができます。

近年労働環境の改善が叫ばれる中、こうした自分に最適な労働環境を実現できるのは大きなメリットとなります。

とはいえ自由な労働環境を実現できるかどうかは収入次第という点もあります。そこで行政書士の現実的な年収や仕事の実態を総合的に考えてみたいと思います。

新人~5年目までは年収300~400万円が相場

まずは行政書士試験に合格し、行政書士連合会に登録してから5年目あたりまでの新人行政書士の年収を考えてみましょう。

この場合はいくつかのケースが考えられます。そのケースは以下の通り。

  • 行政書士法人に就職し、行政書士として業務を行う
  • 行政書士法人事務所を設立し、個人事務所で業務にあたる
  • ほかの資格の業務と兼業して業務を行う

まずは行政書士法人に就職するケースを考えてみましょう。数は多くありませんが、行政書士法人が求人を出しているケースもあります。行政書士としての業務を行いながら、安定した収入を望めます。行政書士法人に、行政書士として就職した場合の平均年収は500〜700万円程度が目安。新規開業ではなく、すでに業務を行っている事務所で働くことになりますので、収入は高い部分で安定するはずです。

せっかく独立開業できるのに、就職活動はしたくないということであれば、自分で個人事務所を開業することになります。この場合の年収は恐らく300〜400万円程度。就職するより年収は低くなりますが、業務自体は自分で決められますので、自由な働き方が実現します。

最後にほかの資格も取得し、兼業で働くことで年収をアップさせる方法もあります。実はおすすめするのはこの方法。確かにほかの資格試験の勉強をする必要があり、その点では大変ですが、複数の資格の業務を行うことができれば、業務の幅も広がり年収も大幅にアップするはずです。

おすすめの資格は上でも紹介しているような資格です。上で触れていない資格の中では、個人や企業の資産運用のアドバイスができるファイナンシャル・プランニング技能士などもおすすめ。行政書士の業務に繋がるような資格を選ぶようにしましょう。

10年以上続けることができれば年収も安定

10年以上事務所を開業し続けている方は少ないものの、長期間業務を続けることができれば、顧客が新たな顧客を紹介してくれるケースも増えますので、年収はかなり安定すると想像できます。

行政書士の業務には、一定の期間で企業と契約を結ぶ顧問契約と、ひとつひとつの案件ごとに業務を担当するスポット業務があります。長期間事務所を継続している方は、こうした顧問業務とスポット契約をバランスよく行っている可能性が高いといえます。

顧問契約自体は大きな収入には繋がりませんが、安定した収入が見込めるという点では大事な業務となります。顧問契約は一般的には1年間の契約を継続する形になります。大きなミスや企業の経営状態が悪化しない限り安定した収入が見込めます。

スポット業務は案件ごとの契約となります。すくなくともそこに案件がありますので、請け負う数が多ければ多いほど単純に収入もアップします。また、案件の単価も高いため、業務の利益率が高いのも特徴です。ただしスポット業務はいつどれだけ依頼があるかが確定していませんので、安定感という点では今一つ。

長く行政書士として働くためには、顧問業務で安定した収入を確保しながら、スポット業務で確実に利益を得ること。また、顧客から信頼を勝ち得て、顧問契約をしている顧客からは新たな顧客を紹介してもらい、スポット業務を担当した顧客からは顧問契約の話を持ち込まれるような行政書士になるのがベストといえるでしょう。

ちなみに行政書士として長く働いている方は、年収もそれなりに高く、1,000万円超えという方も珍しくはありません。

長く行政書士として活躍するには?

行政書士の資格を取得し、行政書士として成功、つまり行政書士として一定以上の年収を手にするためには、まずは長く行政書士として活躍し続けることが非常に重要なポイントとなります。

どの仕事でも同様ですが、長く続けるのは簡単なことではありません。特に行政書士資格は取得希望者(行政書士試験の受験者数)が多い資格でもあり、毎年のように新しい行政書士が誕生しているということにもなります。

しかし、上で紹介した開業年数別の表を見ると分かりますが、20年以上業務を続けている方が3割近くいます。つまり行政書士に関しては、長く続く方と、続かない方がハッキリしている資格とも言えます。

そこでこれから行政書士を目指すという方が、行政書士として長く活躍できるように、激しい生存競争を勝ち抜くために知っておきたい・押さえておきたいポイントをいくつか紹介していきましょう。

顧問業務をしっかり確保する

前述の通り、行政書士としての業務は大きく分けて2つのパターンがあります。1つは、案件ごとに依頼を受け業務を行う「スポット業務」。もう1つは特定の企業と一定期間の契約を結ぶ「顧問業務」です。

ポイントとなるのは「顧問業務」でしょう。スポット業務は業務の数や内容により大きな収入にもつながりますが、安定感という点においては今一つ安定のしない業務となります。

長く行政書士として業務を行うには、何より安定した収入源が必要です。そのためにもしっかりと顧問契約を獲得するのが重要になります。社会人として働きながら行政書士試験を目指している方、行政書士試験に合格しながらまだ社会人として働いている方などは、後の顧問契約に繋がるような人脈を、社会人の間に築いておくのがおすすめとなります。

もちろんスポット業務も無視はできません。スポット業務に関しても、できるだけ安定して業務を請け負うことができるようにしておくといいでしょう。そのために大事なことが次のチェックポイントとなります。

建設・不動産関係の仕事を確保する

行政書士として収入を安定させるためには、スポット業務をしっかりと確保することも重要です。スポット業務を安定的に請け負うためには、「得意な分野を持つ」ことが重要になります。

行政書士の業務は、官公庁に提出する書類の作成や申請の代行です。そのため対応できる業務の範囲が非常に広く、多くの業界で活躍できる資格となります。もちろんそれが行政書士のいい部分でもありますが、反面難しい部分でもあります。

どのような業界でも活躍できるということは、その行政書士には取り立てて特徴がないということにもなります。特徴がないとどうしてもアピールポイントが少なくなり、安定して業務を請け負うことが難しくなります。

長く行政書士として活躍するためのポイントは、自分の得意分野を持つこと。そしてその中でもおすすめなのが建設・不動産業界です。

日本行政書士連合会のHPにある、「報酬額の統計」を参考に、一部報酬の高い業務をピックアップしてみましょう。

★報酬の高い業務

業務内容 平均報酬
開発行為許可申請(第29条) 620,565円
開発行為許可申請(第34条) 262,574円
建築行為許可申請 203,824円
一般貸切旅客自動車運送事業更新許可申請書 455,370円
建設業許可申請(法人・新規)知事 137,618円
宅地建物取引業者免許申請(新規)大臣 174,543円
農用地除外申出 101,232円
風俗営業許可申請 1号 社交飲食店・料理店 164,731円
一般廃棄物処理業 許可申請(積替保管を含む) 162,778円

細かい業務内容は説明しませんが、建設関係や不動産関係の業務が多いことが分かります。上の方で、行政書士が併せ持つ資格の中で、土地家屋調査士や宅建士など、建設・不動産関係の資格が上位に入っていたのもここに理由があります。

多くの行政書士が、建設業界、不動産業界から多くの業務を請け負っており、不動産取引や建設関係の知識、土地や家屋に関する知識を持っていることは、行政書士としての仕事をより多く請け負う、より高い年収を目指すためにも必須に近いといえるでしょう。

不動産関係や建設関係の業務に関しては、都市部に限らず、地方部でも必ず活躍できる業界です。どの地域で開業するにしてもしっかりとした知識を持つことが重要です。また、自分が知識を持っていることを証明するために、ほかの資格を併せ持つのも有効な手段といえるでしょう。

その証明になるのが土地家屋調査士や宅建士の資格。建設関係の現場に出る必要はありませんので、施工管理技士などの資格はあまり必要ありません。現場で活躍する資格で、行政書士が持っていても面白い資格としては不動産鑑定士なども挙げられます。

ライバルの少ない業務を狙う

日本全国どの地域でも必要な知識として、建設に関する知識や不動産知識などを紹介しました。さらに年収アップを目指す、長期間の活躍を目指すのであれば、ライバルの少ない業務を狙うのも一つの手です。

ライバルが少ない業務を狙う場合は、事務所を開設する土地の土地柄などもよく考えて選ぶのがおすすめ。

例えば都市部であれば風俗営業法に関わる真性などの知識を深めるのもひとつの手です。風俗営業といっても、いわゆる性風俗産業に限らず、パチンコ店やゲームセンターなども対象となりますので、特に都市部では需要が高い業務となります。

反対に地方部の場合は産業廃棄物処理業に関する業務に注目するのもひとつの方法です。産廃署処理にも事務的な手続きが多く、行政書士の業務も少なくありません。場合によっては産廃業者との顧問契約に結び付く可能性もあります。

ほかにも都市部であればバス会社や運送系の知識、地方部であれば農地関係の知識などを増やすことで、ライバルの少ない業務を一括で請け負うことができるようになるかもしれません。

いずれにせよ、自分が強いと思える業界を作ることは、売り上げにも直結し、長く行政書士として活躍することに繋がりますので、ぜひどの業界を狙うかを考えてしっかりと知識を身に着けていきましょう。

まとめ

行政書士は企業に勤務しながら業務を行うことは基本的にできません。事務所を開設する自治体にある行政書士連合会に登録し、業務を行わなければいけません。

そのため行政書士として独立すると、ほかの収入がなくなるため年収という点ではそこまで高いものではなくなります。ほかの資格、特に企業に勤務しながら業務ができるような資格とは違い、資格取得=年収アップにはなりません。

行政書士として年収アップを目指すのであれば、まずはしっかりと業務を請け負うというのが重要。そのためには、特定の業務の知識を深めておく必要があります。

また行政書士として年収を安定させ、長く業務を続けるには収入を安定させる必要があります。そのためにはスポット業務と顧問業務をバランスよく獲得するようにしましょう。顧問業務は、単価こそそこまで大きくはなりませんが、数が増えることで収入が安定します。

これから行政書士試験に挑戦し、将来的には独立開業を考えているという方は、その分野を得意分野とするかを考える、さらに独立前に現在の職種の中でしっかりと人脈を築いていくことを意識しておくといいでしょう。

もうひとつ長く活躍する際のポイントとして覚えておきたいのが、行政書士資格には有効期限や更新の制度がないという点です。一見すると楽な条件にも見えますが、長く続けることを考えるとなかなか厳しい条件です。

行政書士が携わる業務には、多くの法律が関係してきます。こういった法律は年々改正が繰り返されています。更新制度のある資格であれば、こうした法改正に合わせて研修会や更新試験などがありますが、行政書士にはその制度がありません。

法改正の流れなどは常に自分でチェックし、新たな法律に適応できるように勉強を続ける必要があります。しかも誰にも強要されずに、自ら進んで学び続ける必要があるということ。

行政書士として開業を夢見る方は、資格取得前からこの点はしっかりと把握し、地道な努力を続けられるように準備しておきましょう。