社労士の年収を年齢別や地域別、性別などで紹介! 収入アップの方法は?

社労士の年収

これから社労士の資格を取りたい方にとっては、その年収が気になるところです。結論から述べると、社労士の給料相場は一般職よりも優れています。しかし仕事が軌道に乗らないと、思ったような収入を得られない可能性もあるので注意です。

今回は社労士の給料事情を知りたい方のために、年齢や地域、性別などから収入をまとめました。以上を踏まえて年収を上げる方法まで解説します。これを読めば社労士の給料の実態だけでなく、なるべく多くもらうためのやり方がわかるでしょう。

目次

平均年収の推移

まずは社労士の平均年収の推移をまとめました。過去5年のデータを参考にしてください。しかしデータは勤労社労士だけが対象で、開業社労士の公的な統計は見られません。それを踏まえたうえで、これから紹介する年収推移を参考にしてください。

勤務社労士の過去5年のデータ

勤労者同士の過去5年のデータを紹介します。

きまって支給する現金給与額 年間賞与その他特別給与額 年収換算
2015年 41万4300円 155万3800円 652万5400円
2016年 35万7400円 95万1600円 524万0400円
2017年 36万2500円 109万3700円 544万3700円
2018年 36万0700円 68万3800円 501万2200円
2019年 34万4000円 83万3700円 496万1700円

引用元: 厚生労働省における各年の賃金構造基本統計調査



勤労社労士の年収は2015年に600万円を超えていましたが、2019年には500万円を切っています。近年に限ると年収は少しずつ下がっています。しかしボーナスだけで100万円前後の年もあるのが特徴です。仕事が軌道に乗れば、一般企業の正社員と同等かそれを超える生活水準も想定されます。

勤労社労士の近年の年収相場は500万円あたりとされ、資格取得によるキャリアアップに期待です。

開業社労士の統計は見られない

厚生労働省の賃金構造基本統計調査は、勤労者同士の年収だけを調べています。独立開業した社労士の統計は未調査なので、信頼できるデータとして我々が調べる方法は2022年2月時点では見当たりません。

しかし開業者でも社労士である以上は、顧客獲得のために営業をかけたり、相談に応えたりします。契約企業の数が多いほど収入が高くなり、勤務型の相場を超える可能性も考えてください。一方で開業者はオフィスを持っている場合、管理や経営のノウハウも必要になるため、両立がうまくできなければ思いどおりの収入を得られません。

このように社労士は独立開業した場合、軌道に乗るまでが大変です。上司や同僚のサポートを受けずに顧客を探す必要があります。加えてオフィスの管理コストも気にしなければなりません。

しかし経営や顧客獲得ノウハウが身につけば、契約者の数が多くなり、勤務型以上の収入も望めます。

社労士の年収の実態

社労士の年収は社会的に高いとされます。給与所得者全体の平均と比べて、年収相場に恵まれているからです。ただし雇用や独立などのように、働き方によって給料が異なる点に気をつけてください。年収実態の詳細を以下にまとめました。

社労士の平均年収は社会的に高い

2019年分の国税庁による民間給与実態統計調査では、給与所得者全体の平均年収が436万円になりました。同じ年の厚労省による賃金構造基本統計調査によると、社労士は以下のデータになります。

きまって支給する現金給与額 34万4000円
年間賞与その他特別給与額 83万3700円
年収換算 496万1700円

引用元: 厚生労働省の令和元年賃金構造基本統計調査



社労士の年収は500万円に近く、給与所得者の全体平均より高いといえます。仕事がうまくいけば、社会的ステータスが高くなるでしょう。以上から一般職より高い給料を狙う目的で、社労士の資格を目指すのも選択肢です。

社労士の資格試験をクリアすれば、将来的なキャリアアップも視野に入ります。異業種から転職しても、成功の可能性があるのです。

勤務型が独立開業型かで収入は異なる

社労士は勤務型か独立開業型かによって、収入が異なります。公的な収入統計は厚生労働省の賃金構造基本統計調査でしか見られません。こちらでは勤務型だけが調査対象で、独立開業型の収入相場はわからない状況です。

勤務型は一般企業で専属社労士として雇われるか、社労士事務所に入ることが挙げられます。このタイプは従来の正社員と同等の待遇を受けられるしくみです。そのため安定した収入が望めます。

雇用社労士の基本給は一般的に月給か、社内事務職の収入と同等で計算されます。これに資格手当やボーナスが加わり、年収になるしくみです。士業でも企業に雇われれば、最低限の身分を保障してもらえます。

一方で独立開業者の収入はケースバイケースです。人によって、開業後の働き方が異なります。動機も多様で、独立によるキャリアアップを目指す方から、ゆとりを持ちながら一人で働きたい方までいるようです。

以上から独立開業者は、働き方次第で年収が大きく変わります。統計にとらわれず、自身の働き方に応じた年収を、その都度考えるしかありません。

一般企業と社労士事務所でも給料の決まり方が異なる

同じ雇用型でも、一般企業や社労士事務所など、勤務先の種類でも給料の決まり方が異なります。社労士にも正社員だけでなく、アルバイト的な役割があるのです。雇用形態によって収入が変わる背景を知ってください。

たとえば一般企業で勤務する場合は、企業内社労士として「事務職年収+資格手当」を受け取れます。これは正社員と同等の待遇です。成果が大きければある程度収入が上がる可能性もありますが、基本的には高水準で安定しやすいと考えてください。

社労士事務所ではハローワークなどの求人から応募可能です。この場合は非正規雇用も含まれます。いずれにしても月給ベースで給料が明示されるのが通例です。アルバイトや派遣社員なら非正規なので、正社員よりも給料が少ない可能性があります。

また社労士事務所に雇われた場合は、実務経験によって高い給料をもらえることに注目してください。実務経験だけでなく、相談実績の多さによっても給料アップを目指せるかもしれません。このように雇用型社労士にも、働き方次第でさまざまな可能性があります。

年齢別の平均年収

社労士の年齢に応じた年収を紹介します。結論から述べると年功序列のような、世代が上であるほど給料をもらいやすい傾向はありません。何歳から転職しても、即戦力になれる可能性があります。年齢別の平均年収を踏まえて、収入事情を確かめてください。

年齢に応じた傾向は見られない

社労士の年齢別年収データは以下のとおりです。

年齢 きまって支給する現金額 年間賞与その他特別給与額 年収換算
20~24歳
25~29歳
30~34歳 40万8600円 31万5000円 521万8200円
35~39歳 29万4200円 24万0000円 377万0400円
40~44歳 35万3000円 34万8400円 458万4400円
45~49歳 38万7600円 37万5000円 502万6200円
50~54歳
55~59歳
60~64歳 58万0900円 58万0900円 755万1700円
65~69歳
70歳~ 25万0000円 25万0000円 325万0000円

引用元: 令和元年賃金構造基本統計調査



統計上は60~64歳がもっとも高く、次が30歳~34歳です。このように世代の違いによる傾向は見られません。若い世代でもそうでなくても、社労士として働くノウハウを心得ていれば、即戦力として高給を取れる可能性があります。

どの世代でも即戦力の可能性がある

社労士は、どの世代でも即戦力の可能性があります。統計上、年功序列の傾向がないからです。何歳からでも社労士に転職できることもあり、知識の生かし方や働き方次第で、出世の可能性が生まれます。

たとえば30代で社労士に合格すれば、若くして成功する可能性があります。最初は実務経験を積み、スキルを磨くことが重要です。しかし若いときから社労士になれば、多くの実務経験を味方に信頼を勝ち取れます。

40代以降でも、スキル次第で成功の可能性が見えてきます。とくに独立開業で多くの顧客から信頼されれば、正社員以上の収入も見込めるでしょう。社労士に定年はないため、60代以降でも活躍可能です。

社労士のような士業には年功序列がないため、本人の意欲次第で給料が変わります。

東京と地方の違い

東京と地方による社労士年収の違いが気になる方もいるでしょう。公的データは回答数が少ないので参考程度にとどめてください。しかし一般的には、都市部の方が年収相場が高いことが想定されます。地域による年収事情をまとめました。

地域別の年収の違い

参考資料として、地域別の男性勤務社労士収入のデータを挙げます。しかし厚労省でも地域別の調査は回答数が少ないため、データのない都道府県が多い状況です。

都道府県 きまって支給する現金額 年間賞与その他特別給与額 年収換算
茨城県 48万0800円 79万2400円 656万2000円
群馬県 29万7300円 82万0000円 438万7600円
埼玉県 38万9300円 64万5000円 531万6600円
新潟県 37万1400円 85万7700円 513万4500円
岐阜県 51万0000 165万0000円 777万0000円
和歌山県 37万3400円 88万3400円 536万4200円
鹿児島県 22万7200円 77万7200円 350万3600円

引用元: 令和元年賃金構造基本統計調査



このように男性の勤務型社労士において、地域別の統計があったのは7県だけです。ここから正確なデータは測れません。ただ地方同士では、東西による違いはあまりなさそうです。

社会的には都市部ほど給与相場が高い

2009年6月の厚生労働省による賃金構造基本統計調査では、職種を問わない都道府県別の所定内給与額で見たとき、東京都がもっとも高収入でした。以下のデータは上記をもとにした年収換算で、上位5都道府県を対象とします。

都道府県 所定内給与額 年収換算
東京都 40万2900円 483万4800円
大阪府 35万2300円 422万7600円
神奈川県 34万5000円 414万0000円
愛知県 33万5400円 402万4800円
京都府 32万8600円 394万3200円

引用元: 平成21年6月賃金構造基本統計調査



東京都以外でも大阪府や神奈川県など都市圏で高い相場を示しています。そのため地方よりも都市圏の方が稼ぎやすい印象です。この傾向は社労士でも変わらないと考えられます。

都市圏の方が人が集まりやすいぶん、社労士への相談者も多くなるようです。以上が地方より都市圏での給料相場が高い理由ではないでしょうか。

地域だけでなく物価事情も考慮しよう

社労士でも都市部の方が給料相場が高いと考えられますが、それだけで生活水準を判断してはいけません。収入だけでなく出費も踏まえて、これからの生活を考えてください。とくに地方では物価が安いことも想定されます。

地域によっては年収が低くても充分に生活できる可能性があるのです。たとえば東京の23区内のように、都市部で需要のある不動産は家賃が高くなります。一方で田舎のような場所は不動産の需要もそこまでないため、家賃が低くなるでしょう。

食料品や日用品の物価も、地域によって異なります。社労士としての給与水準がほかの地域より低くても、物価が安く済めば生活していける可能性があるのです。このように収入だけで一喜一憂せず、出費も考えながら生活を想定しましょう。

地域別の年収相場が低いからといって、あきらめる必要はありません。満足できる生活を考えながら、自分にとって充分な年収を考えてください。

女性の年収

女性でも社労士として活躍できる可能性があります。ここでは男性との年収相場を比べながら、女性の出世のポイントをまとめました。

年収相場は男性の方が高い

まずは男性と女性の年収相場を紹介します。

性別 きまって支給する現金額 年間賞与その他特別給与額 年収
男性 36万1800円 80万5900円 514万7500円
女性 28万6200円 90万5900円 434万0300円

引用元: 令和元年賃金構造基本統計調査



結論から述べると、男性の方が高年収です。女性に対して約80万円の差があります。士業に勤める人は男性が多いイメージで、それが統計に反映されている可能性も考えましょう。社労士の男性は年収相場が500万円を超えていることから、社会的ステータスが高い印象です。

しかし女性でも年収相場が400万円を超えています。ボーナスは男性を上回っているので、仕事のやり方次第では出世の可能性があるのです。社労士は男性がやや有利なイメージですが、女性も工夫次第で活躍できます。

社労士として女性が活躍できる理由

社労士として女性が活躍できるのは、性別を問わずに業務ができることです。さらに働き方を選べる点も大きいでしょう。社労士を目指す女性は、この2つのポイントを踏まえながら、資格取得後のキャリアメイキングを考えてください。

社労士に限らず、士業では女性の活躍例もあります。業務対象の分野が労務管理や保険、年金など多岐にわたるからです。とくに労務管理の面で、女性ならではの悩みを抱える相談者が想定されます。そうした問題への解決実績を強みにできれば、女性の活躍機会が増えるでしょう。

働き方を選べることから、子育て中の人でも社労士として活躍できます。とくに近年はテレワークが推奨されており、士業でもそうした動きが見られるようです。以上から業務の大部分をテレワークにすることで、子育てをしながら社労士として働けます。

このように最近の社会情勢を考えると、社労士として女性が活躍するチャンスが広がっている印象です。

独立型と勤務型による年収の違い

社労士の勤務体系には独立型と勤務型があります。ここでは年収の観点から、それぞれのメリットとデメリットを見てください。以下を踏まえた状態における、社労士としての独立検討が賢明です。

年収から見た独立型のメリット

独立型は高い報酬を狙えるのがメリットです。オフィスを開けば、従業員を雇いながら代表として活躍できるため、社会的なステータスを上げられます。その結果として、勤務型以上の年収を望めるのです。

成功すれば高収入を狙える理由は、仕事における自己裁量の部分が大きいことです。社労士に相談に訪れる人にはさまざまな悩みがあります。このうち自身がどのような悩みを解決するのが得意かを考えてください。

解決するのが得意な問題をひとつ決め、それを中心に相談を受ければ、大勢の顧客が集まるかもしれません。相談者目線では、自分の悩みに寄り添ってくれる人物がわかりやすいからです。ここから成功体験を重ねて、勤務型以上の報酬を狙えます。

独立開業になると、初めは営業や経営のノウハウがわからず、苦戦の可能性に注意です。しかし契約実績の増加により仕事が軌道に乗れば、年収1000万円以上のような高収入も望めます。

年収から見た独立型のデメリット

年収から見た独立型のデメリットは、社会的地位が安定しない可能性です。社労士に限らず、起業者は自力で稼ぎ方を確立しなければいけません。確立まで時間がかかりすぎて、途中で挫折する可能性にも注意です。

将来の道筋が立たず、不安な日々を過ごす可能性もあるでしょう。収入が安定しなければ生活もままならないからです。上司がいないぶん、人に使われない気楽さもメリットになりますが、そのぶん仕事の大部分の責任を自分で負うリスクに気をつけてください。

また社労士の開業当初は、営業や経営のノウハウを学ばなければいけません。人脈形成で苦労する人もいます。以上から開業から軌道にのるまでのランニングコストを準備してください。

起業には、勤務型社労士にはないリスクがあります。自信がない方は、資格取得後しばらくの間、勤務型として顧客獲得のノウハウを学ぶのがおすすめです。

年収から見た勤務型のメリット

勤務型は安定した収入の可能性があります。一社に深く関われば、毎月まとまった月給をもらえるからです。以上から資格取得後は独立開業せず、勤務型として顧客だけでなく会社や事務所に尽くす選択肢もあります。

社労士は企業や事務所に雇われた場合、正社員と同様の待遇を受けることがあります。その場合は一般的な給料に資格手当をつけてもらえるしくみです。たとえ成功した開業者のような年収1000万円以上でなくても、高水準で安定した収入を望めます。

勤務型は信頼関係を作りやすいのもポイントです。ひとつの勤務先で長く続けるほど、顧客や社内での信頼性が上がります。自分に合う労働環境なら、仕事が長続きしやすいのがポイントです。ここから安定した収入をもらい続け、ライフプランを作りやすくなります。

以上から勤務型は、正社員と同様に安定した生活を目指せるでしょう。

年収から見た勤務型のデメリット

勤務型のデメリットは、収入が高止まりする可能性です。勤務先によって月給相場は異なりますが、給料を出すのが事業者である以上、人件費は有限です。そのため収入の上げ幅が少なかったり、ある時期からまったく上がらない可能性に気をつけてください。

企業や社労士事務所によって、月給相場は異なります。その時点の勤務先より収入の高いところに転職すれば、生活が良い意味で変わるかもしれません。しかし年収1000万円以上は望みにくいといえます。

雇われる立場より高い収入を目指すなら、独立も選択肢です。独立すれば自身が社労士事務所のリーダーになったり、自宅開業として電話一本で働いたりできます。しかし仕事が軌道に乗るには、営業や経営のノウハウが必要です。

以上から高収入を目指すなら、最初は社労士事務所で人脈形成のノウハウを学びましょう。仕事と並行して経営の勉強も推奨されます。独立にふさわしい知識を備えてから、開業準備を始めても遅くありません。

平均年収の見方

インターネットでは社労士の年収についてさまざまな情報があります。しかし政府発表のような、信頼できる公的情報が出典であることが重要です。以上を踏まえて、社労士のような特定職業における平均年収の見方を紹介します。

政府統計からわかるのは勤務社労士の平均だけ

政府統計からは、勤労社労士の平均しかわかりません。関連の公的情報は厚生労働省の賃金構造基本統計調査です。こちらが示すのはあくまでも平均値なので、社労士として働けばそのとおりの収入を得られるとは限りません。

ここでは統計への各回答者の年収を、全体の回答数で割ったものが平均になります。たとえば年収の回答者が205人だと、それぞれの収入を205で割ったものが平均値です。そのため平均以上の収入を得られる保証はありません。

政府データでも地域別の社労士年収のように、回答数が少ないケースもあります。そのためデータはあくまでも参考値と考えてください。ただし目標の年収を決めるうえでは指標になるでしょう。

開業者の平均統計はない

2022年2月時点で、開業社労士に関する公的なデータはありません。収入の相場を知れないため、ここでも勤労社労士のケースを参考にするのが賢明です。ただし独立型は勤労型よりさまざまな境遇が想定されます。

たとえば独立後だと、勤労型より年収が極端に低い可能性に注意です。開業からまもなくはノウハウの確立に苦労するでしょう。その結果、年収が100万円台に落ち着くケースも見られるのです。

しかし独立開業者によっては、順調にキャリアを積めば年収1000万円を超える可能性もあります。経営が一度軌道に乗れば、着実に相談実績を重ねられるからです。このように仕事の順調度や働き方によって、独立型の年収は左右されます。

社労士の収入は将来どうなるのか?

社労士の収入について、将来の行方が気になる人もいるでしょう。結論から述べると、近年少しずつ年収相場は下がっています。それでもしばらくは高水準での安定が続く見通しです。社労士の将来性をまとめました。

一定収入を得られる可能性は長く続く

社労士が一定収入を得られる機会は、長期的に続く見通しです。最近はAIに仕事を代わられる可能性や、少子高齢化の影響などが懸念されています。しかし社労士は労務管理や保健、年金などの問題解決が業務です。社会的に重要な役割があるので、今後も需要は高水準で安定するでしょう。

労働現場の問題によっては、社労士しか解決できない可能性があります。たとえば労働者が職場での人間関係で悩んでいたり、勤務先のコンプライアンス違反を訴えたかったりする場合は、社労士のコミュニケーション能力が解決のカギです。

また社労士には、労務管理だけでなく年金や保険などの依頼があります。相談業務が幅広いぶん、社会的な重要性が高いのです。以上から今後しばらくは、社労士の役割が重要と考えてください。

長期的には少しずつ相場が低くなるかもしれない

社労士の収入は長期的に見ると、近年少しずつ相場が下がってきています。2019年は平均年収が500万円を下回りました。これは2015年以降のデータでは初めてになります。そのため今後は、少しずつ年収が下がる可能性に気をつけてください。

社会的背景として、企業側の書類手続きのやり方が変わっていることが挙げられます。経営継続のために必要な手続きを、自社で完結させようとしているのです。書類作成用のソフトウェアが活躍しており、それを使って外部依頼のコストを減らす狙いでしょう。

近年のIT技術の発展が、上記の現象につながっています。インターネット検索や書類作成ソフトが発展すれば、企業は社労士への相談よりもそちらが手っ取り早いと考えがちです。以上から書類作成代行の分野では、社労士の需要が少しずつ減るかもしれません。

社労士の増加により給料相場が減るかもしれない

近年社労士が増えているために、給料相場が減る可能性もあります。同業者の数が多いほど、給料の分散が起きやすいからです。過去5年の社労士の数を確かめてください。

年度 社労士の数
2015年 4万0110人
2016年 4万0535人
2017年 4万1187人
2018年 4万2056人
2019年 4万2887人

引用元: 社会保険労務士白書



このように社労士の数は全国に4万人いて、正確な数が少しずつ増えています。社労士のニーズが社会的に認知されるなか、人の役に立ちたいと思う方が増えているのでしょう。

しかし同じ職業の人数が増えると、それだけ仕事の取り合いになります。結果として一人あたりの給料分散から、年収相場が減るのです。今後社労士の競争率が高くなれば、それだけ年収相場にも影響を与えます。

年収を上げる方法

社労士として活躍し、年収アップにつなげる方法をまとめました。まずは得意分野の構築を意識してください。接客のノウハウやコネクションの蓄積も重要です。それぞれの詳細を確かめてください。

得意分野の構築

社労士として活躍するなら、ひとつの強みを見出しましょう。得意分野の構築により、相談者を集めやすくなるからです。社労士が扱う相談分野は幅広いといえますが、なかでも得意なひとつを極めることで、仕事を進めやすくなります。

社労士の相談分野には書類作成代行だけでなく、年金申請や労務管理など幅広いのが特徴です。対象業務はどれもソツなくこなさなければなりません。しかしそのなかで得意な分野をひとつ作れば、その領域での相談実績を重ねられます。

社労士の方から相談しやすいターゲットを絞るのがポイントです。これは商品開発でとくに買ってもらいたい顧客の人間像や年齢層を絞る形に似ています。自身の強みを作ることで、顧客には特定ジャンルへの相談に強いイメージとして覚えてもらえるのです。

接客のノウハウを学ぶ

社労士は接客のノウハウが大切です。成功するには多くのお客さんにとって好印象の人物でなければいけません。ひとつひとつの仕事を丁寧にこなすだけでなく、お客さんの気持ちに寄り添った社労士を目指してください。

たとえばクライアントから手続き代行の仕事をもらった以上は、早めの対応を心がけてください。事業者は忙しい合間をぬって相談に訪れることもあります。短期間で終わる手続きをそのとおりに済ませれば、事業者の助けになるでしょう。

社労士はコンサルタントの一面もあるので、相手を安心させることが大切です。そのためには健全なコミュニケーションが欠かせません。たとえば労務管理のアドバイスでは、法的根拠をわかりやすく解説しながら、守ることの重要性を伝えてあげましょう。

こうした丁寧な取り組みが、社労士としての信頼向上につながります。

コネクションの蓄積

社労士としての活躍は、コネクションの蓄積も重要です。社労士同士や士業同士のネットワークにも気を配りましょう。これにより情報提供などのサポートをもらえ、相談者の問題解決に役立てられます。

社労士のネットワークに参加すれば、自身が出世するコツやコンサルティング技術を覚えられます。労働者や事業者にありがちな悩みについて話し合い、解決方法を共有するのも選択肢です。

社労士は顧客との信頼関係が重要です。一方で信頼関係の構築のために、ネットワークでヒントを見つけるのも仕事といえます。コネクションを積極的に使い、自身の活躍に役立ててください。

社労士とのダブルライセンスで役に立つ資格は?

社労士とのダブルライセンスに役立ちそうな資格に、行政書士やファイナンシャルプランナーが挙げられます。どちらも社労士業務の一部と性質が似ているからです。それぞれの詳細をまとめました。

行政書士

行政書士は同じ士業資格として相性がよいといえます。どちらも手続き代行の仕事がメインだからです。それぞれの性質を生かして、出世に役立ててください。

行政書士の独占業務には官公署に出すものや、権利義務などに関係した書類作成があります。一方で社労士では、労働社会保険諸法令に基づいて作る書類や、帳簿書類作成などが独占業務です。つまり書類手続きの仕事が重要なのが共通点になります。

行政書士と社労士のダブルライセンスにより、手続き代行に精通した専門家として活躍できるでしょう。

ファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナーも社労士とのダブルライセンスに役立ちます。社労士には年金や保険に関する相談もあり、お金に悩む方が依頼に訪れるでしょう。そのときにファイナンシャルプランナーの資格試験で得た知識が役に立ちます。

事業者や労働者によっては、お金に悩む人もいるのです。そうした人々の悩みを解決したいと思ったら、社労士だけでなくお金に関係した資格も効果を発揮します。

まとめ

社労士の年収相場は社会的に高いとされます。しかし近年は社会情勢の変化もあり、長期的には給料相場が少しずつ減っていくかもしれません。それでも社会全体と比べると、平均年収が高いので、今後も高い需要に期待です。

また社会情勢の変化に応じて、新しいタイプの悩みを抱えた人が相談に訪れるかもしれません。そうした人々を助けることでも、社労士としての使命感を果たせます。以上から今後もさまざまな可能性を見出せる職業です。