「1週間単位の非定型的変形労働時間制」対象業種や届出のルールは?

変形労働時間制にはいくつか種類がありますが、中でも「1週間単位の非定型的変形労働時間制」は、一定以下の従業員規模と対象業務の要件を満たす事業場において、1週間単位で毎日の労働時間に柔軟性を持たせることができる制度です。

具体的には、週40時間の枠組みの中で、1日10時間を上限に、通常の法定労働時間(1日8時間)を超えて労働させても時間外労働扱いとしなくて良いことになります。

目次

「1週間単位の非定型的変形労働時間制」を導入可能な従業員規模と業種

従業員と業種

1週間単位の非定型的変形労働時間制は、どのような事業場にも適用できるというわけではなく、導入可能な従業員規模と業務が限られています。1週間単位の非定型的変形労働時間制の導入要件は、社労士試験でも問われる可能性がありますので注意しておきましょう。

事業場規模は「従業員数30人未満」

この「従業員数30人未満」は、正社員だけでなく、契約社員やパート・アルバイト等の非正規雇用労働者も含めた数となります。ただし、繁忙期等に一時的に雇用される労働者は除かれます。

労働基準法や労働安全衛生法の規定で「従業員規模」が要件になっている場合は同様の考え方を採用しますので、覚えておきましょう。

対象業種は「小売業、旅館、料理・飲食店」

1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入できる対象業種は、「小売業、旅館、料理・飲食店」に限られています。自社の業種は、原則として、労災保険での「事業の種類」で判断されます。

小規模事業所の場合、1つの部署で小売業とその他の対象外事業の両方を担っている等の特殊なケースもあります。この場合、同じ部署であってもそれぞれの事業に従事する従業員が異なり、労働管理上も区別できる場合は、小売業のみ1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入することができます。ただし、従業員1名が小売業と製造業の両方を兼務する場合等、導入不可のケースもありますので注意が必要です。

「1週間単位の非定型的変形労働時間制」導入ルール

導入ルール

1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入する際には、労使協定の締結・届出が必要となる他、従業員に対する勤務時間の事前通知が求められます。社労士試験対策上、それぞれの変形労働時間制の導入ルールを正しく区別しておくことが重要です。

1週間単位の非定型的変形労働時間制の導入要件についても漏れなく確認しておきましょう。

労使協定で定めるべき事項

1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入する際、「対象労働者数」と「期間」、「労働時間が40時間以下となること」「1日の労働時間の限度を10時間とすること」等を協定し、所定の様式にて労働基準監督署長に届け出なければなりません。

勤務シフトの通知ルール

労使協定の締結と併せ、実運用に際しては、1週間の各日各人の労働時間を定め、従業員に対してあらかじめ勤務時間を知らせる必要もあります。通知した労働時間は原則としてそのまま適用されますが、緊急でやむを得ない場合は変更しようとする前日までに書面で通知しなければなりません。

1週間単位の非定型的変形労働時間制の場合、必ずしも、通知後の労働時間の変更が認められないわけではありません。

時間外労働の考え方

1週間単位の変形労働時間制も、他の変形労働時間制同様、「時間外労働が発生しない」というわけではない点に注意しましょう。

具体的には、以下のケースで時間外労働が発生し、割増賃金の支払いが必要になります。

  • 1日ごと:あらかじめ決定した労働時間、または法定労働時間(8時間)を超えた時間
  • 週ごと:法定労働時間(40時間)を超えた時間

また、週44時間の上限が認められる特例措置対象事業場においても、本制度を適用した場合には週40時間が上限となる点も、社労士試験対策上重要です。

まとめ

  • 「1週間単位の非定型的変形労働時間制」は、1週間単位で各日の労働時間に柔軟性を持たせることができる制度ですが、「従業員数30人未満」「小売業、旅館、料理・飲食店」に限って導入が認められています
  • 1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入する場合、労使協定の締結・届出の他、従業員に対する勤務時間の事前通知が必要です
  • 「週40時間以内」の枠組みの中で、「1日10時間」を上限に各日各人の労働時間を設定しなければなりません
  • 変形労働時間制であっても、「時間外労働」が発生するケースはあり、具体的な事例を理解しておく必要があります
  • 社労士試験対策上、1週間単位の非定型的変形労働時間制と他の変形労働時間制との比較で、「制度の導入要件」や「労働時間の設定要件」を正しく区別して覚えておくことが重要です