社労士の求人情報はある?求人は都市部ばかり?未経験者は?職場は?

社労士の求人情報はあるか

「社労士試験に合格したら転職しよう」、こんな決意で社労士試験に挑戦されている受験生もいらっしゃると思います。

とはいえ、インターネット上では資格取得までの情報や支援は充実していても、合格後の資格の活かし方、例えば社労士の求人数や必要な要件、どんな職場で働くのが良いか等の情報を見かけることはありません。

このページでは、現役社労士の立場から、社労士求人によくある疑問にお答えしましょう。

目次

<社労士求人の疑問①>求人が都心に偏っている?

確かに、社労士の求人は、比較的東京や大阪などの大都市圏に偏っている傾向にあります。

しかしながら、これは社労士業に限ったことではなく、他業種の求人についても同様のことが言えます。

むしろ、企業が都心に集中しているために、社労士事務所もまたその周辺に軒を連ねざるを得ないと考えた方がスムーズでしょう。

地方でサラリーマンをされてきた方が社労士試験合格を機に上京し、社労士として都心で転職するケースも珍しくありません。

ただし、田舎であってもそこに事業を営む経営者がいる限り、社労士への需要はあります。こうした場合、特定の社労士事務所が地域全体の労働・社会保険関連手続きや労務管理を担っていることが多く、タイミングによっては求人を出していることもあります。

<社労士求人の疑問②>実務未経験では厳しい?

社労士として転職する以上、実務経験があるに越したことはありません。

ところが実際のところ、社労士の求人で実務経験者を求めるかどうかは、募集元である社労士事務所に応じて異なります。

比較的規模の小さな事務所では、即戦力として実務経験者のみを求人の対象とする傾向にあります。

一方で、社労士法人など規模の大きな事務所では「実務経験者優遇」としつつも、未経験者を幅広く採用の対象とすることもあるようです。

実務未経験者であれば「社労士有資格者であること」に加え、“+α”の強みを持っておくと他の求職者との差別化を図ることができます。

一例として、前職の業界経験やスキル(行政での経験は特に歓迎)、語学力、税務に関わる知識などが挙げられます。

<社労士求人の疑問③>ゆくゆくは開業を目指している、でも応募していい?

せっかく独立できる資格を取得したのであれば、いずれは自分で社労士事務所を構えたいと考える方は多いと思います。

しかしながら、現状、社労士として実務経験がない場合、まずは他の事務所で働きながら実務を学ぶ道を選択することもあるでしょう。

社労士の求人に応募する際、「開業志望であることを告げるか否か」は悩みどころかと思いますが、今後を考えれば、ここははっきりと今後の意向を伝えるのが良いでしょう。

その上で雇用してくれたのであれば、開業の意志があることを前提にビシバシ実務を叩き込んでくれるでしょうし、いざ開業する段階で退職する際もスムーズです。

開業志望であることを内緒で社労士の求人に応募し、採用されたら?

やってはいけないのが、開業の意志を示さずに他の社労士事務所の求人に応募し、そこで実務経験を積み、退職後に開業することです。

開業の事実が分かると、「実務のノウハウを盗まれた」と憤りを感じる所長もいるかもしれません。

「開業しても修行した事務所には関わらなければ良いと」思う方もいるかもしれませんが、社労士業界は意外と狭いもの。まず開業したら会報誌に名前が載りますし、そこで気づかれなくても開業後に研修会や行政協力などで出くわす、どこかで名前を見聞きする等、相手方に開業を把握される可能性は十分にあります。

<社労士求人の疑問④>職場は会社?それとも事務所?

「社労士の求人」というと、勤務先としては社労士事務所や社労士法人が真っ先に頭に浮かぶと思います。

ところが、社労士の求人を出しているのは純粋な社労士事務所だけではなく、一般企業や税理士・会計事務所、出版社など、意外にも多岐に渡ります。

一般企業の社労士求人

求人雑誌などでは、企業の人事部や総務部でその会社の労働・社会保険関連手続きや労務管理のみを行う勤務社労士としての求人も比較的多く掲載されています。

この場合、その企業の社員として雇い入れられ、様々な業務の一部として社労士業に携わることになります。よって、社労士業以外のことを任されれば、そちらにも対応しなければなりません。

また、一般企業が出している勤務社労士の求人では、実務経験者を対象とするケースが多いので注意が必要です。

税理士・会計事務所の社労士求人

税理士事務所や会計事務所が、取扱業務範囲の拡大や営業力の向上などを狙い、事務所内に新たに社労士事務所を併設したい、もしくは既存の併設社労士事務所に人を入れたいといった目的で、社労士の求人を出すことがあります。

この場合、税理士事務所や会計事務所がある程度業務の基盤を作ってくれており、そこで生じる社労士業務を一任されることから、やはり実務未経験者では厳しいかもしれません。

また、母体となる税理士事務所等の付加価値となるような提案が求められる場面も少なくありません。こうした環境下では、「自分は手続きだけ」と受け身の姿勢でいる様な方は不向きであると言えます。

出版社の社労士求人

書店を覗くと、社労士の専門業務である労働保険や社会保険、給与計算や労務相談、年金関連の書籍が所狭しと並んでいます。

こうした書籍を扱う出版社でも、社労士有資格者や実務経験者の存在が求められていることをご存知でしょうか。

具体的な業務は、内容に誤りがないかの校閲がメインとなり、王道の手続き業務やコンサルティングとは異なりますが、専門家ならではの技量が問われる仕事です。

ただし、出版関連の社労士の求人は業務委託や請負契約であることが多く、その会社の社員として安定した地位を築くことは難しい点に注意が必要です。

資格予備校の社労士求人

社労士として実務に携わるだけでなく、将来社労士となる受験生を育てていく業務にも、社労士の求人はあります。

受験生のために分かりやすく、丁寧に、熱意をもって指導してくれる講師は、どこの資格予備校でも重宝されるでしょう。

ただし、受験生に対して上辺だけの知識のみならず、テキストの内容をぐっと掘り下げたノウハウ、実務上の取扱いを解説するためには、十分に実務に精通していることが大前提となるでしょう。

<社労士求人の疑問⑤>どんな仕事を任されるの?

社労士の求人に応募し、雇用された後に任される仕事は、ご自身の能力や働く場所によって異なります。

すでに実務経験のある方であれば、初日から手続きを一任されることもあるでしょうし、実務未経験で入ったのであれば当面は先輩について補助業務をこなす日々となります。

また、社労士事務所で働く場合、事務所の規模感に応じて任される仕事が異なることがあります。

小規模事務所の場合にはジャンルを問わずあらゆる業務に携わることが多く、一方で、事務所が大所帯であれば特定の業務に特化して担当を割り当てられる可能性もあります。

入職後のミスマッチを防ぐためにも、社労士の求人をよく確認する、面接時に業務内容を聞いておく等の工夫が必要です。



社労士の求人については「都市部に多い」「実務経験者優遇」などの傾向があるものの、社労士が求められる場は幅広く、求人市場においては常に一定の需要があります。

社労士業界に初めて足を踏み入れる方であれば異業種で培った能力にも注目する等、「社労士有資格者であること」以外の自分の強みを的確にアピールできると求職活動が有利に進みます。

この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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