社労士の連座制とは?社労士志望なら覚えておくべきリスク管理

社労士の連座制とは?社労士志望なら覚えておくべきリスク管理

連座制とは?

「連座制」とは、選挙の立候補者等の関係者が買収等の不正行為に関わった場合、その立候補者の関与の有無を問わず、当選が無効になったり、同一選挙区からの立候補が一定期間できなくなったりする制度を指します。

「連座制」は公職選挙法上の言葉ですが、社労士業においても不正発覚時に連座制同様の措置が講じられることがあります。

目次

社労士の連座制とは?

社労士の連座制は、2019年4月以降、助成金の不正受給関連で厳格化されています。

具体的には、不正受給をした事業主だけでなく、不正に関与した社労士についても、「事業主との連帯弁済義務」「公表」「5年間の助成金申請業務停止」の対象となる旨、雇用関係助成金の申請時に提出する「支給要件申立書」に明記されています。

社労士は、これら3項目について承諾しなければ、助成金申請代行を行うことができません。

事業主との連帯弁済義務

社労士は、代行した助成金申請に際し不正受給があった場合、申請事業主等が負担すべき一切の債務について、申請事業主等と連帯し、請求があった場合、直ちに請求金を弁済すべき義務を負わなければなりません。

公表

不正受給に関与した社労士は、管轄の都道府県労働局より、事務所(又は法人等)の名称、所在地、氏名及び不正の内容が公表されます。公表されることにより、当該社労士は信用失墜を免れられません。

5年間に渡り助成金申請業務の停止

さらに、不正受給に関わった社労士は、不支給とした日又は支給を取り消した日から起算して5年間(取り消した日から起算して5年を経過した場合であっても、請求金が納付されていない場合は、時効が完成している場合を除き、納付日まで)は、助成金に係る代理人が行う申請が行う提出代行、事務代理に基づく申請ができないこととされました。

連座制に関わらず、社労士による不正が悪質な場合は懲戒処分に

不正が悪質な場合は懲戒処分に

このように、助成金の不正受給防止対策が強化されています。その一環として、不正受給をした事業主のみならず、社労士や代理人、職業訓練実施者等への責任が追及されることになりました。

また、不正受給に関与した社労士の悪質性が極めて高いと判断されれば、前述の連座制に係る取り扱いに関わらず、懲戒処分の対象となることもあります。厚生労働省が公開する社労士の懲戒処分事案では、助成金の不正受給に関わる処分がいくつも挙げられており、懲戒処分事案に占める割合の高さを伺うことができます。

ちなみに、社労士の懲戒処分には、訓告、業務停止、失格(法人の場合は解散)があり、これらの処分は公表されます。

社労士の連座制を考慮し、不正に手を染めないためには?

連座制を考慮し、不正に手を染めないためには?

助成金申請代行は、社労士業務の中でもとりわけ需要の高い分野であり、場合によっては顧問契約締結のきっかけとなる重要な業務とも言えます。

そのため、これから仕事を増やしていきたい駆け出し社労士であれば特に、助成金に関わる相談には積極的に応じていきたいと考えるケースも少なくありませんが、リスク管理の観点から言えば、各案件へのかかわり方を慎重に見極めたいところです。

このページで解説した通り、助成金申請は不正受給と隣り合わせです。助成金を受給するためには、適正な労務管理、スケジュール管理、計画通りの取り組みの遂行、申請書類の整備が原則となり、これらのうち一つでも要件を欠けば申請することはできません。そしてもちろん、事実を歪めて申請することもできません。

皆さんが社労士として実務に携わるようになったら、目先の利益だけを追求して無理のある案件を受注しない、助成金申請は原則顧問先からのみの受注とする等、実務家としてのリスク管理が特に重要となります。

まとめ

  • 社労士の連座制とは、助成金の不正受給に伴い、事業主だけでなく社労士も処罰の対象となる取り扱いを指します
  • 社労士の連座制は、2019年4月以降厳格化され、助成金の不正受給に関与した社労士は「事業主との連帯弁済義務」「公表」「5年間の助成金申請業務停止」となります
  • 連座制に関わらず、悪質性の高い社労士は、社労士法上の懲戒処分の対象となることがあります
  • 社労士として実務に携わる上では、安易に無理のある案件を受注しない等のリスク管理が求められます