社労士試験「作業主任者」の出題ポイント!「業種」「資格要件」に注目

更新日:2021年6月7日

業務上、危険を伴う作業に労働者を従事させる際、事業者は現場を指揮するリーダーとして「作業主任者」を選任しなければなりません。作業主任者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業について、当該作業に従事する労働者の指揮等を担います。

作業主任者を選任すべき作業は決まっており、危険有害作業の区分によって選任すべき作業主任者の名称が異なります。

社労士試験対策上、おさえるべき「作業主任者」のポイントを確認していきましょう。

目次

社労士試験対策「作業主任者」でおさえるべきポイント

社労士試験「作業主任者」の出題ポイント!「業種」「資格要件」に注目

社労士試験で問われる作業主任者のポイントは、主に選任すべき「業種」と「資格要件」です。

作業主任者を選任すべき「業種」は多岐に渡るため覚えにくいですが、過去問演習等を通じて紛らわしい選択肢の正誤判断ができるようにしましょう。

作業主任者を選任すべき業種

作業主任者を選任すべき業種は、高圧室内作業やボイラー取扱作業など危険有害作業として定められている31業種です。

安全衛生管理上定めるべき管理者等は、通常、従業員規模が決まっていますが、作業主任者の場合、事業規模は問わずあくまで業種によって選任の要否が決まっています。また、従業員規模に応じた専任、専属の義務はありません。

作業主任者の資格要件

作業主任者に選任できるのは、「都道府県労働局長の免許を受けた者」又は「都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者」に限られています。

実務経験年数について、要件の定めはありません。

作業主任者は選任後の届出不要

作業主任者には、いつまでに選任しなければならないという期限の決まりはなく、また、届出の義務もありません。ただし、事業者は作業主任者を選任したときは、適切な方法で従業員に周知しなければなりません。

周知の方法には、以下の措置が考えられます。

  • その者の氏名及びその者に行わせる事項を作業場の見やすい箇所に掲示する
  • 当該作業主任者に腕章をつけさせる
  • 特別な帽子を着用させる

作業主任者の職務

作業主任者に選任された者は、労働災害防止のための措置として以下を講じます。

① 危険有害作業に従事する労働者の指揮のほか、危険有害設備の点検・管理などの労働者の危険又は健康障害を防止するための措置等を行う。

② 事業者は、同一の危険有害作業を同一の場所で行う場合において、当該作業に係る作業主任者を2名以上選任したときは、それぞれの作業主任者の職務の分担を定めなければならない。

作業主任者には、作業場等の巡視義務はありません。

併せて、作業主任者は社労士試験のキーワードである「職長」とも混同しやすいことから、資格要件等の頻出事項はそれぞれ区別して理解しておく必要があります。

「作業主任者」の社労士試験出題実績

社労士試験「作業主任者」の出題ポイント!「業種」「資格要件」に注目

社労士試験における作業主任者関連の出題は、頻度としてはさほど高くないものの、以下の出題実績から分かる通り、出題された際に正答するためには細かな知識が必要です。

安全衛生管理体制に登場する他の管理者に関わる対策同様、選任業種と資格要件等の頻出ポイントについては理解を深めておきましょう。それでは、実際の過去問から出題傾向を確認します。

作業主任者の選任業種(平成29年安衛法)

以下の選択肢について、誤りの肢を判別する問題です。

「労働安全衛生法第14条において作業主任者を選任すべきものとされている作業として、誤っているものは次のうちどれか。

(A) 木材加工用機械(丸のこ盤、帯のこ盤、かんな盤、面取り盤及びルーターに限るものとし、携帯用のものを除く。)を5台以上(当該機械のうちに自動送材車式帯のこ盤が含まれている場合には、3台以上)有する事業場において行う当該機械による作業

(B) 高さが2メートル以上のはい(倉庫、上屋又は土場に積み重ねられた荷(小麦、大豆、鉱石等のばら物の荷を除く。)の集団をいう。)のはい付け又ははい崩しの作業(荷役機械の運転者のみによって行われるものを除く。)

(C) つり足場(ゴンドラのつり足場を除く。)、張出し足場又は高さが5メートル以上の構造の足場の組立て、解体又は変更の作業

(D) 動力により駆動されるプレス機械を5台以上有する事業場において行う当該機械による作業

(E) 屋内において鋼材をアーク溶接する作業」

回答:E

作業主任者を選任すべき作業を正しく把握しておく必要があります

作業主任者の資格要件(平成22年安衛法)

以下の選択肢について、正誤を判別する問題です。

「事業者は、高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシャフトの内部において行う作業に限る。)については作業主任者を選任しなければならないが、当該作業主任者は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う高圧室内作業主任者技能講習を修了した者でなければならない。」

回答:×

高圧室内作業主任者となるのは「高圧室内作業主任者技能講習」を修了した者ではなく、「高圧室内作業主任者免許」を受けた者から選任する必要があります

まとめ

  • 社労士試験労働安全衛生法のキーワード「作業主任者」は、頻出とは言えないまでも、出題される場合には細かなポイントが問われる傾向にあるため、対策は抜かりなく行っておかなければなりません
  • 作業主任者の出題ポイントは、「選任業種」と「資格要件」です
  • 作業主任者の選任業種は、危険有害作業に該当する31業種です
  • 作業主任者の資格要件は「都道府県労働局長の免許を受けた者」又は「都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者」であり、実務経験年数等の定めはありません
  • 作業主任者には選任期限や届出義務の定めはありませんが、選任時の周知を徹底する必要があります
この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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