社労士が扱う法律に特化した法律事典「社労士六法」とは?

社労士が扱う法律に特化した法律事典「社労士六法」とは?

社会保険労務士と社労士六法

社労士六法とは、社会保険労務士が扱う労働法や社会保険関連法に特化した大部の法令集のことです。

試験に合格して、社会保険労務士になると、根拠法令を参照する機会が増えます。

収録されている個々の法令は厚生労働省のホームページなどでも見られますが、社労士になったら、一度は書籍版を入手してみるのもよいかもしれません。

目次

六法とは、六法全書とは

六法と聞くと、大学の法学概論などを受講した際に購入したポケット六法を連想します。

そこに収録されていた法令を思い出してください。

日本において全ての法律の根幹となる「憲法」、「民法」、「刑法」、「商法」、「民事訴訟法」、「刑事訴訟法」という6種類の法律が収録されていたはずです。

これが六法です。

六法全書というのは、弁護士のドラマなどに登場する分厚い法令集です。

これには、六法以外の法律も収録されており、いうなれば法律の大事典です。

社労士六法も、社労士用の法律の事典という意味で「六法」の名を借りて、社労士六法と名乗っているのです。

社労士六法の領域

社労士六法には、6種類の根幹となる法律があるわけではありません。

社労士試験の科目名になっている法律だけでも、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律、健康保険法、国民年金法、及び厚生年金保険法の8種類の法律があります。

言うまでもなく、この8種類は社労士にとって、実務に直結する重要な法律であり、社労士六法にも当然収録されています。

①労働法

社労士六法に収録される労働分野の法律は、社労士試験の科目名で知られる、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律などが代表的なものです。

これらに加えて、労働に関する一般常識科目で問われる労働組合法、労働関係調整法、労働契約法、最低賃金法、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法、職業安定法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法、障害者雇用促進法など、数多くの法律が収録されています。

もちろん社会保険労務士法も載っています。

併せて各法律の施行令、施行規則も収録されており、労働分野だけで千数百ページに及ぶ社労士六法もあります。

②社会保険関係法

社労士六法に収録される社会保険関係分野の法律は、社労士試験の科目名で知られる、健康保険法、国民年金法、厚生年金保険法などが代表的なものです。

ページ数は、労働分野の法律に比べて倍以上になっています。

その理由は、ひとつ一つの法律が長いからです。

厚生年金法を例にとると、厚生年金保険法、施行令、及び施行規則をあわせて、700ページに及ぶ社労士六法もあります。

これは労働分野全体の2分の1に当たるボリュームです。

そのほか、社会保険に関する一般常識科目で問われる船員保険法、国民健康保険法、高齢者医療確保法、子ども・子育て支援法、介護保険法、確定拠出年金法、確定給付企業年金法など、数多くの法律が収録されています。

③周辺法令

労働法、社会保険関係法のほかにも、日本国憲法ももちろん収録されていますし、個別労働紛争解決に必要となる民法、民事訴訟法、労働審判法などの関係する法律も収録されています。

特定社会保険労務士となって、個別労働紛争解決の業務を行う際には、これらの法律も参照することになります。

社労士六法の定番

社労士六法の定番といえば、全国社会保険労務士会が編纂する『社会保険労務六法』です。

しかし、法改正に対応して、毎年改訂版が出版されるため、活用しなくては無駄になってしまいます。

そのため、もし入手するのであれば、社労士試験に合格した後、社労士会に登録をして、実際に業務を始めるときでも遅くありません。

社労士六法に収められている法律、施行令、施行規則などは、すべて厚生労働省のホームページや「e-Gov法令」などにおいて、インターネットを通じて見ることができます。

社労士試験と社労士六法

司法試験の受験生は六法全書が必須アイテムですが、社労士試験の受験生も、社労士六法を手元において学習する必要があるのでしょうか。

ずばり、あまり意味はありません。重要な論点は基本テキストに網羅されています。

社労士試験の範囲は広いので、ひとつの論点を社労士六法で深堀りしても、時間を浪費するだけです。

合格するためには、全範囲をまんべんなく学習しなければなりません。

また、社労士受験生向けに、社労士受験用のコンパクト六法なども出版されています。

これらは六法の名を冠していますが、学習参考書のひとつです。

参考書を増やすことで、基本テキストに書いてあるとこを、重ねてもう一度、調べ直すことになり、遠回りだといえます。

まずは、基本テキストに解説されている内容をしっかりと定着させましょう。

①選択式

社労士試験の選択式問題においては、各法律の目的条文からの出題が少なくありません。

特に社会保険に関する一般常識の科目においては、目的条文をしっかり頭に入れておく必要があります。

しかし、そのために社労士六法を読み込む必要はありません。

本試験が間近になった時期に、横断学習テキスト等を活用し、目的条文だけを抜き出した単元で学習すれば得点につながります。

②択一式

社労士試験の選択式問題においては、多くの選択肢は法律の条文がもとになっています。

近年は事例からの出題や判例からの出題も増えていますが、法律の条文が基本です。

では、社労士六法を読み込む必要があるのかというと、ずばり、読み込む必要はありません。

出題の論点となるテーマの多くは、基本テキストと過去問題集において網羅されていますので、その内容をしっかりと理解することが得点への近道です。

社労士六法学習の必要性

社労士試験受験生が社労士六法を脇に置いて学習することは、得点につながらない無用な深堀り学習によって、学習の速度を下げてしまうことになり、学習効率を低下させる恐れがあります。

さらに、厚生年金保険法をはじめとする社会保険関係法の長い法律を読むのは、法律の読み方を学んだことがない受験生にとっては、至難の業です。

合格後の社労士六法

社労士試験に合格した後、社労士会の登録を経て、晴れて社会保険労務士となって実務を行う場合、社労士の業務のひとつ一つには、すべてにおいて法令根拠があります。

まず根拠法令に立ち返って、法律の建てつけを理解し、その上で関係通達などを調べて、円滑に手続きを進めることが求められます。

従って、社会保険労務士となって実務を行うようになったら、各法律、施行令、施行規則など、つまり社労士六法と随時向き合うことになります。

インターネットを通じて調べられますが、社労士が扱う法令の全体を俯瞰して眺めたいという方は、一度は書籍版を入手してみるのもよいかもしれません。