社労士の助成金ビジネス 報酬は?儲かるの?損害賠償時の対応は?

社労士の助成金ビジネス 報酬は?儲かるの?損害賠償時の対応は?

数ある社労士業の中でも、「助成金」は、特に中小企業からの需要が高い分野です。

国や自治体から交付され、さらに返済義務のない助成金は、中小企業が企業経営を考える上で重要な要素となります。

社労士が専門とするのは厚生労働省管轄の雇用関係助成金であり、人を雇い入れる、人材開発や雇用環境の整備を行う際の他、不測の事態により雇用維持が困難となった場合など、総じて「雇用」関連の取り組みに対して幅広く活用することができます。

一方で、雇用関係助成金の支給を受けるためにはいくつかのステップがあり、それらを正しく経るために専門家である社労士の支援が求められることになります。

本ページでは、社労士による助成金ビジネスの実際について深掘りします。

社労士を目指す受験生の皆さんの、モチベーション向上にお役立ていただければ幸いです。

目次

社労士の助成金ビジネス 本当のところ

社労士の助成金ビジネス 本当のところ

社労士の助成金ビジネスはここ数年で始まったものではなく、むしろ助成金バブルの全盛はひと昔前であったと考えて良いでしょう。

とはいえ、経営財源の限られた中小企業において助成金への関心は未だ高く、社労士の中にも助成金を主軸とした事務所運営を行っている者は少なくありません。

バブルははじけたものの、高い需要が見込める助成金ビジネス・・・。

何とも複雑な現状を踏まえ、これから社労士となり業界参入を目指す皆さんにとっての関心事である、「結局のところ、社労士は助成金で稼ぐことができるのか、できないのか」という話題について考えていくことにしましょう。

社労士の助成金ビジネスは一層厳しさを増す、ただし需要あり

助成金バブル崩壊の要因は、「助成金の改廃」にあります。

比較的取り組みやすいとされてきた制度導入型助成金の廃止、各種助成金への要件追加、助成金支給額・期間の変更等、制度が大きく変わることにより、助成金申請そのものの手続きや内容が厳格化されました。

中小企業の助成金需要は未だ絶えないものの、申請代行を担う社労士にとっては、ひと昔前と比較すれば、一概に魅力的な業務分野とは言い難くなっています。

しかしながら、2019年度より本格的に動き出した働き方改革を追い風に、「社労士業界には再び助成金バブルが訪れようとしている」といった見方もあり、今後の動向に注目が集まるところです。

社労士が助成金申請代行で逮捕!?

「助成金」は中小企業を惹きつける魅力的なキーワードである一方、ビジネスとして扱うにはハイリスクという側面も併せ持ちます。

報道等で、助成金の不正受給による逮捕を見聞きしたことがあるでしょうか?

こうした不正への関与は、一部の悪いことを考える者の仕業ではなく、助成金ビジネスに携わる者であれば誰にでも起こりえる事態であり、細心の注意と正義をもって取り組む必要があります。

例えば、雇用関係助成金の受給にあたっては、必ず就業規則や法定三帳簿(出勤簿・賃金台帳・労働者名簿)、雇用契約書等の必要書類を正しい形で備えていることが大前提です。

しかしながら、中小企業の実態としては、適正な労務管理が行われている方が珍しいと考えて良いでしょう。

そのような状況で、助成金申請代行を引き受けた社労士が、申請のためだけに雇用契約書をねつ造したり、出勤簿や賃金台帳の数字といじってしまったりすれば、助成金が支給されたとしても不正受給となります。

助成金ビジネスを展開する社労士であれば、事業主を思って行う些細な調整が、後々事件に発展する可能性があることを、常に忘れてはいけません。

社労士による助成金ビジネス、失敗したら?損害賠償は?

社労士が助成金申請代行を請け負ったとしても、100%支給決定を受けられるというわけではありません。

労務管理を適正に行えていない、新たに制度を導入したが運用出来ない、さらに過去の労働関連法令違反が判明する等、不支給となる事例の大半は企業側に問題があるケースです。

もちろん、支給決定に向けて足りない要素を補い、誤りは是正していくことが申請代行者である社労士の役割ではありますが、やはり申請者である企業側が助成金の趣旨を正しく理解し、適正な労務管理や制度運用を徹底しなければ、審査上で必ず問題が発覚します。

助成金申請代行が失敗した原因が企業側にある場合、社労士は成功報酬分を請求できません。

ただし、着手金や助成金申請代行以外の付随業務に関わる報酬については受け取ることができますから、あらかじめ助成金申請代行の業務範囲内外を明らかにし、付随業務の報酬額と取り扱いについて話し合っておかれるのが得策です。

一方、期限までに書類を提出しなかった、書類の記載にミスがあった等、社労士側に起因する原因で助成金申請に失敗した場合、社労士には賠償責任があります。

もちろんあってはならないことですが、不測の事態に備え、社労士は賠償責任保険に加入しておくべきです。

社労士が扱える助成金の種類や報酬相場など

社労士が扱える助成金の種類や報酬相場など

ところで、ひと口に「助成金」といっても様々な種類があり、社労士がそのすべてを専門的に扱えるわけではありません。

すでにご紹介した通り、社労士の専門は厚生労働省が管轄する雇用関係助成金に限定されます。

また、助成金を主軸としたビジネス展開の仕方も、社労士各人によって少しずつ異なります。

ここでは、社労士が専門とする助成金の具体的な内容と、助成金ビジネスを展開する社労士の報酬相場を解説します。

社労士が専門とする、厚生労働省管轄の雇用関係助成金とは?

厚生労働省が管轄する雇用関係助成金の種類は、多岐に渡ります。

雇い入れや両立支援、生産性向上、労働時間設定、職場定着など、中小企業における雇用関係の課題に概ね対応しており、厚生労働省のウェブサイトからは目的に応じて対象となる助成金を絞り込むことができます

参考:厚生労働省「事業主の方のための雇用関係助成金」

社労士が助成金ビジネスを展開する上では、助成金診断を行い、企業が希望する取り組みに対応する助成金を提案することが第一歩となります。

ただし、雇用関係助成金には毎年何らかの変更があり、その年の助成金が翌年にも同じ要件で設定されているとは限りません。

よって、常に最新情報の収集に努め、的確なアドバイスが行えるようにしておく必要があります。

社労士が助成金申請代行する際の報酬相場

助成金ビジネスと聞いて、気になるのはやはり「報酬」ではないでしょうか?

社労士の助成金申請代行報酬は、申請する助成金の種類によって異なります。

なぜかと言えば、報酬額は全助成金一律ではなく、受給できる助成金額に応じた成功報酬額が算出の基礎となっているからです。

社労士事務所のウェブサイトをいくつか見てみると、

  • 着手金0~3万円
  • 成功報酬10~20%

の設定が主流のようです。

成功報酬部分の率は、助成金の難易度に応じて設定されます。

また、就業規則の作成・変更、雇用契約書の作成等については、オプション業務として別途報酬額を設定し、請求するのが一般的です。

加えて、普段から労務管理に携わっている顧問先については着手金不要、成功報酬を通常より低く見積もる等の措置を講じるケースがほとんどです。

社労士による助成金ビジネスは独占業務なの?

ところで、雇用関係助成金の申請については、社労士の他、経営コンサルティング会社等が代行を行う旨の広告を目にすることがあります。

結論からいえば、雇用関係助成金申請代行は社労士の独占業務であり、アウトソーシング等を行う法人組織、経営コンサルティング会社等の無資格者が行うことは違法です。
ただし、雇用関係助成金以外の助成金や補助金については、行政書士や中小企業診断士の専門となります。

ひと口に「助成金申請代行」といっても、そのすべてが社労士の専門、独占業務となるわけではありません。

社労士の助成金ビジネス 今後の展望

社労士の助成金ビジネス 今後の展望

中小企業における働き方改革が推進されることを受け、雇用関係助成金を専門とする社労士へのニーズは今後も増え続けることでしょう。

もっとも、社労士の助成金ビジネスは、申請代行のみを指すものではありません。

例えば、「専門家による労務コンサルティング」を支給対象の取り組みとする助成金についてはコンサルティング自体の報酬を請求できますし、就業規則作成などの別業務を受注するケースも少なくありません。

また、助成金申請代行を通じて顧問契約の締結に至ることもあります。
「助成金」をきかっけとしたビジネス展開の可能性は、無限大です。

今後、皆さんが社労士業界に足を踏み入れたなら、ぜひ希望を持って、「助成金」を業務に活かす方向に目を向けましょう。

まとめ

  • ひと昔前の助成金バブルは崩壊したとはいえ、近年では働き方改革の追い風を受け、再び社労士業界における助成金ビジネスに注目が集まっています
  • 社労士が専門的に扱うことができるのは、厚生労働省管轄の雇用関係助成金です
  • 中小企業における雇用問題解決のカギを握る雇用関係助成金申請代行には、高い需要がある一方で、ビジネスとして扱う上ではハイリスクと言わざるを得ない部分もあり、注意が必要です
  • 万が一、社労士側の落ち度によって不支給が決定された場合には損害賠償責任が生じるため、社労士賠償責任保険への加入は不可欠です
  • 社労士による助成金申請代行の報酬相場は「着手金0~3万円、成功報酬10~20%」であり、顧問契約の有無や助成金申請の難易度に応じて異なります
  • 雇用問題は中小企業における永遠の課題であるため、社労士は助成金申請をきっかけとして、相手先企業との継続的なビジネス展開が期待できます