社労士試験の厚生統計対策!細かな数字は「ざっくり把握」で解決

厚生統計対策

社労士試験の受験生の大半が苦手とする、「一般常識」。労働・社会保険関連法令からの出題では、到底、常識の範囲とは思えない数の法律が試験範囲となっていたり、白書分野では把握するべき資料等が多岐に渡ったりと、受験生にとっては対策の難しさがネックとなりがちです。

このように一筋縄ではいかない一般常識の出題範囲の中でも、とりわけ「厚生統計」については、ポイントをおさえた対策が結果につながりやすい分野といえます。ここでは、社会保険に関する一般常識(社一)の「厚生統計」で効率良く得点するための取り組みを解説します。

目次

社労士試験の「厚生統計」とは?

社労士試験の社一の出題範囲である「厚生統計」とは、労働・社会保険の現状を把握する上では欠かすことのできない昨今の動向を数字や図表にまとめられた資料全般を指します。

ひと口に「厚生統計」といっても、その種類は多岐に渡り、具体的には労働力調査、職業安定業務統計、雇用動向調査、大学等卒業予定者の就職内定状況調査、新規学卒就職者の離職状況、賃金構造基本統計調査、就労条件総合調査、高齢者・障がい者・外国人雇用状況、雇用均等基本調査、パートタイム労働総合実態調査、高齢社会白書、国民生活基礎調査などがあります。

社労士試験の「厚生統計」対策 ポイント3つ

対策 ポイント3つ

このように、社労士試験の厚生統計対策としては、労働関係から社会保険関係まで、幅広い統計資料の網羅が不可欠です。ただし、主要法令はもちろんのこと、一般常識科目としても統計以外の様々な分野の習得に取り組まなければならない受験生にとって、前述の統計資料のすべてを完璧に覚え込むことは困難といえます。

社労士試験の厚生統計対策では、以下に解説する3つのポイントをおさえた取り組みを心がける必要があります。

対策の基本は「テキスト」「過去問」

まずは月並みではありますが、他の科目同様、「テキスト・過去問」を中心とした傾向対策が、社労士試験の厚生統計を理解する上での第一歩です。

テキストや過去問にしっかり取り組むことで、これまでの出題傾向から社労士試験で狙われやすい厚生統計を把握できるとともに、頻出テーマを効率良く学習することができます。社労士試験の厚生統計の出題範囲は多岐に渡るものの、出題実績から、実際に狙われやすい資料とそうでないものとで判別できます。

また、択一式の選択肢を見ておくことで、それぞれの統計で重視すべきポイントを把握することも可能です。

出題傾向は対策講座で絞り込み

テキストや過去問と併せて活用したいのが、「白書・統計対策講座」です。資格予備校で短期講座として開講するものの他、フォーサイトのように通常のカリキュラムに組み込まれている講座、もしくは市販のテキストでも「白書・統計」に特化したものが書店に並んでいます。

受験年度の白書・統計対策を活用することで、例年の出題傾向の中から「今年特に狙われやすいテーマ」の絞り込みができ、効率良く学習が進むようになるのでオススメです。

統計資料につきものの「数字」はざっくり把握でOK

また、社労士試験の厚生統計対策では、動向を大まかに捉える姿勢が肝心です。統計資料には細かな数字がつきものですが、実際にはこうした数字の一つひとつを正確に覚えなければ得点できない様な出題はありません。

おおよその数字や割合、増加傾向にあるか減少傾向にあるかといった形で、自分が覚えやすいように形を変えてインプットしておければ対策としては十分です。

もちろん、把握しておくべき統計資料は多岐に渡りますから、それぞれのポイントが何についての統計かという点を混同しないように気を付けておきましょう。

社労士試験「厚生統計」出題実績を確認

出題実績を確認

受験生の中には、一般常識、とりわけ厚生統計からの出題に必要以上に身構える方が少なくありません。しかしながら、厚生統計はあくまで、社一科目における出題の一部分に過ぎませんから、あまり神経質になることもないでしょう。さらに言えば、一般常識科目全般に苦手意識があるからといって、肝心な主要法令の対策が疎かになるのは本末転倒です。

もちろん、「一般常識なんて感覚でどうにかなる」と考え、対策をせずに臨むのは論外ですが、一方で、一般常識は取り組みだすと際限なくできてしまいますから、試験対策上の力配分については常に意識しておくべきといえます。

最後に、実際の社労士試験での厚生統計の出題を確認しておきましょう。

国民年金保険料の納付状況

<2016年 社一 問9 E>

厚生労働省が公表した平成26年度の国民年金保険料の納付状況によると、平成26年度中に納付された現年度分保険料にかかる納付率は73.1%となり、前年度の70.9%から2.2ポイントの上昇となった。また、国民年金保険料の納付率(現年度分)の推移をみてみると、基礎年金制度が導入された時から約10年は、納付率は80%台であったが、平成14年度以降、現在に至るまで70%台になっている。

解答:×

平成26年度の国民年金保険料の納付状況によると、平成26年度中に納付された現年度分保険料にかかる納付率は63.1%(選択肢の「73.1%」は誤り)となり、前年度の60.9%から2.2ポイントの上昇
また、国民年金保険料の納付率(現年度分)の推移をみてみると、基礎年金制度が導入された時から約10年は、納付率は80%台であったが、平成14年度以降、現在に至るまで50%台から60%台(選択肢の「70%台」は誤り)である

国民医療費の概況

<2016年 社一 問9 C>

厚生労働省から平成27年10月に公表された「平成25年度国民医療費の概況」(以下本問において「平成25年度国民医療費の概況」という。)によると、医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用の推計である平成25年度の国民医療費は全体で40兆円を超え、人口一人当たりでは30万円を超えている。

解答:○

平成25年度の国民医療費は40兆610億円(=40兆円超)、人口一人当たりの国民医療費は31万4,700円(=30万円超)

後期高齢者医療制度被保険者実態

<2015年 社一 問10 D>

「平成26年度後期高齢者医療制度被保険者実態調査(厚生労働省)」によると、平成26年9月30日現在の後期高齢者医療制度の被保険者数は、5,547千人となっており、うち75歳以上の被保険者数は被保険者の79.6%を占めている。

解答:×

平成26年9月30日現在の後期高齢者医療制度の被保険者数は、15,547千人(選択肢の「5,547千人」は誤り)となっており、うち75歳以上の被保険者数は被保険者の97.6%(選択肢の「79.6%」は誤り)

まとめ

  • 社労士試験の「厚生統計」とは、労働・社会保険関連の現状、動向を示す資料全般を指します
  • 社労士試験の厚生統計の出題範囲は多岐に渡りますが、実際の出題傾向や受験年度に特に狙われるテーマを中心に、大まかな数字や傾向の把握によってある程度の対策は可能です
  • 社労士試験の厚生統計対策への取り組みは、他の科目同様、テキストや過去問が中心となりますが、加えて対策講座の活用も有効です
  • 一般常識科目への対策については、膨大な出題範囲がネックとなり疎かになるケースや、苦手意識が強いために必要以上に時間を費やしてしまうケースがありますが、他科目とのバランスを意識した上で適度に取り組むよう心がける必要があります
この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

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【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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