育児介護休業法を知る!社労士試験「労一」の頻出テーマ

育児介護休業法を知る!

数ある社労士の試験科目の中でも「一般常識」、とりわけ「労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)」は、受験生の大半が苦手とする分野のひとつです。

労一の難しさは、「出題箇所が読みづらい」「そもそも出題範囲が幅広い」という点にあります。よって、本試験対策では、頻出テーマに重点を置き、効率良く得点につなげる工夫が求められます。

実際、過去の傾向を見る限りでは、労一には毎年狙われる分野があることは一目瞭然です。まずは必ず出題されるテーマを攻略することこそ、労一対策の第一歩と言えるでしょう。

このページでは、社労士試験の労一で頻出の「育児介護休業法」について解説します。

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目次

社労士試験「労一」頻出の育児介護休業法とは?

育児介護休業法とは、社会で働く人が仕事と育児、あるいは仕事と介護を両立するための支援制度を定めた法律です。正式名称は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」といいます。

これまでに、企業に勤めながら育児休業、もしくは介護休業を取得したことのある方にとっては、労一の出題範囲の中でも比較的身近に感じられる法律かもしれません。また、これから育児休業や介護休業を取得する可能性のある受験生であれば、興味関心をもって学ぶことのできるテーマとも言えます。

育児介護休業法は社会的トレンド

昨今ますます進展する少子高齢化を背景に、労働者の両立支援は、人手不足解消に向けた重要な社会的テーマのひとつとされています。

育児介護休業法については、2016年以降今日に至るまで頻繁に改正が講じられ、より一層労働者に寄り添った内容になってきているところです。こうした状況は、社労士を志す皆さんであれば、必ずおさえておくべきポイントと言えます。

もちろん、労務管理の実務に携わる上でも、労働者の育児・介護への両立支援は十分に理解し、適切な対応ができるようにしておく必要があります。

法改正の多い育児介護休業法は必然的に頻出

育児介護休業法は、社会的なニーズという観点からはもちろん、「法改正が頻繁である」という点からも、社労士試験で特に狙われやすい分野といえます。

具体的に、育児介護休業法ではどのくらい法改正が多いかというと、2009年、2016年、2017年、そして2019年にそれぞれ公布されています。社労士試験の受験生であれば、最低限、ここに挙げた年度の改正項目を踏まえ、育児介護休業法の変遷や、現状における法定の両立支援制度を正しく理解しておく必要があります。

育児介護休業法 社労士試験対策のポイントは「基礎」と「法改正」

「基礎」と「法改正」

社労士試験の労一対策で重点を置くべき育児介護休業法ですが、出題数としては例年選択肢の一つに盛り込まれるかどうか、なおかつ実際の出題を見る限りではさほど身構えるほどの難易度ではありません。例年、奇問難問の類が出題されることもなく、あくまで基本的な内容理解と法改正項目をおさえることで対応できます。

ポイントとしては、育児休業と介護休業の制度の違いを踏まえてインプットに臨むこと、新設制度については重点を置いて理解を深めることを心がけるのが得策です。

社労士試験で問われる育児介護休業法「基本理解」

冒頭でも触れたとおり、育児介護休業法の出題は基本事項の内容理解で十分に対応可能です。以下の出題からも、基礎の徹底が重要であることをご確認いただけるのではないでしょうか?

[2017年 一般常識(労一) 問2 肢D]
育児介護休業法は、労働者は、対象家族1人につき、1回に限り、連続したひとまとまりの期間で最長93日まで、介護休業を取得することができると定めている。

解答:×
介護休業は、対象家族1人につき、通算93日まで、3回を上限として、分割して取得することができる

社労士試験で問われる育児介護休業法「新設制度」

社労士試験の育児介護休業法では、法改正によって新設された制度について、確実におさえておく必要があります。とりわけ、下記で問われた「パパ・ママ育休プラス」は、制度自体が分かりづらく、ひっかけ問題の作問には狙われやすい制度と言えそうです。

[2016年 一般常識(労一) 問2 肢B]
育児介護休業法第9条の2により、父親と母親がともに育児休業を取得する場合、子が1歳6か月になるまで育児休業を取得できるとされている。

解答:×
2009年の法改正で新設された、父親と母親がともに育児休業を取得する「パパ・ママ育休プラス」では、原則として、子が1歳2か月になるまで育児休業を取得できる。

ちなみに「1歳6か月」は、2016年当時、保育所に入所できない等、一定の場合に延長可能となる期間であり、混同に注意する必要がある。

育児介護休業法は社労士実務でも必携知識

必携知識

現状、育児介護休業法といっても何らなじみのない受験生であっても、試験対策を通じて理解を深めておくことは不可欠です。

皆さんが晴れて社労士試験に合格し、労務管理の専門家として企業の労務管理に携わる中で、育児休業や介護休業の取得時の申請代行、両立支援の充実に向けた制度構築を担うことはごく当たり前に生じます。その時に、専門性を発揮できない社労士であってはなりません。

もちろん、育児介護休業法では法改正が頻繁に行われ、これに伴い制度自体が変わってきます。よって、試験合格後にも継続的な知識のアップデートが必要となることは言うまでもありません。

まとめ

  • 社労士試験の一般常識(労一)で頻出のテーマの一つに「育児介護休業法」があります
  • 労働者の両立支援に関わる諸制度を定めた「育児介護休業法」は、少子高齢化を背景に重要性を増しつつあり、なおかつ法改正が頻繁に行われ制度拡充が図られています
  • 社労士試験に育児介護休業法が頻繁に出題されているとはいえ、出題数としては例年選択肢のひとつに盛り込まれる程度、さらに問われるのはごく基本的な難易度です
  • よって、社労士試験の育児介護休業法対策では、「基本的な内容理解」と「法改正項目のチェック」が主軸となります
  • 社会的ニーズが高まりをみせ、かつ法改正が頻繁に行われる育児介護休業法については、社労士試験合格後も継続的な知識のアップロードが必要です
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この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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