社労士を高卒から目指す!最短ルートは実務経験?行政書士?
更新日:2019年12月3日
大人になってから「あの資格に挑戦したいな」と思い立っても、そもそも受験資格を満たせていないことに気付き、肩を落とした経験のある方も少なくないでしょう。
他の国家資格の例に漏れず、社労士試験にも受験資格があります。
実務経験がなく、特別な資格等の取得もない場合には学歴で受験資格を得ることになりますが、社労士試験は高卒の要件で受験することはできません。
とはいえ、高卒であることを理由に社労士になる道を諦めることはありません。学歴要件で受験資格を満たせないなら、他の要件に目を向ければ良いだけです。
社労士試験に高卒から挑戦する方法を考えてみましょう。
社労士の資格取得、「高卒」では受験資格がありません!
学生の頃にはさほど勉強に熱心になれなかった人でも、年を重ねてから学ぶことの必要性に気が付いたり、興味関心が向いたりすることは多々あります。
しかしながら、冒頭でも触れたとおり、国家資格の多くは受験資格を設けており、受験にあたり学歴がネックとなることも珍しくありません。
ご存じの通り、社労士試験は高卒の学歴要件で受験できません。
だからといって、社労士試験に挑戦するために今から大学受験をしなければいけない、というわけではありません。ここからは、高卒から社労士になるための現実的な方法を検討します。
高卒から社労士に その1.「実務経験」を積む
学歴要件で社労士試験の受験資格をクリアできない場合、真っ先に目を向けるべきは「実務経験を積む」方法です。
学歴を今から高めるのは容易ではありませんが、将来に向けて実務経験を積むことであれば、比較的前向きに考えることができると思います。また、仕事を通じて社労士業務を知り、試験に必要な知識を習得できるかもしれません。
このように、高卒の方が社労士試験の受験要件を実務経験で満たすことには、メリットも期待できます。
しかしながら、社労士事務所で仕事をすれば必ず受験資格が認められる、というわけではない点に注意が必要です。
社労士試験の受験資格となる実務経験は「通算3年以上の労働・社会保険関連の事務手続き等への従事」であり、このうち「特別な判断を要しない単純事務は除く」とされています。また、税理士事務所での実務経験は認められない点にも留意する必要があります。
高卒から社労士に その2.「行政書士」資格を取得する
現状、仕事を持っているために社労士事務所等への転職が現実的ではない場合には、資格要件で社労士試験の受験資格を満たす方法があります。
社労士試験の受験資格となる国家試験は実に79にも上り、多岐に渡りますが、このうち高卒の方が目指しやすい試験が「行政書士」です。行政書士試験はそもそも受験資格を設定していないため、誰にでも幅広く門戸が開かれているのです。
とはいえ、行政書士試験自体も合格率10%前後の難関国家資格ですから、覚悟を持って臨み、本格的に法律学習に取り組まなければなりません。
社会保険労務士試験オフィシャルサイト「社会保険労務士試験の受験資格_厚生労働大臣が認めた国家試験」
結局、高卒から社労士に挑戦する最短ルートは?
上記の通り、高卒から社労士試験に挑戦する場合、「3年以上の実務経験(単純事務を除く)」又は「厚生労働大臣が認めた国家試験合格」のいずれかによって受験資格を得る必要があります。
どちらのパターンを目指すとより早く社労士試験に挑戦できるか、という問いについては、「いずれも長期戦を覚悟すべし」といった回答になります。実務経験で要件を満たそうとしても、業界未経験者が社労士事務所に就職してすぐに受験資格となる実務に従事できるわけではありませんから、3年以上の就業を想定しなければなりません。
しかし、受験を志してすぐに行政書士試験に合格できるかといえば、やはりそう上手くいかない可能性もあります。
ご自身の現状や見通し、希望を踏まえ、適切と思える方法で、社労士試験への挑戦権を目指しましょう。
社労士に高卒で挑戦!素朴な疑問
さて、社労士試験に高卒で挑戦できるとしても、そもそも高卒者は受験資格の対象外であることから、何かと不安に感じるポイントがあるのではないでしょうか?
例えば、「実務経験で受験資格を満たすつもりだが、そもそも採用されるのか」「行政書士試験には受験資格の設定がないとはいえ、高卒から合格できるものなのか」など、受験資格を得るまでの段階で疑問が生じるでしょう。また、「晴れて社労士試験に合格できたとしても、高卒であることがネックになるのでは?」といった心配をする方もいるようです。
社労士試験に高卒で挑戦する上での、よくある疑問を解消しておきましょう。
社労士事務所に高卒で就職できる?
事務所ごとに採用スタンスは違えど、社労士事務所への就職は高卒の方であっても問題なくできる場合がほとんどです。社労士事務所への就職にあたり、ネックとなるのは学歴よりも実務経験です。
求人の中には、即戦力を求める案件が少なくありません。近隣の社労士事務所の求人を検索してみると、募集状況を確認できます。
ただし、あくまで業務補助者を求めているのであって受験資格となる実務に従事させてくれない事務所、社労士試験の受験やその後の独立開業を積極的に支援していない事務所等もある点に注意しなければなりません。
高卒で社労士の受験資格を得るための行政書士資格取得、正直厳しい?
確かに、行政書士は社労士同様、容易に合格できる試験ではありません。
高卒で長らく学習から遠ざかっている方、このたび一から法律を学ぶ方にとって、社労士試験の受験資格を得るための「行政書士試験合格」自体が高いハードルとなって立ちはだかることでしょう。
しかしながら、行政書士試験の合格は、出題傾向を踏まえ、戦略的に試験対策を講じることで目指せる道です。
専用の対策講座を活用し、効率重視の学習を心がけるのが得策です。社労士試験対策の前段階で法律学習に慣れていること、社労士試験合格時点で行政書士資格も併せ持っていることは、あらゆる意味で大きなアドバンテージになります。
「高卒だから厳しい・・・」と悲観せず、前向きに努力を重ねましょう。
高卒の社労士は独立開業後に需要ある?
実際に独立開業し、様々な社労士と話をすると、高学歴、ハイキャリアの社労士は多く存在することに気が付くはずです。
ある程度実務家として経験を重ねればご自身の歩んできた道を引け目に感じることは少なくなりますが、開業当初こそ、高卒であることで卑屈になることもあるかもしれません。
「高卒の社労士が独立開業したところで・・・」と気持ちが沈んだときには、今一度、「高卒でも難関・社労士試験の合格を掴んだ」という事実を思い出してください。高学歴の人と比較して学歴は劣っていても、今は「社労士業界」という同じ土俵に立っています。
学歴で勝てなくとも、ここからどう自分らしく、社労士としてのキャリアを構築していくかに目を向ければ、いつの間にか「需要ある社労士」へとステップアップしているはずです。
高卒だって社労士の資格取得さえ出来れば可能性は無限大!
このページで解説した通り、現状高卒であっても、社労士試験に挑戦し、専門家として活躍する道は開かれています。「学生時代にもっと勉強しておけば良かった」と後悔するなら、その思いを将来につなげていく方向で考えてみませんか?
社労士試験に合格すれば、必ず今とは違ったステージが待っています。努力は人を裏切りません。
高卒でも、前向きかつひたむきに、社労士道を突き進んでいきましょう。
まとめ
- 高卒では社労士試験を受験できませんが、学歴要件を満たせない場合、「実務経験」「資格合格」のいずれかで受験資格を得ることが可能です
- 実務経験を積むことで、実務を学びながら社労士資格の受験資格を得ることができますが、あらかじめ就職先の事務所のスタンスを確認しておく必要があります
- 資格要件で社労士試験の受験資格を得る場合に有力な選択肢は「行政書士試験合格」ですが、社労士資格同様、難関国家資格への挑戦となるため、相応の努力が求められます
- 高卒から社労士試験の受験資格を得るための最短ルートについて、明確な答えはなく、個々の希望や状況を踏まえて選択できるのが理想です
小野賢一(おの けんいち)
「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
●フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師