社労士なら「時短勤務で正社員」が叶う?私生活とキャリアを両立する働き方

「時短勤務で正社員」が叶う?

社労士のような専門資格の取得を目指そうと思い立った理由のひとつに、「ワークライフバランスの実現」を挙げる方も多いと思います。確かに、何の専門性も持たない労働者よりも、特定の分野に精通した有資格者である方が、自分自身で労働時間をコントロールしつつもキャリアップを目指しやすいのではないでしょうか?

実際に、社労士資格を取得すれば、時短勤務をしながら育児や介護、趣味、自己啓発のための時間を確保することも可能です。私生活とキャリアを両立したい皆さんは、ぜひ安心して社労士資格の取得を目指しましょう!

目次

社労士で時短勤務はなぜ可能?

働き方改革を追い風に、民間企業でも徐々に浸透しつつある時短勤務ですが、社労士業界では実はずいぶん以前から時短勤務の求人が多く出されていたことをご存知でしょうか?しかも、パート等の非正規雇用ではなく正社員としての時短勤務募集は、社労士事務所の求人の中でも特段珍しくありません。

ここでは、社労士業界において「なぜ時短勤務の需要があるのか」、「時短勤務で正社員が可能な理由」を考えてみましょう。

企業の労務管理を扱う社労士だからこそ、多様な働き方への理解がある

第一に、「社労士の職業柄」という見方があります。社労士は企業の労務管理を担う仕事であるため、今般の働き方改革の中で導入が促進される時短勤務や週4日勤務等の限定正社員制度に対し、職場内における理解があります。

加えて、社労士事務所内で時短勤務や限定正社員制度等を導入した実績は、必ず社労士業務に活かされますから、この点でも民間企業に先行して新制度を試すメリットがあります。

もちろん、制度導入に必要な知識やノウハウがあり、制度設計自体も得意とするという点も、他業種とは異なる特徴といえましょう。

業務量に応じたメリハリある働き方が可能

事務所によって異なりますが、一般的に社労士業務には明確な繁閑があり、これを踏まえてあらかじめ業務量に応じた年間業務計画の立案や想定される業務への事前準備が可能です。

例えば、6~7月には労働保険年度更新や社会保険算定基礎届の業務が集中しますから、これに備えてあらかじめ必要な情報を整理することや、顧問先への早めのアナウンスができます。

突発的な業務はもちろん生じますが、基本的な仕事については例年の傾向から時期ややるべきことをある程度見積もることが可能なため、時短勤務であっても業務に対応しやすいという特徴があります。

基本的に「残業なし」で帰宅可能なことが多い

その他、社労士で時短勤務正社員が可能な理由として、「社労士業は、繁忙期でない限り、残業なしで帰宅できる日が意外と多い」ということも挙げられます。確かに、年度更新や算定基礎届が集中する6~7月、民間企業で入退社手続きが多く発生する年度末から年度始めにかけての繁忙期の残業は避けられません。

ところが一方で、繁忙期を除けば、各人の働き方次第で、時短勤務でも限られた時間で効率良く業務を進めることができます。

もちろん、時短勤務としての社労士の働き方には経験や慣れが不可欠ですが、一度のみ込むことができれば、民間企業での仕事以上に無理なく定時上がりが実現します。

社労士の時短勤務正社員 求人数は意外に多い

求人数は意外に多い

冒頭でも触れたとおり、社労士事務所の求人広告を見ていると、社労士業界では時短勤務正社員という働き方はさほど珍しくないことが分かります。

社労士業界で時短勤務の募集が民間企業以上に多い理由にはすでに解説した通りですが、一方で働く側にとって、時短勤務の社労士という働き方はどのようなものなのでしょうか?ここからは少し視点を変えて、社労士で時短勤務正社員の実際を考察しましょう。

「時短勤務で正社員」は専門資格を有する社労士だからこそ

最近では長時間労働が問題視され、人々の働き方に関わるテーマは報道等でも頻繁に取り上げられるようになりました。長時間労働に陥る人の中には、「キャリアやスキル、経験を高めたいために頑張っている」という前向きな理由を挙げる方も少なくありません。

ところが、蓄積される疲労は意図せず心身を蝕み、長時間労働が結果として過労死の引き金ともなり得ますから、やはり労働時間はほどほどであるに越したことはありません。

この点に鑑みると、すでに専門知識を有する状態で仕事に従事する社労士なら、一般的な業務のように長時間労働に耐えなくても、無理なくキャリアアップを目指しやすいといえます。

もちろん、社労士資格を有していても、経験やノウハウを積まなければ実力ある専門家にはなれませんが、前述の通り、多様な働き方に理解のある職場に恵まれやすいため、各人のペースで社労士業に携わることができるでしょう。

結果として、結婚や出産・育児、介護といったライフステージに応じて、また自己啓発や趣味との両立のために、働き方を柔軟に変えながら、長期的な観点から社労士としてのキャリア形成を目指せます。

時間の確保が必要な社労士受験生も「時短勤務」でサポート

社労士事務所で時短勤務をしている職員の中には、将来の社労士候補として、社労士試験の受験勉強をしながら時短勤務をしている方も少なくありません。というのも、社労士事務所では社労士資格を持たない職員に対して資格取得を推奨し、支援の一環として時短勤務を認めるところが多いようです。

なぜ、わざわざ社労士資格を持たない方の採用に乗り出すのかといえば、今後一層深刻化するであろう働き手不足への備えであったり、他事務所のやり方に染まっていない職員の方が仕事を教えやすかったりという理由があるようです。

いずれの理由にせよ、受験勉強のために何よりも時間確保が必要となる社労士受験生は、社労士事務所で時短勤務をすることで、無理なく実務と受験勉強に取り組むことができます。

皆さんの中には、「社労士試験に合格してから、どこかの事務所で働きたい」とお考えの方も多いかもしれませんが、適切な求人が見つかれば、「社労士事務所に所属しながら試験合格を目指す」という選択肢に目を向けてみても良いかもしれません。

社労士なら、時短勤務でも専門性を活かして働ける

専門性を活かして働ける

ところで、時短勤務正社員という働き方を考える上では、どうしても「フルタイム正社員に劣る」というイメージを拭えないという方もいるのではないでしょうか。確かに、時短勤務には責任ある仕事に就かせてもらえない、取り組めることに限りがあるといった職場は少なくありません。

この点、専門職である社労士であれば、時短勤務であっても専門知識を活かして働くことが可能です。社労士登録があれば独占業務に従事できますし、れっきとした社労士として労務コンサルティングにも携わることができます。

やりがいある仕事をしながらライフワークバランスも大切にできることは、社労士ならではといえるのではないでしょうか?

まとめ

  • 専門資格である社労士を取得することで、時短勤務をしながらもキャリアアップを目指すことができます
  • 働き方改革推進の中で民間企業にも導入が広がる時短勤務ですが、社労士業界では以前から時短勤務正社員の求人が比較的多くありました
  • 社労士業界において時短勤務が支持される理由として、「多様な働き方の制度設計を担う仕事のため、職場での理解がある」「年間の業務計画を立てやすい仕事のため、時短勤務でもスケジュール調整によって無理なく対応できる」等が挙げられます
  • 社労士事務所の中には、社労士試験の受験生を時短勤務で雇い入れ、資格取得を見込んで資格取得をサポートするところも珍しくありません
  • 一般的に「責任ある仕事を任せてもらえない」と思われがちな時短勤務ですが、社労士であれば独占業務を含め、専門性を活かして働くことができます
この記事の監修者は
小野賢一(おの けんいち)

「そうだったのか!」という驚きや嬉しさを積み重ねましょう
【出身】北海道
【経歴】横浜国立大学大学院国際社会科学府修了。社会保険労務士、日商簿記2級等の資格を保有
【趣味】楽器演奏
【受験歴】2022年社労士試験初回受験、合格
【講師歴】2023年よりフォーサイト社労士講座講師スタート
【座右の銘】昨日から学び、今日を生き、明日へ期待しよう
フォーサイト公式講師X 小野賢一@社労士専任講師

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