鑑定評価方式とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

鑑定評価方式とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

鑑定評価方式とは?
目次

鑑定評価方式とは

不動産はそれぞれ条件や環境が異なるので、一律に適正な価格を求めるということが難しいという事情があります。

この点が他の一般的な商品と異なる点です。

そのため、必要となるのが不動産の鑑定評価です。

不動産の鑑定評価は正常価格を求めることで、市場でのおおよその価格を算出し、不動産を市場に流通させることができます。

正常価格とは

市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件をみたす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格を言います。

同じ家でも建っている場所など、環境によって価格が異なる

原価法

原価法

再調達原価

再調達原価とは価格時点において、その不動産を新たに造ったらいくらかかるかという価格を言います。

このとき、造成地等の再調達原価は、実際にいくら費用を費やしたかではなく、造成業者の適正な利益を加えた標準的な建設費です。

減価修正

減価修正とは、傷んだり古くなったりした分の価格です。

更地の鑑定評価の場合も、減価修正しなければならない場合があります。

例)土壌汚染などによる被害がある場合

適用されるケース

建物、造成地、埋立地などの鑑定評価に用いられます。

既成市街地の土地には適用が困難です。

これは、再調達原価を求めることができないためです。

積算価格

上記のような原価法による試算価格を積算価格といいます。

取引事例比較法

鑑定評価の対象不動産に類似している不動産の取引事例を多数集めて、これらの取引事例を評価対象不動産と比べて、試算価格を求める方式を取引事例比較法と言います。

取引事例比較法

適正な事例の選択

  • 投機的取引であると認められる事例など、適性を欠くものを適用してはいけません。
  • 評価対象不動産の近くにあり(近隣地域)、あるいは離れていても、近隣地域と類似した特性をもっている地域にあることが条件です。
  • 土地の形状や日照等、個々の土地の条件(個別的要因)の比較が可能なこと。
  • 取引事情が特殊でないこと(ex. 転勤のため売り急いだ場合)。但し、その特殊な事情を直すことができれば採用してよいとされています(事情補正)。
  • できるだけ新しい事例であること。但し、多少古くても、取引時から、価格時点までの価格変動を修正できるのであれば採用してよいとされています(時点修正)。

事情補正

  • 減額補正…営業上の場所的制限など特殊な使用方法を前提として土地が取引された場合や、取引価格に売買代金の割賦払いによる金利相当額、離作料等の土地の評価以外のものが含まれて取引した場合などに行います。
  • 増額補正…相続や転勤等により売り急いで土地が取引された場合に行います。
  • 減額または増額補正…知人や親戚間など人的関係による恩恵的な土地の取引がなされたときに行います。

適用されるケース

一般に取引されている不動産全般に適用が可能です。

ただし、例外として、不動産取引のきわめて乏しい地域における不動産、取引されることのきわめて少ない不動産(神社・仏閣等)、公共公益の不動産(学校・公園等)のような特殊なものについては適用が困難。

比準価格

上記のような取引事例比較法による試算価格を比準価格といいます。

収益還元法

鑑定評価の対象不動産を賃貸した場合に賃料がいくらになるかを想定し、そこから逆算して、これくらいの賃料になるのであれば、その不動産の価格はこれぐらいであろう、というようにして、評価対象不動産額の試算価格を求める手法による試算価格を収益価格といいます。

収益還元法

収益は不動産の経済価値の本質を形成するものなので、学校や公園等のような公共公益目的に供されている非収益目的の不動産以外のものには全てこの手法が適用されなければいけません。

したがって、自用の不動産といえども賃貸を想定することにより、この手法が適用されるべきとされています。

原価法・取引事例比較法・収益還元法の関係

鑑定評価の手法の適用に当たっては、複数の鑑定評価の手法を適用すべきです。

対象不動産の種類、所在地の実情、賃料の信頼性等により複数の鑑定評価の手法の適用が困難な場合においても、その考え方をできるだけ参酌するよう努めるべきです。

市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、収益還元法を積極的に活用するべきです。

原価法・取引事例比較法・収益還元法の関係

鑑定評価方式に関するよくある質問

原価法は、既成市街地の土地には適用困難とありますが、なぜでしょうか。再調達原価を求めることができないからということですが、なぜ既成市街地は再調達原価を求められないのかがわかりません。
一般的に既成市街地は何年前に買って、造成費はいくらだったかがわかりません。たとえば明治時代に100円で買って10円で造成したとわかったとしても物価が違いすぎて役に立ちません。このため再調達に必要な費用を求めることができないため、原価法は適用が困難となります。
取引事例比較法に係るこれらの問題を解く上でのポイントを教えてください。
取引事例比較法に係るこれらの問題を解く上でのポイントは、次の2点です。
  1. 「投機的取引と認められる事例」など、適性を欠くものは不可
  2. 「特殊な事情」は、補正をすれば可
市場における土地の取引価格の上昇が著しいときは、収益還元法を積極的に活用するべきである。とありますが、なぜですか?

まず、原価法、取引事例比較法では取引価格の上昇が著しい時は、原価法においては、特に土地の値段に上昇した土地の値段が評価の際に含まれるため、影響を受ける可能性が高まります。取引事例比較法では取引事例自体に直近の事例を採用することが多いため、価格上昇の要因が含まれ、著しい価格上昇も含まれた評価額になり易いという面があります。

一方、収益還元法を使用すると、収益還元法に関しては、計算にて評価を行うため、より不動産取引のリスク要因が判別しやすいという点がございます。リスクを知って投資を行う事が出来るという点で、特に取引価格の上昇が著しい時には良い評価手法であると言えます。