他人物売買とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
更新日:2019年5月16日

他人物売買とは
宅建では、売主の担保責任で出題されることが多いワードです。他人物売買には、2つの場合があります。
- 全部他人の物であった場合
- 一部が他人の物であった場合
それぞれ例をもとに見ていきましょう。
全部他人の物であった場合
まず、このような他人の物を目的物とする契約が有効かどうかが焦点となります。
他人の物でも広川さんが不動産屋さんに家を売り、それを濱口さんへ売ることは可能なので、有効とされます。
そして、この場合は買主の濱口さんの善意・悪意に分けて考えることが必要となります。

一部が他人物売買の場合

他人物売買の対象が動産の場合
他人物売買の対象が不動産の場合には、上記例のような流れになります。では、対象物が動産の場合はどうなるのでしょうか。
動産の場合、他人の物であることを過失なく知らなかった買主が、即時に所有権を取得する場合があります。
8種制限~自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結の制限~
8種制限のポイント
- 業者自らが売主となる売買契約のみに適用されます→媒介・仲介・賃借・業者が買主の場合には適用はありません。
- 業者間には適用がありません。
- 業法に規定中、業者間での適用がないのは、この8種制限のみです。
自己の所有に属しない宅地または建物の売買契約締結ができる場合とできない場合
~停止条件付き売買契約の場合は?~
原則は、業者自らが売主となる場合は、自己の所有に属しない物件の契約はできません。この場合、
- 他人の物件
- 未完成物件についての契約(予約を含む)ができません。
- 他人の物件の場合で業者が確実に取得できる場合→この場合、契約がなされていればOKです。
※契約は予約でもOK
※契約が見込みや停止条件付きなどの特約がある場合はNG - 未完成物件の場合で、手付金等の保全措置をとった場合
-
他人物売買で業者間取引きは適用がないとありますが、それは買主が業者の場合でしょうか?
-
他人物売買ですが「業者が売主」の場合のみ適用されます。
-
他人物売買でなぜ売る意思がない人の物を買う契約が有効なのかがわかりません。この理由を教えていただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。
-
人の物(第三者の物)を売ることは、道徳的にはよくないことですが、民法では有効とされています。これは、第三者から所有権を自分に移転し、さらにその所有権を買主に移転できればよいという考えに基づきます。
このため、第三者の所有であって、その第三者が売買する意思がなくても、とりあえず契約は有効となります。結果として所有権が移転できなければ契約は解除して、あとは損害賠償することになります。
-
全部他人物売買は買主悪意であっても損害賠償請求可能か、可能でないのか、出題されたときの見極めポイントはなんでしょうか。
-
全部他人物売買の場合、買主が悪意のときは、契約解除はできますが、損害賠償請求はすることはできません。出題の見極めですが、まず、問題文を図にすることと、問題で設定されている条件をその図に書き入れることになります。
ただし、例外として以下の場合は契約を締結することができます。

他人物売買に関するよくある質問
窪田義幸(くぼた よしゆき)
″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
●フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
●フォーサイト講師ブログ