詐害行為取消権とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

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目次

詐害行為取消権とは

詐害行為取消権とは、債務者が行った詐害行為を取り消すよう裁判所に請求できる権利です。

詐害行為とは

債務者が不当に財産を処分したり譲渡したりして、債権者に渡らないようにする行為を言います。

例)沼津さんは金融機関からお金を借りています。

沼津さんの財産は家のみです。沼津さんは、借金のかたに家をとられないよう、自分の子に家を譲り渡しました。このとき、金融機関は、沼津さんの行った行為は詐害行為だとして、詐害行為取消権を行使することができます。

改正について

名称に関し、2020年4月の民法改正により詐害行為取消権から詐害行為請求権に変更されます。

内容に関しては、大幅な変更はない予定です。

客観的要件と主観的要件

詐害行為取消権には、客観的要件と主観的要件があります。

客観的要件とは、債務者が債権者の権利を害したという内容です。つまり、借金を返すことが難しくなったと傍から見てわかる状況をいいます。

そして、主観的要件とは、債務者が財産を処分などする行為が債権者を害する行為だと債務者が「知っている」ことが必要となります。

主観的要件では、どのような目的で債務者が財産を処分したかが、詐害行為にあたるかどうかの判断基準となりますが、試験に直接関係のない内容ですのでここでは割愛します。


客観的要件と主観的要件

詐害行為取消権と抵当権

例えば、住宅ローンを組んで、購入した家に抵当権が設定されている場合は、その家を不当に処分した場合、詐害行為取消権は認められるのでしょうか。

結論から言うと、この場合詐害行為取消権は認められません。ただし、抵当権を実行した場合でも、住宅ローン額に満たない場合は、詐害行為取消権が認められます。


詐害行為取消権と抵当権

詐害行為 取消の効果は相対効

例)沼津さんは金融機関からお金を借りています。

沼津さんの財産は家のみです。沼津さんは、借金のかたに家をとられないよう、自分の子で家に譲り渡しました。

その後、子は不動産屋さんへ家を売却しました。この不動産屋さんから、事情を知った上で、第三者が家を買い受けました。

詐害行為の取消の例の図解

判例によると、金融機関が沼津さんの一連の行為が詐害行為だと主張した場合、要点は以下の3つとなります。

  1. 訴える相手は、沼津さんにはできない。不動産屋さんか第三者にする
  2. すでに家が第三者に渡っている場合でも、不動産屋さんを被告として価格賠償を求めることができる
  3. 取消だけの請求が可能

ここでは、3.取消について掘り下げて解説いたします。

この取消の効果は「相対効」です。

相対効とは、相対的効力のことで、1人に対する効果は、他の人には及ばないという内容です。

つまり、金融機関が不動産屋さんと第三者との契約を取り消した場合、あくまでも「金融機関との間で」契約が取り消されたことになります。

したがって、不動産屋さんと第三者との契約自体は成立したままになります。

このことから、金融機関は

  1. 不動産屋さんに対して価格の賠償を行う
  2. 不動産屋さんに対して取消の請求を行う
  3. 第三者に対して家の返還請求を行う
  4. 第三者に対して取消の請求を行う

以上の4つの請求を行うことができます。

詐害行為の受益者と時効援用

詐害行為の受益者が、債務者の時効を援用できるのかを見ていきましょう。

まず、受益者とは、上の例でいう「不動産屋さん」にあたります。

詐害行為において、時効援用ができる者の要件は以下の通りです。

  1. 時効を援用することにより義務を免れることができる者
  2. 直接関係している当事者である者
  3. 時効の援用が妥当だと判断される第三者

不動産屋さんは、上記1と3に当てはまると考えられることより、時効が援用できます。

詐害行為 取消の効果は相対効

詐害行為取消権の保証人への影響

上記例の、沼津さんに、財力のある保証人がいるとします。

沼津さんが詐害行為をした場合、保証人へはどのような影響があるのでしょうか。通常保証人には、債務者が借りたお金を返せない場合、肩代わりすることが役割があります。

しかし、詐害行為取消権は、債務者自身の財産を取り戻させることが目的なので、保証人の財産が債権者への弁済に充てられるというわけではありません。場合によっては、保証契約に基づいて、債権者が保証人に請求することもできます。

詐害行為取消権の保証人への影響

詐害行為取消権と債権者代位権の比較~身分行為は?~

詐害行為取消権では、上で述べてきた通り、債務者が不当に財産を処分した場合に債権者がその処分を無かったものにできる権利です。

一方、債権者代位権とは、債務者が持っている権利を、債権者が代わりに使うことができる権利を言います。

例)恵子さんは、近藤不動産からアパートを借りました。

しかしそのアパートには、不法占拠しているホームレスがいました。このとき、恵子さんは「アパートを使用する権利」がありますので、「債権者」となります。

一方、近藤不動産は、「アパートを引き渡す義務」がありますので、「債務者」となります。債務者である近藤不動産は、アパートの所有権を持っています。この権利に基づき、近藤不動産はホームレスを退去させることができます。

また、この権利を使い恵子さんが近藤不動産の代わりにホームレスに対し、アパートの引き渡し要求をすることが「債権者代位」です。


詐害行為取消権 債権者代位権
制度趣旨 債権者が自分の債権を確保しておくために、債務者の財産を保全すること 債権者が自分の債権を確保しておくために、債務者の財産を保全すること
どのような場面で使うのか 債務者が、自分の財産を減少させる行為をしたとき 債務者が、自分の財産を減少させる行為を放置しているとき
保全される債権の範囲 詐害行為前に発生しているもの 発生時期は問わないが、原則、履行期にあること
債務者の資力 必ず無資力でなければならない 原則、無資力であることが必要
権利の対象 財産権を目的とする法律行為身分行為は対象とならない 財産権を目的とする法律行為身分行為は対象とならない
行使方法
  • 裁判でのみ行使可能
  • 債務者・受益者・転得者が悪意であることが必要
  • 裁判上か否かを問わない
  • 相手方の主観は問わない
行使の範囲 原則、債権額が限度額となる
  • 代位債権者の債権額を超えて行使可能
  • 金銭債権については、債権額が限度額となる
行使の効果 債務者には及ばない(相対効) 債務者に帰属する
直接給仕請求 可能 可能
消滅時効
  • 取消原因を知ってから2年
  • 行為から20年
なし

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