区分所有法・規約とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
更新日:2019年7月29日
区分所有法・規約とは
意義
- 区分所有者全員で構成する団体の根本規則を言います。
- 建物又はその敷地もしくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法に定めるもののほか、規約で定めることができます。
- 規約は、書面又は電磁的記録により、これを作成しなければなりません。
規約事項
規約は、専有部分もしくは共用部分又は建物の敷地もしくは附属施設(建物の敷地又は附属施設に関する権利を含む)につき、これらの形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、区分所有者間の利害の衝平が図られるように定めなければなりません。
設定・変更・廃止
- 規約の設定・変更・廃止は、区分所有者及び議決権の各3/4以上の決議。
- 規約の設定・変更・廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす場合は、その承諾が必要。
一部共用部分に関する規約
- 一部共用部分について、区分所有者全体の利害に関係せず、かつ、区分所有者全員の規約に定めがない事項であれば、その一部の区分所有者だけで規約を設定することができます。(一部の区分所有者及び議決権の3/4以上)
- 一部共用部分に関する事項であっても、区分所有者全員による全体の管理規約で定めることもできます。ただし、この場合、一部共用部分の共有者の不利益を防止するため、一部共用部分の共有者である区分所有者の1/4を超える者又は議決権の1/4を超える者が反対しないことが条件となります。
公正証書による規約
最初に専有部分の全部を所有する者は、公正証書により、下記の事項に限り、単独で規約を設定することができます。
- 規約常用部分の定め
- 規約敷地の定め
- 専有部分と敷地利用権の分離処分を許す定め
- 各専有部分に係る敷地利用権の割合に関する定め
規約の効力
- 区分所有者全員に対して及びます。
- 区分所有者の包括承継人(相続人)のみならず、特定承継人(買主等)・占有者(賃借人等)に対しても効力が生じます。
規約の保管
- 管理者が設置されているときは、管理者が保管します。
- 管理者が設置されていないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定める者が保管しなければなりません。
- 管理組合が法人である場合、理事が当該法人の事務所において保管しなければなりません。
規約の閲覧
- 規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではいけません。
- 規約の保管場所は、建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません。
区分所有法・規約に関する過去問
問題
建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 管理者は、少なくとも毎年2回集会を招集しなければならない。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができる。
- 集会は区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができる。
- 区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
- 規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で理事会又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
平成20年度宅地建物取引士資格試験 問15
解説
- 誤り。
管理者は少なくとも毎年1回集会を招集しなければなりません(区分所有法第34条第2項)。また、区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、集会の招集を請求することができます。 - 誤り。
集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続きを経ないで開くことができます。 - 正しい。
区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、または解任することができます。 - 誤り。
規約は、管理者が保管しなければなりません。ただし、管理者がいないときは、建物を使用している区分所有者またはその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければなりません。
区分所有法・規約に関するよくある質問
-
マンション管理規約の定数を減らすことの考え方を教えていただきたいと思います。
-
定数を減らすとは、「集会を招集」するためには、1/5の全戸数の議決権を集めれば、集会を招集できますが、定数を減らして、例えば1/10でも集会を招集することができるようにするなど、より機動的に集会の招集を行うことができるように、最低の必要議決権=定数を減らすということです。
-
管理所有者とは誰のことですか?
-
管理所有者とは規約によって共用部分の管理に必要な範囲で共用部分の所有者と定められた者をいいます。
例えばあるマンションに区分所有者A,B,C,Dがいたとします。そのマンションの規約でAを管理所有者と定めた場合にはAが管理所有者となります。
また、管理所有者となれるのは区分所有者と管理者のみです(区分所有法11条2項、同法27条1項)。そのため、管理所有者は区分所有者と管理者になった者の中から規約によって選任されることになります。 -
共有部分の管理に要した各区分所有者の費用の負担については規約の定めがない限り、共有部分の持分によって決まるとありますが、基本的には、専有部分の持分が共有部分の持分になると考えてよろしいのでしょうか。
-
ご理解の通り、規約に別段の定めがない限り、専有部分の床面積割合=共用部分の持分割合となります。
窪田義幸(くぼた よしゆき)
″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
●フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
●フォーサイト講師ブログ