所得税とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

所得税とは?
目次

所得税とは

不動産などの資産を譲渡した場合に得る所得にかかる税金です。

課税団体

国です。

納税義務者

自己所有の不動産を譲渡した人が義務者となります。

課税標準

原則

譲渡所得金額=譲渡価格ー(取得費+譲渡費用)

特別控除

譲渡所得金額の特別控除についての主なものは以下の通りです。

  1. 収用交換等の場合(5,000万円控除)
  2. 居住用財産を譲渡した場合(3,000万円控除)
所得税とは

収用交換等の5,000万円特別控除

以下の要件を満たす場合に、5,000万円が譲渡所得から控除されます。

要件

  1. 土地等が、土地収用法、都市計画法等の規定に基づいて収用等される場合
  2. 土地等が、国や地方公共団体等により、一団の住宅施設経営のために買い取られる場合
収用交換等の5,000万円特別控除

居住用財産の3,000万円特別控除

本来マイホームも土地と建物である以上、それを売った場合、所得税が課されるはずです。

しかし、通常の土地・建物同様に所得税が課されるのでは、負担として重すぎます。

そこで、居住用財産の譲渡については、譲渡所得金額から3,000万円を差し引いて、その負担を軽減するものとしました。

要件

  1. 居住用財産の譲渡であること
  2. 次の親族等に対する譲渡でないこと
  3. ・配偶者および直系親族(祖父・祖母・父・母・子・孫)

    ・上記以外の同一の生計の親族

    ・譲渡後その居住用家屋に同居する親族

    ・その他同族会社等

  4. 前年または前々年に3,000万円の特別控除を受けていないこと(この特例は3年に1回だけ適用できます)
  5. 本年・前年・前々年に居住用財産の買換えの特例を受けていないこと(買換えの特例と3,000万円特別控除とは選択適用となります)。

効果

譲渡所得金額から3,000万円を控除できます。

注意点

  • 長期譲渡のみならず、短期譲渡の場合にも適用されます。
  • 譲渡した居住用財産が譲渡した年の1月1日において所有期間が10年超の場合、この3,000万円の特別控除後の譲渡益について、軽減税率を重ねて適用できます。
居住用財産の3,000万円特別控除

税率

長期

原則

一律15%

長期譲渡所得の特例

居住用財産で所有期間10年超の場合

  • 譲渡所得金額6,000万円以下の部分…10%
  • 譲渡所得金額6,000万円以下を超える部分…15%

優良住宅地の造成等のための土地を譲渡したときの長期譲渡所得特例

所有期間5年超の場合

  • 譲渡所得金額2,000万円以下の部分…10%
  • 譲渡所得金額2,000万円を超える部分…15%

短期

原則

譲渡所得金額×30%

税率

納付税額

原則

課税譲渡所得金額×税率

例外

住宅ローン控除制度

住宅ローン控除制度は、持ち家政策の促進を図るために設けられています。以下の要件を満たす場合に控除の対象となります。

要件

  • 10年以上の住宅ローンにより住宅(宅地も対象)を取得すること(中古および増改築も可)
  • 取得してから6カ月以内に居住の用に供すること
  • 控除を受ける年の年間所得は3,000万円以下であること。これを超える年については控除されません。
  • 居住用財産の3,000万円控除または居住用財産の買換えの特例の適用を受けていないこと
  • 家屋の床面積が50㎡以上で、その床面積の50%以上が居住用のものであること。

控除額

居住年月 平成26年4月~平成33年12月
控除期間 10年
ローンの年末残高限度額 4,000万円
控除率 1,0%
控除可能額(年額) 40万円
最大控除可能額(10年間累計) 400万円

納付方法

申告納税方式です。

納付期日

翌年の2月16日から3月15日までの間です。

非課税

  • 国や地方公共団体、特定の公益法人に対する贈与
  • 相続税の物納

上記2つは非課税となります。

特定の居住用財産の買換えの特例

個人が一定の要件のもとに、マイホームを売って、新しいマイホームを購入したときに適用される特例です。この場合、譲渡による収入のうち買換資産の購入にあてられたと考えられる部分については課税されません。

譲渡資産の要件

  1. 個人がその居住の用に供している家屋であること、もしくは居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されるものであること
  2. 居住期間が10年以上であること
  3. 所有期間が10年を超えていること
  4. 配偶者、直系血族、生計を一にする親族、内縁の妻または夫など、特別な関係にある者への譲渡ではないこと等
  5. 譲渡に係る対価の額が1億円以下であること

買替資産の要件

  1. 家屋の居住の用に供する部分の床面積が50㎡以上であること
  2. 1の家屋の敷地の面積が500㎡以下であること
  3. 譲渡した年の前年、譲渡した年、譲渡した年の翌年末までの間に取得したものであること
  4. 譲渡した年の前年または譲渡した年に取得したときは、譲渡した年の翌年末まで、譲渡した年の翌年中に取得した時は、取得した年の翌年末までに居住の用に供されること
  5. 建築後使用されたことのある一定の耐火建築物である場合には、その取得の日以前25年以内に建築されたものであること(一定の耐震基準をみたす住宅の場合には、建築年数が25年を超えるものでもよい)等

その他

その年、前年または前々年に3,000万円控除、居住用財産の軽減税率などの適用を受けていないこと等

効果

譲渡資産の譲渡による収入金額(譲渡金額)が買換資産の取得価格(購入価額)以下の場合は、その譲渡資産の譲渡はなかったものとし(課税されません)、収入金額が買換資産の取得価格を超える場合には、その超える部分について譲渡があったものとみなされます。

手続

所定の書類を添付して確定申告をします。

特定の居住用財産の買換えの特例

所得税に関するよくある質問

所得税が暗記できません。何と何が併用適応できて、何と何ができないのかが明確に区別できません。

まずは、併用不可の特例を覚えてみてはいかがですか。併用不可は4つだけですが、頻出論点でもあります。

  1. 3,000万円特別控除と、買換特例は併用不可
  2. 長期譲渡の軽減税率と、買換特例は併用不可
  3. 住宅ローン控除と、3,000万円特別控除は併用不可
  4. 住宅ローン控除と、買換特例は併用不可

「収用交換等の場合の5,000万円の特別控除」後は、「優良住宅地の造成等のための譲渡した場合の軽減税率」の特例を受けられますか?

「優良住宅地の造成等」のために土地を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることはできません。※2,000万円以下は10パーセント、2,000万円を超える部分は15パーセント

3,000万円特別控除で、家が3,000万円以下で売れた場合は所得税がかからないのですか?

ご賢察の通りです。特別控除によって、課税標準がゼロになる場合には、税金はかからないことになります。

この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

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