時効の中断とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

時効の中断とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

目次

時効の中断とは

そもそも時効とは長い間ある状態が続いているので、その状態を尊重するために認められた制度です。ある状態が途切れたならば、その時点までの状態を尊重する必要はありません。

そこで、認められたのが中断です。

例)

目黒さんの家に森谷さんが勝手に住んでいた場合、その8年目に森谷さんが目黒さんに、「この家は目黒さんのものだ」と認めれば(承認)、今まで続いてきた「この家は、森谷さんのものらしい」という状態を尊重する必要はありません。


取得時効と消滅時効

取得時効と消滅時効では時効の中断がキーワードとなります。それぞれの要件をまとめました。

取得時効 消滅時効
中断事由 1.請求
・裁判以外の請求(催告・仮執行宣言の申立ても含む)でも中断事由となりますが、この場合6カ月以内に裁判上の請求等強力な手段を取ることが必要となります。

・中断効は、催告の時に発生します。

・裁判上の請求が却下された場合、または訴えを取り下げた場合は時効中断の効力は生じません。

2.差押・仮差押・仮処分
3.承認
4.占有を失った場合
1.請求
ただし、同左
2.差押・仮差押・仮処分
3.承認


中断の効果 それまでの期間はゼロになり、中断事由終了の時から再び時効が進行します。 同左

不法行為における時効の中断

不法行為は、現実に損害が生じたときから効果が生じます。

ただし、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年間損害賠償請求をしないと、請求権は時効により消滅します。不法行為の時から20年を経過したときも同様です。

では、どのようなときに不法行為の消滅時効が中断されたと判断されるのでしょうか。 原則、上で説明した消滅時効の中断事由の通りとなります。

つまり、損害を請求したり、保険から支払いを受けたり、示談交渉することで、時効の中断と認められます。

時効の中断~口頭での承認は有効?具体例は?~

時効の中断事由の1つに承認があります。承認とは、債務者が、その債務の存在を認めることです。

さて、このとき承認は口頭、つまり書面などを用意せずに言葉で言っただけで有効になるのでしょうか。答えは「口頭でも有効になる」です。口頭でも中断となりますし、間接的に認める形でも、時効の中断と判断されます。

また、借金の場合は過払い金などと相殺した場合も時効が中断します。承認の具体例としては、債務の返済や、債務の返済期間の猶予をお願いすることもこれに当たります。

時効の中断と停止の違い

時効の停止とは、時効の完成間際に債権者が、時効の中断をすることが難しくなるような事由がある場合に適用されます。

例えば、時効の完成間際に大地震や津波などの自然災害が起き、裁判所の業務が停止した場合や裁判業務が復旧した後、2週間が経過した時点まで延長されるとしています。(161条)

時効の中断との違いは、中断は振り出しに戻るのに対し、停止は、最初から起算するのではなく、停止せざるを得ない期間が経過するまで、時効の完成を先延ばしにする点にあります。

したがって、時効の停止は、それまでの時効完成までの期間が無駄にはならず、停止期間が経過するまでに時効が中断されなければ時効は完成します。

時効の中断に関する民法改正

消滅時効に関して、2020年を目処に民法改正が行われることとなりました。改正ポイントについては、以下の4点になります。

  1. 「権利を行使することができることを知ったときから5年間、権利を行使することができる時から10年間」に変更

    現在は、消滅時効の時効期間を考える上で、商法上の商人かどうかが重要なポイントとなります。商人の場合は、消滅時効期間が5年、それ以外の一般的な債権の場合は、10年となるからです。

    しかし、民法改正後は、商事債権の時効を5年間と定めている商法522条の規定が撤廃されますので、商事債権か否かに関わらず、「権利を行使することができることを知ったときから5年間、権利を行使することができる時から10年間」に変更されます。

  2. 「更新」「完成猶予」という新たな概念

    現在の「中断」が「更新」に、「停止」が「完成猶予」にそれぞれ変わります。

  3. 「更新」「完成猶予」の事由が一部変更

    現在は、仮差押・仮処分は時効の中断事由ですが、改正後は完成猶予の事由となります。また、改正後の強制執行等は完成猶予事由となります。

  4. 協議による時効の完成猶予の規定の新設

    法的な諍いが起きた場合、いつもすぐに法定で争われるわけではなく、まずは話合いで解決しようという動きが出るのが一般的です。

    しかし、話合いが継続している中で時効が迫ってきたときに、時効を中断させるためだけに訴訟を起こすことは、債権者・債務者の両方に有益とは言い難い面があります。

    また、話合いで解決を試みた債権者に対し、債務者が消滅時効を援用する目的で、話合いによる解決を反故にした場合、信義則に反すると言えます。このような背景のもと、改正後は協議による時効の完成猶予の規定が新設される運びとなりました。

時効の中断に関するよくある質問

時効の中断という言葉がよくでてきますが、わかりやすく教えてください。

ご質問の件、時効の中断とは、進行した期間(時効の期間)が振り出しに戻って、ゼロからあらためてスタートすることをいいます。

例えば、Aさんの家に、Bさんが住んでいたとしましょう。Bさんが、最初からこの家を自分のものだと思って住んでいた場合、民法によれば、10年で時効が成立し、この家はBさんのものになります。

しかし、もし8年が経過した時点で、BさんがAさんに「この家はAさんのものだ」と認めれば「時効の中断」となります。この場合、時候の期間はその日から振出しに戻り、ゼロからスタートすることになります。 (その日から10年後に時効が成立することになります)

時効完成前に登記を入れられた場合、時効が中断する事はないのでしょうか?

時効の中断は登記によらずとも中断できます。民法164条では、「占有者が任意にその占有を中止し、または他人によってその占有を奪われたときは、中断する」とありますので、時効をたくらむ不法占有者を追い出せばよいだけです。

普通の保証の場合でも、主債務者に対する履行の請求その他時効の中断の効力は保証人にも及ぶとあります。これとは逆に連帯保証ではない普通の保証の場合、保証人に対する履行の請求その他時効の中断の効力は主債務者にも及ぶのでしょうか?

主債務者に対する履行の請求その他時効の中断は、保証人に対してもその効力を生じます。このことは、通常の保証でも、連帯保証でも共通です。連帯保証人に対する履行の請求は、主債務者に対する請求の効力をも有します。 つまり、主債務者の時効も中断されることになります。ただし、普通の保証人に請求したからといっても、主たる債務者に請求したことにはならず、その時効も中断しません。