公序良俗とは?「公序良俗」や「公序良俗に反する」などの判例や民法|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

公序良俗とは?「公序良俗」や「公序良俗に反する」などの判例や民法|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

公序良俗とは?
目次

公序良俗とは

公序良俗とは、公共の秩序を守るための常識的な観念をいいます。

言い換えると、「常識的に考えてダメだと思うことはしない」ということです。宅建での使い方は、「公序良俗に反する行為」などの表現で目にすることが多い単語です。

例)歩行者が横断歩道を渡っているときに、車を停止させること
例)本物の拳銃が欲しいが、モデルガンで代用する

公序良俗に反する法律行為は、当然に無効となります。

上に書いてある例でいうと、歩行者が横断歩道を渡っているときでも、急いでいたなら車はそのまま走行して良い、という法律が仮にあったとします。

自分が車を運転している立場ならまだ良いものの、歩行者だったら轢かれてしまいます。そのため、普通に考えて誰もがおかしいと思う法律は、無効になりますよ、という内容になります。

公序良俗に反する法律行為は、当然に無効となります。

「公序良俗に反する」の例

公序良俗違反の例を簡単に見ていきましょう。

例)妾になる契約
例)100万円あげるから、人を殺してと頼むこと

まず、妾(愛人)になるという契約のお話です。小説の中ではあり得そうですが、実際にお金持ちのおじさんがお金を盾にして若い女性に愛人契約を迫ったら、道徳的に問題となります。

また、お金をもらって人を殺害するというのも、映画などではよくある設定かもしれませんが、実際に起きたら大問題です。お金を払って人を殺してもらうことが許されるということは、自分もいつか殺されるかもしれないということに繋がるからです。

このように、社会通念上許されない内容をもつ法律行為を、公序良俗に反する法律行為といい、当然に無効となります。 何も知らない(善意の)第三者にも無効を主張することができます。

「公序良俗に反する」の例

公序良俗に関する判例

昭和60(オ)356 賃金請求本訴、不当利得金請求反訴

昭和61年11月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 大阪高等裁判所 金沢支部

判示事項:

クラブのホステスが顧客の飲食代金債務についてした保証契約が公序良俗に反するものとはいえないとされた事例

裁判要旨:

クラブのホステスが顧客の当該クラブに対する飲食代金債務についてした保証契約は、ホステスにおいて自己独自の客としての当該顧客との関係の維持継続を図ることによりクラブから支給される報酬以外の特別の利益を得ることを目的として任意に締結したと認められるなど原判示のような事情がある場合には、公序良俗に反するものとはいえない。

わかりやすく要約すると:

凛さんが働いているクラブでは、指名してくれるお客さんのツケはホステスが肩代わりするというお店のルールがあります。凛さんは、ツケでいいからと言い、お客さんの村瀬さんをよくお店に呼んでいました。

村瀬さんは度々プレゼントをくれ、次第に2人はホステスと客以上の関係になっていきました。そんな中、村瀬さんのツケが溜まってしまい、困った凛さんはお店を相手に裁判を起こしました。

ホステスに客のツケを払わせるなんておかしいのではないかという内容です。しかし、無理強いされてツケを肩代わりされられたのではないこと・お客さんと良い仲になっていたことから、この裁判は棄却されました。

ただし、この事案においては考慮すべき事実があったので、棄却されましたが、ツケを払わせることがすべて認められるのではないことに注意しましょう。

昭和61(オ)946 遺言無効確認等

昭和61年11月20日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所

判示事項:

不倫な関係にある女性に対する包括遺贈が公序良俗に反しないとされた事例

裁判要旨:

妻子のある男性がいわば半同棲の関係にある女性に対し遺産の三分の一を包括遺贈した場合であつても、右遺贈が、妻との婚姻の実体をある程度失つた状態のもとで右の関係が約六年間継続したのちに、不倫な関係の維持継続を目的とせず、専ら同女の生活を保全するためにされたものであり、当該遺言において相続人である妻子も遺産の各三分の一を取得するものとされていて、右遺贈により相続人の生活の基盤が脅かされるものとはいえないなど判示の事情があるときは、右遺贈は公序良俗に反するものとはいえない。

わかりやすく要約すると:

原田さんはひろ子さんという女性と不倫をしていました。この関係はすでに6年も続いているもので、しかも、週の半分をひろ子さんの家で過ごしていて、原田さんの妻子は黙認していました。

夫婦仲は冷え切っており、また、ひろ子さんは経済的に原田さんから支援を受けていました。そんな中、原田さんが突然亡くなってしまいました。

亡くなった後、ひろ子さんは生前原田さんが自分のために書いてくれた遺言を持って、妻子の元を訪れました。遺言の内容は、財産の1/3をひろ子さんが取得するといったものです。これを知った妻はカンカンに怒り、両者引かず、裁判に持ち込まれました。

結果は、ひろ子さんの勝訴。原田さんはひろ子さんに捨てられないようにと財産を残そうとしたのではなく、ひろ子さんの今後の生活を心配してのことだったことと、夫婦生活が実質的に破綻していたこと、ひろ子さんに財産を分けても妻子が暮らしていけることからこのような結果となりました。

不倫は法律違反なのに、不倫相手が財産をもらえるなんて、法律は複雑ですね。

公序良俗に関する判例

民法第90条・公序良俗

民法第90条・公序良俗 公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

上記を分かりやすく言い換えると、道徳に反するような法律は効力を持たないという内容です。 上で書いた「公序良俗とは」の横断歩道の例のように、おかしな法律を取り締まって、法律の正当性・妥当性を守ろうという趣旨のものです。

民法第90条・公序良俗

公序良俗に関するよくある質問

Cが移転登記を受ける際に、AB間の売買契約が公序良俗に反し無効であることを知らなかった場合、Cは、Aに対して土地の所有権は対抗できないようですが、何故、Cは、Aに対抗できないのでしょう?

A → B → Cと売買が行われ、Cが登記を備えるという状況ですが、何も問題がなければ、Cが所有権を取得します。

"しかし、ここではA・B間の契約が、たとえば、土地の価格が通常の取引に比べて"とてつもなく安い売買であったような場合は、公序良俗に反し無効となります。

そして、この公序良俗に反して無効になった行為は、すべての第三者(この場合、C)に対抗できるためCは所有権を主張できない。というものになります。

「公序良俗に反して無効」の意味がわかりません。

たとえば、AB間の売買契約が不当に安い値段で取引されたような場合には、公序良俗に反しその契約は無効になって、そのことを知らないCに対して、Aは所有権を主張できるものとなります。

「公序良俗に反する行為は第三者に対抗できる」とはどのようなことですか?いまいち分かりません。

たとえば、Aが時価10万円の土地をBに1,000万円で売却し、Bがさらにその不動産をCに転売した場合、Aは、AB間の売買契約が公序良俗に違反して、無効だということを、Cが善意のときでも主張できるというものです。

善意の第三者はかわいそうですが、無効にしないと法律が不法なことを目的とした行為を助けるようなことになってしまうからだということなります。