自己契約と双方代理とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

更新日:2019年7月30日

握手する人の手
目次

自己契約と双方代理とは

自己契約とは

代理人が自ら本人を代理して、本人と契約をすることを自己契約と言います。

例)例えば本多さんが、古幡さんに土地を売却する代理権を与えたとします。

この場合の本多さんが本人、古幡さんが代理人となります。古幡さんは、以前から本多さんの土地が気になっていたので、代理権を与えられたのをいいことに、金額を安く設定し、自分で土地を購入しました。自己契約は原則として禁止されています。理由は上記例のように、自己(代理人)に利益があるよう取引価格を調整し、本人に不利益となる可能性があるからです。

ただし、本人が承諾している場合は、取引はそのまま有効となります。


土地の売却

双方代理とは

契約当事者双方の代理人になって、契約をすることを双方代理と言います。

例)三留不動産は、顧客Aから土地の売却を委任され代理人となりました。

ちょうど三留不動産の親戚が土地を探していたので、三留不動産は親戚の代理人にもなり、親戚へ安く土地を売りました。このような場合を双方代理と言います。双方代理も、自己契約と同様に原則禁止です。理由は上記例のように、本人に不利益となる可能性があるからです。もし双方代理を行った場合は、無権代理となり、本人に効果が及ばないこととなります。


ただし、司法書士が登記を申請するというような双方にとって、不利益が生じない内容に関しては例外として有効となります。登記は売買が成立した後に行いますので、買主・売主どちらかの不利益となることは、通常考えにくいからです。

自己契約と双方代理に関する過去問

AがBの代理人としてB所有の甲土地について売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定および判例によれば、正しいものはどれか。

  1. Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、A自らが買主となて売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得する。
  2. Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。
  3. Aが無権代理人であってDとの間で売買契約を締結した後に、Bの死亡によりAが単独でBを相続した場合、Dは甲土地の所有権を当然に取得する。
  4. Aが無権代理人であってEとの間で売買契約を締結した後に、Aの死亡によりBが単独でAを相続した場合、Eは甲土地の所有権を当然に取得する。

平成20年度宅地建物取引士資格試験 問3

  1. 誤り

    代理人が契約の相手方になることが原則として禁止され、これに反して行った場合は無権代理になりますが(民法第108条)、本人の許諾を得ている場合や、単なる債務の履行であれば許されます(同法第108条但し書)。よって、Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合でも、A自らが買主となって売買契約を締結したときは、Aは甲土地の所有権を当然に取得するわけではありません。

  2. 誤り

    双方代理は原則として禁止され、これに反して行った場合は無権代理になりますが(同法第108条)、本人の本人の許諾を得ている場合や、単なる債務の履行であれば許されます(同法第108条但し書)。よって、Aが甲土地の売却を代理する権限をBから書面で与えられている場合でも、AがCの代理人となってBC間の売買契約を締結したときは、Cは甲土地の所有権を当然に取得するわけではありません。

  3. 正しい

    無権代理人が単独で本人を相続した場合、無権代理行為は相続と共に当然有効になります(判例)。よってDは甲土地の所有権を当然に取得します。

  4. 誤り

    本人が無権代理人を相続した場合、無権代理行為は当然には有効になりません(判例)。よって、Eは甲土地を当然に取得するわけではありません。

自己契約と双方代理に関するよくある質問

代理人は本人を代理して自分と契約するとはどういう意味でしょうか。 ご教授ください。
自己契約とは、たとえば、売主の代理人となった人が、自分が買主になるような場合です。代理人が自分が都合のよいように契約を結ぶ可能性があるので、原則として禁止されています。
自己契約・双方代理の例外の説明の中で、「1人の司法書士に売主・買主双方が登記を依頼する場合」という例示がありましたが、これは「債務の履行」に該当するため例外として認められるのでしょうか。「登記」=「債務の履行」のイメージがわきません。
1人の司法書士が売主・買主双方の代理人になって登記を移転する行為は、債務の履行に該当して、例外的に双方代理をすることができます。司法書士は売買契約が終わって、売主・買主が登記申請をしなければならないという債務が残り、それを司法書士が代理で履行する行為です。このような行為は双方にとって、不利益はありませんので、例外として有効になります。
代理の自己契約、双方代理に出てくる単なる債務の履行とは登記移転の他に、具体的にどのような事例があるのですか?
単なる債務の履行とは、売買契約に基づく登記申請行為のほかには、弁済期が到来している債務の支払いの例が該当します。
この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

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