不法行為とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

不法行為とは?
目次

不法行為とは

ある者がその権利ないし利益を他人によって違法に侵害されるという仕方で損害をこうむった場合に、その侵略者をして当該被害者に対して、その損害を賠償すべき債務を負わせる制度を言います。

一般不法行為の要件

一般不法行為の例としては、交通事故があります。要件は以下の通りです。

  1. 加害者に故意または過失があること(=過失責任主義)
  2. 加害者に責任能力があること。したがって責任能力のない間に他人に損害を加えても原則として不法行為は成立しないが、例外的に故意または過失によって一時的に責任能力のない状態を招いた場合は、不法行為が成立します。
  3. 加害行為が違法であること
  4. 加害行為と損害との間に因果関係があること

監督者責任の要件

監督者責任の例としては、幼稚園での園児のプール事故があります。

要件が以下の通りです。

  1. 加害行為をした者が、未成年者または精神障碍者であり、責任能力を欠く場合には、これらの者の行為については、不法行為に基づく損害賠償責任を負いません。
  2. 責任無能力者の代わりに、その責任無能力者を監督する法定の義務を負うもの(親権者や後見人など)、監督義務者に代わって監督する者(幼稚園の先生や小学校の教諭など)が、責任無能力者が第三者に加えた損害の賠償責任を負います。ただし、この場合でも監督義務者等がその義務を怠らなかったとき、またはその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、損害賠償義務を負いません。

使用者責任の要件

使用者責任の例としては、業務中の交通事故があります。

要件は以下の通りです。

  1. ある事業のため他人を使用する者は、被用者がその事業の執行につき、第三者に加えた損害を賠償する責任を負います。
  2. ただし、使用者が被用者の選任およびその事業の監督についての相当の注意をした場合、または相当の注意をしても損害が生じてしまった場合は、責任を負いません。
  3. 使用者責任が成立するには、被用者に不法行為責任が成立することが必要です。
  4. 使用者責任が成立すれば、被害者は、被用者・使用者両方に損害賠償請求をすることができます。
  5. 使用者は、損害を賠償した時は、信義則上相当な限度で、被用者に対して求償することができます。

注文者の責任の要件

注文者は原則として請負人がその仕事について第三者に加えた損害を賠償する責任を負いません。

ただし、注文または指図について注文者に過失があった場合には責任を負います。

工作物・竹木の瑕疵による責任の要件

  1. 土地の工作物の設置または保存の瑕疵・竹木の栽植または支持の瑕疵によって他人に損害が生じたときは、その物の占有者は被害者に対して損害賠償の責任を負います。
  2. ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者が責任を負います。(無過失責任)

共同不法行為の要件

  1. 数人が共同の不法行為によって、他人に損害を加えたときは、各自連帯して賠償の責任を負います。
  2. 共同行為者の中で誰が損害を与えたかわからない時も同様です。
  3. 教唆者および幇助者は、共同行為者とみなします。
不法行為とは

不法行為に伴う損害賠償請求

誰が行うのか?

  1. 被害者が行います。被害者は法人でも良いです。
  2. 被害者が即死の場合でも、被害者自身に死亡による慰謝料請求権が発生し、その請求権は、相続によって相続人へ承継されます。

誰に行うのか?

加害者に対して行います。

いつ行うのか?

現実に損害が発生したときに行います。

ただし、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知ったときから3年間損害賠償請求権を行使しないと、請求権は時効により消滅します。

不法行為のときから20年経過したときも同様に消滅します。

不法行為の損害賠償

何を行うのか?

加害者が損害賠償(財産的損害や精神的損害に対して)を行います。

ただし、被害者に過失がある場合には、裁判所は損害賠償の額を定めるについてこれを考慮することができます。

どのように行うのか?

金銭による賠償が原則となります。

どのように行うのか?

不法行為に関するよくある質問

不法行為における『履行遅滞』という意味がよくわかりません。

不法行為が行われた時点から履行遅滞になります。そのため交通事故を起こして100万円の損害賠償と年率2%の利息の義務となった場合、交通事故が1月1日で最終的に支払いが行われた時点が12月31日とした場合は100万円に2万円の利息をつけ支払うことになるとイメージして頂ければと思います。

責任能力のない間に他人に損害を加えても原則として不法行為は成立しないが、とありますが、それは一体、どのような場合ですか?

事例の一つとしては、「子どもが喧嘩をして相手にケガをさせた」、「自転車事故を起こした」場合が考えられます。様々な判例がありますが、10-12歳くらいの子どもは責任無能力者とされ、損害賠償の責任を負わないことがあります。しかしこの場合は保護者へ責任が転嫁されることになります。

不法行為の時から20年経過したときは時効により請求権は消滅とありますが、不法行為の時から20年を超えて現在も不法行為状態が継続している場合はどうなりますか?

継続的な不法行為の場合は、原則として不法行為が止んで損害の全体を把握できる様になってから消滅時効が進行するとお考え下さい。

この記事の監修者は
窪田義幸(くぼた よしゆき)

″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
フォーサイト公式Youtubeチャンネル「くぼたっけん」
フォーサイト講師ブログ

宅建コラム一覧へ戻る