不真正連帯債務とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

不真正連帯債務とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説

目次

不真正連帯債務とは

不真正連帯債務を簡単に、わかりやすく説明していきます。

2人以上で不法行為を行い、他人に損害を与えた場合、その損害賠償金の支払いを「不真正連帯債務」といいます。

特徴として、連帯債務と違い弁済以外の行為に関しては、他の債務者に影響がない相対効となります。

したがって、一人の債務が免除となっても、他の人の債務については免除とはなりません。

仮に、一人の債務が免除となった場合に、他の人の債務が免除となる場合は、絶対効があるという表現になります。

不真正連帯債務と不貞行為

身近な例で説明しますと、夫がある女性と不倫をしたとします。

妻は、この不倫を離婚原因として主張できる他、貞操権を侵害したとして、裁判を起こし慰謝料を請求することができます。

慰謝料は、夫と不倫相手の2人に対して請求が可能です。

夫と不倫相手はこの慰謝料請求権について連帯債務を負うこととなります。

そしてこの連帯債務を不真正連帯債務と呼びます。

絶対効と相対効

ここで語句説明を行います。

絶対効

絶対効=絶対的効力です。

これは、上の不法行為でいうと、2人以上で行った不法行為ですが、1人だけ被害者から罪を放免されたとします。

これが「絶対効」だった場合、罪を放免されるという行為は、全員に当てはまることとなり、みんなが罪に問われないということになります。

※実際には、不法行為の不真正連帯債務の免除は相対効ですので、ご注意ください

相対効

相対効=相対的効力

これは、上の不法行為でいうと、2人以上で行った不法行為ですが、1人だけ被害者から罪を放免されたとします。

これが「相対効」だった場合、罪を放免されるという行為は、1人だけの特典となり、他の人には影響を及ぼさないこととなります。

つまり、この1人以外の人については、依然として罪に問われる状態です。

不真正連帯債務の効果

  効果
弁済 絶対効
相殺 絶対効
時効 相対効
免除 相対効
請求 相対効
更改 相対効
混同 相対効

不真正連帯債務のよくある例~会社法429条など~

  1. 会社の役員の職務上の不法行為と会社の責任

    役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負います(会社法429条)

    しかし、役員個人が不法行為を行ったとして、被害者に損害賠償を行う場合、役員等個人と会社は両方が債務を負うこととなり、不真正連帯債務の関係にあると解釈されます。

  2. 使用者責任

    被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負います(民法715条)

    しかし、被用者個人が不法行為を行ったとして、被害者に損害賠償を行う場合、被用者個人と雇い主は両方が債務を負うこととなり、不真正連帯債務の関係にあると解釈されます。

  3. 共同不法行為

    共同不法行為(民法719条)において、各共同不法行為者の負う損害賠償債務は、不真正連帯債務の関係にあると解釈されます。

不真正連帯債務のよくある質問

「数人が共同の不法行為によって、他人に損害を与えたときは、各自連帯して賠償の責任を負う。」とある一方、「共同不法行為者が負担する損害賠償責務は、不真正連帯債務であって連帯債務ではないので、加害者のうちの1人に対する履行の請求は、他の加害者に対してはその効力を有さない」とあります。

私にはこの二つが矛盾しているように見えどうしてもつながりません。何については連帯して責任を負わなくてはならず、そして何については各々が負うのでしょうか。

共同不法行為の意義は、「被害者救済」という視点から、各加害者の誰に対しても賠償請求ができ、かつ、その賠償額は全額賠償であるということです。

各加害者は連帯して責任を負いますが、これを「連帯債務」と解してしまうと、連帯債務の規定が適用されて、債務者(加害者)の一人について生じた事由(免除や時効など)が絶対効となってしまい、被害者救済の目的を達しえないことになります。

そこで、共同不法行為者の責任を定める民法719条は、債務者の一人につき生じた事由につき絶対的効力をもたない「不真正連帯債務」と解することになります(判例)。

この場合、原則として弁済及び弁済と同視しうる事由以外は、相対的な効力しか持ちません(他の債務者に影響しない)。

不真正連帯債務と連帯債務の違いや内容をわかりやすく教えてください。

不真正連帯債務では、債権を満足させる事由(弁済、代物弁済、供託、相殺)は1人について生じたものでも、他の債務者に影響を及ぼします。

一方、債権を満足させる事由以外のもの(履行の請求、更改、債務免除、混同など)は他の債務者に影響を及ぼしません。

なお、連帯債務では債務者各自が債務の全部を負うため、他の債務者が何かしても、他の債務者には影響しないのが原則です(相対効)。

絶対効の「弁済」、「相殺」、「混同」、「請求」、「時効の完成」、「免除」を覚えておくようにしてください。

不真正連帯債務の「他の債務者に影響を及ぼさない」の意味がよくわかりません。

不真正連帯債務とは、連帯債務のうち、各債務者が全額についての義務を負うけれども、債務者間に緊密な関係がなく、弁済及びこれと同視し得る事由を除いて、一債務者に生じた事由が他の債務者に影響しないものを意味します。

複数の共同不法行為者が負担する賠償がこの例で、AとBが共同不法行為でCに1,000万円の損害を与え、AとBの過失割合が6:4である場合、CがAに対して債務免除をしても、Bは1,000万円全額について賠償責任を負う制度になります。