市街化区域とは?|わかりやすく宅建・宅地建物取引士の解説
更新日:2019年4月17日

市街化区域とは
すでに市街地を形成している区域で、おおむね10年以内に、優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域です。
その区分および各区域の整備開発または保全の方針を都市計画に定めます。基本的に、市街化区域には用途地域を定めます。

区域区分~市街化調整区域と非線引き区域~
区域区分には、市街化区域の他に市街化調整区域と非線引き区域があります。それぞれどういったものなのか、簡単に見ていきましょう。
市街化調整区域とは
市街化を抑制すべき地域です。
その区分および各区域の整備開発または保全の方針を都市計画に定めます。基本的に、市街化調整区域には用途地域は定めないものとされています。

非線引き区域
市街化区域および市街化調整区域の区分のない区域を言います。
市街化区域における開発許可
以下に当てはまる場合、開発許可は不要となります。
内容 | 1,000m2未満の開発許可 |
---|---|
理由 | 小規模なら計画的な街づくりを邪魔する危険が少ないから |
内容 | なし |
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理由 | 市街化区域には農林漁業の特例はありません |
内容 | 都市計画事業・土地区画整理事業・市街地再開発事業・住宅街区整備事業・防災街区整備事業の施工として行う行為 |
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理由 | 計画的な街づくりを邪魔する恐れが少ないから |
内容 |
|
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理由 | 1はやむを得ず認められるもので、2はほとんど都市計画に妨げにならないため |
市街化区域に関する過去問

問題
都市計画法に関する次の記述のうち、間違っている者はどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治体に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいうものとする。
- 区域区分の定められていない都市計画区域内の土地において、10,000m2のゴルフコースの建設を目的とする土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、と同時県知事の許可を受けなければならない。
- 市街化区域内の土地において、700m2の開発許可を行おうとする場合に、都道府県知事の許可が必要となる場合がある。
- 開発許可を受けた開発行為又は開発行為に関する工事により、公共施設が設置されたときは、その公共施設は、協議により他の法律に基づく管理者が管理することとした場合を除き、開発許可を受けた者が管理することとされている。
- 用途地域等の定めがない土地のうち開発許可を受けた開発区域内においては、開発行為に関する工事完了の公告があった後は、都道府県の許可を受けなければ、当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を新築することができる。
平成21年度宅地建物取引士資格試験 問17
解説
- 区域区分の定められていない都市計画区内の土地において、10,000m2のゴルフコースの建設を目的とする土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければなりません。(都市計画法第29条第1項第1号、同法施行令第19条第1項)
- 市街化区域内の土地においては、原則として1,000m2以上の場合、開発許可が必要です。(同法第19条第1項本文)
しかし、三大都市圏などの一定の区域では、500m2以上が開発許可の対象になります。(同法第19条第2項)
また、一定の場合には、300m2以上が開発許可の対象になることもあります。(同法第19条第1項ただし書) - 開発許可を受けた開発行為または開発行為に関する工事により、公共施設が設置されたときは、その公共施設は、原則として工事完了公告の日の翌日において、その公共施設の存する市町村の管理に属します。
但し、他の法律に基づく管理者が別にあるとき、または協議により管理者について別段の定めをしたときは、それらの者の管理に属します。(同法第39条)「開発許可を受けた者が管理する」のではありません。 - 何人も、開発許可を受けた開発区域内においては、工事完了の公告があった後は、当該開発許可に係る予定建築物等以外の建築物または特定工作物を新築し、または新設してはならず、また、建築物を改築し、またはその公共施設の存する市町村の管理に属します。
用途を変更して当該開発許可に係る予定の建築物以外の建築物としてはなりません。(同法第42条第1項本文)
但し、都道府県知事が許可したとき、または用途地域等が定められているときは、例外として、予定建築物以外の建築物を新築することができます。(同法第42条第1項ただし書)
市街化区域と地区地域~高度地区~
種類 | 定めることができるか否か | 条件 |
---|---|---|
用途地域 | 〇 | |
特別用途地区・高度地区 | △ | 用途地域にのみ定められる |
高度利用地区 | △ | 用途地域にのみ定められる |
高層住居誘導地区 | △ | 一定の用途地域にのみ定められる |
特定用途制限地域 | × | |
特定街区・防火地域・準防火地域 | △ | |
景観地区・風致地区 | △ |
都市計画法 図解

市街化区域に関するよくある質問
-
区域区分の定めのない都市計画区域内とは非線引区域の事ですか?
-
非線引き区域の事になります。
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市街化区域の表現について質問です。「少なくとも用途地域を定める」と「必ず定める」という表現はどちらが正しいものとなりますか?
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市街化区域に関しては、「必ず」定めないといけないため、「少なくとも」も「必ず」も正しい表現です。
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ゴルフコースは面積関係なく第二特定工作物になるのは分かるのですか、開発許可を受けるのも面積関係ないのですか?それとも、市街化区域だったら1000m2で開発許可がいるのですか?
-
ゴルフコースは、市街化区域だったら1000m2以上で開発許可がいることになります。市街化区域における1,000m2以上のゴルフコースは、許可不要の開発行為にあたりませんので、許可必要となります。
窪田義幸(くぼた よしゆき)
″栄光を掴む″ための講義、″強い意欲″を持ち続けるための講義をめざします
【出身】愛知県
【経歴】立命館大学文学部卒。宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士。
【趣味】神社仏閣巡り
【受験歴】1999年宅建試験受験、合格
【講師歴】2001年よりフォーサイト宅建講座講師スタート
【刊行書籍】3ヵ月で宅建 本当は教えたくない究極の宅建合格メソッド (最短合格シリーズ)
【座右の銘】雨垂れ石を穿つ
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